詩のような 世界

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2003年04月23日(水) protection


ねえ、聞いて


バスに乗っていたらね
隣に座っていたマルチーズに
突然囁かれたの

かわいそうな女、って

自分の感情をなかったものにして
透明な盾をつくるの
そうすれば深い傷を負うことはないから

だけどもしかしたら
ちっともうまくいっていないのかも

思いを殺す作業が最大の傷になっていく

マルチーズは聖母の真似をして
慈悲深い目でわたしを見つめた
わたしは救いを求めたりしない

決して 決して 決して!!


ねえ、聞かせて

いつからわたしは
自分を拘束せずにはいられなくなったのだろう




2003年04月10日(木) ほころび


あなた、僕を好きなんですか?

ならばキスしてください

話はそれからです


僕は、こう見えてもヒト科の出来損ないだからさ

様々な環境において快楽を求めずにはいられないんだ

錯覚だって起こすし、頭の中は常に妄想パラダイス


まずあなたと僕の重なる影を、

艶やかで吐息のような言葉の交わりを、

テーブルに残さず並べる

それらを1枚づつ手に取り

快感の滲み出る映像を脳に食わせてゆく


浸透するまでやんわりと、微笑む


正確な朝が来ても消えなければ

スタートボタンが押されたのかもしれない


僕、あなたを好きなんですか?

ならば話をしましょう

キスはこれからです


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