西日が差したら枇杷の実を食べよう
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2002年06月13日(木) 「青春」のエネルギーを眼鏡に隠して。『キャントバイミーラブ』

お題は「最近みたビデオ」。しょうもないタイトルですね。「最近みたビデオ」。こっちの更新はいっこうに進む気配はないのですが、そうこうしているうちに、ココにカビでもはえてきてしまうと困るので、気持ちだけでも。梅雨どきだし。すみません。

最近の映画生活はといえば。これがまた地味。『ゴーストワールド』のDVDを買って、『キャントバイミーラヴ』と『ニューイヤーズディ・約束の日』のビデオをレンタルしたくらい。
おや、3本とも高校生が主人公の映画ですね。偶然ですが。しかも、みんな揃いも揃って、生きていく上でのいろんなエネルギーを全然、「発散しきれていない」風の男子、女子ばかり。でもさ。この「発散しきれていない」って、逆にいえば、未知のエネルギーを秘めているってことで、熟成を待つワインのように、なにかこう、とてつもない魔法が潜んでいるかもしれないんだよね、その中に。そんなところが、映画や文学の題材にぴったりなんだろうな、きっと。

文学といえば、いま、読んでいる本も、少年・少女もの。スティーヴン・チョボウスキーの『ウォール・フラワー』と、カポーティーの村上春樹訳の『誕生日のこどもたち』。カポーティーのこの本には、クリスマスシーズンになるたびに読み返す大好きな短編『クリスマスの思い出』の改訂訳も収録されている。カポーティーの、トゲトゲして、すべすべして、森の中にかなしみの泉を抱えているような文学は、わたしにとって、たまらなく魅力的だ、いつも。

えっと、脱線しましたが『キャントバイミーラブ』。ラストシーン、10代の男女だけが許されるような(これをオトナがやったら陳腐)「一瞬」をキレイに切り取って一枚の絵にしたようで、かわいかったです。この映画の主人公のいわゆる「オタク」風の男の子は、言ってみれば『ゴーストワールド』のイーニドちゃんの80年代男子バージョンみたいなキャラクター。二人ともメガネ使用。アメリカの高校生文化の中では、「メガネをしている子」って、日本以上に何かシンボリックな存在なのかもしれないなぁ。もちろん、あの『ゴーストワールド』とは全然違うタイプの映画だけれど、そんな小さなシンクロぶりをひそかに楽しんでしまったり。

この『キャントバイミーラブ』、黄金の「80年代アメリカ学園恋愛映画」の中でも、かなりよくできている作品だと思います。えっと、路線でいうと、さえないダメ男クンが学園一人気モノの女子と恋をする系。王道とえいば、王道ですが、わたしは好きです。

追記。主人公の弟役でセス・グリーンがでているのだけれど、これがまた、小憎らしいガキでいい感じ。


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