2002年08月31日(土)
 

おぼつかない足取りで
聞こえる音だけを確かに
君を探りに行った


どこにいるのだろう
私の半身と自ら勝手に決めた人は
私を愛してくれるとゆるぎない自信の中で誇った人は


その手は冷たくて
とても硬かった
それでも優しく
空のように海のように
たとえば殻のように私を包んだ


無我夢中で求めていたのは
激情ではなく深い安らぎだった
盲目のこの世界で
聞こえる音だけを確かに
君を探しに行く
間違えはしないだろう
君はいつも優しい声をしていたから





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2002年08月24日(土) 無題
 

君の手を握って握り返すとき
私は心の底から幸せだと
言えてただろうか


恋のどこが幸せだというのだろう
今私の隣に誰も居ない
私は未来を見る
過去は誰かに託して


未来の私に笑いかけて笑い返す
私は幸せだ
空の向こうには何もないと知っていて
君の胸の中で視界を遮っていたあの時よりも
真四角の空を真正面から睨みつける今が





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2002年08月16日(金) 真っ白い部屋のひとつしかない扉の前で。
 

どうしても開けれない扉があって
いつのまにか自分が
この扉の向こう側に移動している
そんな風に思い込んでいた


私は今も部屋の中で窓の外を眺めていて
ノックが聞こえた途端
部屋の隅に座り込んだ


動き出せない
この小さな真っ白い部屋から
外へは


私は今でも
真っ白い部屋の隅っこで
ひとつしかない扉の前で
誰も来ないように見張ってる


君は入ってくるだろうかこの場所へ
そして否定するだろうかわたしは。


分からない
涙も声もこの部屋では忘れてしまった
君に何かを伝える術はなにもない
ここに君が知ってるわたしはいない。





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2002年08月13日(火) ハグプリーズ。
 

もしも私がなさけないことで
落ち込んだりしてても
このぬくもりのなかでは
どんな駄目な事でも許せてしまう


短くてもいいから
ハグプリーズ
全部諦めてしまうのは
一度抱きしめてみた後で。





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2002年08月07日(水) くじら
 

白い雲が
青い空にポツン


穴のようにも見える
島のようにも見える
もしかして空に住むくじらかもしれない


隠していた両手を
空に見せびらかして
まっさかさま


私は空に捕まる
青からは逃げられない
結局
雲の行方も知らずじまい





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2002年08月06日(火) さなぎ
 

固く握り締めていた
てのひらを
ゆるくゆるく
開いていって


私はさなぎになった


君の手を
はなしたけれど
空を飛べるのは
これから


ふたつで出会って
ひとつになって
またふたつになった


私はこの出会いを悲しまない





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2002年08月05日(月) さよなら
 

小さな粒になって
空から雨のように雪のように
落ちる夢を見た


私だったか
誰だったか
当たり前のように丸くなって
大地に草に命を与えて


緩やかな丘を下って
鼻歌歌って
眩しすぎて痛い光を目指して


どこかに消えよう
小さな粒になって
誰かが喜んでくれる場所に
落ちていこう





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2002年08月03日(土) きみのもの。
 

おでこに落ちそうになったキスを
手繰り寄せるかのように
君の夢ばかり見た


わたしがあなたのものだったら
気が狂うほど嬉しかっただろうに
この中に宿る命があなたのものだったら
死んでも守ってみせたのに


目が覚めて
自分がひとりであることを確認するたび
心が気持ち悪くて眩暈がする
また、落ちる。





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