| 2025年12月17日(水) |
たかが焼酎されど焼酎 |
朝のうちは晴れていたが午後から空が暗くなり
ほんの少しだけ雨が降った。
久しぶりの恵みの雨であったが長続きはせず
明日は快晴の天気予報である。気温も高くなりそうだ。
国道沿いの皇帝ダリアはまだまだ健在で
10輪ほどの花が今朝も朝陽を浴びていた。
もしかしたら年を越すのかもしれない。
何だか奇跡のような花である。
枯れることも散ることも今は考えたくなかった。

今日も来客多し。金の亡者にとってこんなに嬉しいことはない。
つかの間の夢かもしれないがしばらくは安泰である。
昨日義父が手助けをした高齢のお客さんも来てくれて
手には一升瓶の高級な焼酎を抱いている。
義父が代金は不要だと云ったそうでそれでは気が済まないと云う。
義父のサービス仕事は今に始まったのではなく
度々あることで私も慣れてはいたのだが
返って気を遣わすようになるのが常であった。
せっかくの気持ちを突き返す訳にも行かず遠慮なく頂くことにした。
歯医者さんから帰って来た義父に話すと驚いていたが
焼酎は飲まないので「私にちょうだい」と云ってみる。
日頃から紙パックの安価な焼酎しか飲んだことがないので
高級な焼酎を飲んでみたかったのだ。
しかし義父は即答しない。しばらく考えていたが
「そんなに飲みたけりゃ取っていけ」と声を荒げるのであった。
おそらく友達の誰かに上げたかったのだろう。
お歳暮代わりにもなったのだと思う。
その時に直ぐにそう気づけば良かったのだが
車の助手席に積み込み家まで持ち帰ってしまった。
夫にいきさつを話せば「それはいかんぞ」となる。
そうして明日また持って行き義父に返すことになった。
あれこれと話せば角が立つのでそっと置いておこうと思う。
たかが焼酎、されど焼酎であった。
ふっと血を分けた実の娘ならどうだったのだろう。
「おう、持って帰って飲めや」と笑顔で云ってくれたかもしれない。
しかし私に飲ませても何の得にもならないのだ。
義父の考えていることは察しが付くが何とも後味の悪い出来事だった。

定時では仕事が終わらずカーブスは諦めた。
気疲れもあったのだろう何だか不完全燃焼である。
わずか30分でも身体を動かせばどんなにか気分が晴れただろうか。
夕食の支度をしながら娘に娘婿の様子を訊いたが
「さあ、知らない」とそっけない返事が返って来る。
ラインで連絡はあったと思うが詳しくは訊けなかった。
明日は帰って来るのだからまあいいかと思うことにする。
あやちゃんも「お父さんは?」と訊いていた。
どうやら何も聞かされはいないようである。
娘達の考えには理解し難いことが多く老婆心が疼くばかりであった。
雨はとっくに止んでいるが星が見えない夜になった。
窓を開ければ何処までも真っ暗闇である。
けれども雲の上にはか細い月も佇んでいるだろう。
そんなナイフのような月が見えなくてよかったと思う。
※以下今朝の詩
面影
とおいようでちかい もうすこしあとすこし
山に登れば下りなければならない そのまま雲に乗ることは出来ない
きみは仙人になりたいと云って まるで今生の別れのように去って行った
残された私は毎日空を仰いでいる あの雲だろかこの風だろうかと きみの面影をさがし続けている
流れ流れて何処に行くのだろう 空の果てにきみが棲む星がある
夜になればきらきらと輝き ふっときみの声が聴こえる
もうすこしあとすこし いつかきっととおもう
木枯らしが吹く寒い日のこと 風は荒れ空が暗くなったが 嘆くことはよそうとおもう
この空にはきみしかいない
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