晴れてはいたけれど時おりにわか雨がざあっと降る。
それはつかの間でも激しく強く途惑うほどに
まるで夏を押しやるかのような雨だった。
稲刈りが思うように捗らなくて機嫌の悪い義父。
苛立っているのがわかりおそるおそる声をかければ
怒鳴り声が返って来たりしてなんとも辛い一日だった。
昔からそういう時がよくあったことを思い出す。
「また始まったよ」と母はあっけらかんとしていたっけ。
私にはそれが出来ない。精神的にひどく落ち込んでしまって
逃げるように帰路につきながら涙があふれてくるばかり。
今はやっと冷静になって義父の心境を思い遣ることが出来る。
当たり散らす相手がもう私しかいなくなってしまったのだ。
言い換えればそれだけ身近な存在になれたのだと思う。
血は繋がっていなくても娘として認めてくれたのだろうと。
だから深く受けとめて傷つくことはないのだ。
そう思うとなんだか義父が憐れでならなくなった。
「家族がいない」それがどれほど孤独で寂しいことだろうと。
ながい歳月を乗り越えてやっと親子になれた日なのかもしれない。
私にはふたりも父がいる。なんと恵まれた人生なのだろう。
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