| 2022年08月22日(月) |
夏は潔く去ってはならない |
天気予報が外れてしまって思いがけずに雨が降った。
おかげで暑さが和らぎ過ごしやすい一日となる。
一気に涼しくなるのはなんとなく切ないものである。
「じゃあねさようなら」夏は潔く去ってはならない。
たとえば燃えるような恋をしていて突然に別れを告げられたら
悲しみよりも心の居場所を失い途方に暮れてしまうだろう。
寂しさを秋が癒してはくれない。ただ秋風が心に沁みるだけだ。

月曜日が憂鬱と言う人が多いけれど私はそうは思わない。
なんとなく新鮮な気がしてむしろ好きだなと思う。
幸い仕事にストレスを感じていないせいだろう。
それは本当に恵まれているのではないだろうか。
母が現役だった頃は毎日のように言い争いがあり
心はいつも荒んでいたように思う。
一日も早く仕事を辞めたいとどれほど願ったことだろう。
60歳を機に非常勤を申し出た時、母は酷く嘆いたけれど
仕方ないと諦めたらしくそれが結局母に負担をかけてしまったようだ。
心臓の持病が悪化し入退院を繰り返すようになったのもその頃のこと。
挙句に転倒し腰の骨を骨折してしまったのだった。
そうして母はとうとう再起不能になってしまう。
退院しても独り暮らしはとても無理で施設のお世話になるしかなかった。
その現実を母はどんな思いで受け止めたのであろうか。
薄情な娘だと私を恨んだかもしれない。口惜しくもあったことだろう。
今日は仕事中にとても思いがけないことがあった。
明日返却しなければいけない大切な許可証がどうしても見つからず
それは5年前に発行されていて新しい許可証と差し替えなければいけない。
始末書を書けば済むことなので諦めて帰宅しようとしていたら
ふっと母の机の上に目が行ったのだった。そこに電話帳が置いてあった。
もう古い電話帳なので捨てようと手に取ったらなんとその下に
「重要」と母の字で書かれたその許可証があったのだった。
なんだか偶然だとはとても思えない。母が知らせてくれたのに違いない。
そうでなければどうして私は母の机の上を見てしまったのだろう。
毎日事務所に居ながら母の机の上など見たこともなかったのだ。
電話も繋がらず母に訊ねることも出来なかった。
母は5年前に置いた場所を確かに憶えていたのだと思う。
「重要」母の字の懐かしいこと。赤いマジックで記してあった。
5年前の母はどれほど精一杯だったことか。
私をあてにせずに頑張ろうときっと意気込んでいたのに違いない。
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