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----------2005年03月21日(月) unconditional
「きみが幸せになりたいと欲する動機を言ってくれ。 つらい思いをしていて、それから解放されたいと欲している。きみが解放されたいと欲する動機を言ってくれ。 (・・・) このような問いをみずからに発する必要がある。しかるのちに、幸せになりたいと欲する理由などなにもないということ、それから幸福は理由なしに無条件で欲するものではないということを了解せねばならない。」 (シモーヌ・ヴェイユ「カイエ4」/みすず書房)
理由を問うた段階で既にそれは幸福ではないのだ。
幸福は無条件に欲するものではないかもしれないけれど幸福とは無条件なものである。
幸福を望むことはできない。
ただ感じることができるだけ。
幸せになりたい、と欲することは多分お金持ちになりたいだとか愛されたいだとかまあなんだか要するに自分が楽をしたいと望むことと同義である。人が望むことは所詮その程度でしかない。「幸せになりたい」と安易に口に出してはいけない、それは己の怠惰をさらけ出すことにしかならないから。
その不幸こそがあなたにふさわしいものである。
そうしてある日突然何の理由もなく何の根拠もなく何の兆しもなくひょい、と幸せは降ってくる、奇跡のように、恩寵のように、角を曲がった瞬間にふと訪れる、たとえば大阪城の外堀を覗き込んだらカメと目が合ったりしたときに。
そのときに「幸せだ」と感じることができなくなってしまうことが、何よりの「不幸」である。
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