眼花、井に落ちて水底に眠る
坂瀬

日記&BLの個人的感想。ネタばれ基本。まずは下のリンクのHOMEへ。


 ボーイズ小説・炎の中の君を祈る:樹生かなめ

OTAKUというパンフを買ってみた。
今イタリアでやっている建築展の日本ブースのパンフの日本語バージョンらしいのだが。前から漫画やら同人の海外での評価を見るのは好きなので試しに買ってみた。おたくの生態を紹介しているっぽい。秋葉原の縮図やらアニメグッズを満載したスペースの写真に頭がくらくらした。ヨーロッパの中でも日本の漫画が多く出版されているお国柄とはいえ、これをイタリアの一般人に見せたのかと思うと、かゆい。
コミケの事も説明されていてカタログのサークルカットも転載されていたのだが、普通にサークルの住所が載ったままだったので、いいんだろうかとちと疑問。
ヤオイの事を英語とイタリア語で説明されているのを見ると微妙な気持ちになる。

ついでに学園ヘブン2のトレカの全プレが来た。送って2週間ぐらい。流石に前の勢いはないが、ファンディスクが発売されたらまた第三弾のトレカが出るのだろうか。



ボーイズ小説・炎の中の君を祈る(クリスタル文庫)樹生かなめ

天才科学者である主人公は、人類のためにより人に近い介護用の女性アンドロイドの開発に成功するが…
大抵買っている作家さんの新刊なので買ってみた。何ともいえん。
誰ともくっついていないので以下のような表記。一応ボーイズ小説とつけているが、ボーイズの要素は無い。
主人公は優秀で世界的に有名な両親の一人息子。研究馬鹿でアンドロイドの研究に生涯を捧げている。整った顔立ちに高潔な理想を持つ。真面目で熱心。アンドロイドに父親のような愛情を抱いている。35歳。
この作家さんの作品は、所詮人間なんてーという突き放した視点に、そんなことないよー。案外人間も良いよーという優しさを抱き合わせ、笑いでコーティングしたものをへぼい文章で表している、何ともいえん風味な作風だと勝手に思っているが、その笑いの部分を洗い落として、所詮人間なんてーをいつもより大きくしたようなのが今回の作品に見える。
普段の作風なら笑いとばしていた普通にひく人間のイタイ部分が、笑えないイタイ部分になっている。この設定と展開で、「笑い」が入るのは難しいとは思うけど。
それにしても今回一応エセ近未来設定でシリアスなのだが、いつもの文章なので、有る意味すごいと思ってしまった。
ついでにこの作家さんのカプの受は、人生の負け組と思われる部類の人間が多く、弱い立場ながら慎ましく真面目に生きているところを、攻にすくい上げられている(更に悪い立場に落とされているようにも見えるが)ので、読んでいる側が救われている部分もあるのだが、今回主人公は警備員やら財団の経営一族の男に愛されているっぽいがくっついていないので、普通に可哀想な道を歩み読んでいて色々つらい。
同人の予告で「この話は本当に書きたくて書いた」みたいな文を読んだ時、正直、あーあ…と思ってしまった。
作家さんが前向きに作品に対して思い入れがあるのは嬉しいが、思い入れが強すぎると客観性が薄れてこけることが多いと、経験上実感しているので、それが心配だった。
言いたいことは分からないでもないが、ボーイズ小説として出すならその様式は踏襲してほしい。500歩譲ってボーイズでなくても良いのだが、それなら商業作品として読み手のカタルシスを解消して欲しい。
主人公は一度絶望して再び希望めいたものを持つところで終わっているのだが、この終わり方では私のカタルシスは解消されない。テーマがテーマだけあって1冊で充実させるのは難しいとは思うけど。これの続編は出るのだろうか。
設定の敷居が高すぎるし、あまり続編が出るようには見えない。ここで終わるなら同人誌で出して欲しかった。
書きたかった事も分かるし、投げるような出来では無いし、最近めっきり減ったエセ近未来のアンドロイド物なので、出来れば応援したいが、これで終わるなら中途半端な感じはいなめない。
と言うわけで感想は、何ともいえん。あるいは計測不能。
アンドロイド物が好きなら読めると思う。ラブ抜きで。
エセSF。アンドロイド。研究者。シリアス。

2004年10月13日(水)
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