曇り日。夕方には西の空だけ晴れて夕陽が見られた。
明日は朝からきっと青空になるだろう。
また新しい一週間が始まる。すくっと前を向きながらも
毎日がスローライフならどんなに良いだろうかと思った。
出勤までの時間はとても慌ただしく気忙しくてならない。
職場は朝から来客が多く活気に満ちていた。
そうなると私も仕事の虫が動き出し自然と笑顔になるのだった。
昨年秋に新車を購入してくれたお客さんのバックドアに大きなへこみ。
お客さんは高齢者で誤って何処かにぶつけてしまったらしい。
修理をすればお金がかかるだろうとすでに諦めている様子だった。
それを社長である義父がわずか30分程で修復したのには驚く。
へこみは殆ど目立たなくなり完璧な職人技であった。
「お金はいいよ」と義父。私もそう言うだろうと思っていた。
義父は日頃からサービス仕事が多く手間を惜しまない人であった。
その後、懇意にしている建設会社の社長さんが珍しい機械を持って来る。
工事現場で使う機械らしくエンジンがかからなくなったらしい。
格闘すること二時間程だったろうか、大きなエンジン音が工場に響く。
それはさすがに少しくらい請求しても良いのではと思ったのだけれど
「また飲みに行こうや」と義父は笑いながら告げるのだった。
商売には「損して得取れ」という諺がある。
労力を惜しまず多少の損をしてもそれは必ず倍になって返って来るらしい。
常連のお客さんなら尚更のことで奉仕は当然の事なのだろう。
母が現役だった頃はそれが理解できず義父との確執も大きかったようだ。
私は大いに理解できる。いくらでも損をしようとさえ思える。
何よりもお客さんの笑顔が「得」に思えてならないのだった。
商売は面白い。つくづくそう思った一日だった。
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