ひとりごと
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懐かしいキャンパスに旧友が集まった。 見慣れない新しい校舎の明るい教室は少しよそよそしかった。 その向こうの木立は昔と同じ景色を作っていて美しかった。 19年ぶりの教授の声はまろやかに耳に響いた。
四十数年、教壇に立ち、数え切れないほどの講義を持ち、 何千人の学生を育てて来られたのだろう。 今日のこれが、最後の講義。 「話したいことはいっぱいあるのです。」 もっと聞きたかった。 でもこれで最後。
配られた略歴で、私と同い年のお子さんがいることを知った。 ただただ厳しくて恐いだけの先生だったのが 急に「お父さん」のように身近に感じられた。 当たり前のことなのに、先生にも先生以外の顔があったことを初めて思った。
学生時代とは違う気持ちで、進んでいく時計の針を時々見つめた。 あと何分。 もうすぐ終わる。 終わってしまう。 「これで最後の講義を終わります。」 書類を重ねて、先生が晴れ晴れとした顔を上げられた。 音楽が流れ、花束が渡された。
どうもありがとうございました。 お疲れさまでした。 できの悪い、いたらない学生だったけれど、最後の言葉だけは忘れません。
「今日の日を楽しめ!」
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