朝の気温より日中の気温が低くなる。
陽射しはわずかにあったが冷たい北風が吹いていた。
明日からは師走。一気に冬らしくなることだろう。
北海道では積雪。すぐに根雪になってしまうのではないだろうか。
北国の暮らしを思えば南国土佐のなんと恵まれていることか。
冬に怖気づいている私などとても愚かに思えてならない。
月末の仕事を無事に終えほっと肩の荷が下りる。
資金繰りが順調で何よりだった。
母と一緒に仕事をしていた頃の苦労が嘘のように思える。
会社はいつも火の車だった。その上に母の散財が重なり
言い争いが絶えなかったこと。暴言の嵐だったこと。
もう辞めてしまいたいと何度思ったことだろうか。
父の遺影に手を合わせ「母を何とかして下さい」と願っていた。
母さえ居なくなればと思っていたのだろう。
それほどまでに私は薄情な娘だったのだ。
その後の母の度重なる転倒による怪我。心不全の悪化。
入退院を繰り返していたがついに施設に入居することになったのだ。
母にとってはどれほど悔しく不本意なことだったろうか。
私はそれを自分のせいだと思っている。
亡き父が私を助けてくれたのだとしても願ったのは私に他ならない。
だから未だに後ろめたさを感じながら生きている。
これは口が裂けても母には言えないことだった。
ただ母が今の暮らしに慣れ嘘でも「幸せ」と言ってくれることに
どれほど救われていることだろうか。
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