心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2004年05月22日(土) ゆっくり休むということ

午前中に「パパご飯」という言葉で起こされました。相変わらず睡眠不足で頭がずきずきします。レトルトの牛丼を暖めご飯にかけてあげました。普段レトルト食品を食べなれない彼女たちは、「パパの作るご飯はおいしい」などとほめてくれるのですが、もうしばらくすれば、それぐらい自分たちで出来るようになってしまうでしょう。

午前中に起きたので、昨日行きそびれた医者に行きました。土曜日の午前中という診察時間は最近新設されたせいか、すいていました。診察時間も長かったのですが、そのぶん有意義だったというわけでもありません。半年ぐらい前から昼間眠いのが続いていたので、原因を探っていったところ、毎朝飲んでいたミラドール50mgではないかということになって、連休明けから止めています。最近の不調はひょっとするとそのリバウンドかもしれません。
「ミラドール50mgで眠くなる人は初めてだね」
と言われましたが、こちとらアル中であります。気分を変える薬には敏感に反応しちゃいます。ミラドール50mgはたしかにほんのちょっぴりかもしれませんが、僕の脳は不可逆的に壊れているので常人と一緒は困ります。まあ、処方は伝えてくれてあるので、チェックしなかった自分にも責任はありますが。

今週は部下一名が出張先で寝坊して、相手の会社からお昼近くに「まだ来ないんですけど」と催促がくる事件がありました。本人が以前「ストレスが多いせいか、毎晩酒飲んじゃうし、酒量も増えちゃうんですよ」と言っていました。たぶん飲み過ぎで起きられなかったのでしょう。僕も良くやりました。昨年転職していった人も、酒を飲まないと眠れないと言っていました。
「あんまりまじめに仕事すんな」というのが僕のアドバイスであります。

午後は布団で寝ていました。義父が来て子供たちを指揮して部屋の片づけをしていましたが、僕を起こさないように気を使ってくれたようです。義父母と僕の関係は、嫁と姑の関係よりもっと遠い感じです。

夕方AAの仲間から電話が二本。ひとつは明日の委員会は休むという通知、もうひとつはノートパソコンの異常の相談でした。どんな用件であれ、人とコミュニケーションがあるのは嬉しいです。だが待っている人からは、電話もメールも来ません。

夕食後、こんどはパソコンの前で寝ました。「どんな問題も、それを乗り越えるだけのエネルギーと一緒にやってくるんだ」とはスキャットマン・ジョーの言葉。彼もアル中で薬中で、12ステップのことを歌っています。明日は東京。


2004年05月21日(金) 長文

二年前の夏に汗水たらして働いていた自動車工場が閉鎖になるというニュースが飛び込んできました。いい金づるお客様だったのに残念であります。リコール隠しのニュースは無関心で見ていましたが、世の中はいろんなとこまで影響が及んでいくものですね。
ビールに「妊婦に悪影響」と表示するのも、所詮はメーカーの責任逃れという話がありましたが、そんなものなのかもしれません。

僕は飲んでいた頃、国民年金を払わないどころか、健康保険すら払ってなくて、保険証持ってなかった時代もあります。まあ医者に行けないのも自業自得だったんですが、一番金がかかった自殺未遂の時には、せっかく保険証を持っていたのに使えませんでした。

会社の同僚が昨年から僕と同じ精神科医にかかっているのですが、「ちっとも良くならない」という理由で自主的に治療をやめてしまいました(うつ病者は基本的に病識がない)。薬もなくなったので、そのリバウンドが来て仕事になっていません。周りの皆に「他の医者でいいから行きなさい」と無理やり薦められ、リバウンドだけ抑えてもらいに行ったつもりが、結局治療を再開することになりました。「今度の医者はすいていて、ゆっくり診てくれるのでいい」そうです。

僕がこの精神科医にかかるようになったのは、もう十年近く前です。その頃は確かに待合室はすいていました。最近は混んでいることが多くなり待ち時間が長くなっています。人気が出たのか、精神科に対する偏見が減ったのか、世の中が殺伐として病気の人が増えたのか、理由は僕にはわかりません。

別の同僚は面白半分に「オンラインうつ病診問」を笑いながらやっていたのですが、最後に「あなたは仮面うつ病の可能性大です」と出て真っ青になっていました。まあ、頸肩腕症候群と一緒で一種の職業病であります。

最近は疲れているのに夜眠れません。昨日も眠れたのは朝4時ぐらいだったでしょう。時期が関係あるのか、妻もうつで朝起きられません。小学校に行く子供の面倒は義母がみてくれています。どうしても今日しなければならない仕事があるわけじゃないので、過労気味なら休んでもよかったのかもしれません。でも、休みたくはなりませんでした。別に日に休みたいから。
ぼうっと仕事せずに座っていても一日は終わるのですが、なぜかきちんと働いてしまいます。でも、頭の中に鈍い塊があるような感じは取れません。
こんな状態でミーティングに行くのは馬鹿げていると思ったので、まっすぐ家に帰りました。そこで妻がまだ寝ているのを見つけ、子供たちが「パパご飯」と言って寄ってきた時に、僕の中のなにかがブチンと音を立てて切れてしまいました。

義母の「夕飯はカレーを用意するから、子供に食べさせてあげて、子供をお風呂に入れてくれるわよね」という言葉に、「あー、はいはい」と素直に答えることができません。
普段だったらお安い御用ですが、今日の僕には無理でした。こんなことならミーティングに逃亡していたほうが良かったという後悔がよぎります。
そういえば今日は医者に行く日だったのに、すっかり忘れて帰ってきてしまいました。急いで行ってみると、普段だったら混んでいる駐車場に車が一台もありません。クリニックのドアは閉まっていて、診察終了時間が30分繰り上がったことを告げる張り紙がしてありました。
帰る道すがら、この数十分の間に、なにか事態が改善していないか期待したのですが、何も変わってはいませんでした。

僕は何もかも放り出して逃げ出したくなりました。でもどこにも逃げ場はありませんでした。感情の二日酔いと、ワーカホリズムと抑うつが、たった何週間か数日のあいだに、僕をがけっぷちまで追い込んでいたのです。ステップ4・5で気がついたのですが、僕は追い詰められるといつも酒の中に逃げ込んでいました。酔いつぶれている間に、誰かが事態を収拾してくれるのを願っていたのですが、たいてい物事は悪い方向からもっと悪い方向に向かっただけでした。
長年の習慣がぶり返していれば、病気もぶり返していたでしょう。ただ何かが「そっちの道は危ないよ」とささやいてくれたので、僕は違う方向に向かって逃げ出しました(やっぱり逃げるんかい)。

「パパは疲れているから」と言って僕は子供の世話を放棄して寝てしまいました。カレーを持ってきた義母に大声で起こされたとき、僕が取った行動は「寝ている妻を強引にゆすり起こす」でした。眉間に深いしわを寄せた彼女が用意してくれたカレーを食べてまた寝てしまい、次に起きたときには、入浴後の子供たちが布団に向かうところでした。

「助かったよ、ありがとな」と言ったとき、妻は怪訝な顔をしていました。あの時僕の心を去来した感覚を、彼女に説明してみても多分理解してはもらえないでしょう。
明日はゆっくり休んだほうがいいという提案をもらっているので、ミーティングには行きません。日曜日は疲れる予定が入っていますし、月曜日は医者に出直さなくてはいけないので、ミーティングには行かないかもしれません。
だから文章にしてここに下ろしておきました。少しは楽になりました。


2004年05月20日(木) 優しくしたい

日々のアクセス数をグラフにするプログラムを 書いてみました

でかいコンテンツを加えた11日の翌日からアクセス数が1.5倍ぐらいになっています。一度に読みきれる分量ではなかったので、何日かに分けて実に来られたってことでしょうか。その後は減少傾向です。このコンテンツについていただいた反応は、メールを一通頂いただけでした(まだ返信書いてませんすみません)。
もっとも、コンテンツ変更について直接反応をもらうことはほとんどありません。掲示板に感想を書いていただければ、すんごいラッキーてな感じであります。
なので、Webマスターとしてはアクセス数のグラフを眺めてみたり、Googleでの順位を確かめてみたりぐらいしか、反応の探りようがないのが本当のところです。

それにしても、土日の落ち込みようが顕著で思わずくすりと笑ってしまいました。以前は昼休みはアクセスの山でしたが、今は谷であります。まあ、お互い堅いことは言いっこなしってことにしましょう。

今週は出張に行った水曜日以外、定刻までに会社にいけた日がありません。まともな会社だったら首でしょう。まあ、低空飛行でも墜落しないのを目標にしています。うつ病の人間は自分に高いノルマを課しがちです。ちょっとずつちょっとずつ無理と我慢を重ねて、耐え切れなくなって(周囲から見れば)突然とんでもないわがままをやりだす狂気であります。
調子のいいときの自分を本当の自分だと思いたいのはやまやまなのですが、波の底にいる自分も自分であります。
でも、優しさを出したいのに、それが心の中から出てこないのは辛いよう。


2004年05月19日(水) 基本的に仕事の愚痴の話

僕は人にお金を貸せるほど裕福ではありませんが、もしそうだったとしたら、貸せる基準は「相手が返せるかどうか」にすると思います。そうでなければ、貸したのでなくて、あげたのと同じになってしまいます。

しかし銀行が僕の勤めている会社に金を貸す基準は、現在どれだけの利益を上げているかではないらしく、どちらかというと売り上げの額に注目しているようです。
何でそんなことを言うのかというと、ときおり赤字の仕事を引き受けるからです。見積書の金額から仕入れの金額を引いた額では、とうてい営業経費やら、人件費やらをまかなうことができないケースが、ままあるわけです。
まあ、それも会社の事情だから仕方ないですし、技術屋としては金額のことであれこれ言いたくない気持ちがあります。

けれど、歯車は悪い方向に回るものです(マーフィーの法則)。赤字の仕事は、見積書の金額を抑えるために納期が短く設定されている場合が多いのです(工期=金額)。当然、納期は守られず、客は怒り、営業サイドは「赤字の仕事をいつまでやってんだ」と文句をたれるのですが、技術サイドは「こっちが赤字にしたわけじゃねーぞ」と反論することになります。
早く次の仕事を入れて黒字に転換したくても、技術屋の手が空かないと受注できません。そうやってタイミングを逃すと、良い仕事は去り、また赤字の仕事が・・・。そして職場の雰囲気は殺伐と・・・。

こんなことなら、最初に赤字の仕事を引き受けなけりゃ、歯車は良い方向に回っていたかもしれないのにと、後になって思うものなのでしょう。けれど、よい仕事が来るまでじっと耐えていても、かならず仕事があると限ったわけでもありません。それに売り上げを確保しないと銀行が・・・。つくづく経営というのは、というか商売というのは「博打とおんなじ」だなぁと思うのです。才能のない人間がやるものじゃありません。

まあ、僕は一介の社員で、経営者でもなんでもないし、今後とも人様に給料を払う立場には絶対ならないでしょうから「基本的にはひとごと」です。でも、将来に暗雲が垂れ込めていると、明るい気分にはなれません。
今日出張して打ち合わせをした仕事が、そんな「赤字仕事」でした。その仕事を実際に引き受ける(割り当てられる)社員がかわいそうであります。


2004年05月18日(火) しょうじきになったおとこのはなし

パソコンを組み立てるときにやるミスで、ありがちなのが「ビスを中に落っことす」というやつです。パソコンの中はカードが挿さっていたり、ケーブルが這っていたりするので、手を突っ込むとたいてい後悔します。見える場所にあれば、帯磁したドライバーの先っちょにくっつけて取り出せばいいのですが、奥へ入ってしまうとやっかいです。
こんな時のために、先っちょに磁石が着いた棒という工具がありまして、僕も百円ショップで買ったのをスチールラックにひっつけてあります。

先日その棒が机の下に落ちていたので、また子供たちがいたずらしたのだろうと、そんなに気にもかけずにいました。しかし、ふと気がつくとパソコンのモニター(CRTディスプレイ)が変色しています。

磁石をテレビに近づけると、テレビの色が変色します。距離や角度を変えると、オーロラのように美しい模様を見ることができます。きっと皆さんも子供の頃に磁石とテレビでいたずらしたことがあるでしょう(ねーか)。でもテレビ画面に近づけすぎると、そこが磁化してしまい、色が着きっぱなしになってしまいます。そして電器屋さんに修理してもらうはめになり、すんごく怒られるわけです。

一応子供たちに「磁石で遊んでねーか」と尋ねてみましたが、口をそろえて「知らなーい」と言っております。なかなか正直者には育ちません。だいたい親のほうが、「おなかが痛いよ」と言われても「大丈夫ひと晩寝れば治るから」と言って寝かしつけ、翌朝「寝たけど治んないじゃないか、うそつき」と言われているようでありますから、なかなか正直と言う美徳は身につかないものであります。

モニターにデガウスという機能があるのですが、何度やっても直りません。
このモニターは秋葉原で買って送ってもらったものですから、販売店に持ち込むわけにもいきません。メーカーに修理を依頼しようにも、「まず梱包材料を送ってもらって、それに入れて送り、修理が終わったら送り返してもらう」という手順で、梱包材も有料なら、送料も全部こっち持ちです。ちなみに、モニターの重さは僕の体重の半分ぐらいです。

もう少し安価にすます方法はないのか、ネットで探して見ました。工具メーカーから こういう工具 が出ていました。7千円なら修理より安いかな。でも こっち のほうが効きそうな感じですが、値段がわかりません。

この消磁器ってのは自分で作れないのかネットで探してみると、確かに作っている人がいました。でも我が家は「部屋の隅っこに要らなくなったトランス」が転がっていたりはしないので、材料購入費が高くついてしまいます。

原理的には、コイルに交流を流すことで、磁界を高い周波数で反転させ、それによって脱磁すると説明してありました。うーん、よく分からないがともかく磁界が反転すればいいのだな。コイルに交流といえば思い浮かぶのがACモーター。ACモーターの中では磁石が回っています。
僕は百円ショップで買った磁石の柄を両手で挟むと、竹とんぼを飛ばすように(キリを揉むように、棒で火をおこすように)回してみました。

「原理的には似てるはずだ。反転の周波数は低いがそこは根性でカバーだ」

しばらくしてコツが判りました。モニター表面に対して円を描くように磁石を回すこと。渦を描くように円の半径を大きくしていくこと。そして、最後はモニター表面からゆっくりと距離を離すことです。キリキリ回し続けること30分。モニター表面からオーロラが消えました。

このようにして僕は人間消磁器になったのであります。


2004年05月17日(月) 一問一答

「あなたは不満を持っている」
「はい」

「あなたはその不満がどこから来るのが具体的によく分かっている」
「もちろん」

「あなたはその不満が正当なものだと思っている」
「はい」

「あなたはその一方でそれが本当は正当でないとも思っている」
「はい」

「でも理屈で感情は納得させられない」
「はい」

「不満を口に出しても、どうせ解決はできないと諦めている」
「はい」

「わがままだと言われるのは嫌だ」
「どちらかといえばいいえ」

「わがままな自分は嫌いだ」
「はい」

「自分が我慢することで解決するなら、それが一番いいと思っている」
「はい」

「苦しくないですか」
「いいえ」

「本当は苦しんでしょう」
「はい」


2004年05月16日(日) こんなことならスプリングカップに

連休明けから日没後になるべく西の空を眺めるようにしているのですが、きれいに晴れ渡ることはなくて、彗星は見えないままです。

Windowsが起動時に「PAGE FAULT ON NON PAGED AREA」という呪文を吐いて青ざめるようになったという話は、検索してみると4月の19日に書いています。あれ以来、いろいろと対策を講じてみたのですが、一向に状況が良くなりません。パソコンが正常に起動するのが3回に一回だったのが、いまは5回に一回ぐらいになっています。ひどいときは10回連続でブルースクリーンになって、もうそれだけでげんなりという感じです。

パソコンの電源ユニットが寿命を迎えているのではないかという可能性を考えて、今日は電源ユニットを新品に交換してみました。1万3千円という割と高級品を投入してみました・・・が、起動すらしなくなってしまいました。電源は入るのですが、パソコンが起動してくれません。
ショップに文句を言いに行ったら、しぶしぶながら「初期不良ですね、本来なら交換なんですが、あいにくお客さんが買っていったのが最後のひとつでして」と言われたので、同じ価格の別の電源ユニットに交換してもらいました。
そして、帰宅して2回目の交換作業を終え、電源を入れたら無事起動しました・・一回だけ。二回目からは、最初に買ったユニットと同じで、電源は入るけれど起動しません。

「これは・・・電源ユニットを壊すパソコンなのか?」

また同じ症状でショップに文句を言ったら、なんか店員がやな顔をしそうだなーと思うと行く気になれません。それにまた交換してもらっても、3台目も破壊するだけでしょう。

元のユニットに戻したら、もう夕方でした。2回連続で無事起動しています。あいからず原因はさっぱり不明です。

うつの時期がやってくる前の独特の焦燥を感じています。バースディミーティングのときに仲間に「ビルのようになってください」と言われました。ビル・Wのようにいつかうつから解放されるといいね、という意味だそうです。僕にはそんな瞬間が来るとはとても思えません。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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