ひとりごと
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ボタニカルアートの教室に通い始めて3年がたった。 1ヶ月に1度のレッスンが楽しみだ。 なのに、ちゃんと作品として描きあがったものは ほんの少ししかない。
2時間のレッスンでは、デッサンをするのがせいいっぱい。 薄く下塗りができたら私にしてはマシな方だ。 家に帰ってすぐに続きを描き始めたらいいのだけれど 夕方になっていて、電灯の光になっていると色も違い また明日の昼間にしよう、となってしまう。 そして翌日は日曜。 ばたばたと雑用に追われたり、出かけてしまったり。 気がついたときには、モデルの花はしおれてしまっている。 そんなことの繰り返し…。
せっかくお月謝を払い、いい画材を買ったのにこれではもったいない。 中途半端がはずかしい。 1ヶ月に1枚の絵を仕上げよう。 ちゃんと描きあげよう。
今日のモデルはおいしそうな苺だった。 これなら小さいから、レッスン時間のうちに仕上がるかも! と思ったけれど、苺には小さな種がいっぱいあるのだった。 できるだけ種の少ない小さい苺を選んでも なんとか下塗りをするところまでしかできなかった。
雨の中、夕方の家に帰宅した。 荷物を降ろし、すぐにモデルの苺を出した。 教室で見たときより、すでにずいぶん柔らかく熟れてきている。 夕食の支度の前に、少しでも描いておこう。 ゼリーの空きカップに水を入れて、筆をとった。
苺を見つめ、紙に顔を近づけて、細い筆で色を乗せる。 赤い絵の具から苺の匂いがするようだ。 いや、モデルの本物の苺が香っているのだ。 私の絵はまだ香らない。 よく見て。 へたのつき方、種の並び方、その形、色の微妙さ。 淡い水彩を重ねて、苺を紙の上に表していく。
肩が凝ってしまったのと、おなかがすいた(と夫が言った)ので 今日のうちには描きあがらなかった。 でもこの絵はちゃんと仕上げたい。 苺をひとつ。 できたら、その周りにいろんなベリーも散らせたらいい。 私の庭で実るはずの、ワイルドストロベリーやラズベリー、 ブルーベリーやタイベリーも一緒に描けたらかわいいだろう。 おいしそうな絵ができるはずだ。
この秋、2年ぶりに展覧会をすることになった。 それに出品することを目標にしよう。 今この一瞬の苺の命を紙に写し取ろう。
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