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----------2005年07月11日(月) 遠い祭り
今年の祭りは遠い。
湿気を含んだ重く粘っこい空気にはアルコールの匂いと火薬の匂いがかすかに混じっていて、ヨーヨーや金魚の入った袋を提げた浴衣姿の女の子とすれ違うたびに私は、祭りを、鬱陶しい、と感じる。
朝、あんなに激しく降っていた雨はいったいいつごろ上がったんだろう。
窓の外も見ずに、働いている。
バカだね。
明日も9時過ぎまで「外」を忘却して働くだろう。そうして地下鉄の駅から階段を昇って「外」に出たとき、帰り支度をはじめた屋台を眺めながら去年の祭りを思い出すんだろう。
とてつもなくヘタクソな金魚すくいと全弾命中の射的。
私があのときがちゃぴんの貯金箱をもらったことなんてもう、忘れてるでしょう。
貴方の記憶は移ろいやすく、私の記憶は澱んでいる。
いつも、そうだった。
何も、忘れることができない。
だから、遠い。
記憶の繭の中で膝を抱えて蹲ってばかりいる。
そのうちきっと何も聞こえなくなる。何も見えなくなる。何も感じなくなる。
自分の記憶に窒息して。
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