ひとりごと
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衣装 2004年01月15日(木)

明るく晴れて気持ちがいい日だ。
暖かいうちに庭仕事をしようとガラス戸を開けようとしたら
小鳥たちがあわてて飛び立ち、少し離れた木の枝に止まった。
庭のピーナッツリースやくだものに
シジュウカラやヤマガラたちがやって来ていたのだ。

せっかくのお食事の邪魔をしてはいけない。
特にヤマガラは、やっと常連になりかけたばかりなのだもの。
庭仕事はまたあとにして、
明日のお茶の初稽古に着ていく着物を用意することにした。

こんなときしか使わない2階の和室には、5年たった今もまだ新しい家の匂いがする。
そこへ樟脳の匂いのするような古い着物をいくつも引っ張り出した。
もうあまり着ないから、と、母や祖母や叔母たちが着物や帯をくれていた。

何を着ていこう。
どれと合わせよう。
悩む、悩む。
あちこちから少しずつバラバラと集まってきた着物や帯は多種多様。
好みも素材も古さも大きさもみんな違って、
それはおもしろいけれど組み合わせには悩ませられる。
セーターの上から巻きつけて、姿見を見ては、次のものと取り替える。
数ばかりはいっぱいあるくせして「これ」と言う組み合わせが見つからない。

いろとりどりに〜ぬぎちらかした〜♪と「夢一夜」なんかを口ずさんで
ガラス越しの陽射しを背に、畳の上に座り込んで散らかした絹を眺めてぼんやりした。
小鳥たちの澄んだ高い声が「チリチリ!」と聞こえた。
また食事が始まったらしい。

ひとやすみして、小鳥たちを見に降りた。
揺れるピーナッツリースにとまって、器用につつき出す小鳥たち。
どの1羽も軽やかで敏捷で、そして完璧に美しい。
着たきり雀とは言うけれど、スズメの衣装だって本当に素敵だ。
意外と複雑な茶色い模様はシックでとてもかわいいのだ。
シジュウカラは、シンプルに白と黒だけのようで、
実は背中のオリーブグリーンのグラデーションがなんとも言えず美しい。
黒い頭巾がチャーミングなヤマガラは、
鮮やかなレンガ色のおなかとグレーの羽の組み合わせがきりりと粋だ。

なんてみんなおしゃれなんだろう。
きれいなんだろう。
あんなふうに装えたなら。

何かを着なくてはいけない人間は、衣装を選べる贅沢も忘れて悩んでしまう。
最初からあんなふうに生まれたら、着たきり雀でかまわないと思ったりする。
小鳥たちの足元にも及ばない野暮ったい組み合わせだけれど
なんとか新春らしい色合いの花の模様の小紋と
草木染の糸で織った縞の帯をやっとのことで選んで落ち着いた。

小鳥たちはおなかいっぱいになって飛び立っていった。
私は軽やかでなく、もこもこと着込み、
やっと庭に出て、昨日届いたばかりのアスパラガスの大苗と
去年からポットで窮屈そうだったソラマメの苗を植えつけた。


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