ひとりごと
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ガーン!! ガーン! ガーン…。 私のデジカメが! 私がデジカメを…。 あの私の分身のような、右手と一体化していたような 大事なかわいいデジカメをなくしてしまった。
10日ぶりのお出かけは茅ヶ崎まで。 おととしHP上で里親探しをして、 素敵な里親さんと巡り会えた犬のラブリーちゃんに会いに行ったのだ。 そちら方面で法事のある両親とは、ラブリーちゃんのおうちで落ち合うことにして それまでの時間、妹と茅ヶ崎散策を楽しんだ。
陽射しは柔らかく暖かく、ほんのり潮の香りを含んだ風はここちよく、 街は明るくておしゃれで優しかった。 妹と、あちこちに見えるワンちゃんグッズを扱うお店を覗いたり、 素敵な雑貨屋さんやお花屋さんを見つけてはしゃいだ。 もちろん写真もいっぱい撮った。 どこを見ても絵になるようだった。 下調べをしていた小さなビストロで、おいしくて安い贅沢なランチをとった。 おいしそうな写真を妹と撮り合った。
そして海! 去年の初夏、八丈島以来の海だ。 晴れた空の下で海は青く、透き通って輝いていた。 波の間にサーファーたちが見え隠れしていた。 砂浜では、犬や子どもたちが走り回り、人々が散歩を楽しんでいた。 私と妹も、美しい海に感激して海の向こうに見える島や、 打ち寄せるレースのような波や、砂浜の足跡を見つめ、カメラに収めた。 貝殻を拾ったり、ヒトデを見つけたりした。 そしてそのまま、ラブリーちゃんのおうちのほうへ 砂浜沿いに歩いて行ったのだ。
ワンピースにパンプスのスタイルで砂浜を歩くのは大変だった。 ただでさえ歩き慣れていないのに、強い海風に吹かれ、 陽射しを浴びて私たちは疲れていった。 だんだん口数も少なくなり、ずっと向こうまで続く砂浜を見つめてただ歩いた。 時々、足元を洗いそうに近づく白い波や、低く空を飛ぶトンビを撮った。 そう、そのときは確かにデジカメを持っていたのだ。
途中、母から電話が入り、砂の上にカメラを置いた。 でもすぐに拾い上げて、レンズについた砂を払ったのも覚えている。 それからいつものように、ストラップを手首に通し、しっかりと握って歩いていたはずだ。 いつものように、あの重みを感じていたはずだ。 デジカメがないのに気がついたのは、それからしばらくあとのことだった。
砂浜からやっとのことで、舗装された道に上がり、広い国道を延々と歩いた。 そして住宅街に入ったところで、デジカメに入れておいた地図を確かめようとしたのだ。 まさか。 当たり前のように、手首にぶら下がっているはずのデジカメがない。 バッグの中にも、買い物袋の中にもない。 妹にも預けていない。 消えてしまった。
「探しに戻る!」と引き返そうとして、妹に止められた。 とりあえず、両親と合流してからの方がいい。 どこで落としたのか、今までの道のりを思い出し直しながら、泣きたい気持ちで歩いた。 やがて、車で迎えに出てくれた父と会い、そのまま来た道を引き返した。 ふたりで黙々と歩いた国道も、車で通るとあっという間だった。 道には落ちていなかった。 大体、道で落としたら、その音で気がつくはずだ。 そうしたら、やっぱり砂浜で? 車を止めてもらって、砂浜に下り、母からの電話を受けたところまで歩いた。 途中、散歩している人にも聞いてみたけれど、見つからなかった。 私のデジカメは、どこにも見つからなかった。
その後、ラブリーちゃんのおうちでは、とても楽しいときを過ごした。 おうちは素敵で、飼い主さんは優しくて、ラブリーちゃんは幸せそうだった。 妹のデジカメを借りて、その様子を何枚も撮ったけれど、 やっぱり勝手が違って使いづらい。 楽しく過ごしながらも、いっときもデジカメのことが頭を離れなかった。 ラブリーちゃんのおうちを辞して、教えていただいた近くの交番に届け出た。 できることはすべてやった。 あとは連絡を待つだけだ。
この4年間、何より誰より、たぶん夫よりも長い時間を私と過ごしたデジカメ。 愛するかわいい大切なデジカメ。 どこに行ってしまったのだろう。 一体、いつ手離してしまったのだろう。 まるで煙のように消えてしまったかのようだ。 落としたのに気がつかないほど疲れていたのだろうか。 手離してしまってほんとにほんとにごめんなさい。
トトの顔と名前を刻み込んだハート型のキイホルダーがついている。 200枚ほどの楽しい画像が入ったままだ。 4年間ずっと持ち歩き、3回も修理をして、ボディは傷だらけだ。 愛着がいっぱい、とてもかわいい。
まだぼんやりしている。 ため息が出てしまう。 私のデジカメ、どうか出てきますように。
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