アリス

「quater mo@n」の作者中井拓志による脳SFホラー。オープニングは,なんつーかアキラ君覚醒の精神バージョンというノリで迫力満点。"爆心地"近くの人間は全員重度の精神障害に陥る謎の現象を追ういうのがメインストーリーであります。後半になると謎解きになってきて,ややトーンダウンしてしまうのが残念。アリス大爆発を見たかったなあ。
2003年05月21日(水)

マイコン少年 さわやか漂流記

いやあ笑った笑った。というか笑うしかない。

これは8ビットPCの黎明期(まさに暗黒時代)からの,著者のマイコンの歴史を綴ったものなんだけど,当時の少年がみな一度はハマった(ホントか?)クソゲー,ソフトコピー,レンタル,アジア買い出しというフォース暗黒面まっしぐらな内容。いやあ,あの頃は売っているソフトもハードも周辺機器もまさに玉石混淆で,ひどいものは目も当てられないひどさだったからなあ。特に金のない子供にとっては受難の時代だったわけですね。

出てくるキャラも怪しさ爆発で笑えます。とても日本の出来事とは思えない。
2003年05月15日(木)

悪魔の秘薬

天才B級モダンホラー作家F.P.ウィルスンの新作。最近精力的にリリースされはじめた,始末屋ジャックシリーズです。F.P.ウィルスンは,ちょっと前まで自分のモダンホラーの各作品を1つの大河シリーズにまとめるということをやっていて,そっちの方はすでに完結まで行ってしまったので,最近かかれている始末屋ジャックシリーズは,その前に起きたことになっています。

今回は人間を極端に狂暴化させる謎の麻薬「ロキ」と,それにからむ化学者,暗黒街の顔役,フリークショーの団長と,例によって個性的キャラの面々が登場します。懐かしい?化け物も登場して,相変わらず一度読みはじめると止まりません。なんか全作品を読み直したくなってくるんだけど,もう持ってないしなあ。
2003年05月13日(火)

私家版鳥類図鑑

諸星大二郎の「私家版鳥類図鑑」を読了。ホラーっぽいのあり,ミステリーっぽいのあり,中国っぽいのあり,SFっぽいのありという鳥をテーマにした連作集。世界が塔の形をしていて,その中に階層を重ねるように無数の"街"があり,外周に掘られた螺旋階段をたどって上下に行き来する人々がいる..なんて世界観が実に諸星大二郎らしいなあと思ったり。
2003年05月06日(火)

物理学と神

これはなんと言ったらいいのかな。物理学という学問がいかに神との折り合いをつけてきたか,あまいは神を葬り去ってきたかという観点からの科学史って感じでしょうか。新書だから,それほどシリアスな本ではありません。例えば天動説と地動説,定常宇宙と膨張宇宙,ニュートン/アインシュタイン的決定論と量子論,カオス,人間原理主義といった物理学のトピックにおいて神はどういう立場に置かれたのかを解説しています。

興味深かったのは,物理学では「どうなっているのか」を解明することはできても「なぜそうなのか」は説明できない。例えば重力加速度がなぜ現在の値なのかは説明できないというくだりですね。このへんに「神の手」を感じてしまう人もいることでしょう。
2003年05月01日(木)

ま2の本日記 / ま2