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フリフリおれ的わたし的ベスト2007はこちらより


2008年06月21日(土) ふろくCDR

自分用にupしています。ちかちゃんに書くためにCDRからつくってみました。文章はここには書かなくていいかな…


1. Blue Monk / Art Blakey
2. Sweet George Brown / Jo Jones
3. Dance As Usual / 中谷達也
4. 8.6 / electronics by Helge Stan , drums by Jarle Vespestad
5. Philadelphia Bound / Jo Jones
6. Drum Sketch 4 / Susie Ibarra
7. Drum Sketch 2 / Susie Ibarra
8. Volume Down,You'll Get Hurt/ 中谷達也
9. 8.8 / electronics by Helge Stan , drums by Jarle Vespestad
10. Little Susie / Jo Jones
11. Drum Sketch 5 / Susie Ibarra
12. 8.2 / Jarle Vespestad
13. Reincarrnation / 中谷達也
14. Drum Sketch 8 / Susie Ibarra
15. 8.7 / Jarle Vespestad
16. Industrial Accidents / 中谷達也


Album Titles ------

Art Blakey : Thelonious Monk Trio
Jo Jones : Jo Jones Trio
中谷達也 : Green Report 12
Helge Stan , Jarle Vespestad (supersilent) : 8
Susie Ibarra : Drum Sketches


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メモ:

ドラムの話をしようと思うんだけど、自分はジャズドラムから始めたのでそこから。50年代のアート・ブレイキーの下手さに注目(嘘)。ドラムソロもちびっと入ってるし、ずっとハットが2・4で入っているのでそこから次のジョー・ジョーンズの工夫に耳を傾けてほしい。スーパーサイレントはインテンポ/アウトテンポとか刻むことを意識するために。拍数さえもテキトウな超自律的なドラムと、何も気にすること無くそこに絡まってゆくエレクトロニクスの打音。即興の関係。息を合わせること。スージー・イバラは割と基本的なフリージャズ奏法の形を提示。中谷達也さんはまあ自分の好みで、エクストリームな音を紹介したかった。楽器以外のモノが(楽器をモノとして扱える)ドラマーによって演奏されること。もしくはそこから音楽を聞き取ってしまう聴き手のフェティシズム?まあ、私は音楽という枠から外に出る気は無いんだけど、その枠はだいぶ広くとりたいと思っている。そういうことを伝えていきたい。


2008年05月23日(金) Drum Sketches / Susie Ibarra (あといろいろ)

スージー・イバラの最新アルバム。データと感想をメモしておきます。

去年の5月Brecht Forumでのライブとプライベート録音を組み合わせたものになっています。画家のフジムラマコト氏とコラボレイトしていて、ライブペインティングもあった模様。このブログにある写真を見ると締め太鼓みたいな民族楽器の太鼓を使っているように見えるんだけど、どの曲なのかなあ。

以前もライブ録音とプライベート録音の曲を交互に置いたHome Cookin'というアルバムがあって(公式サイトにもデータが無かったので手前味噌ながら自分の書いたものにリンク。2番目を参照)そちらは全てデュオなのですが、このアルバムはだいたいソロで、共演者がいてもそのクレジットは無しになっています。Innovaレーベルというのは初めて知りました。


以下、曲ごとの感想を簡単に。曲タイトルは全てDrum Sketch-(番号)。*印の曲はElectric Kulintangで共演している(というかご主人なんですが)ロベルト・ロドリゲスによる野外録音。


1* 虫の声をバックにクリンタンのソロ。最初は電子音のSEかと思ったんだけど、野外録音して生の虫の声が入ってるんでしょう。たぶんオリジナル。ライナーに映画で使用されるとある。というか演奏風景とかいろいろ撮ってるみたいです。見たいなあ。曲はタイトルジングルっぽい感じ。

2 心拍音+カエルの鳴き声のようなSEが流れる中、ゴング(手持ちの小さいもの)から始まる。1分くらいからシンバルと何か金物を打ち合わせ、こするような演奏。これがシンバル同士を合わせてるような強い音なんだけど、それは一枚スタンドから外したものをつけることになってて、彼女がそういう演奏をしているのは聴いたこと無かったんで、どうやってるのかなあと思った。ブラシで皮を擦っている音もするので、お尻の針金が出てる所(画像参照)を使っているのかもしれない。あるいはハイハットに何か噛ませてるとかかな?終始テンポは出さず、音響的な演奏。2分弱でとても短い。

3* フィリピンでの野外録音。7分と長い。人の声とかバイクの音とかうるさいのであとでかぶせたのかと思ってしまう。人通りの多い通りで演奏しているような音。クリンタン+ドラムの演奏で太鼓はいないみたい。ドラムはスージーっぽいんだけど(ロベルト・ロドリゲスではないと思う)、地元のクリンタン奏者と共演してるのかな?

4 2の続き? 心拍音のようなSEをバックにブラシプレイ。擦るスピードや角度等いろいろ組み合わせて、ときどきシンバルの音も聴こえる(これはお尻の針金だなあと思う)がやはりテンポは出ない。

5 SE無し。シンバル連打。速いテンポでマレットで刻みながら、反対側の手でシンバルをつかんでミュート/ゆるめてエフェクティブな音を出してる。これも彼女がやってるのは珍しいと思いました。ジム・ブラックとかジョーイ・バロンとかだとよくやってるんだけど。奏法として新しい所は無いながら、アジアの民族音楽(例えば中国の京劇音楽の鉦を鳴らすのとか)のグルーヴを感じるのが新鮮。そういう感覚を試しているのかなと思う。これも2分弱と短い。

6 SE無し。クリンタンソロ。オルゴールっぽい。クリンタンの伝統のリズミックなフレーズからテンポを揺らしながらナイーブな感じで歌ったり(この辺はクラシックっぽいです)、1・10と比べてオリジナルの部分が多い演奏。

7 SE無し。シンバル連打から太鼓プレイに移る。これもマレットっぽい。リズムを刻むと言うより、間を広く取って音を選んで静かに語るような演奏。タムは2つ+スネア&バスドラ。シンバルはハット+2枚?

8* 3の続きっぽい、野外録音。シンコペーションとか3連を合わせるとアフリカっぽい感じになるなと思う。8分3つ取りで頭にアクセントとかそういう感覚はアジアには無さそうな気がする。でもやっぱポリリズムって楽しいですね。

9* SE無し。ブラシの先の方でちょこちょこと叩くのとリムショットみたいなアクセントを組み合わせてる。3でクリンタンと一緒に合わせてたリズムですね。ブラシで擦って表現できるかとか、それを発展させる試み。バスドラがゆるゆるノーミュートでどーんと鳴る。

10 クリンタンソロ。1と同じ。これもロベルト・ロドリゲス録音だと思うんだけどクレジットは無し。


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スージー・イバラはこれまでTzadik等、いろんな楽器を使ってしっかり作曲された作品を何枚も発表しているので、それと比べるとあまり作り込まれてないものになっているなと思う。題名通り今の自分のアイデアをスケッチしたもの、またHome Cookin'みたいなプライベート・スナップ、ていうかファン(=私)向け?っていう気がしたり(笑)。いやいや、ドラムの東南アジア音楽的アプローチという点から見るとかなりおもしろいのではないかと思います。

Electric Kulintangは従来のファンクとかR&B、ラテンのドラムのリズムを合わせたものになっているようなので、こちらの方でもともとのクリンタンのリズムを見つめ直すということになっているような気がします。これまでラテン音楽やアフリカ音楽であったような、民族音楽をどうドラムセットにアレンジするかという試みがまたここでなされているような。クリンタンとか一緒に演奏する太鼓のフィールでドラムをやったらどうだろうというのが聴けてよかったです。

今回調べていておもしろかったのが、音楽民族学にバイミュージカリティっていう用語があって(民族博物館のページ参照)それを初めて知ったことです。バイリンガルという言葉があるので言われてみればという感じなんだけど、ずっと研究されているんだな。自分の関心は逆のベクトル(ジャワの人がクラシックとかジャズを学ぶとどうかみたいな)を向いているので、またそれを指す別の用語があるのかもしれないけど、考える上でとても参考になりました。というか、日本人とジャワの人のギャップとかおもしろい。あるんだろうなあ…民族音楽って地元の言葉や環境音と関わってるのでリズムとか音感とか微妙に違うんでしょうね。



また以前クリンタンについて調べていた時にはなかった新しい映像があったので貼っておきます。言葉はぜんぜんわからないんだけど、見てると楽しい。米国生まれで音楽をやっている方がルーツを訪ねるレポートみたいな感じで、part1ではその方々の米国での活動を紹介しています。このジャズバンドのゆる〜い感じがたまらなくいとおしい(笑)顔つきといい、この他人と思えない感じは何だろう…part2ではミンダナオに渡って現地のクリンタンを見るんだけどこれがすごいことになっている。伝説の長老演奏家がいるだけあって盛り上がる。村のおばぁがものすごいスピードでクリンタンたたいて踊ってる所は必見です。

同じ監督が関連する作品を撮っていて、この活動拠点のフィリピン人によるフィリピン人のための劇場というのを紹介する映像がまたおもしろかった。このBindstiff Studioというのが米国内ひとつしかなくて非営利でやってるそうです。またこれも民族博物館の資料ページですがこの写真の人たちがここで活動してる方々っぽいです。なんか見覚えがあってへーと思った。来日してるんですね。


2008年04月15日(火) Chasing the Trace / Drums Unlimited

スクラップ&ビルドの人生。(スクラップばっかりか?)過去のない男みたいに、選り抜かれたピュアな記憶ともういちど出会って、いけしゃあしゃあとこれおもしろいねーすてきだねーってまた書いて行こうかなと思ったりする。まあ忘れてるから一緒なんだけど。

     

前にマックス・ローチのDrums Unlimitedを久しぶりに聴いた。閉店まぎわにドラマーのためにかけてくれた一枚。どこかで聴いたなあと思いながら、ドコドコ・ドコドコと割り切れたタム回しでマックス・ローチだなとわかった。このアルバムはそんなに聞き込んでいないと思ったけど、確かにこのタム回しは知っていると思った。思い込みかしら…

ジャケを見て音を聴きながら、ハイハットの上下のサイズが違うね(画像右参照)とか、ドコドコとほぼ全てがシングルストロークっていうのは潔いけどジャズ的に言うといまいちかっこよくないんじゃないかとか、ドラム談義が続く。チューニングの話はおもしろかったですね。確かにベースとか他の楽器と合わせて初めて聞こえる倍音が変に響いて、やべえしくじったって時あるもんな。あと微細な狂いというか、半音より狭い段差が気持ち悪いとか、プロっぽいなと思った。でもこういう感覚的なものはみんなけっこうわかってるかもしれないな。言葉にならない感覚としてとか。

煽り・曲芸といった要素の他に、ドラムソロに知的イメージを与えた演奏。マックス・ローチはただのドラムに、悲鳴や警告以上の思想的なメッセージを伝える力をもたらした人だ。フィリー・ジョー・ジョーンズみたいに内輪芸にほくそ笑んで暗号を解きにかかったりするような、アート・ブレイキーみたいに励まされて涙が出て来るような、そんな音ではないんだけど、この人はドラムを使って何を語ろうとしてるんだろうと聞き入ってしまう。

でもやっぱりスカッとするドラムが好きでそういうのばっかり聴いてたんだけど、数年前にこの79年のライブ盤Two In Oneを見つけて、改めてマックス・ローチのことを考えた。改めてiTunesに読み込ませてみる。やはり数学的?で難解なスタイルを持つアンソニー・ブラクストンとのデュオライブ。前にも書いたことあるけど、さまざまなピッチと音色のシンバル銅鑼、グロッケンみたいな音も聞こえてきてびっくりしたんだよね。

今まで太鼓主体のソロを組み立てている人だと思っていたので、こういう金属楽器の演奏をどうしているのかというのがおもしろかった。マックス・ローチのシンバルなんて気にしたこと無かったし。具体的なセッティングとか知りたい所なんだけど、さすがにその写真はライナーにはのっていない。たまにはこういう感じでやっていたりしてたのか、相手を見てそろえてきたのか、とかいろいろ考える。余韻をうまくコントロールした空間/音響的な演奏。ドラムソロとなるといつものマックス・ローチなんだけどね。調べたら他にもアルバムが出てるので、聴いてみたらいいかもしんないな。これはいま思った。ブラクストンの影響かもしれないですよね。


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