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----------2005年08月24日(水) あまりにも醜い
何の罪もない小さなドウブツに対して自分の苛々や鬱憤をぶつけることほど罪深いものはないと思う。愛くるしい表情や身体のぬくもり、小さな心臓の音、ふとしたときに擦り寄ってきたり気がつけば寄り添って眠っていたりする気持ちの可愛らしさ、到底言葉では言い表せないたくさんの贈物を日々受け取っているというのに、昨夜私はネコに手を上げた。
ウシ模様のネコは臆病なのですぐに母のベッドの下に隠れた。けれどトラ模様のネコは勝気なのでフーッと威嚇しながら背中の毛を逆立てて、私の手に向かってきた。それからのことはあんまり覚えていない。私はタオルでぶった、と思う。枕でぶった、と思う。それでもまだ飽き足らなくて、トラ模様のネコが一番嫌っている掃除機を引っ張り出して、何度もぶった。そのたびにネコは威嚇の声をあげ、猛烈な勢いでネコパンチを繰り返す。私の側にも、ネコの側にも、理性などは一切残っていない。
そんなことが数十分は、続いたと思う。私は疲れ果て、多分ネコは寿命を3年ばかり縮めた。これでもう、二度と触らせてくれないだろう、二度と許してくれないだろう、と思った。
それなのに今朝起きたらネコは私の枕元で眠っていた。名前を呼ぶといつもどおりうにゃんと鳴いてほおずりしてきた。私はもう、自分が情けなくて、ネコを抱きしめて、泣いた。
父が私の上に馬乗りになって顔面を何度も殴った夜のことを今でも鮮明に覚えている。その夜は深く刺さって抜けなくなったトゲのように皮膚の内側にとどまり続けていて、口の中に広がった血の味はじくじくと今の時間の中にも染み出してくる。
*****
どうして私などを許してくれるのですか。
キミのその小さな心臓が張り裂けんばかりの恐怖を与え、爪が折れるほどに激しく抵抗させた私など
キミのその鋭い爪で、喉を引き裂かれてしまえばよかったのに。
私はあまりにも醜く、キミの飼い主を名乗る資格すら、ないというのに。
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