西日が差したら枇杷の実を食べよう
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2001年06月25日(月) 往年のディズニー映画みたいだった、『グリーンマイル』

『処刑人』のこととか、
『アメリカンサイコ』のこととか、
いろいろ、落ち着いて書いてみたいことが、
いっぱいあるんですが、
とりあえず、先日、遅ればせながらようやくみた、
『グリーンマイル』について。

とにかく私は、この映画をみてからというもの、
テレビでデーブ・スペクターに出会うたびに、
憎たらしくって、しょうがありません。

いえ、もちろんデーブは、出演してないんですけどね。
でも、デーブに似すぎなの。あの、パーシー役の人。

このパーシーなる人物。
もう殴ってやりたいほど、憎らしい典型的悪者キャラなんだけど、
なぜか愛嬌があって、素敵。

ナイスキャスティング!というんでしょうか。
トム・ハンクスにも、マイケルCダンカンにも
負けないくらい、名演だと思ったぞ、デーブ・スペクター。
(そんなに誉めるんだったら、名前くらい覚えてやれよ…)

しかし、古いミュージカル映画『トップハット』をああいう風に使うとは。
くっぅぅぅ、やられた、上手いね〜〜。
あざといって言っちゃ、あざといけど、
まさに映画の王道的つくりだね〜。
あれじゃ、イヤでも、泣くっちゅうの。

ちなみに、ナンパな作品大きらい、
映画はSFか、ホラーか、B級アクションしかみないという、
こと映画鑑賞に関しては血も涙もない、ウチのダンナのヒロシでさえ、
あのシーンをみて、大泣きしてました。

うーーーーーーーん。私の方は、泣かされたものの、
この映画、あまりに「まっすぐ」すぎて、
正直、ちょっと物足りないところも。

まるで古いディズニー映画をみているようなシンプルさ。
悪人は悪人。善人は善人。
「正しい」んだけど、もうひとひねり欲しいような。

が、いろんな意味で、
ハリウッドに、トム・クルーズと、スピルバーグがいないと
ちょっと寂しいように、
やっぱり「映画」という世界のメインストリームには、
こういう作品が定期的にあらわれ、デンと居座ってくれるのも
それはそれで、悪くない気もします。


2001年06月17日(日) Buscemiの名前

拙宅の掲示板の方にも書かせていただいたんですが、
日本未公開の幻!?のブシェミ出演映画、
『28days』のDVD版。これが、なかなか味わい深い。

特典として、
本編に合わせて、監督はじめ、編集マンやらが、
あーだ、こーだと延々、撮影裏話を、
語っているテイクが収録されているんですが、実はこっちが、
正直いって、実際のセリフ版を聞くより面白いのですよ。
失礼ですが…。

面白いといっても、
多少でも、ブシェミ&映画づくりの裏側に興味のある人なら…という
前提つきですが。

ちなみに、私はこの特典によって、
Buscemiという彼の名の発音が、地元のアメリカ人の間にも、
たいへんわかりにくいものであることを思い知らされました。

だってねぇ、
監督でさえ、撮影が終了した段階でもまだ、
ハッキリ、断言はできてないのよ(笑)、
「ブシェミ」か、「ブセミ」か…。

掲示板にも書いた通り、
「スティーヴ本人はブセミと発音しているのに、
  奥さんはブシェミと発音するのよぉ」と笑ってるだけで。

編集マンの人にいたっては、ブシェの話題を出す時に、
「なんだっけ? えっとブセミ? ブスケミ?。まぁ、いいや。
 とにかくスティーヴが…」と、
うやむやにしたまま、ハナシを続ける始末。

をいをい、自分たちが使った俳優の名前くらいちゃんと覚えてやれよ…、
と思うんですが、一方で、
こういう扱いされるのが、ブシェミらしくて、かわいいやと
妙になごんでしまったり。

が、しかし、ここでハッキリさせましょう。
本人は、しっかり「ブセミ」と言っているんで、
ブセミと呼んであげようではありませんか。

私は、カセットブックでBuscemiさん自身が、
「read by Steve Buscemi」と自己紹介している発音を聞きました。
気のせいか、ブ「セ」ミと、セの部分をやけに強調していました。

名前じゃ、かなり苦労してるのね…(涙)、ブシェミくん…、
と言いつつ私も、ついついクセでブシェミ呼ばわり。

ところで名前といえば、デル・トロは、
ベニチオとベニシオ、どっちが正式なんでしょうかね。

アメリカ人はベニシオって発音するみたいだけど、
地元(プエルトリコ)じゃ、ベニチオなのかな…。
謎だ。


2001年06月14日(木) お母さん、ぼくの帽子、どこに行ったんでしょうね。

↑のセリフで、すぐ
♪ママぁ〜、ドゥユゥリメンバァ〜が歌える人は、
そうとう古い人ですね、私も含め。

さて。今、WOWOWで角川映画特集みたいなヤツをやっていて、
「人間の証明」と、「野性の証明」をみたんですが、
やっぱり、ワンアンドオンリーだよなぁ、角川映画。

昔の作品だから、そりゃもちろん、
今みると、「ださっ」ってとこが特盛り、みそ汁付きなんですが、
なんちゅうのかしら、画面にみなぎる、独特のチープかつバブリーな匂いは、
うーん、やっぱり、「いっつぁ、カドカワわーるど!」なのよ。

エンタメ一筋。
徹底した、「芸術?、なにそれ?」路線。
かけたジャパンマネーは、しっかり回収しますぜ精神。

良くも悪くも、
それまでの日本映画とは一線を画してたってところは、
確かにありますよね。

んで、『野性の証明』。
お約束の、高倉健も薬師丸ひろ子も、まぁ、よかったんだけど、
それ以上に、他の男優陣がなかなかの見ものでしたねーーっ。

20年以上前の、夏八木(夏木)勲、松方弘樹、館ひろし、
三国連太郎、そしてそして、成田三樹夫!!!!
かっこええ!!!!!!!

夏八木氏や三国氏は、現在とあまりイメージ、
変わらないけれど、松方ひろきと館ひろし、
んもぉ、変わりすぎよ、キミたち。
まさに「昔のアナタ方は、今どこにぃ???」の世界。

とくに、館ひろしなんて、甘辛風味のチンピラ顔が、
ちょっと『ユージュアルサスペクツ』のデル・トロみたいで、
一瞬、惚れるかと思いましたもん。マジで館に。
やばいですね。館にマジ惚れは・・・。


2001年06月08日(金) たとえハエ男だって、これもまた一つの究極の純愛。『ザ・フライ』

自分が理数系にまるで弱いせいか、いわゆる「理系タイプの男」に憧れる。
それも、青白い数学者とか、パソコンおたく系じゃなく、
頭もいいが、ガタイもいい、ワイルド&タフな科学者系。
そんな私の好みにピッタリの永遠のヒーローが、
何を隠そう、『ザ・フライ』のジェフ・ゴールドブラム、である。

物体転送装置を開発したものの、
実験ミスでハエのDNAと融合してしまい、
だんだんハエへと変わっていく天才科学者と、
彼を愛する女性編集者のかなしい恋・・・。

クローネンバーグ監督のこの『ザ・フライ』(1986年アメリカ)。
公開時には映画館でもみたし、テレビで放送されているのもみた。
先日も、WOWOWで放送されていたので、また久々にみた。

そして、実感した。「やっぱり、好きだーー、この映画」。
ジェフ・ゴールドブラムびいきというのを、差し引いても、
私の中ではかなりの傑作。

何がすごいかって、まず、
たった一本の映画の中で、実にさまざまな感情を喚起させてくれること。

「怖さ」と「気持ち悪さ」と「恋愛のせつなさ」と「哀しさ」と、
そして、忘れちゃいけない「おかしみ」。
それらが、まるでカクテルのように、この一本の中に、
贅沢に、ブレンドされているのだ。

気持ち悪くて、怖くて、せつなくて、笑える。
そんな映画、ちょっと無いでしょ?

耳が取れ、口が取れ、皮膚が溶け、
だんだんハエへと変わっていく天才科学者と、
それを見守る恋人…。

そりゃ、とってもキモチワルイです。
でも、せつないんです。

見るに耐えられない姿に、変化していく恋人を、
ぎゅうと抱きしめるジーナ・デイビスの心の中を思うと、涙出ます。

が、しかし。
そんな風に思い切り哀しい純愛映画の側面もあるにもかかわらず、
こういっちゃ悪いが、笑えもするんである、このハエ男ってば。

いきなり精力絶倫男!に変身したかと思えば、
「はぁい!」なんて妙に明るいセサミストリートトークで、
自分が刻々とハエに変化していく様子をビデオに録画したり。
もっとヘンなのが、ポロポロと落ちていく自分の耳や歯を、
「ブランドル(自分の名前ね)博物館」っつー名前をつけて、
洗面所のキャビネットの中に飾っておくんだよ…、この男。

そりゃ、キモチワルイです。
でも、愛嬌たっぷりなんです。

気持ち悪さの中にある、このあふれんばかりのユーモア。
これが、「悲恋」とともに、この映画のもう一つの見どころ。

しかし、クローネンバーグって、
こういった、非現実的な、SF的設定を恋の障害に持ってくる、
悲恋モノを描かせたら、独壇場だな。
超能力者の恋を描いた『デッドゾーン』とか…。

現実には、ぜーったいそんな恋愛ありえないはずなんだけど、
クローネンバーグが紡ぎ出す世界の中では、
なにかこう、妙にリアリティーがあって、
ついつい、登場人物に感情移入してしまうのだ。

というわけで、私にとって、この映画の、
ジェフ・ゴールドブラムとジーナ・ディビスは、
ロミオとジュリエットよりも、せつない悲恋カップルなのである。


2001年06月04日(月) バターじゃなくて、マーガリンな女たち。『クッキーフォーチュン』

前回、映画の短髪美女について書いたが、
そういや、先日みたヴィデオ、
『クッキーフォーチュン』のリブ・タイラーも、
ベリーショートで、それなりに可愛かった。

が、しかし、この映画のメインは、
残念ながら、彼女ではないのよねーー。
(パッケージには、ものすごくメインっぽく写ってるけど)。

では、誰がメイン女優かというと、
それは、グレン・クローズぅぅ!!!!。

すごいなーーーーー。この女優。
くせもの揃いのアルトマン映画の中にあっても、
やっぱりひときわ、浮きまくっているその個性。

アメリカンコミックを思わせる、笑っちゃうよなオーヴァーアクトも、
軽さというか、コメディエンヌのセンスがあるこの人なら、
もう全然、オッケー。
いーよ、いーよ、好きなだけやって、という感じ。

あと、このグレン・クローズの、
 
    ↑ホントに嫌な女の役なのよぉ(笑)。自己中心的で。
      その嫌な女っぷりが見ていて楽しいの。芸でしょうな。

ちょっと足りない妹役で出ている、ジュリアン・ムーア、
彼女もすごかった!!
クラリス役も上手かったけど、全然、こっちの彼女の方が、好きだな、私は。

アメリカ映画の女キャラクターって、
ヨーロッパ映画に登場するそれと違って、なにかこう、
無骨というか、きめが粗いというか、サバサバしすぎているというか、
植物系生クリームみたいで、
ヘルシーなんだけど、もうちょっと、コクがあるといいのに…と、
思うことが多いのだが、
この映画は、そんな「コクのない女たち」の日常が、逆に実に気持ちよかった。

なんでもない日常の中の、非日常的ゆがみや、ユーモア。
そういうもんを、皮肉たっぷりに描かせたら、アルトマン、やっぱりうまい。
このじーさま、人間をナメてるね(笑)。


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