目次過去未来


2003年08月31日(日)  稼ぎ納め

稼いできた。
この夏最後にして最大の稼ぎ。

しかし、この稼ぎで浮かれていてはどうしようもないのであって、
僕が本気で頑張らなければならないのはどうやらここからのようなのである。

困ったなぁ。

困ってばかりいても仕方ないのであって。

・・・困ったなぁ・・・。


2003年08月30日(土)  忙しさの功罪、または‘本当’の使い方

目先のことに捕らわれて生活するというのは本当に楽なことで、
忙しくしていれば嫌なことを考えなくて済むというのも、本当のこと。
ただし、
忙しくしていると本当に目先のことしか見えないので、
本当に考えなければならないことを考えられなくなるというのも本当。

ほんと困った。
でも稼いだからいい。
今月は許す(自分を)。


******
自分のちょっとした仕草が全部想い出に繋がっているのを感じる時は、
ちょっと切ない。


2003年08月29日(金)  みなさんどうもすみません。

そうは問屋が卸しませんでした。

これからどうしよう。


2003年08月23日(土)  NHK

ピッキングの代わりに、
ガスバーナーで鍵を焼き切るという手口が流行っているらしい。

NHKの夜のニュースで、キャスターの男性が言っていた。
「‘焼き破り’という手口が・・・」
僕にはこう聞こえた。
「‘マキャベリ’という手口が・・・」
    ↓
【マキアヴェリ】
イタリアの政治思想家・歴史家。(略)
政治を倫理や宗教から分離して考察、近代政治学の基礎を築く。
著「君主論」「ローマ史論」「フィレンツェ史」など。
(1469〜1527)      
                    『広辞苑 第五版』より

どんな手口。
ちなみに、マキャベリズム=目的のためなら手段を選ばない、という考え方。
それはそれで、意味的には合致している気もするが。


2003年08月22日(金)  幽霊

あと10分で、10時だ。
僕はかなり急いでいた。
この辺りでは、多くのファミレスは10時から深夜料金が加算される。
値段が10%高くなれば、税込み650円のつもりが715円になる。
結構な出費だ。できれば無駄な金は使いたくない。

やっと仕事を終えて帰ってきた僕は、まず重い荷物を部屋に置き、
それと引き換えに読みかけの小説を鞄に突っ込んで、靴を履き直した。
ドアを開け、マンションの廊下に出る。

このマンションは、1つの階に10くらいの部屋があり、
それが1列に並んだ造りになっている。
僕が暮らしているのは1階で、端から3番目の部屋だ。
その、廊下の端の方から僕の部屋の前辺りにかけて、
最近、電気が点かなくなってしまっている。
目の前は駐車場になっているが、
ちょうど廊下の端の部分に階段が作られているため、
廊下自体のライトがなければ、本当に真っ暗になってしまう。

ただ暗いだけなら、どうということはないのかもしれない。
だが、この暗い廊下の突き当りには、隣のアパートのドアが見えるのだ。
真っ暗な闇の中に、白く浮き上がる洋風のデザインのドア。
イメージするより、実際ははるかにそれっぽい雰囲気がある。
最近は怖いので、あまりをそちらを見ないようにしながら生活してきた。
が、今日は、自然とそちらに目が行ってしまった。

人がいたのである。
二十歳前後の女の子で、緩やかなラインの白いワンピースを着ている。
階段の方を向いて歩いているので、顔はわからない。
僕の目は、その女の子の後ろ姿に釘付けになってしまった。
動きが静か過ぎる。
買い物らしいビニール袋を提げているので何か音がするはずだが、
その女の子の周りからは、音という音が除かれている気がした。
やばい、と思った。
もしかしたら、これはやばいかもしれない・・・。
僕が見つめていた数秒の間、彼女は階段に向かって音もなく歩いていたが、
突然、その足を止めた。
僕の心臓は、彼女の動きとは正反対に、バクバクと音高くなっている。
今にも、彼女がくるりとこちらを向くのではないかと思った。
無表情か。あるいは、思い出すのも恐ろしいような形相か・・・。

だが、彼女は振り向かなかった。
ただ立ち止まっただけだった。
すると、階段の陰になっているところから、ひとりの男が出てきた。
大学生風の若い男だ。
どうやら、彼女は、その男を待つために立ち止まったようだった。

何だ。
別にただのカップルじゃん。

そう思って、僕はすぐに目的のファミレスに向かった。
階段を上っていった彼らの姿が、
その後本当に掻き消えなかったのかどうかは、
だから僕にはわからない。


2003年08月21日(木)  転寝

転寝、と書いて、うたたね、と読むようだ。
意味的にはとてもよく表されている気がするが、
発音的には、ごろね、の方が近い気がする。

さて、今日は転寝をした。
中休みで、1日丸ごと自由だったため。
言い添えておくが、働いているときに転寝したりはしない。
というか、ほとんどできない。

本を読んでいて、
眠くなったのでうとうとして、
1度目が覚めたが結構眠かったので、
部屋の電気を消し、眼鏡をはずし、
座椅子の角度を調節して、気合いを入れて寝た。
次に目が覚めたら1時間半くらい経っていて、
もう外が暗くなっていた。

***
だいぶ、日が短くなった。


******
街で見つけた懐かしいもの。

飲み物の缶のプルタブ。
プルタブだけがポツンと落ちていた。

昔は、あれだけを集めて車椅子を作れるとかいう活動があった気がする。

未だに、プルタブが取れるタイプの缶が市販されているのか。
情報求む。


2003年08月20日(水)  お話の精

宮部みゆきの『ブレイブ・ストーリー』を読んでいる。
最近は忙しかったので、やっと下巻の3分の1を読み終えたところだ。

宮部みゆきは凄い。
もう、先生と呼ばせて欲しいくらい凄い。
敢えて言うなら、手塚治虫くらい凄いってところか。

いったい、この人の頭の中はどうなっているのだろう。
物語の中にも出てくる言葉だが、
頭の中に文字が一杯に詰まってるんじゃないだろうか。
そうでなければ、この人は、人間でないに違いない。

日本には八百万の神々がいる。
世界中にも、精霊とか妖精とかそういう類のモノが沢山いる。
宮部みゆきは、差し詰め‘お話の精’といったところだろう。
だから、不可思議な者たちを描くのがとても巧いのだ。
そうだ。そうに決まっている。

そういうことで皆さん、ここはひとつ
お話の精の言葉に、共に耳を(目を?)傾けようじゃないか。


2003年08月19日(火)  寝不足なのかなんなのか

眠い。
特に昼。
眠くて仕方がなかった。
寝不足なのか、
はたまた働きすぎなのか、
働きすぎで寝不足なのか。

こんなこと書くために起きているくらいなら、
30分早く寝た方が自分の身のためだという気がする。

日付が変わるまでには、寝よう。


2003年08月18日(月)  とうとう働き始めた・・・

朝早く起きるのも、起きてしまえば、なんてことはない。
昨日まであんなに面倒臭がっていたことが嘘のようだ。

8時過ぎに起きる。
テレビをつけ、顔を洗い、連続テレビ小説「こころ」を見る。
朝食は、フルーツグラノーラ。
最近このグラノーラが気に入っているのは、
ドライ林檎とドライ苺が甘酸っぱくてとても美味いから。
器にあけたグラノーラに、
プラスチックのスプーン(おそらくコンビニで貰ったもの)を突っ込んで、
ザクザクと食べる。ざくざく。ざくざく。単調な食卓。
昨夜出かけるのが面倒になり、
歩いて5分のコンビニにさえ行かなかったので、
飲むものは水しかない。
浄水器を信用して、この地域では「不味すぎる」と評判の水道水を飲む。
まぁ、巷で大売出し中のコ○トレックスに比べれば、余程こちらの方が飲みやすい。

そんな過程を経て、働きに出かけた。
昼休みまでに空腹になり、やや啼きたい気持ちに。にゃあ。

それでも、今週の仕事は楽。

今日も一日、よく頑張りました。


2003年08月17日(日)  休暇おしまい。

明朝から、また、時間に縛られる生活が始まる。

毎日毎日定刻通りに働いているあの人やその人のことを考えれば
自分の今の考えなど、単なる甘えとわかってはいる。

でもめんどいんだもーん。
あ゛ー。やだなー。働くのー。
朝起きるのもー。

仕方ない。
諦めて働こう。
稼ぐ夏だって悪くない。
気づいたら給料上がってたし。


******
6262ヒット。
むにむに。


2003年08月16日(土)  雨の渋谷

友人2人と、そぼ降る雨の渋谷で待ち合わせ。
1年に何度あるかというくらいの盛り上がり。
輝く友人たち。輝かしいできごと。
きらきらする空気が、眩しくて、ただぼんやりとしてしまう。

それにしても、良かった良かった。

***
人生には目標が必要だ。
ということが、このくらいの歳になってやっとわかる。
遅すぎ。
それでも何か、と思い、友人らにアイディアを求める。
なんだか面白い。
そんなん自分にできるのか?というようなことが出てきた。
んー。まぁまずは地道に。
ネタ探しが必要かもしれない。
もっと、目を光らせて生きていくべきなんだろうと思う。

「素敵な大人に」。
これはきっと、忘れてはいけないんだろう。


******

スペイン坂に、入ろうと思っていた店があった。
スコーンが安くて美味い店。
平日の昼間ならそれほど込んでいないのに、
折りしも夏休み土曜の夕方、
この雨にも負けず、店の入り口まで並ぶほどの人、人。
呆気にとられ、うんざりして、向かいの空いたジャズバーに入る。

簡単に言うと、嘘だった。
看板に偽りあり過ぎだった。
何が嘘って、
全然ジャズかけてなかった。
代わりにかかっていたのは、民俗音楽を無理やりポップにしたような曲とか。
・・・仕方がない、生演奏用らしいドラムセットが奥に見えていたから。
多分、時間さえ合えば歴としたJAZZ BARなのだろう。

しかも、さらに運が悪かったらしく、
目をつけていたアップルパイは売り切れ。
それではと頼み直したベイクドチーズケーキも売り切れ。
申し訳ありません、この2つが売り切れなんです、
などと言われても、もう他のものを頼む気にはならない。
飲むものだけ頼み、店を出る。

その後、気を取り直してアフタヌーンティーのティールームへ。
めでたくスコーンにありつく。
ここのスコーンは、多少値が張るけど、心からお勧め。
ちなみに、友人が飲んでいたチャイが美味だった。
アイスで頼んでも、茶色のポットで出てくる。
2種類のスパイスがまた良い。

渋谷には、平日の昼間に行こう・・・。


2003年08月15日(金)  やりとり

自分が「ずるい」ことなど、百も承知。
今回だけではないことも、よくわかっているつもり。

だから、留守番電話の最後に、素になるのはやめてくれ。
と思っても、それを直接言ってしまっては元も子もない。

***
‘元も子もない’の語源が、
‘元本と利子’のことだと知ったのは、いつだったか。

いや、今、そんなことはどうでもいい。
***

作戦なんて、立てているわけじゃない。
決まったやり方があるわけでもない。

ただ、なんとなく、今は、だめ。
まだ、だめなんだ。




******
宮部みゆきの『ブレイブ・ストーリー』を読み始めた。
あと少しで、上巻を読み終えるところ。

ラウ導師のように、
「小屋に合わせて、気分の方をあらかじめセット」できたら、どんなに便利だろう。


2003年08月14日(木)  『みづきちゃんと・・・』について/雨

8月3日の、『みづきちゃんと空色のバイク』について。

鈴鹿で思いついた話。
こんなに長くするつもりはなかったのに、
書き始めたら長くなってしまいましたとさ。

みづきちゃんは、本当は、8歳前後の女の子。
だから、パパは、30代前半。
乗っているバイクは、おそらく、ホンダとかヤマハとか。

でも、
みづきちゃんが、18歳前後の女の子だとしたら、
「パパ」は、40代後半から50代。
バイクは、ハーレーダビッドソンとかドゥカティとか。

そんな想像を交えて書きました。
だから、ところどころ、
「ここだけ読むとちょっと誤解が・・・」
というような場面もあります。
ほんの数行ですが。

******
今日は朝からずっと雨。
せっかくの盆休みをふいにした方も多かろう。

パソコンにかじりつく前は、父親と本を交換して読んでいた。

こちらから渡したのは『バカの壁』養老孟司 著。
買ってから、ベストセラーらしいことを知った。
まぁ養老センセイの本なので。

渡されたのは、鈴木大拙全集のうちの1冊。
「科学と宗教」という項を勧められて読んだ。
わりと読みやすい。書いてあることも、興味深くはある。
科学者がみんな宗教者(仏教)なら、21世紀はどうなっていただろう。

***
雨で、どこにも出かけなかった結果、
家で料理などしてみる。
先日、外で食べて感動した、茄子の煮びたし、ダシゼリー付き。
早速やってみた。

ふやかしたゼラチンをダシで溶く。
茄子は、皮を剥いて素揚げ。
湯で軽く油を抜き、ダシで煮る。
両方とも、冷蔵庫へ。
茄子を一口大に切り、ゼリーを崩して盛り付け。
お、なかなかいけるじゃん。

課題。ダシ醤油の味の濃さの調整。ゼラチンの量の見極め。

***
雨の中、新潮社文庫のYonda?オリジナルトートバッグが届いた。
思えば、この何年間か、ずっとこいつが欲しかった。
思ったよりもあっけない、憧れの幕切れ。
いや、嬉しかったけど。


2003年08月12日(火)  日記

最近、ここに書く内容が、随分と日記クサい。
日記なのだから日記臭が漂って悪いことはないのだろうが、
以前自分が書いていたようなものの方が、自分らしい気がする。
・・・なんだかよくわからなくて。
というより、わかっていないとよくわからなくて、というような。
ただ、ここに関しては、読みに来てくれる方々がいるわけで。
どうしようかね。

何が自分らしくないかと言えば、
妙に具体的なところとか、
わりと日にちを空けずに記録しているところとか。

と書いてみて思ったが、
小学校5・6年の頃に課されていた日記は、
毎日、何かしらネタを考えては書いていた気がするし
(もちろん、それが課題だったからだが)、
中学の時には、こっぱずかしいことをワープロで乱れ打ちしていた記憶がある
(未だこの部屋の中にある CanoWord がそれを知っている)。

こう考えると、「日にちを空けずに記録している」は、自分らしくないわけでもない。

書くという作業自体は嫌いではなかったから、
思い立って書き始めた文章がやたら長くなったこともあった。
何日か続けてワープロに向かった日も、珍しくなかっただろう。

ただし、「具体的」なのは、やはりあまり自分らしくない。
と、個人的には思うが、
これをお読みの皆さんはどう感じておられるのだろう。

そもそも、この問いかけが何かおかしい。
日記なのに、もはや日記ではないような。

******
もはや、で思い出した。
広告の話。

進化の王道を突き進む者と、逆行の道を行く者との、
生き残りをかけた戦いを見ている気になる。

「話せりゃええやん、電話やし」
        VS
 「もはやゲーム機なのか。」

個人的には、松本派。


******
気の会う友人との楽しい時間。
方向音痴が道を誤った先で出会うものも、たまにはイイ?
また、近いうちによろしく。報告ヲ待ツ。


2003年08月11日(月)  夏休みらしく

浪費生活は楽しい。どうしよう。

******
夏らしい日曜。

@小川町 (地下鉄 新御茶ノ水駅 下車)
 ★ PRET A MANGER ★ で昼食。
 おいしいサンドウィッチの食べられる店。
 ルッコラやローストした松の実などの香ばしさが、とても良い。
  
@芸大美術館、上野 (地下鉄 根津駅 下車)
 『ヴィクトリアン・ヌード―19世紀英国のモラルと芸術』
 ‘ヴィーナスの競艶’というキャッチコピーが、ありきたりでもぴったり。
 いつもと違う目でヌードが観られて、面白かった。
 
@大丸ミュージアム、東京
 『月光浴・20年の旅』石川賢治 月光写真展
 説得力のある作品も多かったが、少し物足りない気がした。
 月の冷たさと暖かさを表現するには、もう少し何か欲しい。
 どこかリアルじゃない月光。ま、月光「で」撮ったことがメインだからね。

@大丸、東京
 手拭いを買う。 

@門前仲町 
 下町DINING 一の屋 で夕食。
 初めて行く店だったが、出てくるもの全てに満足。
 ダイニングバーらしく一皿の量は多くないが、アイディア勝負の旨さ。
 茄子の煮びたしにゼリー状のダシの冷たい一品が、最高だった。
 
@門前仲町の歩道橋の階段、本当は晴海
 東京湾大華火祭
 全くの偶然。この夏、2度目の打ち上げ花火。

@門前仲町 
 友人宅に宿泊。
 新人歓迎のために‘○ショップ武富士’のダンスを踊る友人をビデオで観る。


夏の月曜。昼から活動。

@イトーヨーカ堂、木場
 時計と鞄が欲しかった。
 時計は買わず、鞄のみ購入。‘3年2組’の、わりとかわいいデザイン。 

@109シネマズ、木場
 『パイレーツ オブ カリビアン』
 最高。この夏のお勧め映画。
 前宣伝からの推測よりずっと面白くて迫力も十分、CGの使いどころも巧い。
 こういう映画を観てしまうと、映画館に行くのをやめられなくなる。

@深川ギャザリア
 万豚記 で夕食。
 土鍋の塩ラーメン(鶏肉と葱入り)と、卵たっぷり炒飯。美味。満足。

 MARIO GELATERIA でデザート。
 3種類のフレーバーに挑戦。ソルトは流行っているらしいが、本当に塩味だった。
 
@スターコート、亀有
 カラオケに費やす1.5時間は、短すぎる。
 しばらく聴いていない歌は、上手く歌えない上、忘れている部分がある。


充実した2日間だった。どうもありがとう。


2003年08月09日(土)  想い出旅行

部屋に巧妙に積まれているダンボールの山の一角に手をつけた。
1箱の中には、小・中学校時代のノートやら教科書やらが詰め込まれていて、
道徳とか進路とか、そういう科目のワーク的なものも混じっていた。

中学時代の悩み、
「悩みが多いこと」。
ふざけすぎ。あるいは、当時は真剣だったのかも。

自分がなりたかったものとか、そんなのもいろいろ書いてあって、
まったく記憶にないことでも、見ているだけでとても懐かしい。


中学のときの合唱曲のプリントなんかもまとまって出てきて、
すっかり忘れていたメロディーを、歌詞を頼りに思い出したり。

すごく好きな曲があった。思い出せて嬉しかった。
歌詞の内容と、曲調の、どちらも好きだった。
合唱曲にありがちな、若すぎる歌詞にもかかわらず。
今の自分にも、あの頃の自分と少しも変わらないところがある。
変わったところはもちろん多い。けれど、何か、底のほうに残っていくもの。


ピアノが弾けるようになりたいと思った。
ギターをまた始めようかと思った。
時間は、今しか、ないのかもしれないから。


2003年08月08日(金)  やっと、今日の日記に今日のことが書ける。

副業2の方を、8月いっぱいで解雇されることになった。
ま、そういうこともある。
むしろ、雇い主にとっては、こちらが正しい選択だという気もする。

とは言ってみても、
かなり相性の良いところだっただけに、ちとショック。

9月からは、おとなしく、本業に専念することになるかな。
というより、場合によっては副業1も辞めて、
本業に専念するしかなくなるかもしれない。
そろそろ、時期的に、本腰入れないとやっていけない雰囲気。
アイディアだって、ボーっとしているだけでは良いものは浮かばない。
まして、実験に入るとすれば、仕事が倍増すること請け合い。
頭も体も働かせなければなりません。


******
驚いたとき、
「うわー」とか「ぎゃー」とか「うそぅ」でなく、
「え゛ぇぇぇえ」と言うようになってしまったのは、いつからだろう。
大体の見当はつくのだが。
なんか間抜けな感じ・・・。


2003年08月07日(木)  2泊3日+車内泊  (長い3日間なので、ご注意を。)

8月1日

寝ぼけた頭で荷造り。
予定よりもやや遅れて、新大阪行きの「ひかり」に乗る。
喫煙席は、かなり空いていた。
車掌が切符を見るときに、失礼、と言った。渋くて好い。

8月には似合わない曇り空、空も海もグレイ。
ぼんやりと見える空と海の境界線は、一条の頼りなげなライン。

京都駅で柿の葉寿司を買い、近鉄線に乗り換え。
近鉄線の車窓から見た京都は、ゴミ袋が半透明じゃなかった。

新祝園(しんほうその)駅前にて「松井豊商店」を発見。
わかる人にはわかるはず。

国立国会図書館関西館。一見、総硝子張り。
そういえば、東京にいながら、国立国会図書館に足を踏み入れたことがない。

精華町を訪ねるのは、去年か一昨年、産総研の脳関連の被験者に行ったとき以来。
この日の目的は、ATR。
詳しい場所を知らずに行ったが、以前に泊まったホテルの目の前だった。
岡田先生も、研究員の方々も、とてもよくしてくれた。
ロボットでもなんとかいけそう。
さらに、それはそれはびっくりな土産つき。最高。

ATRから駅までのシャトルバスに乗せてもらい、バス代が浮く。

そこから津に向かい、コンビニで夕食を買い、津市内のホテルに9時前に滑り込む。
金曜ロードショーでルパンを見るため。



8月2日

モーニングコールで起きたと思ったら、チェックアウトのコールだった。
心底、慌てふためいた。

津で、思い立って、高速バスのチケットを取った。
津駅発のバスは満席だったので、名古屋駅発のにした。
青春ドリーム名古屋号の席が空いていて、ラッキー。
(青春〜は、18きっぷのように、ちょっと安い。東京まで5000円。)

徳島以来、人生2回目?のワンマン電車、伊勢鉄道。
津は、始発駅だった。あまりの小ささにホームがわからず駅員に訊く始末。
1両だけの電車。1時間に1本の電車。単線の電車。
単線だから、逆方面の電車の通過を待たなければならない。
ところが、途中で気づいた時には、線路が2本になっていた。

次の日に知ることになるが、実は快速電車も2両編成。
それでも、快速は車両の造りが全然違った。ちょっと感動。

「いずれの森か青き海」
という、映画か何かのポスターが駅ごとに貼られていた。気になる。

入り口は四角だったのに、出口は丸いトンネルがあった。
どこから丸くなったのか・・・。

鈴鹿サーキット稲生駅で降りる。
少し歩いた田んぼの近くの貯水池に、やや大きめの亀発見。
非常にぬるそう。

目的地に到着、の前に、大きなパチ屋があったので、涼むために立ち寄る。

ハーレーの試乗会会場を横目に、いよいよ鈴鹿サーキットに到着。
考えていた以上の盛り上がり。さすがは世界選手権。
それにしても、この親子連れの多さは・・・。
と思ったら、仮面ライダー555(ファイズ)が握手会をしていた。
2人のヒーローは、日陰にいた。なんと弱そうな。
ま、あの直射日光の下で何時間も立ちっぱなしだったら、
どんなヒーローでも熱射病だ。何しろ、あの通気性の悪そうなスーツだから。

会場ではアンケートや署名の類を多く実施していて、
まず目に付いたハーレーのアンケートに答えたら、バンダナをくれた。

そして。
4耐。(8耐の決勝の前日に、4時間耐久の決勝がある。)
ラスト10分くらいに滑り込んだ。午後1時前。
直射日光に長時間晒されたベンチが、大分熱くなっている。
会場は、4耐にして既にかなりの盛り上がりを見せている。

それにしても、初の‘生8耐’なのに、かなり良い席を取ってもらってしまった。
そう思って、次の日に会った連れの方に伝えたら、
「本当はもう少し上の方が、影ができて良い席なんだけどね」と言われた。
「それに、最終コーナーもちょっと上からの方がよく見えるし。
 かぶりつきの方がいいって言う人もいるにはいるけど。」
・・・常連さんは言うことが違う。

4耐の表彰式の後、歴代の仮面ライダーマシンパレードがあった。
仮面ライダー。英語にすると、‘MASKED RIDER’。
そこで初めて気がついた。仮面ライダーは、バイクに乗っているから‘ライダー’だったのか!
なぜか、‘仮面ライダー’は、それ自体ひとつの言葉のように思っていた。

仮面ライダーパレードに続き、エクストリームバイク・パフォーマンス。
爆音と、白煙と、ウィリーが当たり前の世界。

そして、この日の目玉、8耐スペシャルステージ。
ここでは、各ライダーの選曲にも注目。面白い。
1周だけと決められた中で、次々とタイムが更新されていく興奮と、
2人1組のライダーそれぞれに失敗の許されない、緊張感。
20組が出場したが、仮面ライダー555ホンダが5位にランクインした。
4位と6位にファクトリーのセブンスターホンダがつけた。
結局、このジャンプアップでは、ZIP-FM の辻村・伊藤ペアが1位に。
伊藤真一がかなり盛り上げてくれた。

前夜祭までにさっぱりしたかったので、プールへ。
ピザーラのエビマヨ浮き輪がうじゃうじゃいた。会場に、ピザーラ、来てたから。

前夜祭は、今年のイメージソングを歌うSORTITA の2人と、
仮面ライダーショーまで見て帰った。
キャンギャルオンパレードにはあまり興味がなかったので。
花火が見られなかったことが残念。でも、電車の時間も考慮して。

前夜祭を9時頃に抜けて、バスで駅に向かおうと思っていたら、
シャトルバスが9時までしかなかった。なんと酷な。
前夜祭が9時半までなのだから、それまで待ってくれてもいいだろうに、
などとぼやきつつ、タクシー乗り場に並んでいた。
すると、後ろに並んだ30代か40代の男女2人組に声をかけられ、
目的地が同じ白子駅なので、乗り合いで行こうということになる。
てっきり夫婦か何かだと思っていたが、タクシーの中で話を聞くと、
「仕事で」来ている、ということだった。取材か、あるいはマシン側か・・・。
疲れたから早めに抜けてきた、ということは、運営の方ではなかったのだろう。
2000円とちょっとで駅に着いた。財布を出したら、男の方が運転手に領収書を頼んだ。
どうしましょう、と言ったら、
「そういうことですんで、いいですよ」と言ってくれた。
おそらく、でかい荷物を抱えて、夜行バスで東京まで、などと話したから、
金がないと思われたのだろう。
いいひとは、いろいろなところにいるものだ。

近鉄線に乗って、四日市駅まで。
駅前で、「大四日市祭」を祝う(?)、諏訪太鼓のトラック部隊(舞台かも)に出会った。
旅先でのこういう偶然は大歓迎。

四日市で泊まったホテルは、津のホテルより、雰囲気が良かった。



8月3日

ついに本番。

チケットを取ってくれた連れの方と、ホテルのロビーで待ち合わせて、会場へ。
この日は、近鉄線で白子の駅まで出て、バスで会場に向かった。

11時、選手紹介。
11時半、8耐スタート。
その開始直後。わずか2周目で、まさかの大波乱。
1周目でいきなり、1台がオイル漏れ。
何台かがそのオイルで転倒、炎上、コースアウト・・・。
あっという間にセーフティーラン態勢に入る。
会場の皆が息を呑む。
しばらくそのままスロー走行が続き、やっと解除されたかと思いきや、
またも1台が転倒、しばらくのセーフティーラン。
はじめに転倒した内の3台は、マシンがめちゃくちゃで、リタイアせざるを得ない。
その中に、なんと、ワークスチームのセブンスターホンダの1台が含まれていた。
予想外の展開に、会場の熱気が上がる。
客席が、日本人ばかりとは思えない大げさなため息に包まれる。
こうして幕を開けた今年の8耐は、最後まで気の抜けない戦いになった。
中盤までに、唯一のファクトリーとして出場したセブンスターホンダが、2台ともリタイア。
ワークスのマシンが優勝争いに加わらない8耐。
しばらくトップを走っていたケンツJトラストMOJO スズキが脱落、
2番手のヨシムラスズキがそのまま行くのかと思えば、
予選前日まで39℃の熱があったという加賀山が、渡辺篤と無事最後の交代、
というところで、まさかまさかのエンジントラブル。
加賀山の大健闘空しく、ピットから出られず終わる。
勝利の女神は、今年もまた、ホンダのマシンに微笑んだ。

生見友希雄・鎌田学の、Team 桜井ホンダが優勝。
ホンダが勝ったのは嬉しいが、あの展開だけに、心境としては非常に複雑。

ホンダの生見・鎌田ペアが勝って何が一番嬉しかったか。
それは、加藤大治郎の遺影が、もう一度表彰台の1番上に上がれたってことだろう。
本当に我々は、惜しい人を亡くした。
皆がそう感じていたのは、大治郎の笑顔にスポットライトが当てられた時に湧き上がった、
物凄い数の拍手が証明していた。

 本当に、誰の人生にいつどんなことが起きるのかは、予想がつかない。
 それはまるで、今年の8耐のように、波乱万丈で、思いもよらないアクシデントの連続。

お世辞にも「無事に」とは言えないが、8時間が経過した瞬間の、あの花火。
勝利に輝くライダーも、無念のライダーも、ピットにいる大勢のスタッフも、
ひとり残らず褒め称えるような夏の夜の光。

また見たい。絶対来たい。
まだ終わったばかりなのに、是非また!と思ってしまう魅力。

それにしても、あれだけ派手なアクシデントの割に大きな怪我がなかったようで良かった。
今年は、第1コーナー辺りの観客が、いちばんスリルを味わったのではないかと思う。
ちなみに仮面ライダー555ホンダは、序盤で転倒したものの、着実に順位を上げて最終的に10位くらい。
ヒーローとしては今ひとつだが、このレースでは大健闘だった。

今年は、交通機関の都合で表彰式を最後まで見られず、残念だった。
最後の最後にある打ち上げ花火は、駅に向かう道から見ることができたけれど。
来年は是非、名古屋辺りにもう1泊することにして、表彰式をじっくり見たい。

10時発の青春ドリーム名古屋号で、霞ヶ関に着いたのが朝6時頃。
実に充実した3日間だった。

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この3日間の前後は、どちらも仕事(副業1)。
夜まで働いて、次の朝から出掛けて、遊びまくって、夜行バスで帰って、その午後からまた働く。
遊ぶためなら、無理矢理にでも体を動かすことができる。


2003年08月06日(水)  店内アナウンス

今日という日も、お別れの時間が近づいて参りました・・・

というような放送を、閉店間際のイトーヨーカ堂で聞いた。
ヨーカドーには子どもの頃から馴染みがあるが、
こんなアナウンスを聞いたのは初めて。
意外というか、なんというか。
礼儀正しい。


2003年08月03日(日)  『みづきちゃんと空色のバイク』

みづきちゃんは、パパと一緒にバイクのレースを見に来ていました。
レース場には、いろんな色のバイクがたくさんならんでいます。
赤いのや、黒いのや、水色と白がまざったのもあります。
みづきちゃんは、こんなにたくさんのバイクを見たのははじめてでした。

みづきちゃんのパパは、バイクが大好きです。
お休みの日には、いつもみづきちゃんをバイクのうしろに乗せてくれるのです。
初めてバイクを見たときには、音が大きくてこわいなぁ、と思っていたみづきちゃんも、
いろいろなところに連れて行ってもらううちに、バイクが好きになりました。

パパが、みづきちゃんに聞きました。
「美月はどのバイクを応援する?」
みづきちゃんは、ちょっとこまってしまいました。
こんなにたくさんの中からどうやって決めたらいいのか、さっぱりわからなかったからです。

今日のレースには2人の仮面ライダーも来ていましたが、
みづきちゃんは、仮面をかぶっている仮面ライダーは、あまり好きではありませんでした。

こまっているようすのみづきちゃんを見て、パパが言いました。
「美月の好きな色は何色かな? バイクの色を見て決めればいい」
みづきちゃんは、色とりどりのバイクをひとつひとつ見て、こう言いました。
「みづき、あの空色のにする」
「お、美月はなかなかセンスがいいな」
パパがほめてくれたようなので、みづきちゃんはうれしくなりました。
みづきちゃんがえらんだのは、まるで今日の真夏の空のように、
とてもきれいな、光る空色のバイクでした。

いよいよレースがはじまりました。
パパが乗るバイクよりも、ずっと大きな音がして、みづきちゃんはドキドキしました。
みづきちゃんは、空色のバイクが走っていくのをしっかり見ていようと思いましたが、
バイクはみんな、新幹線くらいにはやくて、どれがどれだかよくわかりませんでした。
しかたがないので、みづきちゃんは目の前にある大きなテレビのほうを見ることにしました。
そこには、たいていは1ばんや2ばんで走っているバイクが映っていましたが、
ときどき、みづきちゃんがおうえんしているバイクも出てきました。
そのたびにみづきちゃんは、「がんばれ」と空色のバイクをおうえんしたのでした。

少しとおくから、とつぜん、うわーっというたくさんの声が聞こえてきました。
みづきちゃんがそちらを見ると、もくもくと黒いけむりがあがっています。
テレビでも、男の人がなにか大きな声でさけんでいます。
びっくりしているみづきちゃんに、パパがやさしく教えてくれました。
「バイクが転んで、火事になっちゃったんだよ。」
みづきちゃんは、またびっくりしてしまいました。
パパが買ってくれたいちごのかき氷がとけていくのもわすれて、けむりのほうをじっと見ました。
バイクが火事になるなんて、たいへんです。
そういえば、このあいだパパと見た映画では、車が火事になっていましたが、
ヒーローが、乗っていた人を助けてくれたことを、みづきちゃんは思い出しました。
「仮面ライダーが、たすけてくれる?」
みづきちゃんは、しんぱいになって、パパに聞きました。
パパは、みづきちゃんを見つめたあと、大きな声で笑いました。
「どうかな。あの画面を見ててごらん」
そう言われて、みづきちゃんは、大きなテレビを見ました。
転んでしまったというバイクが映っていました。
けむりがまだ、もくもく出ています。
バイクからちょっとはなれたところに、男の人が立っているのが見えました。
どうやらその人が、転んでしまった人のようです。
みづきちゃんは思いました。
(仮面ライダーがたすけてくれるまで、もうすこしだからね)
けれど、しばらくしても、仮面ライダーはやってきません。
そのうちに、おそろいのうわぎを着た人たちがやってきて、
たおれたままになっていたバイクと、そのバイクに乗っていた人を、連れて行きました。
パパがまた笑って、おもしろそうに言いました。
「仮面ライダーの出番はなかったみたいだな。ほら、まだ走ってるよ」
たしかに、みづきちゃんも見ました。
仮面ライダーは、火事などしらんぷりのようすで、びゅんびゅんと走っています。
(じぶんかってな仮面ライダーだなぁ・・・)
「パパ、やっぱり、みづきは仮面ライダーおうえんしなくてよかった」
「そうだな、ヒーローなのにズルいよな、自分だけ先にいっちゃうなんて」
みずきちゃんは、本当にパパの言うとおりだと思いました。

しばらくすると、まわりにすわっていた人たちが、つぎつぎとせきを立っていきます。
「みんな、どこにいっちゃうの? まだみんな走ってるのに、もうレースは終わっちゃったの?」
「違うんだよ、美月。このレースは、暗くなるまでずっと続くんだ。
 だけど、そんなに長い時間こんな暑いところに座ってたら、イヤになっちゃうだろ?
 だからみんな、遊園地で息抜きしたり、プールに入って涼んだりするんだよ」
みづきちゃんは、びっくりしてしまいました。
まだお昼をすぎたばかりなのに、夜までなんて、たいへんです。
2人の人たちがじゅんばんこにバイクに乗るわけが、やっとわかりました。
それに、みづきちゃんは、もうひとつおどろいたことがあります。
プール! パパはたしかにさっきそう言いました。
みづきちゃんは、プールが大好きでした。
夏になると、いつもパパがどこかのプールに連れて行ってくれるので、みづきちゃんは夏が大好きなのです。
でも、と、みづきちゃんは思いました。
「パパ、水着がない。水着がないと、プールには入れないでしょう?」
パパが、こんどはうれしそうに笑いました。
「美月はかしこいなぁ。でも、大丈夫だよ。パパが、似合う水着を買ってあげるからね」
「ほんと?」
「あぁ、本当だよ。でも、おなかが空いただろ? 昼ご飯を食べて、パパとプールに行こう」
みづきちゃんは、パパってすごい、と思いました。
(みづきのしたいこと、なんでもわかっちゃうなんて)
「パパ、大好き!」

お昼ごはんに、みづきちゃんはラーメンを食べました。パパはカレーを食べました。
ごはんがおわると、パパが、水着やうきわを売っているところに連れて行ってくれました。
みづきちゃんは、いっしょうけんめい、かわいいもようの水着をさがしました。
「みづき、これがほしい!」
たくさんの水着の中でみづきちゃんがえらんだのは、空色に白い雲のもようがついた水着でした。
「美月は、本当に空色が好きだなぁ。よし、じゃあ、それを買おう」
パパのことばで、みづきちゃんは、バイクのことを思い出しました。
いまごろ、あの空色のバイクは、風のようなはやさでレース場を走っているのでしょうか。
(がんばれ)
みづきちゃんは、空色の空を見上げながら、おいのりをしました。

プールは、たくさんの人がいて、にぎやかで、色とりどりでした。
ひやけして黒い人や、ひやけどめのにおいがする白い人、水着やうきわの色もさまざまです。
水のすべりだいに、みづきちゃんは大はしゃぎでした。
パパが、みづきちゃんをやさしくだっこして、いっしょにすべりだいをおりてくれます。
すごいはやさですべっても、パパがいっしょなら、ぜんぜんこわくありませんでした。
みづきちゃんは、なんどもなんども、パパにおねがいしました。
そのたびに、パパは笑って、みづきちゃんをやさしくだっこしてくれました。
「パパ、大好き」
みづきちゃんも笑って、そう言おうとしたとき、
ひやりとした風が、みづきちゃんのほっぺたをなでていきました。
「美月、そろそろサーキットに戻ろうか」
「あと、1回だけ・・・」
「そうか。じゃぁ、あと1回だけだぞ」
「うん!」
「ビュービュー滑る空色の美月は、あのバイクとおんなじだな。」
「うん!!」

みづきちゃんとパパがサーキットに戻ると、さっきとは違うバイクが1ばんを走っていました。
また、なにかおきたのでしょうか。
みづきちゃんは、すぐにしんぱいになりました。
(みづきの空色のバイクはだいじょうぶかな)
大きなテレビを見つめました。でも、そこには、空色のバイクは映りません。
目の前を走っていくたくさんのバイクを、ひっしになって見てみました。
じっと見ていると、目がなれて、バイクの色はちゃんとわかるようになりました。
きいろ、黒、黒、みどり、赤・・・・・・。
バイクが右から左へとつぎつぎ走りさっていきます。
でも、みづきちゃんがさがしているバイクは見つかりません。
みづきちゃんは、ドキドキして、ついにパパに聞いてみることにしました。
「パパ、みづきのおうえんしてたバイクはどこ?」
「そうだな、ちょっと待ってろよ・・・」
パパも、みづきちゃんといっしょに、空色のバイクをさがしてくれました。
だんだん、パパが困った顔になっていきます。
「リタイアしちゃったのかな」
「ねぇパパ、りたいあって?」
「美月、もしかしたら、美月の応援してたバイクは、もう走ってないかもしれないな」
「ころんじゃったの?」
「転んじゃったのか、バイクの調子が悪くなっちゃったのか、パパにもちょっとわからない。
 でも、今は走ってないみたいだ」
みづきちゃんは、かなしくなりました。とてもとても、かなしくなりました。
まさか、こんなことになるなんて、思ってもみなかったのです。
みづきちゃんがプールにいるあいだに、空色のバイクが走るのをやめてしまうなんて。
「みづき、おいのりしたのに」
「そうだな」
「みづきがちゃんと見てなかったから、かみさま、おこったの?」
「そんなことはないよ」
「みづきがプールに行かなかったら、バイク、ずっと走ってた?」
「美月が悪いわけじゃないよ。ほら、パパの応援してるバイクを、美月もいっしょに応援しないか?」
みづきちゃんは、パパのばか、と思いました。
(みづきは、あの空色のバイクを応援してたのに。とっても好きになったのに)
パパは、そんなみづきちゃんを見て、
「アイスクリーム、食べるか? ジュースでもいいぞ」
と言いました。みづきちゃんは、パパのばかばか、と思いました。
なみだが出そうになりました。けれど、なみだは出ませんでした。
かなしいきもちのまま、みづきちゃんは、パパによりかかってねむってしまいました。
空色の水着を着て、パパの運転する空色のバイクのうしろに乗り、雲の上を走っていくゆめを見ました。

みづきちゃんが目をさますと、空はずいぶんこい青色になっていました。
「美月、あと少しで、レースも終わりだぞ。最後の瞬間を、パパと一緒に見よう」
みづきちゃんのまわりの、いなくなっていたはずの人たちも、もうせきにもどっています。
走っているバイクは、みんな、ライトをつけていました。
少しくらくなってきたサーキット場で、そのたくさんのライトは、とてもきれいでした。
みづきちゃんは、かなしかったことをすっかりわすれて、いま走っているバイクに見とれました。

「あと1分だぞ、美月」
パパが、みづきちゃんのかたにおいていた手に、ぎゅっと力をこめました。
「1ばんの人がゴールしたら終わりじゃないの?」
「そうか。普通の競走とはちょっと違うんだよ。
 このレースは、走りはじめてから8時間ちょうどの間に、1番たくさん走ったチームが優勝なんだ。
 たくさんのバイクがこんなに長い時間走ったら、どれが1番速いか、わかんなくなっちゃうだろ?」
ふーん、とみづきちゃんは思いました。たしかに、みづきちゃんが見ても、どのバイクが1ばんなのかもうわかりません。
(やっぱり、パパはいろんなことしってるんだ・・・)

「いよいよ、カウントダウンだぞ! 美月も一緒に数えよう」
まわりの人たちが、いっせいに、数をかぞえはじめました。
パパも、立ち上がって、声をそろえます。
「5・4・3・2・1」
みづきちゃんも、かぞえました。0までいったらどうしよう、と思っていたら、パパがみづきちゃんをだっこして、左のほうをむきました。
みんなが大きなはくしゅをしたり、声をあげたりしています。
にぎやかだなぁ、とみづきちゃんが考えていると、空が、バッと明るくなりました。
色とりどりの光が、空の高いところで、かがやいています。
花火です。
みづきちゃんは、レース場で花火が見られるなんて、知りませんでした。
花火は、つぎつぎにあがって、空をいろんな色にかえていきます。
「キレイだろ、美月。」
「うん」
「空色のバイクのチームも、あの花火、見てるぞきっと」
みづきちゃんは、パパのほうを見ました。パパが、やさしく、笑っています。

「パパ、大好き!」

レースを走りぬいたたくさんのバイクが、ゆっくりと、花火にむかって走っていきます。
その上にひろがる大きな空には、細い三日月が、しずかにうつくしく光っているのでした。


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20030814 
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みづきちゃん
パパ
応援
空色のバイク
プール
リタイア


2003年08月01日(金)  8月

この8月は、妙に偏った1ヶ月になるだろう。

学んで、遊んで、
稼いで、休んで、
稼いで、
稼いで

くらいで終わる見込み。
撥音便とイ音便の行列。


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バタバタと予定変更の連絡がある。
取りやめになったと思っていた機会が舞い戻ってきて、
嬉しいには嬉しいのだけれど、
身体がなかなかついていかない。

しかも、明日の朝は早い予定なのにどうも眠れない。

睡眠のパターンは、
何かのきっかけで変わってしまうと、なかなか戻らない。
眠いと思った瞬間に、寝ればよかった。

実家は、偉そうにしていても食べるものが出てくる。
ありがたい。


真 |MAIL