西の空がほんのりと茜色。ずいぶんと日が長くなったこと。
朝からずっと雨だったのが午後4時頃やっと降りやむ。
明日は若葉が目に沁みることだろう。山もきっと笑うことだろう。
私も陽射しを浴びてすくっと前を向いていられるとおもう。
今週の仕事を順調に終えてやっと母の病院へ行くことが出来た。
母はおどけた顔をして「まあどちら様でしょう?」と言う。
忙しくて来られなかったことを詫びるとすぐに頷いてくれた。
面会時間が15分と限られているためゆっくりとはいかないところ
母がぷぷっとおならをして「うんこが出そう」と言い出す。
ベット脇のポータブルトイレに座らそうとしたけれど
随分と足腰が弱っており私の介助ではうまくいかない。
仕方なくナースコールをして看護師さんのお世話になった。
それが思うように出てくれなくてしばらく唸り続ける。
母の腰をさすりながら「もう少しよがんばれ」と声をかけていた。
良かった。やっと出た。よしよし運がついてきたねと笑い合う。
なんとか私の介助でベットに戻れたもののオムツが出来なくて
また看護師さんのお世話になった。忙しいのになんとも申し訳ない。
それから2分もしないうちに「また出そうになった」と言う。
これだけは止めるわけにもいかずまた同じことを繰り返すばかり。
2回目はどっさりと出る。「くさいくさい」と笑う母。
それから「そうれそれそれお祭りだ」と歌い始めたのだった。
それには看護師さんも笑い転げて私も思わず吹き出してしまう。
そんなこんなで制限時間はとっくに過ぎてしまっていた。
帰り際に退院が近いこと「迎えに来るね」「帰ろうね」と告げる。
何処に帰るのかと母は訊かなかった。それがとても救われたのだった。
今日はとても「運の良い日ね」そうそう「運がつきまくりよ」
母とのやりとりがとても楽しくてならなかったけれど
病室を出てエレベーターに乗ったらなんだか涙が出そうになった。
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