鍋をたたく...鍋男

 

 

Calypso - 2001年05月28日(月)

ジャマイカにレゲエ、キューバにルンバがあるように、トリニダードの音楽といえばカリプソである。メッセージ色が強く、風刺や、批評皮肉のセンスが大事とされる。街の噂やできごと、政治などの風刺で客を笑わせ、かつ正しい道を指し示す。40年50年代のカリプソはこの感じが強く、わかりやすい循環コードにヨーロピアンなメロディ、フィドルやクラリネットなどの軽いメロディ楽器が間奏を入れているものをよく聞く。歌の感じは文句を言っているような少しくらい感じで、その雰囲気は個人的に好きではないが、歌詞を読むとその痛烈な精神と、それをたんたんと唄い、なおかつ笑わせてくれる彼等の精神の高さに感嘆する。

Van Dyke Parks がこのころの雰囲気のカリプソをアルバム「Discover America」の中で、何曲かカヴァーしているので、聞いた人もあるかと思う。

パノラマのスティールバンドで演奏されるカリプソは、その年のヒット曲で、最近はスティールバンドを意識して書かれたカリプソも多く、50年前のものとは別ジャンルと言ってもいいようなカリプソがたくさん唄われている。

最近の若者の間ではもっとビートの強いソカ(Soca)がはやっており、「説教臭いから」とカリプソ離れが進んでいる。
 スティールバンドのカリプソがよく知られているが、もとは歌もの。スティールバンドのカリプソはテンポも速く軽快な感じだが、歌の方のカリプソはミディアムからスローぐらいのものが多い。

ジャマイカンのHarry Belafonte(バナナボートソング等で有名)がカリプソを多く唄ったので、カリプソはJamaicaのものだと言う人がいるが、トリニダードで生まれたものである。彼についてはまた書きたい。


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うまいもんはうまい - 2001年05月27日(日)

うまいもんはうまい
ここ半年ほどは、夜寝て朝起きる、一日三食たべるという落ちついた生活を送っていたのですが、
ここ一ヶ月ほど、僕の中の何かが動いたようで、結構あっちこっち走り回って、忙しい生活を送っています。そういうシーズンなのかな。

忙しくなると、いつも最初に削られる時間が、休憩、その次に食事、それから睡眠、このどこかに家事ってのも入るな。休憩は移動時についでにとるから0分でもかまわない。食事も移動時に食っちゃうからOK。しばらくなら食わなくても動けるから、あんまり重視していない。

睡眠、家事はちょっと困ります。部屋の中が散らかっていくのと同じペースで心の中も乱れていく。
家でご飯を作らなくなって、野菜とかカルシウムとか足りなくなって、また精神的に「丸い自分」を演出できなくなってくる。

嫁がいる人はこれだけ大きなアドバンスを持っているのね。感謝しなきゃだめよ。

久しぶりに夕方スーパーに寄ってお買いものをした。牛乳、じゃがいも、キャベツ、とり、なっとう、食パン、インスタント食品を少々。今回は欲張らず、定番だけを購入。家に帰って、キャベツをスライサーで千切り。さらに荒くみじんにしてコールスローを作る。マヨネーズを少なめにして、オリーブオイルを入れて、ポン酢と塩コショウでちょっとすっぱめにして。
なんとなく物足りなかったので、目の前にある焼き肉のたれを少し入れてみたら、うまかった。いつものコールスローを香ばしくした感じ。

コールスローをほおばりながら、パンを焼いて、卵を焼いて、ホットサンドを作る。牛乳を飲む。あー食うって楽しいです。

サンドイッチを食べ終わってから、コールスローが残ってるのに気がついて、食べきる。
「さっきと味が違う!」
たれの香辛料の臭みが、少しつらい。
さっきは、あんまりおなかすいてたので、口に物が入ってきただけで「うまい!」って思ってただけのような気がする。

人の舌なんていい加減なもんです。もしかしたら「世界で一番うまい物を食べれる人」は「世界で一番おなかが空いてる人」かも知れません。おなかの大きな王子様の話だ。
僕はかなりの率でうまいもんを食べてますねぇ。でもきっと一生懸命作った人からはいやがられます。「ほんまに味わって食べてる?」といわれそう。

うまい物をうまいねぇって食べられるのは一番のぜいたくだと思うのです。
さぁ、今日もしっかり働いて、うまいもんを、うまいねぇって言える人と、うまいねぇって言いながら食べましょう。



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人の発想 - 2001年05月26日(土)

3人寄れば文殊の知恵という言葉がある。知恵というより発想といった方がはまるかも知れません。人の発想というのは意外なとこから出てくるもので、その人がえらいとか若いとか関係なく、感心させられることは多い。

その人ならではの発想ってありますよね。 知恵を拝借しているうちに自分に知恵が付いていくのはわかる。でも発想はなかなか身につけられるものでもなくて、興味深い。

できるだけたくさんの発想がでてくるように、いつも柔らかい頭を持っていたい。
いろんな人とバカ話をしてるとその人の発想も身につけられるかな。
バカ話ができるくらいリラックスしている方が、私も人も発想が豊かになるよね。
バカ話できる友人はできるだけたくさん欲しいと思う鍋男でした。


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整理べた - 2001年05月23日(水)

整理べた

 資料を整理するのはとても苦手です。「やらなきゃ」と思ったことは最後まできっちりするんだけど、「この辺はまた次の機会に」と思ってた資料が山積みになってて。

 去年トリニダードに行ったときに参加した「1st. International Conference on the Science and Technology of Steelpan」のノートが出てきた。訳すと、うーん難しいな、「スティールパンに関する科学と技術についての第一回国際会議」(直訳)。私流にきちんと意訳すると「スティールパンに関する音とその科学的考察、及びメイキング、チューニングに関する技術についての第一回国際会議」となる。長すぎね。会議の内容を考えるとこうなる。

 何にせよ、このノートが出てきた。スティールパンがなっているときの振動の様子や、周波数の特性、パンの振動面の鉄にかかっているストレス、ボアパンやノーグルーブパン、Pangなどの新しい楽器の方向性から、パン及びスティールバンドの歴史、スティックのあり方まで多岐に渡る充実した内容だ。

 このノート以外にも資料はいろいろある。1997年にアメリカで受けたパン・チューナー界の権威、エリー・マネット氏の講義の録音テープ。1998年のパノラマ前の各バンドの練習場を廻って録音した本番寸前リハーサルのテープ。向こうで実測したセコンド、ギター、チェロ、テナーベース、ベース等、各パートの音型。クロームショップの取材記事、トリニダードの生活文化に関する記録。数々の写真、インタビュー記録。パンをまじめにやろうとしている人なら、うちで100時間過ごしていても飽きが来ないぐらいの量の資料が山積している。

 今、私のウェブサイトにUpしているのはそのうち1%ぐらいだろうか、5%ぐらいだろうか。少しづつ整理して、Upしていきたいと思う。まったくパンの事、トリニダードの事を知らなかった人でも、彼等の事を愛せるようになると思う。

 ちなみにこのページも「日記」の形を取っているものの、私の整理の一貫として使わしていただいています。ある程度のテキストがたまったら、またまとめていきますので、お楽しみに。


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Moods on JapieTV - 2001年05月22日(火)

 5.20。私たちが武庫川の河川敷であつくはじけていた頃、15分ほどの番組が、関西ローカルのTV局で放送された。トリニダードのスティールバンドが練習をかさね、コンテストに出るまでを描いた物。その中には、パンを叩いていない人がパンに関して、どのように感じているのか、Pan Man達がどういう気持ちでコンテストや、パンそのものをとらえているのか、バンドリーダーの現実など、トリニダードの実際が忠実に描かれていて、見ていて非常に気持ちいい物だった。

 私がトリニダードでお世話になったのは、Curepe(キュレップ)という街のMoods(ムーズ)というバンド。僕の師匠はそのバンドのリーダーであり、チューナーであるリロイ・トーマスという人だ。彼は非常にまじめな人で、とてもよく働く。バンドのこと、家族のこと、トリニダードの事、そしてパンの事。全てにたいして、気を使い、よく考えている。見ているととても感心させられる。
 ただ全てがうまく廻ることはやはりまれで、どこかに歪みが出てきてしまう。たいていの場合は、時間やお金が問題になる。あまりつきあいのない人は、お金や時間にルーズな人間と見てしまうだろう。彼はストイックなまでにパンを大事にしているだけなのだが。
 彼を見ていると痛々しくさえある。私は人間的にも彼のことを尊敬している。

 この「われら地球人」という番組の放送を、私はまったく知らなかった。On Airの次の日、生徒さんがVTRを持ってきてくれたのだ。15分番組の後半しか取れてないが、Moodsやリロイの顔が日本のTVでながれているのはとても嬉しく、不思議な感覚だ。なんだか恥ずかしいようでもある。自分の身内が紹介されているような気になるのだ。

 そう、この放送は僕がお世話になったMoodsを取材した物だった。トリニダードにはもっと有名なスティールバンド、大きなバンドはたくさんある。Moodsが表の方に出るのは希である。
 Moodsのメンバーは幾度かヨーロッパに公演旅行に出ている。彼の人柄は一度知り合いになった人を離さない。この番組がヨーロッパのTVクルーによって製作されていることを考えると、Moodsが選ばれたのもまったく不思議はない。

 もちろん、人柄だけでMoodsが選ばれたとは思わない。小さなバンドだが、このバンドの音は私的には絶品である。いいバンドだと心底思う。音楽には好き嫌いはつきものなので、押しつけるのは好きではないが。1993、1997、1998のMoodsは特にメンバーがよかった。
 ちなみにこの取材(1998年の"Pan is Beautiful" というコンテストに出場)は予選で終わっているが、Moodsはこの年、決勝まで行き、6位入賞。この年の決勝が世界大会の予選になっており、他の有名ビッグバンドをしり目に、2年後の2000年記念世界大会への出場権利を獲得している。
 (もう一つちなみに、鍋男は2000年の世界大会にMoodsのメンバーとして、このコンテストに出場している。)

 放送に関しては今回先を越されてしまったけれど、いつかできることなら、日本に彼の音を紹介したいと思っている。


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せったでいったった。 - 2001年05月21日(月)

 ここ一週間ほど夏のような日が多く、すでにTシャツにビーチサンダルでうろうろしている。なんだか、すっかり夏男である。このスタイルは、トリニダードでの僕の制服のような物だ。

 今日はまた暑い日だった。朝から高校の授業があったので、とりあえず家を出た。靴下をはいて靴を履くのがめんどくさくて、裸足、ビーチサンダルで家を出た。どうせ、高校は上履き、下駄箱に靴を入れて、スリッパを履いて授業するのだ。ビーサンでも関係なかろう。そう思ったのが間違いだった。


 上履きのスリッパってのは来客用の物。町医者の待合い室にあるような、緑色のビニールっぽいスリッパ。裸足で一時間もはいていたら、汗でぬるぬる。失敗である。
 しかも、音楽準備室ではスリッパを脱いでくれといわれているので、裸足でうろうろ。かっこわりぃ。大失敗である。

 最近の男子高校生はシャツを学生ズボンに入れないで、べろりと出しているのがかっこいいようで。廊下でいかにも「生徒指導の先生」という顔をした先生とすれ違った。
 すれ違ったときに「おい、シャツをズボンの中に入れろ、きみら」と男子生徒に注意をしている。「すいません、僕、裸足です」。そそくさ。
 しかも、髪がだいぶ伸びてしまってうっとおしいので、今日はトリニダードのキャップをかぶって行ってた。学生なら、「建物の中では帽子を脱げ」と怒られてるんだろな。そそくさ、そそくさ。

 よく見てみれば、まー、こんなかっこで来てる教師はほかにいない。毎日おんなじジャージ着てくる先生もどうかと思うが、裸足もないな。やっぱり、靴ぐらいは履いて来よう。演奏の仕事で行ってるわけじゃないからね。演奏でもビーサンはどうかと思う?

 関西の人間じゃないと何のことかわからないですね、このタイトル。僕がはいてるような、ぺらぺらのサンダルをせったと言います。「草履」の事なんかな。「いったった」は標準語で言うと「行ってやった」。なにか痛い思いをしたわけではありません。



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武庫川で外人さんが - 2001年05月20日(日)

 武庫川で外人さんがめちゃめちゃぎょうさん(たくさん)集まっていた。武庫川の土手はいくつかの出店と、いくつかのステージと、これでもかっていうくらいの外人さんと、多少の日本人であふれかえっていた。
 はじめてこのイベントを見に来たときにはびっくりした。どっからこれだけ湧いて出てきたんだ(失礼)。これだけたくさんの外人さんを日本で見たことがなかったから出た感想。
 そこで知り合いのこれまた外人さんと英語で喋っていると、別に日本でもどこでも関係なくなってきてしまう。

 このパーティーは毎年この季節にやってまして、今年は初めて参加させてもらいました。3つあるステージの端っこ、アフリカンドラムのワークショップなんかをやっているアンプラグドのステージ。お客さんとの距離が短いリラックスできるステージだ。

 セッティングをしているとわらわらと人が集まってくる。にわかに演奏をはじめると、人の輪がきゅっとしまる。

ステージサイドでパンの中のスティックさばきを凝視するひと。
ビールを片手に立ち止まったまま、通り過ぎるのが名残惜しいような顔をして、斜めに立って聞いている人。
バスタオルを持ってきて、ステージ前に陣取りはじめる人。
その後ろで彼女と軽く抱き合ってステップを踏みはじめる人。

 今日はテナーとギターパンそれにパーカッションの3人でのBomb。この3人では今まで、あまり本番をやっていない。小さいけど、純粋にスティールバンドな音でした。反響のほとんどない所での演奏は、ビートがまともにお客さんの耳に伝わっているような気がして、とても気持ちが良かった。屋外、土の上、周りを囲む聴衆。これは僕が一番いい音だったと記憶している、1993年のMoluga Pan Jumboreeでの環境と一緒だった。規模は小さいけれど、こんな幸せなことはない。やっぱ、土の上で、生で、屋外で。これが気持ちいい。

 私たちの次にステージに立ったのは、セネガルの人たち。ステージサイドを指さして、「もってこいよ」と笑う。輪に入れとの事。太鼓と歌の中にパンでダイブする。大きくとると気持ちいいけど、その中身はなかなかに凝った作りになっている気持ちいいビートにのっかって、ぐりぐりやらしてもらう。すごい、すごい。このビートはすごい。お客さんもがんがん踊ってる。

 ライブ後、プールに行った日の午後のようなだるーい疲れが気持ちいい。

 今日も一日お疲れさまでした。この3人もいいな。またやろう。



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あしたは外人さんのbig party - 2001年05月19日(土)

武庫川というそこそこ大きい川が西宮と尼崎を区切っている。西宮は甲子園のあるところ、尼崎は兵庫県の中の大阪といわれる、濃いところ。ダウンタウンのお二人の育った街でもあります。

その、そこそこ広い河川敷に、この季節、毎年、どこにこんなに隠れてたんだというくらい、たくさんの外人さんが集まって、おっきなパーティーがあります。パーティーと言うよりお祭り。何百人っているんじゃないかな。とりあえずそこらへんでビール飲んだりしてるのはほとんど日本以外の人たち。日本人の方が少ないぐらい、外人さんが集まってらっしゃいます。白人さん、黒人さん、アジア系、中近東系、まー、人の顔って、こんなにバリエーションがあるのね、ってなもんです。

そのイベントではいつも大きなステージが組まれて、いろんなバンドが出るのですが、ちょっと今年出てみようかなってなわけで、エントリーしてみました。

メインステージではないのですが、明日、20日、18時からちょこっとやらしてもらいます。サブステージには電源が来てないのが残念、うちのベースは電気がいるのよ。でも逆にパーカッション、ギターパン、シングルテナーパンの3人の演奏って、もっとトリニダーディアンな感じで楽しそう。

わくわく、
わくわく。

久しぶりに外でビール飲んで、ガギッとした演奏させてもらいましょう。



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チューニング、調律  - 2001年05月18日(金)

 最終的にあの澄んだスティールパンの音を出すのは、チューナーと呼ばれる職人によるところが大きい。
 根気と知識と経験、それに飛び抜けて感度のいい耳を持っていなければ、パンのチューニングは難しい。ほとんどのトリニダードのプレイヤーに自分のなじみのチューナーがいて、自分でチューニングすることは少ない。それだけに、いいチューナーというのは、大変尊敬されている。

 「民族音楽」「ドラム缶から作った楽器」というと、原始的な物だと思われる方がどうしてもおられる。音を聞いていない時点で、「スティールドラム(直訳:鉄太鼓、英語の本当の意味はドラム缶)」というパンの別名を聞いて、荒々しいサウンドを想像されるのは仕方がない。だが、すこしでも楽器の経験がある方なら、ただの鉄板の固まりからあのきれいなサウンドを出すのに、どれだけの技術の蓄積がいるか、すぐに想像がつくだろう。
 私の場合、パーカッションをやっていたこともあり、世界中のいろいろな材料、形、原理の楽器を目にする機会も多かった。そんな中で、パンだけは、音の出る仕組みがどうしても理解できなかった。本物を見て、なんとなく雰囲気はわかったものの、それを調律するのに、どれだけの手間暇がかかっているのか、想像できなかった。

 日本で4年の間、チューニングをほとんどせずに演奏活動をしていたが、やはり無理があることを身にしみて、4年前にトリニダードからアメリカへ、チューニングの勉強をする旅に出た。ここで得た物はとても大きかった。最初にチューニングの基本的な理論を聞かせてもらって、そのとおりに音が変化することを目の当たりにしたとき、冗談ではなく、私は涙ぐんでしまったほどだった。この旅はのちに、チューニングでお困りの方が多いことを危惧して、手軽にチューニングを依頼してもらえる専門店(スティールパンショップ キュレップ、現スティールパンラボ キュレップ)を立ちあげるきっかけになった。

 チューニングの具体的なあり方については、私のwebsiteに、大まかですが書いてあります。ここでは専門的すぎるので、割愛させていただきます。

 今日本で、きっちりとしたチューニングができる人が何人いるのか、僕は知りません。話を聞いた分では、東京のプレイヤーであるH氏、千葉のショップオーナーのS氏はある程度しっかりしたチューニングができるようです。ただ気になるのは、実際にチューニングをできない人が、仕事をしているようだということ。
 数年前に大手のK楽器さんの店先に、音程、音色、共に狂ったパンが展示してあり、彼等曰く「うちの社員でチューニングのできる者がおりますので」と言い切っておられたのには、びっくりした。あれでは音程を整えるのは遠い先の話、ましては、きれいな音を作るなど夢の話でしかない。非常に残念なことだが、あれだけひどい音をチューニングができていると言える、そしてそれを売れる彼等の神経を疑わざるを得なかった。(結構な値段で売ってました) 客の方も「こんな物か」と買っていくのかも知れない。そうして粗悪なパンが日本国内に増えていくなら、とても悲しい。

 えらそうに書いている私ですが、仕事をはじめた頃は、道具がそろわず、何度も中途半端な仕事をして、頭を下げました。店の形にして3年、先日研究所の名前に変えましたが、最近になってようやく、道具や周辺の環境も整ってきて、いい仕事ができる自信がついてきたところです。先ほどのK楽器さんでもチューナーの方が辛抱強く、少しづつ、いい仕事ができるよう努力なさっていれば、今頃結構いいチューナーになっているかも知れません。
 それでも私はまだ、チューナーとしては3年坊主、チューニングしてきたパンの数はたかだか100前後、作ったパンに関しては十数個しかありません。トリニダードのチューナーに言わせれば、「ベイベー」です。

 これから長い時間をかけて、ベイベーからメンに向かって、歩いていかなければいけません。のんびり、でもしっかり着実に歩いていこうと思っております。

 なんだか決意表明みたいになってしまいました。でもこれが今日の私の思うところ。


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I was an alien. - 2001年05月17日(木)

それまで、海外旅行なぞお金持ちが行くもんだと思っていた。そんな私が、もう5回もその国に行っているのには、たくさんの理由があります。そのうちのひとつに向こうの人にすごくお世話になった、ってのがあります。
 なんでどこのだれかもわからん男を「うちに泊まれば」と言ってくれたのか。信用に対して人は信用で返そうとする。私はそのとおり、ストレートに生きた。おかげでその次もその次もずっと、お世話になることができて、僕は恩返しをずっと(少しづつ)しています。
「うちに泊まれば」だけではない。
「あの人を紹介してあげよう」
「うちのバンドの練習に来るかい」
「次のコンテスト一緒に出ようよ」
「また必ず来いよ」
「泊まるとこの心配はするな」
あれやこれや。

ずっとお世話になりっぱなしです。

 こっちで留学生の友人が何人かできた。日本は外人さんには住みにくいとこだなぁと常々思っていたこともあり、トリニダードでの恩返しでもあり、できることはしてあげたいと思う。下心があるわけではない。確かにその中には、べっぴんだし、若いし、人当たりはいいし、才能はあるし、ナイスボディだし、人気者という子もいる。うーん、好きになってしまいそう、と思ったことがないとは言わない。でもあえてもう一度言っておこう。下心はないのだよ。でもそうなったらそれはそれで。

 先日その中の一人が就職した。引越やら何やらを手伝ってあげたら、晩飯をおごってくれた。「もう学生じゃないからね」たのもしい限りです。
 就職したら就職したで、「なぜ、毎日飲みに行くのか」「先輩に挨拶したとき肩を叩いたら、機嫌が悪くなった。なぜ?」とか、いろいろわからないことがあるみたい。めんどくさいだろうなぁ、会社。わたしはそちらが苦手で自分で仕事してるわけですけど、それでもいろいろありますもんねぇ。どう説明したらいいんだろ。

 日本って大変です。独特のシステムが多くてややこしくて。私たちはそれが当たり前だと思っていますが、そんな中でがんばってる外人さんは、みんなえらいなぁと思います。
 困ってる外人さんを見たら、助けてあげて欲しいなと思います。中には悪い奴もいるかもしれませんが、ほとんどは、けなげにがんばってる人たちです。

 今晩は久しぶりにトリニダードのおかぁちゃんに電話でもしよう。こないだ母の日だったし。あ、でも、ほんものの母になんにもしてないな。


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correct! - 2001年05月16日(水)

Nikeのマーク、あるよね。タイガーウッズのおでこに輝いている、あのでっかいチェックマーク。あれは「正解」って意味もあるって知ってた?

 トリニダードでクイズを出し合っていた。「ピンポーン!、ブー」「Correct !, .., Wrong..」トリニダード人の言ったコレクトの意味が分からなかった。「Collect? me? What Should I collect?」「LじゃなくてRだよ。correct、That mean you're right. ピシュッ」って言って、空中にナイキのマークを描いた。

 日本のテストの答案用紙は「正解は○」英語圏のトリニダードでは「正解はチェックマーク」。アメリカでも多分そうなんだろうね。 ○はあんまり使わないみたい。

 ナイキのマークって美しいなとは思ってたけど、それ自体に意味があるとは知らなかった。「正解って意味も」じゃなくて、「正解って意味なんだ」みたいな気がしてきた。
 かっこいいぞナイキ、と思った1998年の年の始めのことでした。


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red mann - 2001年05月15日(火)

 昔、トリニダードのパンヤードで練習していたときの事。トリニダードについてまだ数日しか過ごしてなくて、あまりその年のレパートリーを憶えてなかった僕は、ほとんどの曲で所在なげに、見学していました。
 ある曲が始まったときに、「ナベオトコォ、この曲知ってるだろ。叩く?」と彼の使っていたパンを貸してくれました。早めのカリプソの曲です。憶えたてで、必死だった僕は、夢中で音を追いかけはじめました。パンを貸してくれた彼は、リズムセクションに入ります。
 鉄のスティックを持って、アイアンを叩きはじめました。パンの軽いスティックとアイアンの重いスティックは、全然叩き方が違ってきます。彼は刻むのがやっとって感じで、結構辛そうに叩いています。でも、決して、もたったりしません。見ると手首はほとんど動かさず、腕で叩いています。手首が痛くて動かせないのかも知れません。でもこの叩き方だと、疲労は倍にも3倍にもなります。

 10数分続くこの曲は、なれないアイアン叩きには辛いものがあったと思います。それでも彼は、ぐっと突っ込んだいいビートをキープしています。彼の顔は「もう早く終わってくれ」いわんばかりに辛そうです。でもやめるとか、リズムを簡単にするなんて事は、まるっきり考えません。きれいなビートを出すことに集中しているのが、よくわかります。
 それを見ていた、ドラマーは苦笑をこらえながら、顔で「がんばれ」とエールを送ってます。エンディングのキメにはいった時、二人は顔を見合わせて、体が大きく揺れました。

 最後の一発がびしっと決まった時。二人は一緒に飛び上がって、抱き合い、叫んで、走り回ってます。もう、ハットトリックを決めたサッカー選手の様です。なんとなく気になって一部始終を見ていた僕は、なんだかおかしくて、ほほえましくて。
 リズムセクションに背を向けて演奏していたテナー、セコンドパートのプレイヤー達は、わけがわからず、きょとんとしてるし、二人はテンション下がんないし、リーダーのおいちゃんは、若いもんの様子を見てニヤニヤ嬉しそうだし。あんまり言葉をしゃべれなかった時に経験した、心の通じる一幕でした。



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アイアン - 2001年05月14日(月)

 トリニダードのスティールバンドで、特徴的な楽器というと、アイアンがあるでしょう。
 車のブレーキドラムの形をした鉄製の打楽器 です。
 もとは本当にブレーキドラムを使っていましたが、最近は楽器として作られた物も多く見られます。

 車のパーツとしてのブレーキドラムは、ホイールの内側にとりつけられているので、普段見ることはできません。タイヤの交換などでタイヤを取り外した事がある人は、その内側に取り付けられている、鉄のパーツを見たことがあるでしょう。あれがブレーキドラムです。
 スキヤキ用の鍋の底に丸く大きな穴をあけたような形をしています。

 2キロ3キロは当たり前、大きな物になると片手で持つのも大変なくらい重い物です。トラディショナルスタイルのバンドでは、これを片手で持って、もう片方の手で叩きながら、練り歩きをするんですから、大したもんです。

 この分厚い鉄の鍋を、かねのスティックで叩くと、かなりやかましい音になるのは想像するに難くないでしょう。スティールバンドは非常に音が大きく、しかも人数も多いので、リズムを揃えるには、鋭く、大きな音のするリズム楽器が必要になるんです。50人100人というバンドではこのやかましさも気にならないくらい、ボリュームがあるんです。一人で優しく叩いているパンの音とは、まったく違う、まさに「オーケストラサウンド」です。

 カリプソやソカでは、カウベルでオンビートを刻み、アイアンで細かい16分音符を刻んでいくというスタイルが、基本になっています。カウベルが「コン、コン、コン、コン」と鳴っている隙間に「リキチキ、ンキチキ、タキチキ、ンキチキ」という感じです。
 鉄のスティックはいろんな物を使いますが、日本で簡単に手にはいるものであれば、長いボルトがいいでしょう。軽めのいい音がします。ちなみに僕好みの音は、もう少し重めのスティックでたたいた、ガシッとした音です。スティックが重いので、太鼓の経験のない人が、変に手首を使って叩くと、手首を痛める事もあります。素人さんは無理をなさらない方がいいかも知れません。

 普通のバンドでは両手で叩くので、「16ビートを叩きっぱなし」という事になります。しんどいわ、飽きてくるわ、気を抜くとすぐにずれるし、ずれたらみんなににらまれるしで、責任が重いわりに、つらいだけ、という人もいます。でもアイアンがいいバンドは、いい感じになるんですよね。

 速いテンポのカリプソや、ソカの曲をするときには欠かせないアイアン。スリリングな演奏か、のんびりした感じにするのか、アイアン一つでかなり音が変わります。この楽器がなきゃ、やっぱり雰囲気がでませんね。


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いらないとおもうもの - 2001年05月13日(日)

わたしコンビニ弁当ファンです。利用率は高い方だと思います。いっつも食べてから「しまった」って思いながら、新しいのが出るとつい買ってしまう。踊らされてるなと思います。


弁当を買うときは、たいてい、作るのもめんどくさいぐらい急いでるのに、朝から何も食ってなくて劇的におなかすいてるという状態が多く、たいてい急いで食べます。


ふたを取ったときに、食材の上にぺらっとかけてあるセロハンもいらないかと思うけど、あれは「ぴっ」と手で取れるので、そんなに面倒でもない。でも、あれは。





食べ進むうちに、これをどけなければ下の食材の総量が把握できないやつ。




で、横に置いたら置いたで、別の食材を隠すので、今度それを食べるときに、また移動をしなければならないあれ。




しかも、うっすーいからハシでつかみにくくて、移動のたびに面倒なあいつ。




んで、指で捨てようとすると、コロッケのソースが裏についてて、手を確実に汚してくれるんだ、ちくしょうめ。




 結構たくさんあると思った唐揚げの下のキャベツが、実はアゲゾコの上にわずかに敷いてあっただけだったという事を思い知らしめてくれる、あのほら。













バランって、
もう、じゃま!




緑色の、ぎざぎざの。













どっちかというと、多く見せようとするコンビニ弁当の盛りつけに対して、腹が立ってきたみたい。

でもバランが実際に、アゲゾコに対する怒りを倍増させている事だけは確か。





コンビニ弁当企画のお人。もし見ていたら。



アゲゾコはしょうがないかも知れない。


でもバランは、いらない時は入れないで下さい。



僕コンビニ弁当食べるときはいつも急いでるんです。



邪魔なんです、あの小さな存在が。










その前に急いで食うのやめるとか、

嫁さんさがして、めしつくってもらえ、鍋男。(泣き)






今回はかるーく健さんテイスト、使わしていただきました。


いうときますけど、ご本人の方が100倍おもろいです。

きょうのもすごいや。


念のためもう一度、リンクはこちら。


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大阪の公園で - 2001年05月12日(土)

出先で少し時間をあまらせてしまって、車の中で仕事をしていた。天気のいい日で、わざわざ狭いところでこもっているのもアホらしくなって、すぐ脇の公園に書類を持っていって、書き物をしていた。

ハトがトルトルいいながら僕の周りをうろついている。
ブランコのキーキーいう音。
すべり台で悪さをしているやんちゃ坊主。
赤ん坊をあやす母親。
藤棚からいきなり落ちてきて書類にしがみついている名も知らない小さな小さな虫。

周りをせわしなく走り去っていく酒屋の車と対照的な、公園はちょっと懐かしい空間だった。
サラリーマンが斜めに公園を横切っていく。
シーソーで遊んでいる子供を見て、少しだけ表情がゆるむ。
公園から出ていくときには、後ろ姿はもとの足早な物に戻っていた。
ここは気持ちを解放させた者だけが、何かを許される日溜まりのようだ。

最近こどもが外で遊ばなくなったと聞いているけど、この子達は丈夫に育つだろう。

なんの脈略もなく、ハトが一斉に飛び立つ。
ビビル子、動じない子、追いかける子。
見ていると、へらっと微笑んでしまっている自分に少し照れる。

「昔は突然思い立って、一人でよく旅行に行ったりしたけど、子供ができてからは、しないねぇ。時間があったら子供と一緒にいたいよ。」
そういっていた友人の顔が浮かぶ。僕が持ってない優しい顔をしていた。

子供って物の存在意義は、そんなとこにもあるのかもしれない。

聞いてます? 伊武雅刀さん、ってネタがふるいな。


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キューバの上で - 2001年05月11日(金)

くだんのカンクンで、キューバの音楽を特集した演奏があった。キューバと言えばサルサをはじめ、多くの音楽を生み出した音楽の島である。キューバの音楽については、僕は専門ではないので、多くを書くのはやめておく。だが、キューバの音楽を聴くのは大好きだ。また、アメリカに渡ったキューバ音楽、NYサルサなんぞを聞くのも、大好きだ。高校生の時にマイアミサウンドマシーンを聞いてぶっとんだ時のことは、忘れられない。あれ、これはマイアミ?

今回の音は、もっと、もとの部分、ダンソンとかチャランガというあたりだったらしい。(受け売りなので、あまり突っ込まないで下さい)。ピアノ、フルートのデュオに、今回はヘルプでパーカッションが入っているという3人に乱入。ノーテンキ系の曲で、数曲、ソロをとって、と言っていただいた。

当たり前なんだけど、普段自分のバンドでソロをとっているのと、のりがまったく違う。リズムの持ってき方が違うので、やってる「気持ち」が全然違う。自分でもびっくりするくらいフレーズがあふれて出てきた。
こいつぁ、おもしろい。いままで、カーニバルチューン(トリニダードのバンドで、カーニバルのために演奏した曲)とかで、自分の中に積もってきていたフレーズが、じゅるじゅると出てくる。

ラテンアメリカは広い。ブラジル、アンデス、ベネズエラ、トリニダード、ジャマイカ、ドミニカ、キューバ。全部を一つにまとめて「ラテン音楽」と呼ぶこと自体に無理がある。もう少し狭くして、「カリビアン」と呼べるカリブ海の島々の音楽でも、それぞれの音楽は、まったく違う個性を持っている。
こういう音の上でやったことは、正直今まであまりなかった。やっぱり、リズムの濃いのはおもしろい。
もちろん、今回ご一緒させていただいた方達が、とてもいい音楽の人たちだったことは、とても重要だったと思う。でもこんなに、自分が刺激されて、つつかれて、今までになかった新しいものがでてくるとびっくりしてしまう。

かといえ、うちのバンドのトリニーもののリズムは、これまためちゃめちゃ濃い。僕自身がそれになれちゃってるのだ。だから、逆に、あまりトリニーものを聞いたことがなかった人たちが、僕らの音を聞いて、こういう風に思ってくれているのだとすれば、こんなに嬉しいことはない。

 「やってる本人が一番楽しんでるかも知れません。申し訳ない。」
やってて楽しいと思えるのは、しあわせだと思うし、そうありたいと思う。
キューバの音の上で、ほんとにそう思える一晩でした。


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すばらしきかな、技術大国日本 - 2001年05月10日(木)

 うちは狭い。台所のスペースもできるだけ有効に利用したい。そこで、出しては片づけるというのを徹底しています。ここ二年ぐらいはオーブントースターまでしまうようになりました。トーストを焼くときだけ出してきて、コンセントをつないで。ご飯を食べ終わる頃には冷めているので、また戸棚の中にしまってしまうようにしています。

 どうも一人で仕事していると、パソコンを入力しながらパスタをゆでたり、ご飯を食べながら書類に目を通したり、仕事と生活の切り離しがうまくいきません。

 こないだ、二、三日前のこと。台所で楽譜を見直しながら、あつあつのサンドイッチをほおばったりしていました。食べ終わって、まだほんのり暖かいオーブントースターを戸棚の中にしまいました。まな板を洗ったりしていると、どこかから「ピピピピ. . . .」というかぼそい音がします。
 ケイタイの音なんですが、やけに音が小さい。あっちこっち探してみたら、ありました、オーブントースターの下にへばりついて。ケイタイの裏面に付けていたマジックテープが溶けてしまって、それによってトースターの底面に貼り付いている模様。液晶が変色して弱々しく「ジュウデンシテクダサイ」と表示しています。あーらら、つぶしたかなぁ、とトースターからひっぺはがしてみましょう。

 アンテナ部分は周りが溶けてべろんと拡がっており、アンテナがのびない。一旦溶けて、くっついてしまっている。下の方のバッテリーの所は比較的ましで、ほとんど変形はないけれど、スピーカー、memoボタンなどが付いている上の方は激しくひび割れが入り、所々妙な膨らみができている。その表面処理の見事な不気味さは、キカイダーの悪者を思い出させるものがあります。

 電池は温度が下がればちゃんと動くかも知れないけれど、液晶とか、中の電子部品はダメかぁとは思いつつ、まずはちょっと冷やすかな。

 常温に冷めた頃に見てみて驚いた。液晶がもとの表示に戻っている。バッテリーの表示は満タンを指している。試しに自分のNTTの電話回線にかけてみる。まったく問題がない。驚いた。
 裏面のmemoボタンは、回線がつながっている間、蛍のように光るようになっているのだが、こいつもちゃんと動いている。
 大したもんだぞ日本。こんな実験をしてから世に出した商品ではないだろうとは思う。しかし、これだけえげつない見た目になっても、まだ動いているケイタイを見ていると、この中の一つ一つの部品全てが、優秀なものであるからこそ、このケイタイという一つの商品が動いているんだなと思わずにはいられない。

 どーせ、そろそろ縁を切ろうと思っていたケイタイだったので、あまりショックではなかったけれど、動くとなれば、手放すのは少し惜しくもあります。ただ、見た目のグロテスクさはなかなかのもので、あまり自慢できるものではありません。
 技術をほめてはみたものの、やはりこのケイタイはそろそろ手放そうかと思っています。


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全音階鍵盤 - 2001年05月09日(水)

 むかーし一度だけ特許を申請しようとしたことがある。結果は「すでに特許がとられています」といわれて、鍋男は特許持ちにはなれませんでした。だめだったけど、アイデアはとても気に入ってるので少しご紹介したく思います。少々おつきあいのほどを。べべんべん。

 その名もホールトーンスケールキーボード。これだけ聞くとわけわかんないですね。しばらく専門用語が続きますので、音楽理論の知識をお持ちでない方や「めんどくさい」という方は一段飛ばして、↓マークの所からお読み下さい。

 鍵盤楽器はC調のスケールを下の段(白鍵)に、それ以外の五つの音を上の段(黒鍵)に配置してある。五線譜におけるナチュラルの音が白鍵で、シャープやフラットがつくと黒鍵に来るというのが根本的な作りになっている。
 4th and 5th Styleのパンを叩いていると、スケールやコードが形でおぼえられて、非常に音楽の理論を理解しやすい。僕はとてもたくさんの理論をパンから教えてもらいました。それを考えると鍵盤というのはなぜこんなにわかりにくく並んでいるのだろうと言うのが、このホールトーンスケールキーボードを考案するきっかけになりました。
 和音やスケールを考えているときに、「音楽はドレミではなくて半音でできている」と考えた方が、わかりやすいときもあります。では白鍵と黒鍵を均等に一列に並んだものの方が音楽的に正しいのではないか。要するに白鍵の大きさのものがずらーっと並んでるだけで、交互に黒く塗られてたりするわけです。「メジャースケール(長音階)は、全全半全全全半で移動していく」とおぼえていれば、ずらすだけで誰でも自在に調が動かせます。和音も同じく、非常に楽になります。
 でもこれだと一オクターブの幅がとっても広くなってしまって、とても不便です。

 ↓
 では、上下上下の交互をずーっと続ければどうなるでしょう。白黒の塗りはそのままにしておくと、下の段で白鍵が三つ続くと、次は大きい黒鍵が三つ続いて元に戻ります。逆に上の段は普通に黒鍵が二つ来てそのあと小さい白鍵が四つ続いて元に戻ります。文章で書いてもよくわかんないから、絵を出してみようとするんですけど、ちゃんと出てるかな?





 これで演奏すると和音やスケール、調の理解がとても楽になるんですけど、鍵盤屋さんは多分、こんな商品出してくれないでしょうね。
 ちなみに僕が申請しようとした時に、「特許がとられている事柄」のリストを渡されて、その中にこれを発見しました。確か1997年だったと思います。それよりも10年ほど前に愛知県かどこかの方が、この特許をとられていました。名前はホールトーンスケールキーボードではなかったように記憶しています。
 このアイデアが出てからこれだけたっているのに、まだ商品化されてないのは、特許料を高く設定しすぎて割に合わないか、企業側がまったく出す気がないのか、のどちらかでしょう。売ってたら絶対買うんだけどな。こんな便利なもんないですけどね。

 昨日の反省はなんだったのか。そのままの流れで来てしまいました。あしたはちょっと軽くいこー。


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なんで黒いのんがないの? - 2001年05月08日(火)

 うちの生徒さんから下のようなメールが来ました。
「師匠、お暇な時にで結構ですので、お答えを」と言う内容だったので、
暇に任せて書いてみました。
おもしろいのでそのまま、皆さんにも読んでいただこうかしら。

なべおとこより返信:
>姪っ子が、「ピアノのミとファとシとドの間には、何で黒いのが
>ないのん?」って妹に質問したそうです。
うーん、不自然に見えたんでしょうね。

>妹は何て答えたらいいかわからなかつたので、「ないもんはない
>んや!」とヤケクソで答えたそうです。
これは正解。でも納得できないよね。

>こういう時は何て言ってやったらいいのか、と言う質問を今度は
>私が受けましたが、私にも判る筈がありません。
なにー、わかるはずがないとな。それはいかん。
説明の仕方がわからないならしょうがないけどね。

「そこに黒いのがない理由」は「他に黒いのんがある理由」の裏返しですから、こいつは簡単には説明できないでしょうね。
 僕が普段よく言っている「音楽はドレミではなく、半音階でできている」
という事を根底に一度しっかりと考えられてはいかがでしょうか。

 姪っ子さんに転調のシステムをお教えするといいでしょう。
パンでなくてもピアノでもできるでしょう。
まずは何も弾かないで何かの曲(チューリップとか)を歌ってもらって
そのキーを確定、ピアノで弾いてみる。
「あなたのドレミはどのドレミ」ってなかんじ。
結構人によって違う物です。
例えばそれを全てCキーに移動して唄ってみる。
そうやって半音階と全音階の組み合わせで
スケールができていることを、理解してもらうといいでしょう。

難しそうな事のように感じるかも知れませんが、
これは感覚の話ですので、理論で説明するのではなく
音を聞いてもらえば、わかってもらえるでしょう。
それには幼いから理解できないという事ではないように思います。
うまく説明する必要もありません。
いろんなキーを、彼女自身に見つけてもらうのが、一番いいでしょう。

こういう素朴な質問をぶつけてくると言うのは
とても「音楽」や「ピアノ」に興味があるんだと思います。
今日答えを提示する事に固執せず、
根本の所から丁寧にわかってもらって
彼女の興味を大事にしてあげて欲しいなと思います。

:以上
学校ではどう教えているのでしょう。もしどちらかに音楽の先生がこれを読んで下さっておられたら、こんな返事でよかったのかご意見いただけませんか。

今日は少々専門的すぎましたか。少し反省。


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Rubber tape wrapt Sticks - 2001年05月07日(月)

シリーズ・スティック概論

・巻きゴムについて・
 しばらくさぼっておりましたが、今日で概論としては最終回。ネタはつきないのですが、きりがないので、芯の話だけで今回は終了しておきます。最後の話は巻きゴムのスティックについて。

 トリニダードの人はとてもスティックを大事にしています。Andy Narrel(これはアメリカの人)という人のアルバムの写真にスティックがはっきり写ってないのを見て、「スティックのゴムの部分はみんな人に見せたがらないんだ」と説明してくれた人がいました。「ゴムの部分が音を決めるからね、秘密なんだよ」と。
 そんななかで僕は彼等にいい音のするスティックの作り方を教わりました。バンドの一員として扱ってくれていたからではないかと思います。感謝。

 それももう8年も前の話です。もう時効でしょう。ここでみなさんにもご紹介したいと思います。話してしまうと大した内容ではないのですが。
 彼等の使っているゴムは食器洗いの時におかぁさんがするゴム手袋です。あれをテープ状に切って、スティックの先端にきれいに巻いていきます。巻きの強さを加減することによって、スティックヘッドの硬さを調節することができます。巻きの回数で、ゴムの分厚さを調整します。最初硬めで、最後柔らかめ等々、いろんなバリエーションを駆使すれば、いろんなタイプのスティックを、これで作ることができます。また、何種類か作って試してみると、同じパンでもびっくりするくらい音が変わるのはなんとも楽しおすえ。

 二、三本違う厚さ、硬さの物を作って、スティールパンを叩いてみて、その中のお気に入りの奴にさらに手を加えていく。そうやってあなたのパンに一番合うスティックを作って欲しい。すべてのパンプレイヤーにそう思います。
 パンは一つ一つ鳴りも響きも違います。高音がこもる奴があれば、低音がびんびん響くのもあります。そのパンにあったスティック、その人の叩きかたにあったスティックというのがあって、当たり前だと思うのです。

 ここでわがSteelPan Lab Curepe/パンラボ・キュレップおすすめのゴムを。
テナー用にはダンロップの「天然ゴム極薄てぶくろ」。薄いのですぐにダメになってしまいます。僕は2-3ステージごとに新しい物と交換しています。めんどくさいんだけど音は上々。いまの僕の一番のお気に入りです。


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高槻Jazz Street - 2001年05月06日(日)

行って来ました高槻Jazz Street!
あーえら。(あーしんど、ふう疲れたの意)
しっかしすんごいイベントね。かど曲がったらどっかから音が聞こえて来るんだもん。
街が一つの大きなコンサートホールみたい。
やってる方も大変だけど、見る方も大変よ。

一つめのステージ、駅前・噴水がある広場の特設ステージ
前のバンドを見てたお客さんが、すっとひいたので、
やっばーと思ってたんやけど、気がついたら正面の階段やら、
噴水のまわりやら、みなさんじーっとこっちを見てくれてはって、
なかなかのいい感じ。ちゃんとしたかんじでできました。

そして移動。
スーパー引越君2号も大活躍。でもこいつ、うるさい。
アスファルトの上転がすと「ごぉぉぉぉぉgggぉぉぉお」って。
近所の皆さんすいませんでした。でもとりあえず器材移動は無事終了。
すでにあせだく。

二つ目のステージは、Marinnaという小さな喫茶店。
セットされているドラムセットを端っこによけて、
無理矢理に楽器を入れていく。こいつは大変だ。
こちらのお客さんは僕らを目当てに来ていただいていたようで、
しっくりと演奏させていただいた。
静かなのからやかましいのまで、ぐりぐりやって無事終了。

あーでもせっかくやるなら、もう少しいろんなとこで、遊びたかったな。
今回は初参加と言うことで、控えめにさせていただいたのですが、
来年出るなら、もうすこしいろいろ考えたい。
この感じなら4箇所ぐらいやってもいいかも、と思いました。
初めてのお客さんの前でやるのって、新鮮でやっぱり楽しい。

おーめちゃめちゃおなかすいたですー。


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スーパー引越君2号 - 2001年05月05日(土)

 今日5日と明日の6日に大阪のT市でJazzストリートというイベントがある。今年で三回目を迎えるこのイベントは、T市駅前を中心にライブハウス、カフェ、ストリートなど20ヶ所の会場で、150ものバンド、ユニット、ソロプレイヤーが集まり、200回以上のライブステージを行うという物。全てのライブは入場無料で去年は5万人の人出があったという。
 urlはこちら
http://www.0726.com/jazz


 今年、締め切りぎりぎりに エントリーさせてもらい、初参加します。「え、鍋男ってJazzもするの?」という疑問もおありかと思います。私、鍋男はJazzmanではございません。あえて言うならPan Manでございます。でもJazzも好きですし、Jazzmanの方がよくされる曲を、鍋男風に演奏することも、よくします。という事で、すこーしJazz風の楽曲を演奏させてもらって、こゆーいカリブ物をずいずいと演奏しちゃえと思っています。カリビアンも多々Jazzからの影響を受けて、そのアレンジにたくさんの影を落としています。アメリカ→カリブ→日本のルートを聞いていただければと思います。

18:00-18:40 阪急T市駅前 噴水前広場
19:00-19:40 カフェMリンナ

 問題は18時からのステージが終わってから、19時からのステージまで、20分しかないのよね。徒歩約5分の距離だけど、人出が多くてごったがえしてるし、大丈夫なのか?多分普通のJazzの人たちなら、少し急げば問題ないんだろうけど、うちの場合、パーカッションのセットからパンから、音のでる物は全て自前だし、でかいのばっかだし。「演奏の仕事なんか引越屋なんかわからへんな」と普段から言ってるくらい、器材の量が多いのよ。
 で、今回以前から考案していた器材移動台車「スーパー引越君2号」を製作してしまいました。普段でも一つづつ小さな台車で運んでいたのですが、今回のは一回り大きな台車のまわりを金網でぐるっと囲んで、コンガを載せて運んでもこけないようにしました。ダブルギターパン、テナーパン、コンガ二本、Eベース、スネア、小物、スタンド類、等々、ほとんどの器材はこれ一つでのってしまう優れ物。しかも折り畳み式で車の中でも小さくなる。うーん、鍋やん天才。自画自賛。

 ステージはもちろんご期待あれ。JazzStreetという事で新しい音も少し入れたりしています。それプラス、この「スーパー引越君2号」も一見の価値あり。パンとは関係ないけどね。


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Universal Walk にて - 2001年05月04日(金)

 こないだから何回か話に出てきているトリニダーディアンのAさんが、Universal Studio Japan の横のショッピングモール「Universal Walk」でイベントをやるというので、見に行きました。駅をおりる前からなんだか違和感が。大阪もこてこてに煮詰まった所に、非常にイマドキを意識したデザインの駅、街、店、、。まーね、夢見に行ってるんだからね、これぐらいじゃないと。でもなーんか笑っちゃう。横におっきなビルも建築中でした。ここはもっと大きくなって、「夢のような街」ができるんだろな、と思ったら、とても不思議な気持ちになりました。

 さて、Aさん、ストリートでの演奏だったんだけど、相変わらずいいステージ。カタコトのMC(曲間のしゃべりの事ね)もかわいらしくて、いい感じで盛り上がってました。ここ一ヶ月ほどで3-4ステージを見てるんだけど、この人どんなとこでも、場所にあわせて、しかもAさんらしくうたうのね。すごいわ。

 駅に近い側にHMVがありました。最近CD屋さんにも寄っていないのでいい機会とばかりに、くるっと一周。端っこのWorld Musicのそのまた端に「スティールドラム」のコーナー発見。HMVとはいえ、観光地のお店。ちょっとマニアな物はほとんどないような、売れ線一筋のようなこんなとこで、こんなコーナーができるほどスティールパンのファンの数も増えてきているのだなと、実感。もう、マニアの物ではないということですよね。

 そこでThe Esso Trinidad Steel Band を見つけた。音源は、ずいぶん前に知り合いからまわしてもらったのだけど、なかなか探しに行けなくて、買い損ねていたCDだった。僕の中では結構なお気に入りの方である。71年の物なのでチューニングとかまだあんまり整いきってない感じだったりするんだけど、「そんなのもうどうでもいいっ」てぐらい、みんな楽しそう。そのへんはプロデューサーのVan Dyke Parks 大先生の手腕なのでしょうか。スティールパンの音を初めて聞いたときのうきうき感を久しぶりに思い起こした一枚です。結構手に入りやすいので、「なにかパンのCDが欲しい」という人にはおすすめかも。


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スペアリブの煮込み - 2001年05月03日(木)

 今日は知り合いのバーの7周年記念パーティー。でもなかなか手が空かなくて、買い出しに行けたのは5時を少し廻った所だった。ここのパーティーはいつも各自一品持ち寄りなのだ。どこかの総菜屋のお気に入りを買ってくるのも、アリ。気に入ったスナックを持ってくるのも、アリ。でも作ってくる人が結構多い。料理を全部、店側で用意するのが普通だけど、なじみの連中が集まって、それぞれ自慢の一品をあーだこーだいいながら、飲むのは楽しい。で、みなさんなかなか達者でらっしゃるので、おいしい物ばかりがそろう。大変満足。そんなだから、作るのにも少々気合いが入る。作りなれてない物に手を出すときは母親に電話したり、一度ためしに作ってみたり。「そこまでせんでも」という話です。でもそれが楽しいのよ。「うまいやん!」って言われると素直に嬉しいです。
 今回は中途半端に忙しいので、タイトルどおり「スペアリブの煮込み」。むかーし、少しだけコックをしてた事があって、その時のお店の定番メニューの一つ。(ずるいなぁ)
 作り方はめっちゃ簡単。日本酒としょうゆを半々、大量に鍋にほりこんで、一本づつに切り分けたスペアリブ、生姜のすりおろし、にんにくのすりおろしをばさっ。あとはひたすら煮込むだけ。油が大量に浮いてくるので、マメにすくうとすっきりとした味になります。上と下を混ぜ返すこともときどきしましょう。じゃないと上はギトギト、下は味がこーくなります。
 何回かやってなれてくると「もう少し柔らかくしたいけど、このまま煮ると味が濃くなり過ぎるから、少し水を足して」てなこともできるようになってきます。今回ひさしぶりの鍋男は、タイミングを見逃して、少し濃い味になってしまいました。ま、酒のあてだから濃いめでちょうどかな。

 煮込みながら仕事してたら、においに刺激されて、おなかすいてすいて。まだ味のしみてないのを二、三本、味見と称して食べてしまう。あまりのうまさについご飯が欲しくなる。煮込みができて店に持っていく頃にはそこそこおなかがふくれてて、、、、。
 といいながら、店でもいろんなもの食べましたよ。みんなおいしいんだもの。一番のヒットは「中華ちまき」。よくよく聞くと「おかあさんが中華料理店をやっていて」。ここにもずるい人が。でも、今度その店は攻めてみよう。ほんとうまかった。


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The Theme of I High school Pan Groove - 2001年05月02日(水)

 去年の冬が来る前だったと思う。
 F市に住んでいた頃の友人が訪ねてきて、TVのCMを作るのに協力してくれと言う。彼は今、F市のローカル局でプロデューサーをしている。基本的にはパンを全面に出して、という話だった。いろいろ話を聞いて、段取りを考え、だいたいの予算を提示してから、後日、そのCM用の30秒の曲を作って、デモテープにして送った。ずいぶん長いことかかって「結局ダメでした」と言ってきたのは4月の中頃だった。仕事としては流れてしまったけれど、大きな仕事の段取りを考えるのは楽しい。

 で、浮いているのがこの30秒の曲。自分的にはとても気に入っていたので、どこかで使いたい。でも自分のために作った曲じゃないので、なんとなく誰かにやってもらいたい。しかもスティールパンで。30秒の曲だけど、ちゃんとイントロもAメロもある。あとはもう少し手を加えて、いっちょ前の曲にしていこう。
 という事で、いいこと考えた鍋男。僕が非常勤講師として行っている、I 高校の演奏法のグループにあげることにした。勝手を承知で、彼等を「I Pan Groove」と名付け、この曲のタイトルは「The Theme of I High School Pan Groove」とそのままつけた。I Pan Grooveのみなさん、お気に召さないときはそう言ってね。

 先週末の金曜にこの曲の頭の部分を少し教えた所で連休に入ってしまった。まるまる一週間授業がない。もぉ、忘れてるだろなー。


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