ひとりごと
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昨日からピーちゃん(仮称)の様子が変だった。 寒そうに膨れたまま、いつもうつらうつらしている。 高く澄んだかわいい歌声も聞こえない。 ブランコで遊ぶ様子も見られない。 ヒーターで保温しても、べべやジュジュは暑そうにしているのに ピーちゃんはまだ膨れたまま。 あの華奢なピーちゃんがべべよりも大きく見えるほどだ。 昨日の午後、いつもの獣医さんに今日の午後の診察を予約した。
3時半の予約の時間ぴったりに行ったのに、 待合室は椅子もスリッパも足りないほどに混んでいた。 腕のいいお医者さまなので、人気が出てきていることは ネットのインコサイトを見てもわかっていた。 それに1羽ずつ丁寧に診てくださっているので時間がかかるのだろう。 ピーちゃんの順番が回ってきたのは1時間後の4時半だった。
診察台に置かれたピーちゃんの入った キャリーケースを見たお医者さまの表情は明るくなかった。 いつもなら、運ばれている間にしたフンを採って、それで検査をするのだが ほとんどフンと言えるようなフンをしていなかった。 青っぽい緑の水が、敷き紙に染み付いているだけだった。 私の話を聞き、フンを調べた先生はおっしゃった。 「フンの白い部分を尿酸と言うのですが、それがこのように青緑のとき、 溶血反応を起こしていることが考えられます。 感染症や中毒で、血が溶けてしまっているのです。ちょっと恐い状態です。」 いきなりショックを受けてしまった。
先生はピーちゃんを手早くつかみ、診察し、そのう液を取り、体重を量った。 32g、子どもとは言え、ちょっと少ない。 「症状があまり出ていないので、ちゃんと検査をしないとはっきりしませんが 誤って金属を食べてしまった金属中毒が考えられます。 突然、元気がなくなったと言うことなので、感染症よりも中毒の疑いのほうが大きいです。」 それをはっきりさせるために、レントゲンを撮ることになった。 私はふらふらと診察室を出て、待合室で呼ばれるまで待った。 「ピ〜ピ〜…」と久しぶりにか細いピーちゃんの声が聞こえた。 レントゲンが苦しいのだろうか。 さっき受付に提出したカルテの名前の欄に「ピーちゃん(仮称)」と書いたことを思い出し そろそろ本当に名前をつけなくてはいけないな、と考えていた。 (仮称)がつかない名前で励ましてあげたい。
しばらくして、診察室に呼ばれた。 ピーちゃんの姿はなく、レントゲン写真だけが待っていた。 「砂肝の中に白く見えるものがあります。これが金属かもしれません。」 先生が指し示したところを見ると、半透明につぶつぶと何かが詰まった中に ひとつだけ濃く白くはっきりと写っているものがあった。 「それから、肝臓がパンパンに腫れています。肝炎のようです。」 わずかに紙についたフンやそのう液を調べたところ、菌や感染症は見つからなかったと言うことだ。
治療法としては、強肝剤を与えて解毒させること、肝臓の状態を治すこと。 そしてほとんど餌を食べていないので、強制給餌をすること。 「それでは入院でしょうか。」と伺うと 「お預けいただかないと、難しいと思います。」と言われた。 こまめな投薬と給餌をしなくてはいけないし、絶対に保温も必要なのだ。 今は状態がよくないので、3日間はICUに入ることになった。 べべのときと同じ、入院承諾書が持ってこられた。 同じように、ひとつひとつ説明を受けた。 やっぱり最後の「家で見取りたい気持ちが強い方は…」のところでは頭がくらくらした。 それでも信頼する先生にお預けするしかない。 最後の欄にしっかりと署名した。
そのあと、ピーちゃんが診察室に連れて来られて、面会ができた。 ピーちゃんは、キャリーケースから入院室に移された。 「かわいそうに。知らない家に飛んできて、変なものを食べて具合が悪くなって。 それで恐い思いをして、入院するだなんて、かわいそうに。 ちゃんと見てあげていられなくてごめんね。」 私がピーちゃんに謝っていると 「いや、もっとずっと前にほかの病気にかかっていて、今発症したのかもしれませんよ。」 と先生がおっしゃった。 私が責任を感じ過ぎないようにと言う先生のお心遣いに感謝した。 「まだ血は採れませんが、血液検査をしてちゃんと調べます。」 とのことだった。
この先生なら大丈夫だ。 べべのときも、あんなに重篤な状態だったのを懸命な看護と治療で治してくださったのだもの。 今度だって、きっと大丈夫。 「ピーちゃん、がんばってね。べべちゃんも待っているからね!」 とふくらんだままのおとなしいピーちゃんに声をかけて診察室を出た。
外へ出ると、すっかり夜になっていた。 すいた各駅停車でがたごとと揺られて帰った。 駅を降りると冷たい空気が頬をさすようだった。 ピーちゃんを連れていないので、寒さを気にすることはない。 わざと風を切るように、びゅうびゅうと自転車をこいだ。 濃紺の空を見上げると笠をかぶったお月さまと、雲の合間にお星さま。 それと地上には、この週末でぐんと増えた家々のイルミネーションが輝いていた。
クリスマスが来るまでに、ピーちゃんが元気になって帰ってきますように。 早く名前も考えなくちゃ。
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