天使に恋をしたら・・・ ...angel

 

 

rythm of grace - 2004年09月26日(日)

あの人と話した。水曜日の夜。
「行くの? 行くの? デュランデュラン見に」ってあの人はコーフンする。
「わかんない。6時からだから間に合わないと思うし。新しい CD、 10月5日発売なのにその日に買えるんだよ。買ったらサインしてもらえるんだけどな」「いいなあ。サインしてもらったのちょうだいよ」「バカ、だめ」。「Astronaut 」、早く聴きたいなあ、ね。って言ったら「ね」のところであの人とハモる。プロモーションなんかじゃなくてコンサートに行きたい、ね。って言ったらまた「ね」のところであの人とハモる。Reach up for the sunrise~♪ って、どこのサイトに行っても流れてて、覚えちゃった。あの人も知ってた。当たり前だけど。


木曜日にはデイビッドは電話をくれて、すこしだけ話して、金曜日の夜にはわたしはポーリーンを訪ねて行った。ポーリーンの目は順調に回復しつつあるけど、ポーリーンは相変わらずディプレストで、わたしはダイナーに連れ出して一緒にごはんを食べた。ディプレスト。ディプレスト。ディプレスト。ポーリーンのディプレションは鬱々になって何も喋らないんじゃなくて、喋りまくる。ただひたすらディプレシングなこと。吐き出したいのが分かるから、わたしも一緒に喋りまくる。そしてわたしはディプレスト気分が移ってぐったりくたびれてしまう。それでも行くのは、行ってあげたいから。手術のあと、ジェニーが仕事終わってから何度も訪ねてくれて、わたしはほんとに嬉しかった。わたしはピアノも弾けて本も読めてコンピューターも使えたけど、ポーリーンはなんにも出来ない。

またミッドナイトまでポーリーンちに居て帰る。


昨日、お昼過ぎにマジェッドから電話があった。「これからルーズベルトフィールドに買い物に行くけど、一緒に来る?」って。長いこと行ってなかった。ルーズベルトフィールド。先週ジェニーのバースデーにディナーに行ったけどプレゼントをまだあげてなかったから、ちょうどいいと思った。

今日からラスベガスに休暇に行くマジェッドは、それ用なのか奇麗な色のシャツ2枚とブラックのパンツを買って、わたしはジェニーに、バナナ・リパブリックでレパード柄のグレイのカーディガンとギフトカード100ドル分を買った。併せて200ドル。お金を払うとき汗が出たけど、ケガで休んでるあいだジェニーがわたしにしてくれたことを思えば、まだ全然少ないくらいだ。

マジェッドとレストランでテイクアウトしてから、マジェッドんちに行く。ほんとはレストランで食べたかった。そう言ったのに、うちでビール飲みながら食べたいってマジェッドが聞かなくてそうすることになった。

マジェッドのおうち=カダーのおうち。
カダーのお部屋はそのままになってて、だけどもう何も感じなかった。相変わらず素敵なおうちで、ただなつかしかった。サルサを聴いてレゲエを聴いて、マジェッドがレゲエ踊ろうって言ったけど、踊らなかった。タンゴ踊りに行くつもりだったのに予定が変更になって、それでもタンゴ気分でレゲエ気分じゃなかったから。マジェッドはまたわたしの髪に触れたり腕に触れたり肩に触れたりし始めるから、それがイヤで10時には帰った。


今日は教会に行った。
もう一ヶ月以上行ってなかった気がする。ゴスペル・ソングを歌うと気持ちがすうっと溶ける。パスター・ピートのお話は、Matthew の11章の終わりのとこだった。

Come to me, all who are weary and burdened, and I will give you rest. Take my yoke upon you and learn from me, for I am gentle and humble in heart, and you will find rest for your souls. For my yoke is easy and my burden is light.

なんて優しいジーザスの言葉。
わたしのこころがデイビッドに繋がれてるくびきは、なんて重くて苦しいんだろう。だけどわたしには離せない。それでも神さまが安らぎをくれるなら、ジーザスへのヨークにすがってデイビッドに繋がれるくびきに耐えられる。それがいつか軽く優しくなることを信じて。そう思った。

パスター・ピートは言った。ジーザスが教えてくれるのは、優美のリズムだって。「僕は音楽の中に神さまがいると思う」っていつだったかデイビッドが言ってた。わたしは今、不協和音だらけのリズムのない不快な音楽に押しつぶされそうになってる。美しい音楽を愛するデイビッドはときどきそういう不快な音をわたしにぶつけて、多分わたしもおなじことをデイビッドに返してる。わたしが最初に投げつけて、デイビッドがそれをわたしに投げ返すのかもしれないけど。どっちかっていうと、そのほうが正しい。

うちに帰ってピアノを弾いた。たくさん練習した。
美しいクロード・ボーリング。デイビッドと早くまた一緒に奏でたい。穏やかに、幸せに。



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似てる - 2004年09月22日(水)

フィロミーナが明日、肩の手術を受ける。それから当分お休みする。
うちの部署はオカシイ。同僚たちが次から次からそんなのばっか。わたしを含めて。
わたしが足のケガをする前は、アニーのオフィスじゃない方のアニーが悪性の腫瘍で入院して、わたしと重なって6ヶ月お休みした。キモセラピーとラディエイションに通いながら。

採用された新しい病院の HR から、10月12日からの出勤通知の電話をもらう。だけどうちの病院がわたしをリリースしたがらない。ポーリーンもフィロミーナもいなくなったうえに10月の終わりには監査が入るってんだから、しょうがないと言えばしょうがない。だけど早く変わりたい。



今日は電話がなかった。

それだけのこと。

こっちからかければいいのにかけないのは、意地じゃない。
自分でもよくわからない。


わけわかんない気持ちを紛らすために、iTunes にいっぱい貯めた曲を流しっぱなしにする。なつかしい曲がたくさんあった。あの人のことを想いながらインターンに通ってた頃の曲。

昔の日記を読んでみた。

やっぱり似てると思った。
あの人とデイビッド。

いつかあの人みたいに、
デイビッドが誰かと結婚することになってそれを突然聞かされる日が来るんじゃないかってこわくなる。

あの人、まだ彼女をと結婚してないけど。
あの彼女とまだ続いてるのかも、もう知らないし聞かないけど。

ゆうべあの人に電話したけど、繋がらなかった。


明日から病院にフィロミーナがいない。
淋しくなるな。






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天使の言葉 - 2004年09月21日(火)

楽しかった。ベリーダンス。ちょっと慣れたかな、90分踊りっぱなしに。
すっごく気持ちがよくなってふわふわな気分だったけど、今日は間違えずにちゃんと病院まで車を取りに戻って帰って来た。

デイビッドが電話をくれた。まだ10時だった。明日の朝8時からヨーロピアン&アメリカンとかなんとかの会合に出るから今日は早く寝るって言って。

昨日もちゃんと電話をくれた。メールもくれた。ゆうべ買い物から帰って来たら、ナターシャが、キッチンのカウンタートップに置いてあったチェリオの箱を自分で開けて食べてたって。

何事もなかったみたいに、そうやって電話をくれて、わたしは戸惑う。

ふわふわな気分はベリーダンスだけのせいじゃなくて、デイビッドがいつものように電話をくれるせいでもなくて、絶対ジーザスだと思った。

声を聞いたわけじゃない。
メッセージが何かもわからない。
ただ、ジーザスが救ってくれた。
今朝仕事に行く車のの中で突然、気持ちがとても落ち着いた。
恋い焦がれずに、待ち焦がれずに、愛するままに、想うままに。
神さまに任せてジーザスについて行く。
神さまを信じてジーザスに導かれる。

そうだ。今朝車の中で聴いた FM のインタビュー、デュランデュランだったんだ。
もう殆ど終わりかけだったけど、最後にかかった「 Rio 」をものすごく久しぶりに聴いて、そしてわたしの頭の中で天使が舞った。

「僕の電話ばっかり待ってないで、自分の時間もっと大切にしなよ」。
いつか天使のあの人が言った言葉を、それで思い出してた。

日曜日に、もうすっかり秋の風になった公園を一緒にお散歩してるとき、デイビッドが似たようなことを言った。そのときには気づかなかった。わたしばかりが会いたくて会いたくてわたしの想いばかりが強くて、それを見透かされて咎められてるみたいで、くやしくて何か言い返した。

今朝天使のあの人の言葉を思い出して、決めたんだった。
今度の土曜日にはタンゴを踊りに行こう。夜中まで踊って踊って、日曜日にはちゃんと教会に行こう。それから午後はジェニーと一緒に過ごして、うちに帰ったら読みかけのまんまになってるアイザック・バシュヴィス・シンガーを読んで夜を過ごそう。バイブルも読もう。出来るかな。わかんないけど。わかんないけど。

うんと昔の天使の言葉。ジーザスが送ってくれたのかもしれない。あれが神さまのメッセージだったのかもしれない。


デュランデュランがね、10月1日にタイムズ・スクエアのヴァージン・レコードに来るんだよ。今朝のラジオのインタビューで言ってた。行ってみようかな。6時からだから、間に合わないかもしんないけど。うらやましい? ねえ、うらやましいでしょ?

あの人にこれから電話しようかな。


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ください - 2004年09月19日(日)

昨日はお昼過ぎまで眠った。夕方になってからランドリーをしに行って、乾燥が終わるのをうちに帰って待ってたら、デイビッドから電話。観たい映画があるって。10時までにおいでって言われて、スーパーマーケットに買い物に行ってからごはんをたくさん炊いて、買ったエビとアボカドをごはんと一緒に袋に入れて急いでデイビッドんちに向かう。日曜日のディナーに、またお寿司を作ってあげようと思ったから。

映画はよかった。「Maria: Full of Grace」。ラティノの映画で、とても切なくて痛かったけど。外国の映画はいい。アメリカ映画の数倍いい。ラティノの映画は、ラティノ・フィルムフェスティバルのあのオスカーの友だちの映画を観たときにも思ったけど、うちに秘めた強さがいい。


夜、ケンカする。
眠るときになると決まってケンカになる。
いつからか、デイビッドの腕の中が淋しい。
もうわからない。

もう、わからない。

誰か教えて欲しい。

「デイビッドといる限り、きみはボロボロになって擦り切れてしまうだけだ」。
いつかオスカーがそう言ったことは、当たってるのかもしれない。

今夜も一緒にいたかった。
一緒に眠って、ゆうべの分を埋め合わせたかった。
だけどデイビッドはひとりになりたいって言った。
そう言われると、わたしは壊れる。


デイビッドは楽しい時間をくれて、やさしい抱擁とキスをくれて、わたしのことを変わらずにとても好きだって言ってくれて、だけどやっぱりわたしとの将来は考えられないって言う。わたしにとってデイビッドは、ずっと一緒に生きていきたい人なのに。そう思うようになってしまった人なのに。


会いに行かなきゃよかった。
土曜日にはサルサのダンス・パーティに行って、今朝ちゃんと教会に行けばよかった。

取り戻せそうだったのに、やっぱりダメなのかもしれない。
わたしが我慢すれば、わたしが何も望まなければ、ちゃんと楽しい時間を過ごせる。
それだけのこと。
それだけのことで、それが哀しすぎる。

教えて欲しい。
どうしてわたしはこんなに傷つかなくちゃいけないんだろ。
どうしてわたしは、ひとりでこんなに自分を傷つけるんだろ。

神さま、わたしに知恵をください。
デイビッドとふたりで幸せになれる知恵をください。


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ゆううつ - 2004年09月17日(金)

9月14日火曜日。
仕事が終わってから、車を病院の駐車場に置いて地下鉄でベリーダンスのクラスに行く。4オンスのオレンジジュースとジンジャーエールを1缶持ってっててよかった。相変わらず難しいけど楽しくて楽しくて夢中で踊って、90分の終わり頃には目が回る。ディハイドレーション+ハイポーグライセミックの一歩手前。ほんと体力ない。お水じゃ効かない。4オンスのオレンジジュースでグルコースとポタシウム補給。汗いっぱいかいたまま外に出たら、寒かった。地下鉄の駅まで急いで歩いてぐったり地下鉄に座ってうちの近くの駅で降りたところで気がついた。車、病院の駐車場じゃん。

また地下鉄に乗って半分まで戻って乗り換えて、病院まで行く。ジンジャーエールとっといてよかった。乗り継ぎの地下鉄がなかなか来なくて、喉が乾いて死にそうだった。

うちに帰ったらもう10時をとっくに回ってた。

明日は新しい方の病院に、健康診断と雇用の手続きに行く。


ポーリーンに電話した。
落ち込んでた。鬱いでた。
わかる。手術を受けて、目がまだ見えなくてテレビを見ることも本を読むことも出来ず、何も出来ずにただうちにいる毎日。そのうえ家族の問題。

痛々しくて辛い。
一生懸命励ましたけど、こっちが辛くなる。

本当に、人生は、世の中は、不公平だ。


9月15日水曜日。
健康診断と雇用の手続き。
テタナスとMMR の予防接種を受けたせいで、ものすごく体がだるい。
HR のオフィスで、わたしと一緒に採用された女の子と偶然一緒になった。インターンを終えたばかりの子だった。彼女は9月27日から仕事を始める。わたしはまだスターティング・デーが決まらない。おなじシティ・ホスピタルのトランスファーだから、手続きに時間がかかるらしい。それに。

病院に戻ってから、チーフのアシスタント・ディレクターに話をした。
来月監査が入るから今辞められたら困るって、予想通りの反応。新しい病院にはトランスファーの手続きが完了したらすぐにでも来て欲しいって言われてるのに。わたしも早く移りたい。向こうの病院のリクエストに従いたいって返事した。でもホールドされるかもしれない。

ゆううつ。ゆううつ。
病院を変わることが正しい判断だったかどうか、まだ自信がないまま。


9月16日木曜日。
予防接種のリアクションがまだ続いてて、今日も体がだるかった。熱が出て口が乾いて、帰りにポーリーンんちに寄ってあげようと思ってたけど、やめた。

今日は母の誕生日。正確には日本の日付けじゃ明日になってしまったけど。
昨日電話したけど留守で、今日もう一度かけてみる。2時間くらい話した。

デイビッドに電話したら、体調壊してもうベッドの中だった。


9月17日金曜日。
お昼休みに銀行に行ったとき、心配でデイビッドに電話する。デイビッドは片付けたい仕事があるのとまだヤッキーな気分なのとで、今日は会えないって言われた。明日の夜にしようって。仕事が終わってからポーリーンに電話して、訪ねることにした。ポーリーンは喜んでくれた。持ってった食事を一緒に食べておしゃべりしてると、アニーのオフィスじゃない方のアニーもやって来た。夜中まで3人でおしゃべりして、帰る。

明日の夜はサルサのダンス・パーティに行きたいなってちょっと思う。
踊って、気を晴らしたい。



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ティプシー - 2004年09月13日(月)

金曜日の夜からロードアイランドに出掛けた。
ナターシャは相変わらず元気でハッピーで、だけどあとどれくらい生きられるのかわからない。右目はもう見えてないような気がする。

デイビッドはカヤックに連れてってくれた。
わたしは弟のダニエルのカヤックを借りる。
土曜日には午後中ずっと、今日は4時間。たくさんある小さな湖はすべて繋がってて、そしてどこかでそれが海に繋がってる。だからどの湖の水もしょっぱくて、まだまだヘタクソなわたしは何度も水をかぶってしょっぱい塩水を舐めた。

カヤックにナターシャを連れてけないのが残念だった。少し前までナターシャは、デイビッドの漕ぐカヤックの横を何マイルも一緒に泳ぎ続けたらしい。今はもうそんな体力はない。ナターシャ用の小さなカヤックにナターシャがひとりで乗ってデイビッドのカヤックに繋げられればいいのにと思った。

ゆったりと広がる湖はいくつも出口があって入り口があって、デイビッドの後ろについて次々と現れる湖を次々と変わる風景を見ながら、カヤックでどこまでも行くのは素敵だった。いったいどこからが次の湖でいったいどこをどの方角に向かってるのかわたしにはちっともわからなかったけど、それはほんとにワクワクする冒険だった。途中で小さな島にカヤックをつけて、島探検をした。まだ飛べない小鳥たちが水辺をよちよち歩いてたり、ブルーの奇麗なカニを見つけたり、透き通った水辺には小さな魚がたくさん泳いでた。

デイビッドと弟のダニエルのカヤックは、ハドソン・リバーのカヤック・センターで貸してくれるカヤックと違って、とてもティプシーで初めは怖かった。でもすぐに慣れた。慣れたら簡単なカヤック・センターのカヤックよりずっと面白いと思った。デイビッドはわたしの上達ぶりを褒めてくれる。デイビッドは褒め上手で、わたしのカンの良さには驚くってなんだかものすごく喜んでくれてたけど、わたしはただ、デイビッドとならなんでも出来そうでなんでも楽しくてなんでもやりたくて、それだけ。

ベイスボール。ピアノとバイオリンの演奏。ローラーブレイド。バイク。それから、カヤック。一緒に楽しめることがまたひとつ増えた。そしてずっと一緒にこんなふうに過ごしたい気持ちが、また増えてしまった。ぐらぐらなまま・・・。







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見えたらいいのに - 2004年09月09日(木)

もう3年近く前になる。
ハンサム・ドクターにふられていつまでも立ち直れなかったとき。
全然知らない人がメールをくれた。「がんばって」って。
なんかとても遠慮がちで、短いメールだったけど、嬉しかった。

わたしは彼女に彼女の日記を教えてもらって、それからずっとわたしも彼女の日記を読みながら、悲しくて泣きそうになって、嬉しくて泣きそうになって、バカって怒って、しょうがないなあって呆れて。彼女もおんなじだったと思う。メールや日記の中で、喜んでくれたり励ましてもらったり叱られたりした。顔もほんとの名まえも住んでるところも知らない彼女。

わたしはハンサム・ドクターから立ち直ってカダーに出会ってカダーにふられて、いつのまにか天使のあの人への想いが痛くなくなって、デイビッドに出会って相変わらずに幸せになり切れない恋をしてて、そのあいだ彼女はずっとずっとひとりの彼を愛してた。ひとりの彼と愛し合ってた。ものすごい重たいこと体験しながら、ものすごい葛藤に苦しみながら、罵り合いながら傷つけ合いながら、それでもちゃんと戻るべく幸せに戻ってはふたりで生きてた。それがいつもわたしの励みだった。彼女を応援しながら、それが自分の恋への励みになってた。

今でも愛し合ってる。ってわたしは思ってる。
どうしてあのまま一緒に生きてけなくなったんだろって思ってる。それは彼女のせいでもなくて、彼のせいでもなくて、多分誰のせいでもなくて、だから悲しい。

幸せになって欲しい。あのときわたしあてのメールに送ってくれたみたいに、時間が早く癒してくれますようにって、今はただ彼女に祈りたい。彼女が最後の日記に書いてたみたいに、今は強い彼女に精いっぱいの日々を送って欲しい。そしていつか、いつか、幸せだったあの日々を取り戻して欲しい。今度こそ死ぬまで一緒に生きてける人と巡り会って欲しい。

それが彼であって欲しい。あの彼であって欲しい。わたしが天国で天使のあの人に会えるように、彼女には彼と天国じゃなくてここでまた巡り会って欲しい。だってそうじゃなきゃ、嘘だから。



新しい病院が、わたしの問題解決してくれることになった。

今日、仕事が終わってから目の手術をしたポーリーンに会いに行った。
お給料のチェックを持ってってあげて、これから最低3ヶ月は休職になるから有給と病欠手当が切れたあとの障害手当の申請書類を記入するお手伝いするために。

病院を移ることを話したら、わたしがいなくなることをとても残念がってくれた。


わかんない。自分でもまだわかんない。
神さまのプランだと信じたいけど、一度はそう信じたけど、正しい選択だったのかどうか、今はわからなくなってる。

将来が見えたらいいのに。



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問題 - 2004年09月07日(火)

3連休の休日出勤はキツかった。
とりわけ昨日のレイバー・デー。ロングウィークエンドにはいつも新規の患者さんが多いけど、この週は自殺未遂の患者さんが5人も入って来た。20代前半の若い子たち。ああ、ひとりは70歳のおばあちゃんだったっけ。へとへとにくたびれた。

今日は日曜日の分の代休。
弁護士さんに会いに行く。2年半前の書類のコピーをもらいに。ちゃんと覚えててくれた。2年半前に電話でしか話したことなかった弁護さんは、会うと電話でよりずっとフレンドリーであったかかった。それから新しい病院の HR に行く。そして問題発覚。だめかもしれない。採用。ボツかもしれない。わたしにはいつもこの問題がつきまとう。わたしにはフリーダムなんてない。この国の「フリーダム」の看板の裏には無数の罠が隠れてる。

とぼとぼとぼとぼ、これから歩き慣れるはずだった病院の前の通りを歩く。デイビッドに電話したけどいなかった。携帯も繋がらなかった。

レイバー・デーの3連休は肌寒いくらい風が冷たかったのに、今日はネチネチ暑かった。暑さと空腹と不安にくたびれて、目眩がしそうだった。


時間がまだ早かったけど、どこにも寄る気がせずにそのままダンス・スタジオに向かった。クラスより1時間半も早く着いて、持ってったアイザック・バシュヴィス・シンガーの本を読んでたら、サルサのクラスメートだったエリカが来た。

8ヶ月ぶり。ケガしてダンスに行けなくなって以来。わたしの足のこと、とても心配してくれた。エリカはサルサをやめて、今ハッスルのクラスを取ってるって言った。ほかのサルサのクラスメートもみんなあのスタジオをやめてしまった。先生が変わっちゃったから。わたしもハッスルを習いたいって思ってたから、話がはずむ。初級のクラスはみんな6時からで、仕事が終わってからじゃ間に合わない。エリカのプライベートの先生じゃない方のハッスルの先生が、少しだけ教えてくれながら踊ってくれた。「サルサやってるからカンがいいよ。中級から入っても大丈夫だよ」って言ってもらえた。それでもうすっかりハッスルのクラスも取る気分。

わたしはベリーダンスのクラスにサインアップして、時間になるのを待った。ベリーダンスも、ずっと一緒にやってた二人の女の子は二人とももういなくて、全然知らない人ばかりだった。

ベリーダンスならサルサより膝に負担がかからないなんて思ってたのは、まだまだベリーダンスのことなんかわかってなかった証拠だと思った。先生は相変わらずハードで、踊りっぱなしの90分はものすごく体力消耗した。ディハイドレイトするかと思った。途中でロビーにお水を飲みに行って、戻って続けたら今度は胃が痛くなった。

くたびれてくると、手と腰と足の動きがバラバラになってしまう。姿勢も崩れてしまう。何食わぬ顔して全然バランス崩さずに踊ってる女の子たちを鏡の中の自分の後ろに見ながら、一生けんめいマネして背筋と腕を伸ばす。ぽっこり奇麗にカーブして飛び出したおなかが羨ましい。それだけはマネできない。

ああ、でもやっぱり好きだ、これ。
サルサもタンゴも好きだけど、ハッスルも習いたいけど、ベリーダンスは違う。一番苦手なのに、一番意欲が沸いて、一番気持ちがいい。一番濃厚なダンスだと思う。

戻れてよかった。


明日、新しい病院の HR に電話することになってる。採用を決めてくれた部署のディレクターが HR にかけあってくれるって言ってた。上手く行けばいい。でも「病院のポリシーだから」って HR が言えばそれまでだ。デイビッドは、もしそういう病院なら働く価値ないよ、って言うけど、移れなくなったらやっぱり残念だよ。ほんとに。だって、同僚たちともアニーのオフィスとも、フロアのナースたちともフランチェスカとも、お別れするのが淋しいなって、もうセンチメンタル気分にひたり終えたのに。


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大好きなアニー - 2004年09月03日(金)

スーパーバイザーのラヒラにだけ話してみた。
ラヒラはわたしが病院を変わることをわたしのために喜んでくれた。
B5 で仕事してるとロジャーがやって来て、おもでとうって言ってくれた。

変わったらもうお昼休みにロジャーとローラーブレイドもキャッチボールも出来ないなってちょっと淋しくなる。アニーのオフィスのアニーとお別れするのも淋しい。多分、それが一番淋しい。大好きなアニー。


面接に行く前の日にアニーに会いに行った。「ねえ、あたしがここ辞めたら淋しい?」「どこに行くのさ?」「まだわかんないんだけどね、真剣に考えてるの」「・・・。で電話して来なよ。うちの教会にもまた遊びに来な」。大きなアニーに抱きつく。「うちの教会のクワイアは最高じゃない?」「うん、最高。また行くよ」。


明日からデイバー・デーの3連休。予定通り、デイビッドはまたロードアイランドにナターシャを連れてった。わたしは3日間仕事。




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初めてのカヤック - 2004年09月02日(木)

面接は上手く行って、その場で採用をもらってしまった。

ジェニーもデイビッドも、たとえ採用されてもよく考えてから決めなよって言ってたけど、この病院ならもっとたくさん難しいケースを経験出来てもっとたくさん学べると思った。それでオーケーしちゃった。考える暇も迷う暇もなかった。すんなりそういうことになってしまった。神さまのプラン。わたしの転換期。

終わってからデイビッドに電話する。ダンススタジオに来月からのクラスを申し込みに行って、それから会いに行くことになった。夕方からカヤックに連れてってくれるって。ダンススタジオの周辺は、リパブリカンのナショナル・コンベンションの警戒体制であちこち道路をブロックしてる。ぐるぐる歩き回ったのに、ダンススタジオの通りは全く入れなくて、当然スタジオもクローズしてる。

がっかりして歩いてると、携帯が鳴る。仕事中のサマンサからだった。面接に受かってもう決めちゃったこと話したら、ネガティブだったサマンサも大喜びしてくれた。

地下鉄に乗ってデイビッドんちに行く。面接用にスーツを着てるわたしに、デイビッドはサイズを間違えて買ってはけないサイクリングパンツのショーツを貸してくれた。なんでこんなにサイズを間違うかって思うほど、わたしにぴったりだった。Tシャツも借りて、カヤックに出掛ける。

デイビッドはボランティアでパトロールをやってて、わたしはひとりでカヤックに挑戦させられる。難しかった。腕に力がなくて、とても速くなんか漕げない。ハドソンリバーの水は穏やかだったけど、時々波が立ってカヤックが揺れまくる。「デイビーッ! 怖いよおー」ってパトロールしてるデイビッドに叫ぶ。「平気平気。絶対ひっくり返ったりしないから」。そう言いながらわたしのところに来てくれて、腕の使い方やオールの持ち方や足の使い方を直してくれる。おなかが減ってのどが乾いてへとへとになった。

暗くなってから、ほかのボランティアの人たちの、ボートのおうちに招待された。
ボートのおうち。前の街にもたくさんあった。だけど中に入るのは初めてだった。こんなにいつも揺れてちゃ、わたしなんかとても普通に生活出来ない。でも、ボートのデッキでゆらゆら揺れながらのちっちゃななパーティは楽しかった。

カヤックのせいでショーツは下着までずぶぬれで、だんだん寒くなる。
デイビッドのアパートに戻ってすぐに、暑いシャワーを浴びた。

もう遅くて、泊るつもりじゃなかったけど、「今日は仕事に行ってないからおんなじ洋服でも誰にもわかんないだろ? 明日の朝地下鉄でこっから仕事に行きなよ」って言われてそうすることにした。

あんまり賛成じゃなかったデイビッドも、わたしが採用を受け入れたことを話してからはサポートしてくれる。いつから新しい病院でスタート出来るかはまだわからない。おなじシティ・ホスピタルだから、HR の移動の手続きがいろいろあって時間がかかるらしい。それに もうすぐ3年に一度の監査が入るから、チーフはそれまで辞めさせてくれないかもしれない。変わることが決まった以上早く移りたいけど、監査が終わるまで待たなきゃいけないなら、そして新しい病院もそれを認めてくれるなら、それはそれでいいかなとも思う。



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面接 - 2004年09月01日(水)

8月31日火曜日。
デイビッドのコンピューターが壊れる。今日はデイビッドは仕事をする予定だった。わたしはそれでもデイビッドのアパートにいられるだけでよくて、ナターシャと遊んでローラーブレイドして買ってくれたアイザック・バシュヴィス・シンガーを読んで、デイビッドが仕事を終える時間までひとりで過ごそうと思ってた。

コンピューターは突然完璧にダウン。急ぎの仕事の大事なファイルが、取りあえず全く消えた。デイビッドはパニックになって、あちこちに電話して修復の可能性を当たる。

一日がそうやって過ぎた。それでもランチを一緒に公園で食べたり、夕方には1時間くらいキャッチボールもしてくれた。デイビッドがコンピューターの修理屋さんに行ってるあいだ、わたしは Barns & Noble の本屋さんの中のスターバックスで、持ってったアイザック・バシュヴィス・シンガーを読んで待った。持ち込んだ本っていう証拠にって、デイビッドは本の扉に「きみが『A day of Preasure』とおなじようにこの本も好きになってくれますように。Love, Dabvid」って、買った日の日付けを入れて買いてくれた。適当に書いた日付けはあとで間違ってるってわかったけど。

夜はわたしが晩ごはんを作った。デイビッドはこのあいだうちに来たとき、父がうんと昔に送ってくれた未開封のお寿司の海苔の賞味期限切れのを喜んで持って帰ってて、わたしはデイビッドんちの近くのグローサリーのお店でお寿司を巻くすまきが売ってるのを見つけて買った。

簡単な巻寿司を作ったら、デイビッドは大喜びだった。デイビッドはお寿司が好きってより、「海苔とごはん」が大好きっていうヘンなアメリカ人。ブラウンライスを炊いたからポロポロごはんがこぼれてキレイに巻けなかったけど、細長く切ったキュウリを草みたいにはみ出させたのをいくつか作って飾ったら、デイビッドは奇麗だって褒めてくれた。病院のキッチンで貰って来たチキンはナターシャのごはん用だったのに、デイビッドも食べたいって言ったからグリルする。

コンピューターは簡単には直らない。HD がまるで壊れちゃったから、無くなったファイルを修復出来たとしてもどのくらい時間がかかるかわからない。デイビッドがどんな気持ちか分かるのに、「きみの『海苔とごはん』が僕を元気にしてくれたよ」なんて言う。それから「せっかくきみのオフの日だったのに、ちっとも一緒に遊べなくてごめんよ」って謝ったりする。「謝まんなくていいよ。Don't worry too much, David. Everything's gonna be fine. For sure」。わたしはデイビッドを抱き締めて眠った。


9月1日水曜日。
朝、そのまま仕事に行くつもりだったけど、道が思ったよりうんと空いてたから一旦うちに帰る。帰ったとたんに電話が鳴った。履歴書を送った病院からだった。「面接に来てください。今日来られますか?」。ダメ。今日は仕事。明日かあさってに仕事の時間を変えてもらって時間を作って行くことにした。

病院に着いてチーフに話そうと思ったら、今週の週末も出てくれないかって言われる。今週末にシフトが入ってるポーリーンが目の手術を受けて休んでるから、その代わりに。ふつうだったら断ってる。先週の土日働いたばかりだ。でも明日に代休を貰うことを条件にオーケーした。

お昼休みに履歴書を送った病院に電話する。明日の11時に面接。

面接にはちょっとは自信がある。もう3年この仕事をやってる。難しいケースもたくさん経験してきた。だけどわかんない。ただ、病院変わりたいなって、なんとなくずっと思ってた。こんなに突然行動起こすとは思ってなかったけど。次の病院にものすごく期待してるわけじゃないし、おなじシティ・ホスピタルだからお給料も殆ど一緒だし、もっと近くのお給料のいい私立の病院にチャンスがあるかもしれない。だけど病院を変わればいろんなことが変わる。変わりたい。変えたい。少し。もしも採用されなかったら、それはそれでいい。次のチャンスを待てばいいから。



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