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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2007年11月16日(金) 研修会メモ書き(体験的真実) うつがぶり返すのは、栄養面で不足があるのでは、というご指摘をいただきました。ありがたいことであります。サプリメントも試してみようと思います。
我が家の栄養面を取り仕切っている主婦も、僕と同じようにうつ病持ちで、「ツルヤで買ってきたコロッケを温めて出すのも辛くてやってられない」という状態もしばしばで、あまり頼りになりません。「だいたい、何の料理を作っていいのか分からない」と言われます。
うつの症状で判断できない面もあるのでしょうが、他にも原因はありそうです。見合いの釣書には「調理師免許」と書いてありました。それは嘘ではなくて、ちゃんとその系統の学校へも行っているのですが、そもそも母親からちゃんとした料理を食べさせられた経験がないのがハンディキャップです。義母も料理が下手ではないのでしょうが、「塩分は毒」とかイロイロ変なこだわりがあって、塩味のしない塩鯖とか、塩味のしない野沢菜漬けとか・・・。
とはいえ、僕が男の料理ってワケにもいきません。そこで今夜は「まいどおおきに食堂」へと食べに行ってきました。明日はドラッグストアに行く予定です。
僕のうつの方は、今日診察の日でしたが、薬より休養が必要だろうと、薬は減りました。社長肝いりのプロジェクトからは外された格好で、週末の休出はキャンセルです。
さて、科学的真実がそれほど大事か・・というお話。
ビル・Wは、酒を飲んでの入院中に霊的な体験をしたことになっています。第一章ビルの物語にもそれは書かれていますし、『AA成年に達する』にも詳しくあります。伝記映画 "My Name Is Bill W." にも、ベッドで寝ている彼が白い光に包まれるシーンがあります。
ビルが入院した1930年代の精神病院で使われていた薬は、現在の精神科治療に使われる薬ほど洗練されていませんでした。つまり、副作用が激しかったのです。それは例えば幻聴や幻覚です。重症アル中患者であるビルの、離脱症状を抑えるためにそうした薬が投与されていたのは当然でした。
だから、ビルの「神々しい白い光に包まれ、すがすがしい風を浴びた」体験も、客観的に見れば、薬の副作用で幻覚を見ただけの話です。
その体験に驚いたビルが「自分は気が狂ったのではないか」と相談した相手、シルクワース医師が、もし「ああ、それは薬の副作用の幻覚ですから、気にしないで下さい」と言ったら、おそらく今日のAAは存在しなかったでしょう。先生はその代わり「あなたの中の何かが変わったのだから、それを大事にしなさい」と、霊的体験を真実として認めたのです。
回復に必要なのは「体験的な真実」であって、客観的にそれがどういう現象なのか、そこにこだわってみても役に立たないと言うことです。
2007年11月14日(水) これも病気の症状か 自分のバースディミーティングは、自分のホームグループでだけやることにしています。
一度だけですが、ちょうど自分のバースディの日の近くに、AAの泊まりのイベントがあって、そこで「ついでだから」という理由でお祝いしてもらいました。沢山の人に「おめでとう」と言ってもらえて、なんだか舞い上がってしまいました。
そして、自分のグループで本番のバースディミーティングをしたときに、イベントで祝ってもらって舞い上がった話をしたら、他のメンバーに「なんだこいつ」みたいな顔をされてしまいました。
これは逆の立場に立ってみないと理解できませんでしたね。せっかくお祝いしてやろうと集まったのに、本人は他で浮かれてきた話をしている・・・。しらけて当然であります。
それ以降、ホームグループでしか、自分のバースディは祝っていません。あっちこっちでやる人もいて、それはその人の自由でありますが、単に「僕はそういうのは感心しない」と言うだけの話です。
ちょうど5年になるころは、仕事が忙しく、出張続きで、ろくにミーティングに出ていませんでした。グループに人もいなかったし。なので、バースディもやらず、メダルもなしでした。もらったソブラエティに感謝を表明する機会を失ったわけで、それは残念なことでしたが、一生の記憶に残るギフトでもありました。
普段の生活や、普段のミーティングが「ケ」であるならば、バースディミーティングという「ハレ」があって良いと思います。けれど、ついつい「ハレ」という非日常を求めすぎてしまうのも、アルコホリックの病気の部分だと思います。
AAのイベントとかで、異常にテンション高く盛り上がっちゃっている人を見ると、「ああ病気の人だ」とついつい思ってしまうのであります。
2007年11月13日(火) 最初が肝心 久しぶりに仕事をしたような気がします。
目標がおよそ半分にカットされ、さらにその半分をほかの人にお願いすることになりました。一週間以上病気で無駄にしてしまったことを考えると、妥当なところかも。
最近ぼつぼつ "A Program For You"
http://kokoiede.exblog.jp/7116218/
を読んでいます。ビッグブックによる生き方のガイドという副題が付いています。
確証はないのですが、おそらく『ビッグブックのスポンサーシップ』(キャリメ)を書いた人を含んだ複数の著者によるものです。
キャリメの本が、スポンサーをやるためのガイドブックとすれば、こちらはダイレクトにメッセージを伝える本となっています。
最近つくづく思うのは、第5章に達するまでが長いのは十分意味があるんだということです。「医師の意見」から始まって、第1章「ビルの物語」、第2章「解決はある」、第3章「さらにアルコホリズムについて」、第4章「私たち不可知論者は」、ここまででおよそ100ページはあるでしょうか。
アルコホリズムが、飲み始めると止まらない渇望現象(身体の病気)と、せっかくやめているのにまた飲んでしまう精神的な囚われ(精神の狂気)の組み合わせであること。そして自力では助からないよ、ということを延々と説いていきます。
スポンシーとビッグブックの読み合わせをしていても、なかなか先へ進まなくて正直うんざりするところもあります。でもそこが「なぜステップが必要なのか」理解するのに必要な段なのでしょう。
よく言われるように、いきなり第5章を読んで、さああなたは無力ですよ、キチガイですよ、そしてこれが12ステップという解決法ですよ、さあ取り組みましょう・・・と言われてやる気になる人は、滅多にいるわけがないのです。
おそらく、3年とか5年とかミーティングに出続けていれば、本なんか読まなくても病気の本質は肌で感じられるのでしょう。でもミーティングに出続けることで、何年か酒が止まっているなら、あえてステップに取り組む理由はその人にはないわけです(だってこの先もミーティングに出続ければ酒は止まるでしょうから)。
でも3年とか5年ぐらいでミーティングを離れていく人は沢山います。
やはり鉄は熱いうちに打たねばなりません。「どうやって」ステップを実行するかも大切ですが、それ以前に「なぜステップが必要なのか」が伝わらなくてはどうにもなりません。
というわけで、僕はいつもビッグブックを一緒に読み合わせる仲間を求めているのであります。自分のためにも。
2007年11月11日(日) ああ、イライラする。 うつも底をついて、回復へと向かいつつあるようです。
だんだんうつが酷くなっていくときもイライラするのですが、良くなってくるときは輪をかけてイライラします。これはこの病気の症状の一つだそうです。
良くなってきたというのは自分でも分かります。だから早く活動を開始したい・・・とは思うのですが、まだ完全には良くなっていないので、いろいろ思い通りに自分が動けません。体もしんどいし、頭も考えがまとまりません。けれど、遅れた仕事のことなど考えると、気持ちばかりが焦ります。焦った結果がイライラです。
このイライラは要注意で、事実うつ病の人の自殺も、悪化していくときや、最も症状の酷いときではなく、良くなってくるときが一番多いのです。気持ちの辛さも、実はこの段階が一番辛いのかも知れません。
ここで無理をするとぶり返すので、明日は多分仕事は休みにします。社長肝いりのプロジェクトで、メインのユーザーインタフェースができてないと、立場がなくなりそうな感じですが・・。そんなことは心配しても仕方ありません。御身お大事であります。
仕事や経済の点ではちっとも僕は安定しません。感情もいつもふらふらしてばかりです。とてもトラブルの多いソブラエティで、周囲から見て「立派なソブラエティ」とは言えたもんじゃないと、自分でも思います。
けれど、「立派なソブラエティ」を送ることが目的なのではなく、ふらふらよろめきながらでも、次から次へとやってくる問題を、ひとつひとつ乗り越えていくことが、ソブラエティの目的とか価値ではないかと思います。
ともかく今は、焦らない、焦らない。
2007年11月10日(土) すでに限界を超える 今週は久しぶりにうつの波がやってきて、二日休んでしまいました。
医者に行ったところ、「あなたは、数日会社を休むための診断書を買いに来たのか、それとも追加の薬を買いに来たのか」と選択を迫られ、「うーん、薬ですね」と答えてしまったために、半年かけて減らしてきたレスリンの量が3倍になってしまいました。本当に必要なのは休みの方だったのかも知れません。
薬のおかげで、うつは楽になったものの、昼間ぼうっと眠い状態になりました。
で、この一週間ドタバタしている間、次女もお腹が痛いとか言いながら、しばしば学校を休んでいました。まあ登校拒否であります。
二人の娘は、ときどき「学校行きたくない」と宣言して、実際学校を休んでしまうこともたびたびです。親の方にいろいろ事情が重なり、精神的に辛いときに限って、子供の「学校行きたくない」が始まるので、「こっちがイッパイいっぱい限界状態なのに、ここでさらにトラブルを増やすなー」と思わず叫びたくなってしまいます。
でも、親がイッパイいっぱいの限界状態だからこそ、子供も学校が嫌になるのが真実のようです。「学校行きたくない」と言われると、すわ「学校で何かあったのか!」と原因を学校に押しつけたくなってしまいます。けれど、過去に先生に問題があったのが一回、同級生に問題があったのが一回。残りの全部は家庭の側の問題(だと思われます)。
大人が仕事に行って疲れるみたいに、子供も学校に行けば疲れるみたいです(当たり前か)。家に帰ったら、精神的にも肉体的にもゆっくり休んでくつろぎたいのは当たり前。ところが、家で大人たちが「限界ギリギリ」の緊張状態だったら、やっぱり子供も休めなくて、心に疲れがたまり、学校に行くエネルギーが枯渇してしまう、という仕組みではないかと・・・。
こういうときは、子供を責めずに、今やっていることを放り出してでも、「親が」のんびりするしかありません。子供に症状が出てからでないと、自分が(限界ギリギリではなく)すでに限界を超えていることに気づけない、そういう親でごめんねであります。
というわけで、この週末は休日出勤届を出してあるものの、今日に続いて家でゴロゴロするのであります。
2007年11月09日(金) 研修会メモ(自然的回復) さて、アメリカではアルコール医療も自助グループも(少なくとも日本と比較すれば)充実しています。
アルコール依存症治療の調査研究を進めていくうちに、医療ともサポートグループとも無縁に酒をやめ続けている人が想像以上に多いことが分かってきたそうです。こういう一人で酒をやめているケースを、ナチュラル・リカバリー(自然回復)と呼びます。
医者も嫌い、自助グループも嫌い、酒をやめるぐらい一人でできる・・と主張する人はたくさんいますが、ある程度の年数継続できたという人は数えるほどしかいません。では、アメリカでの調査で「意外とたくさんいた」という自然回復者は、どんな人たちでしょうか?
その人たちは、主に都市部にいるのだそうです。そして「個人的な脆さ」を抱える人たちです。
たとえば、親がアルコホーリクで、小さい頃から飲酒の過酷な現実を見せつけられ続けた人たち。あるいは長年DVの被害を受け続けた人。小さい頃から性的虐待を受け続けた人など。講師の先生は、回復のための内部資源(internal resource)と呼んでいましたが、その内部資源が少ないために、誰とも人間関係を結ぶのが難しく、結果として医療の現場にも、自助グループにも登場できない人たちです。
つまり、一人で回復=自然回復を好んで選んでいるわけではなく、それしか選びようのない人たちが、やむなくアルコールや薬物の依存から自然回復の道を進むというのです。
また外部資源という意味では、あまりにも過疎地に住んでいるために、医療もサポートグループも存在しない条件の人もいるそうです。
回復のための内部資源、外部資源というアイデアは、いままで考えたこともないものでした。
2007年11月08日(木) 研修会メモ(自然的回復) さて、アメリカではアルコール医療も自助グループも(少なくとも日本と比較すれば)充実しています。
アルコール依存症治療の調査研究を進めていくうちに、医療ともサポートグループとも無縁に酒をやめ続けている人が想像以上に多いことが分かってきたそうです。こういう一人で酒をやめているケースを、ナチュラル・リカバリー(自然回復)と呼びます。
医者も嫌い、自助グループも嫌い、酒をやめるぐらい一人でできる・・と主張する人はたくさんいますが、ある程度の年数継続できたという人は数えるほどしかいません。では、アメリカでの調査で「意外とたくさんいた」という自然回復者は、どんな人たちでしょうか?
その人たちは、主に都市部にいるのだそうです。そして「個人的な脆さ」を抱える人たちです。
たとえば、親がアルコホーリクで、小さい頃から飲酒の過酷な現実を見せつけられ続けた人たち。あるいは長年DVの被害を受け続けた人。小さい頃から性的虐待を受け続けた人など。講師の先生は、回復のための内部資源(internal resource)と呼んでいましたが、その内部資源が少ないために、誰とも人間関係を結ぶのが難しく、結果として医療の現場にも、自助グループにも登場できない人たちです。
つまり、一人で回復=自然回復を好んで選んでいるわけではなく、それしか選びようのない人たちが、やむなくアルコールや薬物の依存から自然回復の道を進むというのです。
また外部資源という意味では、あまりにも過疎地に住んでいるために、医療もサポートグループも存在しない条件の人もいるそうです。
回復のための内部資源、外部資源というアイデアは、いままで考えたこともないものでした。
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