ひとりごと
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素敵な寄り道 2004年12月06日(月)

夫の会社に忘れ物を届けに行った。
ひと仕事終えてほっとした帰り道、
なじみの薄いその駅で「京王線」の案内に気がついた。
そう言えば、友だちがよく素敵な写真を見せてくれる植物園が
この沿線にあるのだっけ。
行ってみようか?
お天気はいいし、時間だってまだ午後になったばかり。
思いついたまま改札をくぐり抜け、ホームで待っていた急行電車に飛び乗った。

こんな突然の寄り道って楽しい。
小さいころの冒険みたいでわくわくする。
さて…でもあの植物園は今日は開園しているのか、
それどころか、どの駅で降りるかさえ知らないのだった。
走り始めた電車の中を、吊り広告を見上げながら歩き回った。
もしかしたら、植物園の案内の広告があるかもしれないと思って。
でもひと車両を往復しても見つからなかった。
うろ覚えの駅で適当に降りてみようかな。
それでなかったら、なかったときのこと、引き帰したらいいのだし。
やがて友だちに訊いてみたらいいのだと気がついた。
空いている座席に座って、急いで友だちに携帯電話でメールを送った。
返事が来ますように…。

すぐに返事が返ってきた!
わぁ、うろ覚えの駅は間違っていた。
次の駅で降りて各駅停車に乗り換えなくてはいけない。
よかった、間に合って。
友だちは、開園していることも確かめてくれた。
感謝、感謝。
さぁ、楽しんできましょう。

その植物園は、駅を降りてすぐのところにあった。
花の盛りの時季ではないけれど、紅葉と冬枯れの木立の美しい静かな庭園だった。
池のほとりで頭を寄せ合ったモコモコのガマの穂たち。
真っ青な空に伸びたマグノリアの白い枝とふんわりした花芽。
日に透けて赤がまぶしいサルスベリやハゼの葉。
キャンディーみたいなヒメツルソバの愛らしい花。
花壇で笑顔を並べたパンジーたち。
すっきりと葉を伸ばして花を待つ水仙の波。
重たげな花をゆっさりと咲かす香り豊かな薔薇の花。
そして、キラキラと風の中で光るクヌギの木の美しさ。
芝生の上にも、ガーデンテーブルの上にも、木漏れ日が揺れていた。
葉ずれの音と光の中で、梢を見上げてぼんやりとたたずんだ。
ふわふわと手を振る風船のサンタさんだけがそばにいた。
今、この庭の木も花も、私だけのもののようだ。
日が傾き、カメラを持つ手が冷たくなるまで、ひとりで贅沢な時間を過ごした。

ゆっくりと歩き回ると、そこここに働く人がいるのだった。
ほっこり柔らかそうな黒い土をおこす人、コニファーに飾り付けをする人、薔薇の花殻を摘む人。
友だちが前に言っていたとおり、みんな気持ちよく丁寧に楽しげに仕事をしていた。
植物たちは慈しまれて、のびのびと育っていた。
たくさんの小鳥たちも、当たり前のようにそこで暮らしていた。
きれいで気持ちがいい、優しい空間だった。

もし夫が忘れ物をしなかったら、「京王線」の表示で思い出さなかったら、
こんなにお天気がよくなかったら、友だちが携帯メールに気がつかなかったら、
私は今日、ここに来ることはできなかった。
すべての偶然が嬉しくてありがたい。
今度は春に、花いっぱいのころに来よう。
いえ、雪が降った景色も素敵だろう。
夏の緑は美しいだろう。

いいとこ見つけた。
また寄り道しよう。


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