詩のような 世界

目次


2003年12月27日(土) 明り先


飛んでいる風船を撃ち落とす勢いで
走り去る昨日

「瞬きしてると置いてかれるよ?」

冷たい風になびく僕の髪を僕の手が梳く
緑色の明りだけを目に入れる
横を掠めるぼやけた影たちよさようなら
手をひらひらさせる余裕すらない

ああ!

何かに気づいたように見せる
そんな僕に気づいた人がいることを確認して
白い息でふんわりした玉をつくった

忘れてきたいくつかのものを取りに帰っていたら
もうここには戻って来れないように思えて

中性色は寒暖の感じが曖昧だから
僕は安心して寄り添えるのかもしれない
明りが消えても瞼の裏に焼きつけるだけの
ちから、が

感覚のなくなった指先は
もう凍ってしまったのだろうか
立ち止まり
どこかに落とした手袋を探すこと
という誘惑

ああ!ああ!

なぜ鼻の奥がつんと痛いの

きっと寒さのせいだね



2003年12月01日(月)


ずっと欲しかった温もり
それは想像の中に
埋まっているものなのかもしれない


頬と頬をくっつける
唇と唇をくっつける
胸と胸をくっつける
肉と肉をくっつける


隙間などない
吐く息は空気中に流れることなく相手のからだへ
吸われて吸って落ちて付着する
底へ


僕は深呼吸をし君の温度を感じようとするが
敏感になりすぎたこの爪は
奥深くに篭っているひんやりした君を探し当ててしまう


心音を聞く振りをして君の左胸を引っ掻いた
僕の心臓が思わず悲鳴を上げる



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