ひとりごと
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こんなことしてた 2004年10月30日(土)

また朝まで眠れなくて、なぜだか眠るのがこわくて
でもベッドに入ったらお昼近くまで眠っていた。
目が覚めたら雨が降っていた。
庭に出ると、べべの眠る黒々とした土の上で、
瓶に挿したピンクの薔薇と青梗菜が鮮やかな色でぬれていた。
目をつぶって手を合わせ、べべに語りかけた。
「寒くない?トトちゃんと一緒だからもう大丈夫だよね。」
それからトトにも「べべちゃんをよろしくね。」と話した。

あの日、まるでべべの最後の姿に会うためだけに帰ってきたような夫は
翌朝からまた出張に行ってしまっていた。
こんな雨のひとりの日、何をしようか。
まずジュジュのえさを取り替えて、彼が食事するのを見守った。
時々私の顔を見ながら、プチプチと熱心に食べていた。
「ひとりと1羽、これからは仲よくしてくれる?」
話しかけると、目を見てちゃんと聞いてくれてた。
ジュジュも、トト、ピピ、べべの3羽のインコを私と一緒に見送っているのだ。
たまたまうちに飛び込んできた迷い鳥のジュジュが
3年以上をともに暮らして、すっかり家族の一員になっていた。
雛から育てた手乗りのトトやべべと比べて、影が薄いようなジュジュだったけれど
これからは私のただ1羽の大切なインコなのだ。
そのうちお嫁さんをもらってあげようか。

床を暖かくして座り込み、ジュジュを観察しながらビーズ細工をした。
セキセイインコの作り方が載っているビーズの本を見つけたのはずいぶん前だった。
いつかうちのインコたちを作ろうと思っていてそのままになっていた。
べべの姿を鮮明に覚えているうちに、べべを作りたかった。
最初にジュジュを作ったのは練習(ジュジュごめん)のためと、
そこにいるジュジュをよく見つめたかったから。
背中はこんなグラデーションになっていたのか、おなかの色はなんてきれいな翡翠色だろう、
なんて長くて美しい尻尾だろう…。
ジュジュをこんなに一生懸命見たのは初めてだったかもしれない。
ビーズのジュジュは、ビーズの色が足りなくて途中までになってしまったけれど、
それでも彼そっくりにすんなりかわいく形になった。

べべはここにはいないので、パソコンの画面で写真を見ながらビーズを編んだ。
昨日まで毎日見ていた羽の色を、あらためてよく見て形作った。
胸からおなかにかけての空色に白が雲のように混ざっている。
くちばしはピンクがかった淡いオレンジで、脚はきれいな桜色だ。
似たような色のビーズを探して、べべらしく作った。
背中の黒いV模様も忘れてはいない。
そう、べべはこんな感じだった。
ふっくらとしてきれいでかわいかったのだ。
ビーズのべべができた。
嬉しくて、昨日べべをそうしたように手のひらに乗せたり、ほおずりをしたりした。
私はべべの形がほしかったのかもしれない。
こんなものを作ったところでべべは喜びはしないのに。

それで言ったら、これまでにべべが喜ぶようなことなんて何もできなかったと思う。
大好きなトトとの恋を実らせることができなかった。
えさだって、好きなだけいっぱいを食べさせてやれなかった。
もちろん空だって一度も飛ぶことがなかった。
べべは幸せだったのだろうか。
私がかわいがるだけかわいがって、それで自分が喜んでいただけなのではないか。
愛しているのなら、もっとしてやれたことがあったのではないか。

少なくとも、私はべべと暮らして幸せだった。
とても楽しかったのだ。
インコたちの中でただ1羽のメスのべべには「同士」のような気持ちも持っていた。
気が強くてクールでそっけないけれど、本当は優しくて繊細なべべの性格も大好きだった。
こんな小さなインコだけれど、尊敬もしていた。
べべからはもらうばかりだった。

あぁ、「何かをしてやれる」なんて言うこと自体が思い上がりなのかもしれない。
私にできることは、一瞬一瞬をただ精いっぱい生きている彼らの潔さを尊重して、
今その一瞬が少しでも快適であるように祈ることだけなのかもしれない。
これからのジュジュとのつきあい方も、そんな感じでできたらいい。
小さな2つのビーズ細工を手のひらに並べて愛しい鳥たちの顔を1羽ずつ思い出していった。

今日、ひとりの雨の日、ずっと鳥たちのことを考えていた。


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