ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2021年11月04日(木) 春夏秋冬

最高気温が22℃ほど。まさに適温と言うべきだろう

一年中こんな気温ならどんなに過ごしやすいことか。

けれども冬の寒さあってこそ春の喜びがあるのだと思う。

春夏秋冬。日本の四季はなくてはならないものなのだ。



川漁師の家に嫁いで42年目の秋が終わろうとしている。

初冬から真冬にかけては天然の青海苔漁。

今ではもう幻となってしまった青海苔がそれは沢山獲れた。

猫の手も借りたいほどの忙しさで私も手伝ったけれど

すでに長男を身籠っておりおまけに慣れない仕事とあって

嫁という立場がこれほど恨めしく思ったことはなかった。

けれども逃げ出すわけにはいかない。郷に入れば郷に従え。

姑の手解きを受けながら次第に慣れて来たように思う。



春の兆しが見え始めれば今度は青さ海苔漁。

舅と姑が収穫して来た青さ海苔を天日干しにしなければならない。

当時は竹で編んだ「えびら」という四角い枠に干していた。

まだ乾燥機は無く雨が降り続いたりしたら忽ち腐ってしまう。

仕方なく捨ててしまったこともあったように記憶している。


無事に天日干しが完了した海苔の異物を取り除く作業もあった。

異物の多いものほど私に任されてなんと根気の要る作業だったか。

臨月も近くなれば立ち仕事も辛くお腹が張り痛む時もあった。


6月無事に長男を出産。とにかくひと月は安静にと言ってもらえる。

姑いわく。出産後の嫁を働かすのは家の恥になるのだそう。


幸い夏場は漁閑期で舅は柴漬け漁で川海老や鰻を獲っていた。

川海老と胡瓜の煮たのなど生まれて初めて食べる美味であった。

鰻は市場に出していたらしくとても貴重な財源だったらしい。


秋になればツガニ漁。これは私の出番がなく

ひたすら育児に専念出来たのだった。

ツガニはモクズ蟹とも呼ばれ上海蟹の味とよく似ているのだそう。

上海蟹などもちろん食べたことなどなかったけれど

ツガニを初めて食べた時の感動は未だに忘れられない。

特に美味しかったのは姑の作る「ふわふわ汁」であった。

石臼でツガニを細かく砕いて醤油味の汁に仕立てるのだけれど

蟹の身が寄せ集まってまさにふわふわの食感であった。


青海苔のふりかけ。青さ海苔のかき揚げ。川海老にツガニ。

春夏秋冬の川の恵みにどれほど舌鼓を打ったことだろう。

辛い事もたくさんあったけれど今思えば些細なこと。

それよりも縁あって嫁げたことが何よりの幸せだったと思う。


四万十川の上流で生まれた私は下流まで流れついて来た。

きっとそれは生まれながらの運命だったのだろうと今は思う。


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