詩のような 世界

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2006年04月27日(木) ささやき声



誰も知らない海岸
気丈な母猫のあくび
電線を避けて
ふわり漂う白い風船

とても静かだけれど
何も聞こえないわけじゃない
斜め下から目線を外さず歩く少年
人差し指で飛行機雲をなぞる少女

打ち上げられた傘だった錆びた骨たち
鳴くことも忘れ
砂浜の一日を見守るかもめ
とても静かだけれど
何も聞こえないわけじゃない

小雨の朝
少女が傘を差し出すと
少年は濡れるままに顔を上げなかったこと
傘を残して走り去る少女の後姿が消えるまで
じっと見ていたこと

かわいい花柄の傘を海に流したのは
許してほしいと願ったから

少女の残骸を拾い集め
胸に刺さるほどぎゅっと抱きしめる
とても静かな朝だったけれど
ちゃんと聞こえていたんだ

地面に落ちる雨音さえも


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