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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2010年01月14日(木) 発達障害について(その9) ADHDとされた人の中に、相当数アスペルガーが混じっているのではないか、という話をもう少ししておきます。
社会性の障害に注目したのがアスペルガーであり、行動の傷害に焦点を当てたのがADHDです。だから、一人の人がアスペルガーとADHDの両方の診断基準を満たすことはあり得ます。その場合は併記せず、アスペルガー(社会性の障害)を優先させるという決まりがあります。なので、アスペルガーかつADHDという診断にはなりません。(アスペルガー+LD、ADHD+LDはあり得る)。
アスペルガーの本を図書館から借りたまま、忙しがっている間にろくに読まずに返さなくてはならなくなったので、箇条書きで抜き書きしていきます。
・言いたいことを一方的に話す
話したいことを夢中で話してしまい、相手の反応を見たり、相手にあわせることが苦手なので、周りが困っていても、お構いなしに話し続け、止めると機嫌が悪くなる。→周りから孤立しやすい。
・興味の幅が狭く一点に集中しやすい
シングル・フォーカスあるいはモノトラックと呼ばれ、周囲の反応に無関心になる。限定された趣味にのめり込む。→人にあわせることの大切さを教える必要。
・人の気持ちが読み取れない
顔の表情、口調、ボディーランゲージ(肩をすくめるなど)が読み取れない。言外の意味や場の雰囲気(空気)を読み取れない。素直ではあるのだが直接的な物言いが人を傷つける。→遠回しの言い方や表情で伝えずに、言葉でハッキリ伝えるようにする。
・慣用句や冗談、敬語が理解できない
冗談を真に受けてしまう。間違いを笑うと傷ついたり、逆にそれを喜んでいつまでもはしゃぐことも→一緒になって騒がず、間違いは直す。場の雰囲気が読み取れないため、不必要に丁寧な敬語を使ってしまう。
・触られることを嫌がる
知覚過敏。音に敏感(聴覚)、シャワーや服が苦手(触覚)。触られるとパニックになる。そのほか、偏食(味覚)。一つのものを食べ続けてもなかなか栄養障害にならない。
・同じ道順、同じ手順にこだわる
通る道、一日の予定などにこだわる。朝乗る電車の座席を決めていたりする。想像力や認知の障害があるため、予定が突然変更になるとパニックになってしまう。また、いつも通りの手順を(相手の気持ちを読まずに)押しつけると、人とトラブルになる。
・記憶力はよい。想像するのは苦手。
自由課題や課題作文が苦手。
・スポーツが苦手
体を動かすことが元々苦手。ルールは覚えられるが、それを状況に合わせて応用するのが苦手で混乱してしまう。周りの人の動きや複数の指示にあわせるのが苦手なので、集団スポーツを避ける(ボウリングなどは得意)。
・二つのことを同時にこなせない
複数の情報を同時に処理できないので、「話を聞きながら要点をメモに取る」、「話の重要性を判断しながら資料にマークをつけていく」ということができない。一対一の会話はできるが、複数人数での会話に参加できない。
(つづく)
2010年01月10日(日) 発達障害について(その8) 自閉症グループには、ウィングの三症状があります。
・社会性の障害
・言語とコミュニケーションの障害
・想像力の障害とそれに基づく行動の傷害
このうち言語とコミュニケーションの障害が軽微なのが「アスペルガー症候群」です。
幼児期は、母親と視線を合わせない、呼ばれても応えない、母親が去っても後追い行動をしない、興味のあるものに向かってしまい迷子になる、などカナー自閉症と同様です(愛着の障害)。
知覚過敏があるのは4割ほどですが、やはり痛いのでシャワーが浴びられない、触られることを嫌がるということもあるようです。明らかな言語の遅れはないところがカナー自閉症と違っています(遅れがある場合は高機能自閉症)。
社会性や想像力の障害は、幼稚園保育園や小学校に入ると目立ってきます。場の雰囲気や人の気持ちを読み取ることが不得手なので、ともかく集団行動が苦手になります。
授業では落ち着いて椅子に座っていられない、先生の話を聞いていない、他の子にちょっかいを出すなど勝手なことをする、興味のない授業では床に寝そべったり外へ飛び出していってしまう・・などという授業妨害をして嫌われる原因となります。
さらに、(ルールを守ることには真面目なのですが)遊びやスポーツのルールがなかなか憶えられないこと、他の子の動きや状況に合わせて判断することが難しく、また体を動かすことが生来苦手(運動音痴)なこともあって、集団による遊びやスポーツが苦手です。
このような授業中に落ち着いていられない、集団で人と同じことが出来ないという学童期の記述だけを見ると、「おや、これはADHD(注意欠損多動症)のことではないのか?」と思った人もいるかもしれません。脇道に逸れますが、それについて少し書きます。
日本の教育分野では、まずLD(学習障害)が注目されました。LDとは読む・書く・計算するという能力に問題を抱え学習が進まない障害です。
これとは別に、能力に問題がない(医学的な意味では学習障害ではない)のに、授業中に落ち着いていられないために学習に取り組めない多動児が増えてきていることが問題となりました。これによりADHDが注目されました。
ADHDへの対応が進んでいくと、これはリタリンという薬が効くことが分かってきました。薬に加えて適切な対応をすることにより不注意や多動の問題がおさまり、学習の遅れは児童期に取りもどせ、(二次障害や虐待などの背景がなければ)青年期を過ぎれば困った問題はあまりなくなってしまいます。これによりADHDに限って言えば、なにも児童精神科医が出てこなくても、町の小児科医で十分対応出来ることがわかってきたのです。
となると、薬があまり効かなかったり、大人になっても問題を抱えているADHDの人は何なのか。子供のころに虐待を受けた可能性がまず一つ。そして、ADHDではなくアスペルガーが誤診されたという可能性です。ADHDとアスペルガーでは対応の枠組みが違うので、誤診があると正しい対応が出来なくなってしまいます。
このように、専門家の注目がLD→ADHD→アスペルガーと広がってきているため、過去にLDもしくはADHDという診断を受けていても、実はアスペルガーという可能性を疑ってみなければなりません。
ADHDもアスペルガーも「場にそぐわない行動」を取る点は同じです(例えば興味のない授業だと外へ出て行ってしまう)。しかしADHDでは怒りや好奇心によって生まれた衝動を制御できず「何が正しい行動か分かっていても、それができない」のに対し、アスペルガーでは社会性や想像力の障害があるために「何が正しい行動か分からずそぐわない行動をとってしまう」という違いがあります。
また対人関係では、ADHDは人なつこく、人にからかわれることも基本的に好みますが、アスペルガーの場合には孤立を好み、からかわれることを嫌います。積極的に人に関わるにしても、あくまでも自分中心的な関わり方となります。
(つづく)
2010年01月08日(金) 発達障害について(その7) カナー自閉症の8割には知的障害があります。しかし、本当に知能が低いのかどうかは疑問が残ります。「状態としての知能」が低いのは言語とコミュニケーションの障害に阻まれて能力が発揮できないためで、「素質としての知能」はもっと高いのではないかと思わせるエピソードも紹介されています。
子供は想像力が豊かで、丸めた新聞紙をボールやバットや刀や拳銃など、様々なものに見立てて遊ぶことが出来ます。自閉症児は現実にとらわれるためこれが苦手です。ルールを守ることは得意なのですが、ルールを逸脱して自由な発想をすることができません。(視点を変えて相手の気持ちをくみ取るのが苦手なのもうなずける話です)。
そのかわり「こだわり行動」を示します。同じ動作を続ける自己刺激行動、好きな趣味に没頭する興味の限定、学校や買い物に行く道順やものの置き方などへ強いこだわりを見せます。例えば、本棚に本を並べる順序にこだわり、他の並べ方をすると怒ります。人の気持ちや場の雰囲気を読む力の弱さに加えて、自分の興味やこだわりを優先し人に強要してしまうため、対人関係のトラブル(子供同士であればイジメ)に発展しがちです。
心の理論のところでふれましたが、過去の記憶と現在の事実を区別する能力が低いことと、おまけに記憶力が良いため、頻繁に過去の記憶を再体験するフラッシュバックを起こします。何年も前にいじめられた体験を思い出し、それを現在と区別できないため、相手に仕返しをしてしまったり、あるいは小さい頃に社会適応させようと無理な訓練を強いられた記憶が蘇ってパニックに陥るケースもあるそうです。
知覚過敏性とフラッシュバックが結びつくと、些細な刺激で過去を思いだしパニックを起こすようになってしまいます。カナー自閉症にしても、アスペルガー症候群にしても、イジメからの保護が課題となります。
知的障害のある広汎性発達障害(カナー自閉症)の出現率は0.6〜0.8%。一方、高機能広汎性発達障害(アスペルガー)の出現率は最も新しい調査では1.5%だといいます。
自閉症は、社会性の障害、コミュニケーションの障害、想像力の障害(それに基づく行動の障害)の3つの症状です。アスペルガー症候群は基本的にこの3つの症状を持ちつつ、コミュニケーションの障害が軽微なものです。言語の遅れがなく、知的にも正常が多くなります。カナー自閉症のうち知的障害を持たない高機能グループと、アスペルガーとの違いは発語の遅れがあるかどうかで、質的な差はないとされます。
いつだったか、施設に入っているカナー自閉症の中年男性が、酒を手に入れて飲むようになって依存症を疑われ、精神病院に送られて、そこからAAに来たことがありました。女性の看護師の同伴で、言葉はしゃべらず、一回だけの参加でした。おそらく病院側のアリバイ作りのような参加だったのでしょう。
このような例外を除けば、知的障害を持った自閉症の人がAAにやってくることは、まずないだろうと思われます。自助グループの人間が出会うのは、アスペルガーを含む高機能PDDのグループでしょう。というわけで、次からは本題のアスペルガーについて書いていきます。実はこれまでのすべてはアスペルガーを書くための前ふりでした。
知的には正常、時にはもっと高い知能を持ち、コミュニケーションに問題はないながらも、社会性や想像力に障害を持ち、曖昧で大まかな概念が把握できず、場の雰囲気や相手の気持ちが読めず、一度に一つのことしかできず、融通が利かなくて他の視点が持てず、話をしているとこちらが疲れてしまう人たちについてです。
(続くとも、もちろん)
2010年01月07日(木) 発達障害について(その6) 自閉症グループの子供は、驚くほど記憶力がよいことが知られています。
例えば子供の頃にお母さんに「お前なんかいらない」と言われると、大人になっても言われた日付まで含めてしっかり覚えていたりします。施設に預けられた子供が、そこでの職員との会話を忠実に再現したおかげで、施設スタッフの言葉の暴力が明らかになったという話もあります。
興味を持ったことは覚えるので、天気の週間予報を全部覚えていたり、ポケモンのキャラクターの名前を全部言えたりします。しかし、暗記が得意というわけではないようで、興味のないことに記憶力は発揮されないようです。
記憶力はすぐれているけれど、想像すること、応用することは苦手です。
標準誤信課題というテストがあります。
「A君はチョコレートを後で食べようと<机の中>にしまって遊びに出かけました。A君がいないあいだに、お母さんがそのチョコレートを<戸棚>にしまいました。その後で、A君が帰ってきました。A君はチョコがどこに入っていると思いますか?」
A君はお母さんの行動を知らないので、正解は<机の中>です。けれど、3歳児の多くは<戸棚>と答えてしまうのだそうです。人の気持ちよりも、事実に引きずられてしまうのです。これが4才になるとほとんどの子が正解できるようになります。
最初にチョコレートの箱を見せ「何が入っていると思う?」と聞くと、答えは「チョコ」です。でも開けてみせると中には鉛筆が入っています。そこで、「最初に見たとき、何が入っていると思った?」と聞くと、3歳児は「鉛筆」と答えてしまいます。過去の自分の気持ちより、現在の事実に引きずられてしまいます。
「他の子はこの箱を見て、何が入っていると思うかな?」と聞いても、やっぱり「鉛筆」と答えてしまいます。これが4才になると正解を答えられるようになります。
つまり健常な子は3才から4才になるあたりで、「人の気持ちを想像し理解する能力」や「過去と現在の自分の気持ちを区別する能力」を手に入れます。相手の気持ちを想像して嘘をつく能力も手に入れます。こうした能力を「心の理論」と呼びます。
いつも挨拶をする人が、今日は挨拶をしてくれない。あれ、なにか気分を害してしまっただろうか、と心配するのも「心の理論」が獲得されているからで、これがなければ極めてマイペースな人になります。
知能の遅れがあるダウン症児でも「心の理論」の獲得に問題がないことが分かっています。一方、自閉症児は心の理論の獲得がないことが知られています。
アスペルガーのような知能の遅れがない高機能群では、9〜10才ごろにこの課題をクリアすることが知られています(つまり普通の子の4〜5年遅れ)。しかし普通の人のように直感的に相手の気持ちを読むのではなく、推論を重ねて人の気持ちを理解していることが確かめられています(つまり心の理論そのものの獲得ではない)。
例えば、相手のほほの筋肉が動かず低い声でしゃべっていれば「不機嫌」、目が大きく開かれ口の角があがっていれば「喜んでいる」。おそらく、持ち前の記憶力の良さが発揮され、状況ごとに辞書が作られていくのでしょう。やはり新しい状況は苦手なようです。
このように「心の理論」の獲得がないために、人の気持ちをおもんぱかる、場の雰囲気を読んで正しい行動を選択する、ということが苦手になってしまうのです。
(続きますよ)
2010年01月06日(水) 発達障害について(その5) 自閉症の特徴の一つは、情報の選択ができないことです。
人間の五感には様々な情報が流れ込んできますが、必要な情報を注意選択する機能があります。例えば赤ちゃんは目の前の扇風機の音がうるさくても、その向こうから聞こえてくるお母さんの声に注意を固定します。ところが自閉症の場合には、この注意選択の機能が働かないため、情報の洪水の中で立ち往生してしまいます。
成長するにつれ注意を固定することができるようになりますが、それには意識的な集中が必要なため、しばしば過剰な選択が働いてしまい、必要な情報がすっぽり抜け落ちてしまう、ということが起こります。
こうした情報の洪水に対抗するために、自閉症児は自分で一定のリズムを持った刺激を作り出して、外からの不快な情報を遮断します。目の前で手のひらをひらひら振る、座りながら体を前後左右に振り子のように振る、目も回さずにくるくる回る、など。
また成長すると「解離」を使うことで、外からの情報を遮断するテクニックを使う人もいるそうです。
知覚の過敏性もあります。
普通の赤ちゃんはだっこやおんぶを喜びますが、自閉症児を抱きしめようとするとパニックになり、おんぶすれば母親の背中から離れようとのけぞります。これは皮膚の感覚が過敏なため「触られると痛い」からです。シャワーも痛がって嫌がる子が多く、入浴が嫌いになったりします。服が肌を刺激することを好まないため、服を着たがらず、靴を履いたり帽子をかぶるのがひどく苦手な子もいます。音に対しても敏感で、音楽などの大きな音を嫌がります。
こうした過敏性がある一方で、やけどや怪我の痛みには鈍感だったりします。寒さに対して鈍感であると(服への過敏性もあいまって)他の人が厚着をするようになっても、薄着で寒がらないこともあります。
知覚過敏と過剰選択があるため、例えば手を握りながら話しかけると、握られた手の感覚で頭がいっぱいになってしまい、話が無視されてしまいます。このため、後述するアスペルガーの人も含めてPDDの人に話かけるとき、話の中身に注意を向けてもらいたければ、こちらの顔の表情を変えず、声のイントネーションも抑えて平板に話すことが必要になります。
蛍光灯の細かなチカチカが気になる、白地に黒い字の印刷ではコントラストが強すぎるなどとも書かれていました。
(つづく)
2010年01月05日(火) 発達障害について(その4) さて話は、知的障害から広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)に移ります。
広汎性発達障害(PDD)には、旧来の自閉症(カナー自閉症)、アスペルガー症候群、レット障害、小児崩壊性障害、非定型自閉症(PDDNOS)の5つが含まれます。これが一つのくくりになっているのは、以下の三つの基本症状がどれにも共通して存在するからです。
・社会性の障害
・言語とコミュニケーションの障害
・想像力の障害と、それに基づく行動の傷害
この三つの症状は知的なハンディキャップについて何も述べていません。PDDであっても知的障害を伴わない人たちがいるわけで、IQ70以上を「高機能広汎性発達障害」と呼びます。アスペルガーがその典型です。その多くは既述の通り境界知能ですが、中には高いIQを示す人もいます。しかしIQが高いながらも、言語理解に対する得点が低くなるのが特徴です(つまり頭は良くても言語の障害がある)。
いろいろと話を広げる前に、まずカナーの自閉症から始めます。
赤ちゃんに近づくと、赤ちゃんはじっとこちらを見つめるので、お互い視線が合います。お母さんの顔を見れば微笑み、お母さんが離れると後を追おうとします(後追い行動)。自閉症児の場合、こうした愛着行動がずいぶん遅れ、歩けるようになると興味の対象(換気扇など)に向かって勝手に走ってしまうので簡単に迷子になってしまいます。
人と感情を共有することが苦手なのがPDD全体の特徴で、自閉症児ではお母さんと一緒に何かを見てきゃっきゃっと笑うことが少なく、かわりに自分の興味に没頭します。(人に興味がないと言われる)。
杉山先生の本を読むと、自閉症の社会的障害は「自分の体験と人の体験が重なり合う前提が成り立たない」とまとめてあります。引き合いに出されているのが「逆転バイバイ」です。
普通の赤ちゃんは0才の後半になると、大人のまねをして「バイバイ」と手を振ってくれます。このとき赤ちゃんの手のひらは、こちらを向いていますから、赤ちゃんには自分の手の甲が見えているはずです。
自閉症の子供もバイバイをするようになるますが、このとき自分に手のひらを向けてバイバイとやります。これが逆転バイバイです。大人がしてくれるバイバイをそのまま再現してしまうのです。
では普通の赤ちゃんは、なぜ相手に手のひらを向けてバイバイができるのか。それは自分の体験と人の体験が重なるという前提があるために、相手からどう見えるかが論理を使って考えなくても分かるからです。しかし自閉症の場合にはここに障害があるため、見たものを視覚的にそのまま再現するわけです。
健常な子供が1才前後で言葉を発し始めるのに対し、自閉症児ではこれが遅れます(アスペルガーの場合には遅れない)。言葉が出始めるとオウム返しをします。お母さんが「ジュースが欲しいの?」と聞くと、「ジュースが欲しいの?」と疑問文で返します。そっくりコピーしてしまうところは前述の逆転バイバイと同じです。つまり、自閉症の言語の障害には、社会性の障害が乗っかっています。
このほか偏食やこだわり行動、目の前で手を振るなどの自己刺激行動、トイレや服の身辺自立の困難、眠らないなどで、お母さんが子育てに悩み、「病気かも」と思って受診して自閉症の診断が行われることが多いようです。
(もちろん続く)
2010年01月04日(月) あれ? 月曜から勤務日だと思い、9時前に出勤し(といっても部屋を移動するだけ)、パソコンでタイムカードを打刻しました。タイムカードは本社サーバーのグループウェア上にあって、VPNで接続しています。そしていつもどおりネット上の予定表を確認すると「年始休暇」の赤い文字が記されており、所在表を見ると同僚は誰も出勤していません。
どうやら仕事は火曜日からだったようです。
男性に比べて女性のアルコホーリックの回復は遅いのか? という話が一部でちらほら出ていました。少なくとも、ビッグブックのやり方でステップをやっている女性たちを見る限り、男性より時間がかかっているとは思えません。つまり、12ステップの効き目に性差はないと思われます。
けれど、僕がAAにつながった頃から、女性の回復は遅いという話をときどき聞きます。それはどういう尺度で測っているのか? おそらく社会性をなにかの目安で計っているのでしょう。しかし、そもそも女性と男性で社会的役割に違いがあるわけですから、いくらAAも男社会だからといって、男性用の物差しで女性の回復を計る(もしくはその逆)こと自体がナンセンスだと思うのです。
女性の社会進出を例に考えても、仕事のキャリアを中断せず、家のこと子どものことを完璧にこなす、なんてことができるのは一部のスーパーウーマンだけです。同じことはアルコホリズムの回復の分野にも言えて、家族の世話と自分の回復、おまけにパートで金を稼ぐことまでそつなくこなさなければ回復ではない、なんて価値観になったら、回復したと言われる女性はほんの一握りになってしまうでしょう。
さて話は変わり、正月にTSUTAYAへいったら、本棚に発達障害の本が二十冊ぐらい並んでいました。ちょっとしたブームになっているのでしょうか。発達障害について書くに当たって、まず知能について書いたのは、境界知能(IQ70〜84)を取り上げたかったからです。知的障害を持たない発達障害を、軽度発達障害と総称します。この軽度発達障害に境界知能が多いのです。
そして境界知能では、知能を構成する各要素で得手・不得手の差が大きく(分野ごとに凹凸がある)、それが総合点であるIQの数字を引き下げています。例えば水を貯めるダムの堰堤に凸凹があることを想像してみてください。ダムの貯水は堰堤の凹の一番低いところまでしか貯まりません。同じように、他の能力は並以上だったとしても、不得手な能力が社会適応の足を引っ張るのです。
したがって何が苦手なのかを特定し、それをどうやって補完していくか考えることが大切です。補完は決して恥ずかしいことではありません。例えばAAミーティングで年配の人が本を読むのに老眼鏡を使って衰えた視力を補完しています。それを恥ずかしいと思って老眼鏡を使わなければ、本から得られるはずのものを失ってしまいます。それと同じです。
年賀状はようやく3日の晩に郵便局に持ち込みました。大掃除やら帰省やらそれなりにこなせば忙しいものだと実感した年末年始でした。
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