ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2025年12月08日(月) 魂の声

今日もたっぷりの陽射し。気温も20℃近くなり暖かな一日となる。

国道沿いの皇帝ダリヤはまだ咲いてくれていて

大型車が通ると大きく揺れて折れてしまいそうだった。

おそらく排気ガスもまともに浴びていることだろう。

しかし大型車が通り過ぎると何事もなかったかのように

すくっと顔を上げ朝陽を浴びている姿にほっとする。

何と健気な花だろう。枯れてしまう姿が想像出来ない。

もしかしたら年を越すのではないだろうか。

何だかそれも奇跡のように思える。



同僚が眼科に通院のため午前中は独りきりで過ごす。

義父も勇ましく田んぼに出掛け会話をする暇もなかった。

来客は多く早くも来年の車検を予約してくれる。

予約制を心得てくれているお客さんはとても助かるものだ。

しばらく世間話をし「不景気」の話に花が咲く。

商売はどこも同じで苦しいのは我が社だけではなさそうだ。

慰め合ったり励まし合ったり心が通うのも嬉しいものである。


車検の入庫もあり訳を話し代車で帰って貰った。

不具合がなければ明日は済みそうだが

20年も経過している古い軽トラックなのでどうなることだろう。

古ければ古いほど重量税が高いので気の毒でならない。


お昼には義父が帰って来たが来客があり昼食は後回しとなる。

明日は村長選の告示があり選挙がらみの話であった。

小さな山里が真っ二つに分かれる。何だか喧嘩腰である。

出陣式には私も顔を出して欲しいと頼まれたが

了解したものの行くつもりはなかった。

村民ではないので一票にもならない。ただの「サクラ」である。

数年前に義父が村長選に出馬したことがあったが

僅差で敗れてしまい何と憐れだったことだろう。

それでも義父は諦めず二度も出馬したのだった。

もう選挙は嫌だと思った。どれ程の人徳も叶わないことが多い。

明日からは選挙カーが村中を走り回ることだろう。

義父はあくまでも中立の立場を貫こうとしている。


午後には同僚も来てくれて工場も活気を取り戻す。

順調なのを確かめて定時で帰路に就いた。

サニーマートで海老が半額になっていたので迷わず買う。

帰宅して茶の間で横になっていたらあやちゃんがやって来て

「おばあちゃん今夜は何?」と訊いてくれて嬉しかった。

海老フライはこの前も作ったので海老天にしようかと告げると

また海老フライが食べたいのだそうだ。

「お母さんに作って貰おうかね」と云うと嬉しそうに「やったあ」の声。

一日中部屋に閉じ籠っているあやちゃんにとって

食べることが一番の楽しみなのであろう。

そう思うと昨夜の「鶏そぼろ」も娘の愛情だと分かる。

私も誰よりも一番にあやちゃんの好物を買って来ようと思う。

そうして少しでもあやちゃんを笑顔にしてやりたかった。


夕食後は一番星を探したが雲に覆われているようだった。

暗闇は不安で心細くなるが星のない空など在り得ない。

地球も星なのだ。月も星なのだと思う。

見えないことに拘ってはいけない。

たとえば母の魂も確かに存在しているのである。

ただ見えないだけでどうして消えたと云えるだろうか。

魂の声が聴こえる。「大丈夫よ」と母の声が聴こえる。


※以下今朝の詩

 
     杖

ぬきあしさしあししのびあし
決して音を立ててはいけない

杖にクッションを付けた
靴下みたいにかわいいの

スリッパも履いてはならない
足を引き摺る時音がするから

そっと静かに階段をのぼる
息をころして一歩いっぽと

やっと椅子に座るとほっとする
そうして詩のようなものを書く

杖がなければ歩けない
杖だけがたよりなのだ

それは私の一部であろう
腕になり足になり生きる

時にはこころをささえて
励ましてくれるのだった

書いた書けた
詩のようなものがここに居る





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