雨のちくもりそして晴れる。
久しぶりの青空が嬉しくてならない。
夜明け前のこと、裏のお宅からピアノの音が聴こえて来た。
それはおそらく人差し指だけで弾いていたのだろう。
同じ音ばかりゆっくりと単調に暗闇に響いていた。
数年前にご主人を亡くされてから長男さん一家と同居していた。
お孫さんが4人もいてそれはそれは賑やかな家族だった。
それが2ヶ月ほど前に長男さんが新居を建てて引っ越してしまう。
どんなにか寂しい事だろうと案じていたのだけれど
その頃から毎日のようにピアノの音が聴こえるようになった。
夜明け前に聴くのは初めての事でその寂しさがひしひしと伝わって来る。
私は幸いなことに家族に恵まれていて
じいちゃんが居なくてもいつもと変わらない笑顔でいられる。
娘一家が一緒に居てくれてほんとうにありがたくてならない。
独りぼっちだったらどんなにか寂しかったことだろう。
じいちゃん順調に快復していて、今日も私を待っていてくれた。
午前中に仕事を片づけて急いで駆けつけたかいがある。
病院の昼食には間に合わなかったけれど
じいちゃん大の苦手なブロッコリーとオクラが出たそう。
早く家に帰って好きな物ばかり食べたいとまるで子供のよう。
今日からやっと大相撲中継を見たくなったと言ってくれて
テレビカードをセットする。それが何よりの快復だった。
前へ前へと一歩ずつ進んでいるような日々。
明日も笑顔のじいちゃんにきっと会えることだろう。
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