歯ブラシ
明け方まで彼と話していた。
彼の不安は、いつ君が部屋に来るか。
毎日私は、定時になるとさっと会社を出る。
君が行ってもいいかと言い出せないように。
だけど、君も言い出すそぶりを見せない。
君が来なくなって、どれぐらい経つのか忘れてしまっし
一緒に眠ったのが、いつかも思い出さない。
本当は覚えているのだけれど、不快感が募るから
封じ込めた。
彼は私の君に対する心が、急速にさめたと驚いている。
表面的にはそう見えるけれど、あの場所にいた頃から
徐々に下降し始め、どこにも行き場がなく諦めていた。
一人になればよかったと何度も思い
どこに行っても同じことだと思い直した。
12月にやり取りしたメールを読み返した。
彼も私も、通り一遍の世間話をして
気持ちを見せないように努力している。
1月に再会して、一気に抑えていたものが溢れ出した。
やまに再会した時に、感じなかった愛しさと恋しさ。
彼も、もう一度逢うことで自分の気持ちを確かめようと
したのかもしれない。
私は彼が来たとき隠した、君の私物を
一度は元通りにした。
だけど目に入るたびに苦痛で仕方なく
また一つにまとめて、クローゼットにしまいこんだ。
君の衣服は、全て会社に持って行った。
彼は仕事と私を選べと言われたら、私を選ぶと言った。
彼は人と話すことを楽しむようになり
どこに行っても、やっていける自信ができたそうだ。
彼はPCを見られたら、絶対に疑われると
言ったけど、君が今後この部屋に入ることはない。
ここに来てから買った、歯ブラシ立てには
彼と私の歯ブラシが並んでいる。
2005年02月17日(木)
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