ひとりごと
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2本の木 2004年05月21日(金)

階段から落ちて痛めた足を友だちが心配するので
10日もたっているけれど、お医者に行ってみた。
「もう大丈夫!」とお墨付きと、念のための塗り薬をいただいて帰った。
これで思いっきり庭仕事ができる。

台風が通り過ぎたあとの庭は掃除のし甲斐があった。
落ちている花びらを拾い、枯れてきた春の草花を抜いた。
広がり始めた雑草を抜き、転がっている鉢を片付けた。
そしてとうとう、前から気になっていた大仕事をした。
2本の木を抜いたのだ。

5年前、ここに来たとき、庭の南西の隅に2本の木を植えた。
ひとつは、高さ20センチほどだったゴールドクレスト。
寄せ植え教室で使って鉢に植えてあったのをおろしたのだ。
もうひとつは、ピンクの花を咲かせるハナミズキ。
たくさんの花をつけてシンボルツリーになるはずだった。

両方とも計算違いだった。
気軽に植えた小さなゴールドクレストは、
この半日陰の庭を気に入ってぐんぐんと大きくなった。
気がついたら、ただでさえ日当たりの悪い庭の、
貴重な午後の日照をほとんど遮るほどに育っていた。
花と紅葉を楽しむつもりだったハナミズキはなかなか大きくならず、
5年の間、ひとつも花をつけなかった。
ハナミズキには日当たりが必要だったのだ。

邪魔になってしまったゴールドクレストとかわいそうなハナミズキは
ご近所たちのお庭に引き取られることになった。
ゴールドクレストは裏庭に、ハナミズキは庭の入り口に植えてもらえると言う。
うちにいるより、ずっと幸せになりそうだ。

昨夜降った雨で、土も柔らかくなっていた。
やるなら、暑くなる前、梅雨になる前の今しかない。
思い切って、ゴールドクレストの脇にスコップの最初のひと差しを入れた。
それをてこのように手前に1度動かしただけで、
2メートル半ほどの高さのゴールドクレストは簡単に傾いた。
これはわりと簡単に移植できるかもしれない。
ご近所さんの準備が整っているかどうか、電話で確かめると、
すぐにスコップを持って応援に来てくれた。

ご近所さんが見守る中、反対からもスコップを差し込んで、
ぐいっと持ち上げようとしたが、木はゆらりと反対に傾いただけだった。
ぐるりと一周スコップを入れて土をどけてみたら、
ゴールドクレストの根は、横張りはしていなかったけれど、縦に深く伸びているのだった。
大変なことになった。
ふたりで少しずつ土をすくっては根を掘っていく。
掘っても掘っても、何本も伸びている根の太さは変わらなく、引っ張ってもびくともしないのだ。
汗がだらだらと流れてきた。
シャツの袖でそれをぬぐうと、顔が土だらけになったのがわかった。

「まだ深いよ。」
「どうする?切ってしまう?」
「でも根付かなくなっちゃう。がんばろう。」
「始めてしまったからにはやめられないものね。」
時々声を掛け合いながら、一緒に土を掘った。
少しずつ手ごたえを感じられるようになっていった。

「そろそろ抜けるかもしれない。」
「1、2の3!」
一緒に幹をつかんで引っ張った。
ずずず…と長い根ごと、ゴールドクレストは引き抜けた。
「抜けた!」
始めてから30分ほどもたっていた。

長いゴールドクレストを横にして、フェンスの上から向こうに渡した。
持ってみると、意外に軽いのだった。
次は向こうの庭に深い穴を掘り、植えつける作業。
こっちのほうがずっと楽だった。
バケツでたっぷりと水をやり、地面を固めてゴールドクレストは落ち着いた。
「なかなか素敵じゃない!」
「ここに似合うわね。」
「お疲れさま〜。」
「明日筋肉痛かもね。。」
土だらけの顔で笑いあって別れた。

部屋に入ってお茶を飲んでひとやすみ。
でもまだハナミズキが残っている。
この勢いで、ハナミズキも掘ってしまおう。
私らしからぬやる気を出して、また庭に出た。

ハナミズキは、お隣さんがもらってくれることになっていた。
電話で声をかけると、裏口から出てきてくれた。
お隣さんの見ている前で、さっきと同じようにスコップを入れてみると
こちらは思ったよりも簡単に根が動き、10分ほどできれいに抜けた。

フェンス越しに、2メートルほどのハナミズキの木をお隣さんに手渡した。
「わぁ、本当にいいの?嬉しい!」
喜んでもらえてよかった。
とりあえずハナミズキは、土と水を張った大きな樽に入れられた。
明日にでも、ご主人さまに植えていただくと言う。
ハナミズキもたくさんの日を浴びてのびのびと育ち、花も咲かせるようになるだろう。

5年間、庭の隅で育っていた2本の木がなくなった。
大きな穴が残り、空が広くなった。
日当たりがよくなって、花たちの育ち方も変わるだろうか。
今度は先のことまでよく考えて、木や花を植えよう。
これを機会に、庭造り計画をもう一度考え直すのだ。

木が好き放題に茂り、こぼれ種で草花が野放図に増え、鬱蒼と、雑然としていた庭を、
それなりにさっぱりときれいに、爽やかにするのが、6年目の庭の目標。
これからに乞うご期待!


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