ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2021年11月02日(火) たかが芋されど芋

おおむね晴れ。夏日に近い気温になりぽかぽかと暖かい一日だった。

金木犀の花が満開になりそよ吹く風の中にその香りが漂う。

職場の庭の片隅にその木があったことをすっかり忘れていて

今日になり思い出す。ずっと昔に母が植えていたのだろう。

まるで「ここにいますよ」とおしえてくれたようだった。



大根の間引き菜。里芋。さつま芋。季節ならではの旬の物を

ご近所さんが届けてくれてありがたく頂いているこの頃。


さつま芋には少し苦い思い出があった。

さっさと忘れてしまえば良いのにいつまでも忘れられない。


確か40年ほど前の初冬の頃ではなかっただろうか。

私達家族が住んでいた離れにも新しい台所が出来て

もう母屋での食事の支度からは解放されていたのだった。

それでも貰い風呂をするからにはお風呂焚きをしなければならず

いつものように4時頃母屋に行った時だったと思う。

姑さんの自転車の籠にそれは沢山のさつま芋を見つけたのだった。

その時「今夜はお芋の天ぷらをしよう」と思ったのだ。

姑さんは留守だったので黙ってその一個を頂いてしまった。


その夜のこと貰い風呂に行ったら姑さんの機嫌が頗る悪く

私に向かって「芋を取ったのはおまえか!」と言うのだった。

正直に頷くと「欲しかったらどうして言わない!」と大きな声で怒鳴る。

まるで私のことを芋泥棒のように言うのであった。

私は一個ぐらいと一瞬思ったのだけれど返す言葉も見つからない。

気がつけば泣きながら謝っていた。それでなんとか赦してもらう。


そのさつま芋は種芋にするのに地区の農家から分けてもらったのだそう。

その時しっかりと数をよんでいたらしい。

だから一個足りない事にすぐに気づいたようだった。


その一個をなんとかして返したいとしばらく悩んでいたけれど

地区に多くある農家を訪ねることも不可能で諦めるしかなかった。


姑さんにとっては「たかが芋」ではなかったのだろう。

もしかしたら一個何円かで分けてもっらていたのかもしれない。

そんな大切な芋を嫁に盗まれるとは思ってもいなかっただろう。



勝ち気で気性の荒い人だった。それ以外には思いつかない。

けれどもなんとなく懐かしい。今はもう亡き人のことだった。







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