眼花、井に落ちて水底に眠る
坂瀬

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 小説・王様と二人の料理人の話:鳩村衣杏

ボーイズ小説・王様と二人の料理人の話(ホリーノベル)鳩村衣杏

ヤクザまがいの事をして生きてきたが戦後探偵になった主人公は、戦友だった刑事から仕事を紹介され男爵家に赴く。当主の男爵から消えた手書きの童話原稿を取り戻して欲しいと依頼され探すことになったが…。
作家買い。可もなく不可も無くと悪くないの間。萌えは無かったが面白かった。
主人公は探偵。幼い頃に親と死に別れ、ヤクザの下っ端のようなことをしていたが、戦争に行き刑事になった戦友と出会い足を洗う。戦後は探偵になり刑事の使い走りをする。目端が利く。手に弾痕がある。ゲイ。30代頭?
神経質な新聞記者の元彼がいる。刑事とは恋愛感情はない生死を超えた戦友の繋がりがある。
男爵は堂上華族の元医者。優秀で優しく下の者に慕われる。使用人達にも慕われ同僚に惜しまれていた。献身的に仕えてくれる執事がいる。すっと突き抜ける刀のような通る声。逞しい体軀とやや癖のある黒髪。異国の地が混じっているのではないかと思うほど彫りが深い。精悍でありながら粗野な空気。33歳。
この作家さんの中では異色作だと思う。
後書きを読むと「ホモセクシャルとホモソーシャル」の話を書こうと思って出来たらしい。「ホモソーシャル」の意味が分からず検索してしまった。
表題は童話のタイトルでテーマの象徴的な話。実際に王様や料理人が出て来るわけではない。
ハッピーエンドではないがアンハッピーでもないというか。BLカテに入ると思うが、ニアBLでも良いと思う。
普通の受と攻の恋愛物を期待すると肩透かしを喰らうかも。
一言では言いにくいけれど、ホリーらしい作品だと思った。
以下思い切りネタバレなので注意。



探偵の主人公が男爵から依頼された童話の原稿を探しつつ男爵に惹かれていく話。途中まで探偵・記者・刑事の三角関係(恋愛関係と友愛関係)かと思っていたら最終的に探偵・男爵・執事(恋愛関係と友愛関係と主従関係)の三角関係になっていた。複雑な三角関係に何度も落ち込む探偵は何か業が深い。
探偵の男爵に対する感情は恋愛感情だけではない。文字通りホモセクシャルとホモソーシャルの両方を持っているゆえ、ホモセクシャルとしては成就しなかったが、ホモソーシャルとしては成就したように見えるので、ハッピーエンドではないがアンハッピーでもないと思った所以。
事件が解決した後、探偵と男爵の交流をもう少し長く書いてくれた方がもっと萌えたのに。最後までキャラに一定の距離を保ち続けたのも萌えにくかった理由かも。
何れにせよ珍しくて面白いものを読ませて貰いました。
Hは無し。男爵が一人で達するのだけが唯一のそれっぽい部分。なので探偵が受か攻か最後まで分からなかった。でも男爵と一線越えられるかどうかと考えていた下りを読むと攻っぽいかも。
次も地雷で無い限り買う予定。
戦後の日本が舞台。第二次世界大戦。探偵、男爵。刑事、記者。シリアス。H無し。


2013年12月09日(月)
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