お昼頃から激しい雷雨となる。三時間程降っただろうか
今は晴れていてもうすぐ夕陽が見られそうだ。
まだ空は青く昼間の雷雨が嘘ように明るい。
高校生だった頃のこと地理の授業で雷の恐怖を習ったことがある。
女性の教師だったけれどその名前がどうしても思い出せない。
けれどもその授業のことは今でもはっきりと憶えているのだった。
家族旅行に出掛けた時に激しい雷雨に見舞われたのだそう。
山間部を車で走っていてあたり中に落雷があったのだそうだ。
その時の恐怖を語る教師の顔はとても真剣な顔をしていた。
そうしてその時一番安全なのは車の中だと教わった。
決して車から外に出てはいけないこと。雷が収まるまで待つこと。
車には絶対に雷は落ちませんと断言したことをよく憶えている。
それまで地理の授業はあまり好きではなかったけれど
それ以来とても好きになった。それなのに教師の名前を思い出せない。
当時は40歳位だったから今は90歳近くになられているだろう。
何処かで元気に長生きをされていることを願ってやまない。
雷が鳴るたびに思い出しているかつての少女がここにいた。
歳を重ねると不思議なことに昔のことはよく憶えている。
特に少女時代の事は一生忘れることはないだろう。
「過去」というのとは少し違ういつまでも新鮮な思い出なのだ。
嬉しかった事より辛かった事をよく憶えているのも不思議なこと。
すべてひっくるめて私の「人生」だったのだろうと思う。
ただ辛かった事を思い出してももう泣くことはなかった。
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