WELLA
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1999年10月09日(土) 魂の力

最近一人で家にいる時間が長いので、テレビをつけていることも多い。相変わらずまだ新聞を購読していないのでいつどんな番組をやっているのかはテレビをつけるまでわからないのだが、どうも月曜日は「みのもんた」の日らしい。

「昔のお嬢さんが」大量に出てくるお昼の番組と、破局同然のカップルにデヴィ夫人の罵声が飛ぶ夕食時の番組があって、さらに閉店寸前の飲食店が起死回生するために一丸となって努力する様子が綴られるゴールデンタイムの番組がある。
私はみのもんたがなんの根拠があってあのように大きな顔をしてシロウトさんにお説教をするのかまったく理解できないので、あの爬虫類顔が頻々と画面に登場するのはあまりうれしくないのだが、まあどれも興味深い番組ではある。スタッフの綿密な準備によってみのもんたがキモチよ〜く己を過信しているであろう事も窺い知れる。

ところで、先週は番組入れ替え時期らしく、閉店寸前の飲食店の番組は一度は好評のうちに再オープンしたさまざまな店のその後を追う、という特集を組んでいた。確かに再オープンの時は料理の修行は言うに及ばず、内装から宣伝から専門家が意見を出しながら手間暇をかける。さらにその様子をテレビで紹介するので、客が入らないわけがない。その特集はその後、数ヶ月経ってどうなっているかということで、これが興味深い結果となっていた。

「初心忘れるべからず」で相変わらず再オープンの時のペースを保っている店、評判が評判を呼んでさらに上向いている店、逆に慢心して味が落ちていることに気づかず、そっぽを向かれている店もある。中でも気の毒だったのは母娘たった二人で切り盛りしている店が、分不相応に大きくなってしまい、次々とやってきた客に対して恐怖心すら覚えてしまっていたケースである。視聴者から接客が悪いという苦情の手紙が次々と番組に対して送られてきたというが、お客さんもマメなものである。しかし当の本人たちは落ち度がある事に自覚がないようだ。

番組では「達人」と呼ばれるそれぞれの分野の料理人のもとで修行を積むのだが、この「達人」たちがいずれもカッコイイのである。別に姿形が飛びぬけていいわけではないのだが、背筋がきちっと伸びて、料理に対する愛情と自信のほどが見て取れるのである。立ち居振舞いにも余裕がある。それに対して修行する側の人たちは追いつめられているという精神状態もあるのだろうが、なんとなく卑屈に見える。しかも「達人」から痛いところを指摘されると食って掛かってみたり、さらに強がりを言ってみたり、すぐ弱音を吐いたり、全然「イケてない」のである。修行が始まるとお約束通り一度は破門状態になる。もう一度お願いします、と頭を下げて、再度修行が始まるうちに見る見る顔つきが変わってくる。その期間はほんの数日間のはずなのに、である。

その後を追った番組では、またもこの上昇している店の人たちは教えられたことをきちんと忠実に守って慢心していない。顔がやはり輝いているのである。落ちぶれてしまった人たちは動きもきびきびしていないし、どこか煤けた雰囲気が漂っている。
言い古された表現だが内面がにじみ出てくるのだな、と納得する。これが「魂の力」を磨くということなのだろうか、と思う。


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