眼花、井に落ちて水底に眠る
坂瀬

日記&BLの個人的感想。ネタばれ基本。まずは下のリンクのHOMEへ。


 ボーイズ小説・至福の庭〜ラヴ・アゲイン〜:六青みつみ

ボーイズ小説・至福の庭〜ラヴ・アゲイン〜(リンクスノベル)六青みつみ

深いトラウマを持つ受は、兄の患者である会社員・攻と出会う。会った途端気になる相手としてひかれ攻も優しく接してくれるが、対人恐怖症のためか怖い気持ちも抱いて…
雑誌掲載の表題とその続編書き下ろし。雑誌掲載の時に気になっていたので買ってみた。正直、単行本になるとは思っていなかった。感想は、悪くないと楽しかったと微妙ーの複合技。こんなに読後感がややこしかった本も珍しい。
受は兄と二人暮らし。地味だが整った顔立ち。楚々として清廉な雰囲気。大学時代複数の男に強○され男性恐怖症となり、家から出られない生活を続けている。中高親友だった恋人がいた。兄の手伝いをしながら植物を育てるのが好き。続編ではアロマセラピストの勉強をしている。
攻は大手印刷会社の営業。実家は資産家でマンションを所有している。小さい頃から周りに期待され、優等生・リーダーシップをとってきた。ハンサムで女性が振り返る雰囲気と容姿。仕事が出来る。
以下ネタばれにつき注意。

青田買いの時に書いた感想が殆ど崩れた感じ。
まず悪くないと思った部分は、受が過去強○されたというエピソードが重く作品全体にのしかかっているのだが、敢えてトラウマを克服する辛気くさい過程を(現実と比べればぬるいリハビリなんだろうけど)書いていたのが、新人さんにしてはチャレンジャーだなーと思った事と、それなりになんとか丸く収まっていたので頑張ったなーと思えたところ。
表題の受の過去が出るところまでは、かなり萌えを期待して読んでいた。過去が出てきて、攻、なんじゃい! と腹を立ててしまったが。
受の過去はともかく、基本は好きな形だった。
微妙だと思ったのは、やはり受と攻の過去の部分。攻と中高同じ学校で片思いをし続け、卒業と同時に告白。受け入れて貰え、幸せになりかけたところで攻に冷たくされ、攻を逆恨みしていたグループの男達に強○。息絶え絶えで攻の元に戻るも(攻は受が強○された事を知らなかったが)冷たくされ絶望して事故に遭い、記憶を無くすというエピソードは悲惨すぎる。どんなに攻が後悔しても、なかなか許せる気持ちにはなれない。
これでもかと受の可哀想なシーンが出てきたのはなかなかえぐかった。
ついでに最期の最期までカプがすれ違っていて、読んでいても疲れるというか。
楽しかった部分は、攻があまりにヘタレだったので、最初は腹を立てていたのに途中から笑ってしまったから。若い大型犬を思い出した。
体つきは立派で元気な大型犬(1歳未満)がぶいぶい言うつもりでおイタして、こっぴどくしっぺ返しがあり部屋の隅っこでぶるぶる震えている感じ。じっとこっちを見て何度も反省している。ゴメン。と目で訴えているので、仕方ないなーと許したら、最初はびくびくしているのに、頭が悪いのですぐに同じおイタをして再び叱られ、部屋の隅に戻って反省するみたいな。
或いは自分の所有物がとられそうだと強迫観念にとらわれて、てんぱってところ構わずスプレー行為をして叱られるところとか。
攻の行動がこれとそっくりで、あまりのヘタレっぷりに最期は大笑いしながら読んでしまった。どこかで突き抜けたんだな。きっと。
攻は大型犬攻ではないのだが、叱られてへこむところや、それでも学習せず同じ事をやってしまうあたりが犬。和んだ。
見方によって感想が変わったので、数ページ読んでは今はどんな気持ちなのか確認しながら読み進めてしまった。
結局まだ2作品しか読んでいないが、クセがありそうな作風だと思った。生き延びれば特定の濃いファンがつきそうな気がする。そして濃いファンがいるということは苦手だと言う層も出来そう。オーソドックスな料理だけど、味付けで一つ個性的な隠し味があり、それで好き嫌いが分かれるみたいな感じ?
次作品も読んでみたいが、忍者物らしいので食指が動かないのよね。
トラウマ。暗い過去。同級生カプ。26歳で再会。シリアス。アロマテラピー。

2004年09月02日(木)
最新 目次 MAIL HOME