いちだんと冷え込んだ朝。今季の寒さを更新する。
車のフロントガラスが真っ白に凍っていた。
珍しく早起きをしためいちゃんを保育園に送って行く。
車から降りるなり駆け出して行く後姿は
まるで雪うさぎのよう。寒さを楽しんでいるのがわかる。
子供って逞しいなあとパワーをもらった朝のこと。
今日は63歳の誕生日だった。
この日が来るたびに13歳の誕生日の朝を思い出す。
もう50年。半世紀が経ったというのに忘れられない。
フラッシュバックしては辛い気持ちがよみがえって来る。
母の家出がどうして私の誕生日でなければいけなかったのか。
その理由をどうして今更訊くことが出来ようか。
もう過ぎたこと。母を責める気持ちは少しもないはずなのに
記憶の中の少女が憐れでならずぎゅっと抱きしめたくなる。
夕方、あやちゃんとめいちゃんが喧嘩を始めて
めいちゃんが大泣きになっていたので止めに入る。
その時ついめいちゃんをかばってあやちゃんを叱ってしまった。
娘に任せておけば良いものをどうしてしゃしゃり出たのか。
それからあやちゃんが泣きだしてしまって
「おばあちゃんなんかだいきらい」と言い出す。
晩ご飯も一緒に食べたくないと言うので私も悲しくなった。
そのままそっとしておけば良いものを
「今何て言ったの?もう一回言ってみなさいよ」と声を荒げる。
心の中では「誕生日なのに」と叫んでいる少女の私がいたのだと思う。
そうはっきりと感じた。とても情けないことだけれど。
娘が助け舟を出してくれて一件落着となる。
みんなで鍋を囲みながらあやちゃんも笑顔になってくれて良かった。
笑顔が何よりの贈り物。記憶の中の少女にも笑顔をあげよう。
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