ひとりごと
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ゆりかごを作る 2004年05月07日(金)

今朝咲いたばかりの薔薇の香りに誘われて庭に出た。
薔薇の葉陰にしゃがみこんで、目をつぶった。
しあわせな時間。

いっぱいの薔薇の香りが私を包む。
それから、小さな生きもたちのささやかな音が聞こえる。
忙しく花をめぐるアブやハチの羽音。
かさこそと花びらをかき分けるコガネムシの足音。
風に揺れて触れ合う葉っぱたちの柔らかい音。
花びらが地面に落ちるさらりとした音。
じっと耳を澄ましていると、私まで植物になっていくよう。

目をあけると、そこではゆりかごが作られている最中だった。
オトシブミのお母さんが、薔薇の葉っぱを巻き上げていた。
葉脈を残して切れ目を入れた葉は柔らかく萎れてくる。
そこに卵を産み付けて、きちんと巻いて、幼虫のゆりかごにするのだ。

なんて丁寧で確実で美しい仕事!
目が離せない。
息を呑んで見守った。

折り曲げた葉の葉脈側を抱えこんで、じわりじわりと巻いていた。
少し巻いては、左右に歩いて点検して、等分に巻けているか確かめている。
5ミリもないほどの小さな小さな虫なのに、なんて力持ちなのだろう。
少しずつだけれど、確実に葉っぱは巻いていかれているのだ。
時々、葉っぱの端っこを折り込んで、きちんとした円筒形に整えている。
すごい、すごい!

じっと見ている私にはお構いなしで、オトシブミのお母さんはゆりかごを作り上げていった。
いつの間にか葉っぱの根元まで巻き上げられていた円筒型のゆりかごは
最後は丸い底面に丁寧にひだをよせて、ちゃんと留められた。
できあがったゆりかごのまわりを1周して、満足したお母さんは
子どもの誕生を天に祈り、成長を薔薇に託して飛び立った。
完璧に美しいゆりかごが、薔薇の葉先に残された。
夢から覚めたようだった。


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