眼花、井に落ちて水底に眠る
坂瀬

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 小説・頬にしたたる恋の雨:久我有加

ボーイズ小説・頬にしたたる恋の雨(ディアプラス文庫)久我有加

昭和初期。落語全盛の頃の大阪で落語家受は客から笑いが取れず行き詰まっていた。寄席の主攻から首を言い渡されつつ漫才への転向を勧められ…。
雑誌掲載とその後の書き下ろし。好きな作家さんの新刊なので買った。可もなく不可も無くと悪くないの間。
受は落語家。後に漫才師。老舗呉服屋の三男坊。祖父に連れられ寄席に通い落語家を目指した。上等の背広を品良く着こなすエエシのボン。地味だが整った容姿。控えめ。謙虚。柔らかなしゃべり方。上品で怜悧な印象。色っぽい。
攻は寄席の主。席亭。興行主。奥さんと死に別れた男やもめ。洋装。仕事に厳しい。直線的な眉と切れ長の二重の双眸。隆く通った鼻筋。凛々しく精悍な目鼻立ち。役者と見まごう容貌。女性にもてる。
戦前物。昭和初期の大阪が舞台で、笑いの娯楽は落語全盛で万歳は下に見られていた。落語家の受は攻から万歳への転向を勧められ悩んだが最終的に万歳黎明期に貢献したという話。
漫才シリーズの1つ。キャラの喋る言葉が戦前の大阪弁なので、現在テレビでよく見かける大阪弁ともちょっと違う。はんなりとしてどこか品がある気がする。大阪弁というより大阪言葉。とここまで書いていて思ったのだが、私は脳内で昔聴いたイントネーションで脳内再生しているのでそう思えるのだが、別の土地の馴染みのない人が字面で読んで分かるものなのかとちと気になった。
漫才黎明期で漫才の芸が下に見られていた時の話で、受が芸に対して悩んでいる姿も面白かった。今もしゃべくりが減って一発芸のネタばかりが増え最近面白くないなーとお笑いを見なくなったけれど、これも時代の流れで私が取り残されているのかと思うと、受や兄弟子が落語に固執していた心情も共感出来た。
個人的に受に危害を加えた兄弟子も救済されていて良かった。芸に対する真摯な思い入れがいくつもあるのが幅が出来て読んでいて面白い。
雑誌掲載分で攻が受を助けにこれた理由は、時代がかった設定なので流しているけれど、現代設定で書かれていたら、正直はっ?と思ったと思う。
戦前設定は世界大戦を生き延びることが出来たのか、いつもはらはらしてしまう。このカプは無事に生き延びられたようで本当に良かった。
Hはそれなり。受の恥ずかしがる様子は可愛かったが、受の睦言も方言なので、慣れない人はいるかも。
次も地雷で無い限り買う予定。
時代物。昭和初期設定。興行主34歳ぐらい×漫才師24歳ぐらい。年上攻。関西弁。漫才シリーズ。シリアス。


2012年11月05日(月)
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