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----------2005年08月09日(火) 白い箱の中で考えたこと

我らは刻一刻若さを失っていくのだ、肌が衰え、筋が傷み、目が弱り
我らの血肉を養分として箱が育つ
矛盾と誤解と憤怒と諦め
打算と裏切りと嘘と意地
すべて押さえ込んで
我らをすべて黙らせて
箱はますます傲慢になる、冷淡になる

箱の中で
顔をなくしたマリオネットがごった煮にされる
箱の中で
わずかの金銭と引き換えに人が数になっていく
箱の中で
ありとあらゆるペルソナを剥がれて我らは

何ひとつ、戦う術をもたない

誰かがついたため息は箱の中を循環し、決して換気されず浄化されず誰かはそのため息を吸い込んでまたため息を返す、次第にため息の濃度は増し箱の中に白く濁った空気が沈澱する、息苦しい、

から一方的に用件だけ伝えて相手がまだごにょごにょとごねている最中にガッチャンと受話器を叩きつけたので隣にいた新人さんが泣きそうな顔をした。

大丈夫、2年経てばこうなる。

向かいに座っていた番長がにやりとした。

我らはにやりと黒い笑いだけを覚えていく、白い、白い箱の中で。