縁側日記  林帯刀





2006年07月22日(土)  巴里。


電車を降りると、霧雨が降っていた。傘をさすほどではないけれど、腕や髪の毛がしっとりと湿っていく。パリの雨はこんな風だろうかと思う。本に書いてあったのだ、パリの雨はいつも霧のようで日本のようには降らない、だからみんなレインコートを着るのだ、と。

駅から国道にのびる道は坂になっていて、両側からはみだすように草がはえている。あおい緑のにおい。どしゃぶりでは雨のにおいが強すぎて、草の存在など忘れてしまう。

たまにはこんな雨もいいと思った。
けむる灯り。空気にとけながらゆっくりと落ちる雨粒。


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