昨日・今日・明日
壱カ月昨日明日


2005年03月31日(木) 愛犬列伝

 木曜日。やたらと仕事が忙しかった日。昼飯にもありつけず、朝の10時から昼の2時まで会議。何をそんなに話し合うことがあるのだろうか。さして重要な案件とも思えぬが。空腹のあまり1時頃に一旦死にかけた。ダラダラとのびた会議のせいで、後の作業がおしたため、残業。一番イヤなパターンである。

 帰り、阪神百貨店でパンを買ったついでに、旭屋に寄って、「一冊の本」と「UP」をもらい、「en-taxi」の最新号を買う。もらうだけじゃなく、今日はちゃんと本も買ったよ、安い雑誌だけど。でも「en-taxi」はちょっと値段が上がってたな、付録つきだったからかな。

 チャリンコを飛ばして帰宅。近所の公園の桜もずいぶんつぼみがほころんできたようだ。そういえば明日からもう4月なのだった。でも私は相変わらずシクラメンの葉っぱに水をやって育てている。葉っぱだけがグングンとのびている。
 ごはんを作っていたら犬を連れた町内会の役員のおじさんが、今週の寄合が来週に延期になったと伝えにきてくれた。犬の散歩の途中らしい。黒い小さな犬で、胴と耳が長かったからダックスフンドだろうか。私を見てキャンキャンと2回吠えて、黙った。飼い始めたばかりでかわいくて仕方ないのだとか。くそ生意気な孫よりずっとかわいい、とおじさん。名前は何というのか聞いてみると、「あ、ミルク、て言いますねん。ミルクちゃん、と呼んだって」とヘラヘラ笑う。黒い犬にミルクちゃんとはなんと複雑な名前だろうか。ミルクちゃん〜、と呼びかけてみたが、そっぽ向いたまま、あっさり無視された。犬もけっこう生意気だ。 
 
 夜。Tが買ってきた、田中雄三の「電子音楽 in the (lost) world」という本を眺める。電子音楽のディスクガイド。シンセサイザーなどにはほとんど興味はないのだが、この本はカタログみたいで見ていると楽しい。
 明日返却するので、ツタヤで借りたキャロル・キングとサンタナのCDをMDにおとし、風呂にはいって就寝。

・購入物:「en-taxi」第9号(扶桑社)
     
・朝食:バタートースト、目玉焼き、トマト、ヨーグルト、珈琲
 昼食:ベーコンとレタスとキュウリのサンドイッチ、珈琲
 夕食:カリフラワーとジャコの和え物、新じゃがいもと豚肉の煮物、山芋の短冊サラダ、麦酒、ごはん


2005年03月30日(水) what becomes of the brokenhearted

 水曜日。晴れ(たぶん)。打ち合わせのためWさんが来て、ああ目がかゆい、ああ鼻水が垂れる、と言ってたいへんうるさかったのを覚えているので、よく晴れて花粉が乱れ飛んでいるような天気だったのだと思う。
 
 終業後、昨日の予定通り、お買い物にでかけた。
 タワーで「永遠のモータウン」のサントラを買った。ファンク・ブラザーズの演奏のみ聴けるインスト盤がついてる、2枚組の方を買う。ポイントがたまっていたので1000円引いてもらう。これでなんとなくはずみがついたのか、予定外だったのだけれど、フェラ・クティの初期のアルバムも一枚買ってしまう。加えて、リトルテンポの新譜も買ってしまう。もうどんどん買ってしまう。勢いというのはおそろしいものだ。
 それから、ジュンク本店に移動して、発売を待ちに待っていた「死の棘日記」を買う。でも4月は、『現在存命の作家ものしか読まない月間』という読書キャンペーンをひとりで大々的にはったので、この本はすぐ読めないのだった。しまったことをしてしまった。5月になったら読むとしよう。その他、買いそびれていた文庫と新書を買って、「本の旅人」をもらう。
 次に旭屋。ここで「波」と「月刊百科」をもらう。何も買わずにPR誌だけもらって、旭屋さんには本当に悪いと思っている。

 トロトロと自転車で帰る。今日は店にも街にも人が少ない。バーレーン戦をやっているからだろうか。簡単に夕食を作り、食べながら私もサッカーを観てみる。辛気くさい。イライラする。試合終了後、買ってきたCDを順々に聴く。23時頃に、Tがお腹が空いてきたとか言って、ホットケーキを焼き、上にブルーベリージャムやらヨーグルトやらをトッピングして食べ始め、それが実に美味しそうで、大いに誘惑されたのだけれど、『22時以降は食べ物を口にしないキャンペーン』中なので、頑張って我慢する。偉い。

 寝る前に、リトルテンポの新譜を聴く。今回のリトルテンポはちょっとシカラムータみたいなところがあって、ちょっと泥くさいところがすごく良いと思う。

・購入物:島尾敏雄「死の棘日記」(新潮社)
     山口昌男「挫折の昭和史」(岩波現代文庫)
     坂本多加雄「スクリーンの中の戦争」(文春新書)
     「stanting in the shadows of MOTOWN/delaxe edition」(universal)
     fela kuti「koola lobitos`64〜`69/the`69 L.A.sessions」(universal)
     LITTLE TEMPO「super tempo」(victor)

・朝食:えーと、たぶん…ごはんと梅干し、海苔佃煮とか、なんかそういったものを食べたような…。
 昼食:お弁当(豚の生姜焼き、卵焼き、ほうれん草のおひたし、玄米ごはん)
 夕食:親子丼、小松菜と油揚げの炊き合わせ、豆腐と九条ネギの味噌汁、麦酒


2005年03月29日(火) あしあとが残っている

 火曜日、晴れ、風強し。おとなしく仕事をして、残業もして、真っ直ぐ家に帰る。帰ってすぐすることは、洗濯物を取り入れること。今日は快晴だったゆえ、バシッと乾いている。それからゆるゆると晩ごはんを作りはじめる。

 ごはん作りの合間にアホなテレビを見る。
 NHKの歌謡番組で、和田アキ子が「古い日記」、野口五郎が「私鉄沿線」、狩人が「あずさ2号」を歌っている。歌の中身はともかく、昔の歌謡曲のタイトルはどことなく文学的でいいなあ、と思う。和田アキ子は肌が荒れているのか、化粧のノリが悪いようだ、と思いつつ、チャンネルを変えたら、志村けんがバカ殿様をやっていて、この白塗りがまた全然全くノッておらず、顔面がヒビだらけになっている。なんと貧相な。和田アキ子同様、志村けんも寄る年波の大波はかわせていないようだ。少しかなしいような気持ちになる。バカ殿をそのまま少し見ていたのだが、だんだん脳細胞が減っていくような気がして、そこそこのところでテレビは消して、Tが帰ってきたのでごはんを食べた。

 夜、もうすぐ返却せねばならない「永遠のモータウン」のDVDを最初から最後まで見直して、亡くなったメンバーの思い出やエピソードが語られるところと、最後のあたり、ライブのため再び集まったファンク・ブラザーズの面々が彼らの遺影をもってステージに登場してくるところで、うえーんと号泣してしまった。遺影なのに、一緒に演奏しているみたいに見えた。うまく言えないけど、死ぬってことは終わりってことじゃなくて、覚えているものがいれば、懐かしくしのぶ人がいれば、死んでも生き続けることができるんだ、と、ひどく感動した。去年映画館で観たときは特にどうとも思わなかったのだが、時間をおくと見方が変わるのか、心の動きが違ってくるのが不思議だ。明日、早速サントラを買いに行こうと思う。

 いろいろ考えて眠れず。深夜おそくまで起きていた。

・購入物:なし

・朝食:クロワッサン、カフェオレ、レタスとツナのサラダ、甘夏みかん
 昼食:お弁当(ニラたまご、ほうれん草のゴマ和え、人参サラダ、梅おかか、玄米ごはん)
 夕食:葉玉ねぎと豚肉の辛味炒め、トマトと青しそのサラダ、ほうれん草としめじのおひたし、コロッケ、玄米ごはん、麦酒


2005年03月28日(月) 異議申し立て

 雨の月曜日。昨夜はけっこう寝たはずなのに、なんか知らんが終日眠かった。まぶたが重くて、すぐに目をふさごうふさごうとしてしまう。春眠、暁を覚えなさすぎ。午後から会議があり、始まる前から眠くてしょうがなくて、何とかしてしゃんとせねばと頑張っていたのだが、会議中にMさんとY部長が白熱した討論、というか、口論を繰り広げてくれたので、居眠りすることなく終わった。何が幸いするかわからんものだ。

 終業後、シネ・ヌーヴォで『またの日の知華』という映画を観た。「知華」というひとりのヒロインを4人の女優(吉本多佳美、渡辺真起子、金久美子、桃井かおり)が章をわけて演じる、というのと、ドキュメンタリー作家である原一男が撮った初めての劇映画、というのがミソ。予告やチラシの感じからだいたいの予想はついていたが、あちゃーなんじゃこりゃ、というのが映画が始まってすぐの私の感想。観終わってもやっぱり、なんじゃこりゃ、だった。
 純愛ふう、とか、はたまたハードボイルドふうに、とか、いやいやポルノっぽく、とか、やっぱりアートふうにも、とか、いろんなふうに撮ってみたい、たくさんのことを盛り込みたい、と意気込んだはいいが、それが結果としてまとまらずバラバラで一体何を見せたいのかわけがわからんようになってしまっている、という最も不幸な例だ。特に第三章はどうしようもない。学芸会以下。全体として、説明的なセリフが耳につくし、顔のクローズアップを多用しているのも野暮ったく、映像センスというものが全く感じられない。
 それにヒロインの「知華」の人物造型がまた鬱陶しい。ひたむきで健気で情にあつい女でありながら、内には烈しいものも秘めていて、突き上げる感情に逆らえず男から男へと渡り歩き、運命に翻弄されてやがて堕ちていく、という描き方が、ステレオタイプであるうえ辛気くさいし泥くさい。自分の生い立ち、過去、境遇を殊更に不幸がるような女は私の最も嫌いなタイプで、「知華」はまさしくそれだ。だから観ていてムカムカきた。
 原一男にはやっぱり、バシッと、ドキュメンタリーを撮ってもらいたいと思う。

 帰宅後、宅配野菜の整理。明日のためにほうれん草のゴマ和えを作る。友人から電話あり。少々話す。洗い物をして片付けて、洗濯物をたたんだら電源が切れた。働いて、映画も観て、友達の話も聞いて、食べたいものを作って、家事もそこそこして、とか、なんかさあこういろいろと、さまざまな欲求とか必要とか雑事とかを自分の理想に即した形でかなえていくのってけっこうタイヘン。「生活する」ってタイヘンなことだわ、と思う。風呂に入って速やかに寝る。

・購入物:なし

・朝食:バケット、トマト、ヨーグルト、珈琲
 昼食:お弁当(塩鮭、人参とジャコのキンピラ、卵焼き、ミニトマト、玄米ごはん)
 夕食:映画の前に。クリームパンと珈琲。
    帰ってから。大根と人参入りの味噌仕立ての雑煮。餅は2個入り。リンゴ半分と甘夏みかん。


2005年03月27日(日) sunny sunday

 今から日曜日の日記を書いてみる。なんかほとんどのことを忘れかけているのだが。日曜日なんてホントにあったんだろうか。

 清々しく、晴れ。でも朝のうちだけで、昼から徐々に日が翳ってくる。夜には細かい雨になった。日曜日の昼下がりから雲がでてきてあたりがどんよりしてくると、どことなく頼りない気持ちになる。気分が天気で左右される。

 午前中は布団をひっかぶって「告白」をひたすら読む。ほーらみろ、素晴らしくおもしろいじゃないか、と思う。午前11時頃までかかって半分くらいまで読み進め、寝過ぎで腰が痛くなってきたので起き出して布団を干す。洗濯をしている時に頼んでおいた米10kgと玄米5kgが届く。今日からこれで玄米入りごはんを炊くつもり。朝ごはんにトマトソースを作り、スパゲティを茹でて、「日曜喫茶室」を聴きながら食べる。この後2時から山下達郎の例の番組を聴き、5時からFM-COCOROの音楽番組(番組名忘れた、洋楽ばっかりかかるやつ)、7時から「バラカンビート」をへて、9時から北中正和の「ワールドミュージックタイム」を聴いて終わる、というのが日曜日の理想的なラジオライフだ。

 午後から掃除をして、夜と明日のお弁当のために人参とジャコのきんぴらとサラダを作っておく。それから地元の図書館へ。この図書館は来月、新しく出来た区民センター内に移転するとのこと。引越のため1ヶ月ほど休館となるらしい。さみし。
 本日借りたもの。柴崎友香「きょうのできごと」、黒川創「もどろき」、「芸術新潮」2004年7月号(特集は「ロシア絵本のすばらしき世界」)。

 日用品などの買い物がてら千林へ。いつも行くカレー屋横の古本屋さんへ。3冊購入。野口冨士男の「なぎの葉考」は今まで見かけた中で最も安かった、500円。好きな画家である国吉康雄の図録も状態の良いものが見つかった、解説も充実してて嬉しい。これは600円。
 商店街の喫茶店に入って珈琲。本を読むつもりが店内のテレビでジッと野球を見てしまう。東邦と育英の試合を7回から10回の表まで。延長戦の途中で帰る。いい試合だったけど、単調な攻めが続いたので育英は負けちゃうかも、と思い、夜のニュースで結果を見たらホントに負けちゃっていた。弱気になるのはよくない。

 夜、Tが借りてきた「子猫にお願い」のビデオを見る。私は去年映画館で見てるので、ナナメ見。「フェスティバル・エクスプレス」の予告編が見られたのが収穫であった。
 映画の後、入浴ののち、ミルクティを飲んで、明日のためにお米を研ぐ。

 そうこうして、日曜日は暮れた。けっこう細かく覚えてたな。やっぱし日曜日は存在したんだ、もう遠い昔のように思うけれど。

・購入物:高村光太郎訳、高田博厚・菊地一雄編「ロダンの言葉抄」(岩波文庫)
     野口冨士男「なぎの葉考」(文芸春秋)
     図録「国吉康雄展・1989-1990」     すべて古書

・朝食兼昼食:茄子入りトマトソースのパスタ、チーズのせバケット、珈琲
 夕食:鰤の照り焼き、にんじんとジャコのキンピラ、レタスとトマトのサラダ、山芋の短冊サラダ、大豆の煮物、玄米ごはん、焼酎お湯割
 


2005年03月26日(土) 犬の漫才師

 土曜日。晴れ。ひとり台所のテーブルに座り、珈琲を啜りながら、ジッと壁の一点をみつめて「ウィークエンドサンシャイン」のフェラ・クティ特集を聴く。これは客観的に見ると案外怖い図かもしれないな。
 番組が終わった後、台所の片付け、洗濯、紙類の整理など淡々と行う。ここでいう「紙類」とは、各地ほうぼうでもらってきたチラシやフリーペーパー、チケットの半券、領収書や請求書などのこと。放っておくと山のようにたまっていく。ここから『中国国宝展』のチケットが出てきた。新聞販売店からもらったのを忘れていた。終了が迫っているようだし、仏像を見物するのはわりと好きなので出かけてみることにする。自転車で中之島まで行く。家の窓から見ると暖かそうだったのに、いざ外に出てみると西風が強くしかも逆風で、ペダルをこぐのがちと辛かった。私の進む道にはいつも、逆風が吹いているような。

 中国の仏像の顔は、ニタリ、という感じの笑いを浮かべているものが多いな、と思う。ちょっとネチっとした微笑というか、全体的に意地悪そうな印象がある。展示されている仏像はどれも似たり寄ったりで、名前も長たらしくて覚えられないし、特にこれといって心に残るものがなかった。
 展示内容のせいか来場者にはお年寄りが多く、貸し出しのヘッドフォン付き音声ガイドの説明に、係員が奔走しているのを見ているのが面白かった。解説の声が小さすぎると文句を言い出すおじいちゃんや、ボタンの押し方がどうしても理解できないおばあちゃん、中にはヘッドフォンを耳にあてず首にかけたまま、聞こえへん、聞こえへん、これつぶれてるー、とわめきだす人もいて、まあ展示物よりも生身の人間を見ているほうがエキサイティングであった。

 美術館の人出にあてられて少々疲れたのか、頭がボウとしてきたので、阪神百貨店でお昼ごはんを食べて、塩鮭と鶏肉を買って午後遅くには家に帰り、畳に寝転んでゴロゴロしたのち、日記を書いて晩ごはんの支度をした。大根を大量に薄切りしている時、あやまって左手の親指を包丁で切った。ドンクサ。

 夜。ビデオで『風の歌を聴け』を観る。監督は大森一樹。若かりし日の室井滋が出ている。キュートでかわいい。全体として村上春樹色は薄く、平凡な若者群像劇のような感じになっている。主人公の小林薫やジェイズ・バーのマスター役の坂田明はまだはまっているが、「鼠」役の人がダメ。気合が入りすぎてて空回りしている。大森一樹が神戸に思い入れがある気持ちはわかるけれど、中華街とか元町とか神戸港とか、あまりにもベタベタと撮りすぎてて、観光ビデオみたいになっているのがもったいない。なんにしても、特にどうということのない、印象に残りにくい映画であった。

 映画の後、お風呂に入ってしばらくしてから寝る。時間は不明。

・購入物:なし

・朝食:バタートースト、レタスサラダ、トマト、珈琲
 昼食:あんにょんにて。カルビ石焼きピビンバ、麦酒
 夕食:鍋(昆布だしをベースに骨つき鶏と薄切りにした大根がメイン。あと豆腐や春菊、白菜、キノコ類など。ポン酢とごまダレで食べる)、麦酒


2005年03月25日(金) それはゆうべの夢でした

 午前6時半に目を覚ますも、布団から出られない。出られないのは部屋が非常に寒いからであった。布団にもぐっていても鼻と耳がチメタイ。気持ちのいい晴天だったのだが、自転車をこぐ勇気がなく今日は電車で出社。車内では町田康の「告白」を読み始める。

 終業後、旭屋でTと待ち合わせして、お寿司を食べに行った。誕生日なのでおごってもらう。プレゼントに阪田寛夫の詩集をもらった。お寿司をつまみつつ読む。
 「ねこふんじゃった」や「おなかのへるうた」や「うたえバンバン」が阪田寛夫さんの作詞だと詩集を読むまで知らなかった。どれも昔しょっちゅう口ずさんでいた唄ばかりで、とても懐かしい。それに、「サッちゃん」の3番の歌詞を初めて知った。
『サッちゃんがね
 とおくへ いっちゃうって
 ほんとかな
 だけど ちっちゃいから
 ぼくのこと
 わすれてしまうだろ
 さびしいな サッちゃん』
 って、こんな哀しい唄があっていいもんだろうか。泣けてくる。

 寿司の後、半額セール中のTSUTAYAへ行って、サンタナのファーストとキャロル・キングのCDを借りる。キャロル・キングのはカーネギー・ホールでのライブ盤で、昨日買った「Arne」で大貫妙子が薦めていたもの。買い逃がしていたのでこの機会に借りることにした。それから急に思い立って「風の歌を聴け」のビデオを借りた。こんなもの面白いわけがない、とずっと決めつけていたけれど、若くてピチピチした小林薫も観てみようじゃないか、ということで。どんなもんかしら。

 欲しい本もあるが、今日は我慢して真っ直ぐ帰る。珈琲を淹れて、Tが借りた「永遠のモータウン」のDVDなど観てさんざん盛り上がったあと0時ころに、さあサッカーでも観ようとチャンネルを変えたらもう終わってた。今日は夜中に中継があると思いこんでいた。バカであった。しかも負けている。あーあ。まあ負けてしまったものは仕方がないな、終わったことはあっさり忘れよう。どんどん次いくー。

 夜中に、ハッサクを食べる。このごろ丑三つ時近くに何かしら食べるくせがついてきて、これは非常に憂慮すべき事態だ。改善に努めること。

・購入物:なし

・朝食:ベーコンエッグ、レタス、トースト、珈琲、ヨーグルト
 昼食:お弁当(焼き鮭、筑前煮、卵焼き、ミニトマト、玄米入りごはん)
 夕食:寿司屋にて。トロサーモン、ホタルイカ、牛とろ、カンパチ、えんがわ、鯛、穴子、お銚子2本
 


2005年03月24日(木) 雨雲は静かに移動する

 朝のうちは快晴そのものだったのに、昼下がりにどしゃ降りの雨とふきつける強風、やがて夕方にはまた雲が切れてきて、西の空の夕焼けがキレイだった。春先の空はこうも移ろいやすいのか。
 昨夜、MDにおとしておいたンデゲオチェロをウォークマンで聴いていく。いろんな音が交じり合っていて、聴きどころ満載だ。どの曲も奥が深くて、そこに分け入るのにはまだまだ時間がかかりそう。

 少しだけ残業して、雨上がりの街を自転車で帰る。屋根のないところに置いといたので、サドルと前籠がしっぽりと雨でぬれていた。水をハンカチで拭う。日が沈んで急に寒くなったようだ。スプリングコートはちょっと気が早かったかもしれない。
 町田康の「告白」が出ていないかチェックするため、天満橋のジュンクに寄る。出てた。嬉しい。この小説が連載されていた読売新聞が会社で読めなくなった時は失意のあまり、新聞社に毎日通って張り出してある夕刊を立ち読みしようかとまで思ったもんだ。さすがにそんなアホなことはしなかった。したかったけど根気がなくて出来なかった。それに連載時よりずいぶん加筆してあるようだ。それも嬉しい。しみじみと嬉しい。しかし畑中純の挿絵が一枚も載ってないのがとても残念。あの絵が良かったんだけどなあ。
 お弁当を紹介するページがあったので、久しぶりに「Arne」も購入。お弁当メニューのマンネリ化を防ぎたい、と思ったこともあったけど、毎日ほとんど同じようなものでも全然飽きないことに最近気がついた。自分で作ったものが美味しくて仕方ない。
 講談社の『本』4月号をもらう。車谷長吉の「私の思想」という文章も読める。でも書いてある内容はだいたいいつもおんなじなんだけれど。

 晩ごはんを食べた後、小林薫が出るというので、岩松了が脚本を書いて監督もしている「社長を出せ!」という2時間ドラマを観た。話の筋に関係なく、煙草にまつわるシーンが多発する。火をつける、吸う、ふかす、捨てる、もらう、パクる、吸殻が山盛りの灰皿や煙草そのもののアップのシーンが頻繁に出てくる。岩松了は嫌煙運動とその周辺に、一言も二言も言いたいことがあるようだ。そのためにこのドラマを作ったんだ、たぶん。小林薫はいつも通りカッコ良かった。満足。

 ドラマを見ながら、クリームチーズを薄く切ってのせたリンゴを食べる。それから濃いめにいれたミルクティも飲む。雑誌など読みつつ、午前0時半ころ消灯。

・購入物:町田康「告白」(中央公論新社)
     「Arne」11号(イオグラフィック)

・朝食:バケット、トマト、りんご、珈琲、ヨーグルト
 昼食:お弁当(豚肉と玉ねぎの甘辛炒め、ジャガイモと人参のからしマヨネーズサラダ、ゆで卵、ミニトマト、ごはん)
 夕食:鯖の塩焼き、筑前煮(ゴボウ、人参、レンコン、コンニャク、鶏肉、さやいんげん)、壬生菜と油揚げの煮もの、焼酎お湯割、玄米入りごはん


2005年03月23日(水) ギターとカレーとマーチングマーチ

 どんよりと曇り空の朝。時々、パラパラと雨が落ちてくる。昨夜作っておいたカレーを温めて食べた。
 昨日の夕刊で阪田寛夫さんの訃報を知って、少なからずショックを受けている。阪田寛夫が作詞した『マーチングマーチ』は、幼稚園から帰る時の、私のヘビーローテーションだった。かわいくて楽しい、大好きな唄だった。つったかたったったー。今でも最後まで歌詞を間違えないで歌える。

 今夜は、ブルーノートにカーキ・キングのギターを聴きに行った。去年買ったアルバム「Legs to make us longer」がめっぽうカッコ良かったので、ライブも観てみようと思った。移転してからブルーノートに行くのは初めて。
 カーキ・キングは24歳のギタリスト。ギター、上手だ。上手、という言葉はちょっと彼女には弱いけれど、でもまあすごく上手だ。
 ブルーノートのリーフレットに載っていた写真はえらく大人っぽかったけれど、実際に見たカーキ・キングは、とても小柄でゴムでとめたポニーテールに平べったい眼鏡をかけ、ストライプのパンツにコンバースのハイカットを履いてて、進学校のちょっとやる気のない生徒会の役員みたいだった。雑音に惑わされず、我が道をいくタイプ。こんな女の子好きだ。
 ひとりでヒョイヒョイとステージに現れて、ギター1本端から端まで使って演奏する。ギターっていろんな音がでるんだなあ、人間の指と腕ってこんなに自在に動くんだなあ、と素直に感心した。ステージ上の彼女はあくまで淡々としていて、マイペース。感情をこめすぎないところと、飄々とした姿勢がさらに気に入った。

 満足して自転車で帰宅。ライブ中、ビールを飲んでポテトフライやらごぼうスティックやらをパクパクと食べたのに、帰ってからまたカレーライスを食べた。ソテーしたマイタケとシメジをのせて。食べすぎか?夜中には珈琲を淹れて飲む。

 夜、「となりのカフカ」を読了。

・購入物:なし

・朝食:カレーライス、ヨーグルト、珈琲
 昼食:お弁当(ちくわと九条ネギのキンピラ風炒め物、ゴボウと人参のサラダ、卵焼き、ミニトマト、ごはん)
 夕食:ブルーノートで。バスペールエール2杯、ポテトフライとごぼうスティック半分づつ。
    自宅にて、キノコのせカレーライス、麦酒


2005年03月22日(火) かどわかされて

 夜、文楽劇場に『引田天功スーパーイリュージョンショー』という、わけのわからんものを観に行った。仕事関係でまわってきたチケットらしく、ヒマだったら一緒に行って、と、昨夜友人に誘われて、ヒマだったし、タダだったし、もしかしたら面白いかもしれん、と思って行ってみた。観てみると、まあ、面白くなかったわけだけど。
 イリュージョン、とは名ばかりで、箱に入ってナイフを刺してみたり、胴を切ってみたり、ちょっと宙に浮かんでみたり、おそろしく旧式の手品で、しかも進行がトロくさく冗長なので、途中何度もウトウトした。ステージは安手のキャバレーのようなピンクや紫の照明と、こけおどしのレーザー光線で始終チカチカしてて、その下で引田天功の弟子のマジシャンたちがガンガンとうるさいだけの音楽にあわせて手足をヒラヒラさせて踊っているのが、悪い宗教団体みたいだった。
 実際にマジックをするのはホストくずれみたいな弟子達で、引田天功は特になにをするでもなく、時折でてきて下手な踊りを踊るだけだった。楽な商売だ。客席から見る限りスタイルがよく、目はバチバチで、皺ひとつない。引田天功って何歳なん?、と横で口をぽかんと開けてみている友人に聞いてみる。さあ、年齢なんてないんじゃないの、とのお答え。なるほどね、年齢なんてどうでもいいよね。

 ひどいもんだったが、何とか最後まで観た。友人が取引先の人に挨拶に行っている間、一人で難波まで歩き、タワーでンデゲオチェロの新譜と、公開を楽しみにしている映画「永遠のハバナ」のサントラを買った。
 タワーの下の無印で友人と合流し、近くの居酒屋でごはんを食べて帰る。私の誕生日が近いから、というので、ビールを3杯おごってくれた。34歳になる、ということについて少し話す。34歳というと、なんか年をとったなあ、という気もするが、見た目は34歳には見えないからいいよね、というような話。友人によると、私はどこからどうみても「年齢不詳」らしいので。引田天功とおんなじだ。これからも多くの人の頭を混乱させていきたいと思う。

 午前0時ころ、帰宅。疲れたー。それでも夜中にカレーを作る。これも明日の楽しい食事のためだ。でも、今日はホントに疲れた。
 
・購入物:Meshell Ndegeocello「the spirit music jamia」(universal music)
     サントラ「Suite Habana」(Action)

・朝食:バタートースト、珈琲、目玉焼き、ヨーグルト、はっさく
 昼食:お弁当(ミニトマト、人参とゴボウのゴマサラダ、ほうれん草のからし和え、ウィンナー、ごはん)
 夕食:居酒屋で。ビール、焼酎、焼き鳥、刺身、サラダなど。何を食べたか細かいことは忘れてしまった。


2005年03月21日(月) 庭先に桃の花

 振替休日の月曜日。本日行ったことや心象風景など。 

 午前中。
 10時起床。天は青空一色。よく晴れている。ラジオのニュースによると、今週晴れるのは今日だけで、あとはほとんど雨か曇りらしい。ホンマかいな。と疑いつつも、洗濯物と布団、クッションとブランケットをベランダいっぱいにバアーッと景気よく干す。
 朝ごはんにじゃがいも餅(略して「じゃが餅』)を作る。蒸したジャガイモをエイエイとつぶして塩コショウとバター、片栗粉少々を混ぜ、手のひらサイズに平たく丸めてフライパンで焼くだけ。チロッと醤油をかけるとまた旨い。炒めたミンチ肉とかを入れるとごはんのオカズにもなります。
 食後、近所に市民検診の予定表を配って歩き、回覧版をまわす。

 午後。
 音楽をかけて掃除。先週サボったので比較的念入りに。掃除機をかけて目につくあたりをチョイチョイと拭き、台所とトイレとお風呂を磨いたら飽きた。
 Tが本の整理をやりだしたのでそれを眺める。眺めながらほうじ茶を淹れて飲む。ほうじ茶を飲むことも「海辺のカフカ」を読んで影響をうけたことのひとつ。登場人物のナカタさんという人が、いつも熱いほうじ茶を水筒にいれて持ち歩き折にふれて飲んでいるのが美味しそうだったから。「海辺のカフカ」には、ごくごくシンプルに言って、とても感動させられた。村上春樹の書いたものを読んで心が熱くなったのは、ほぼ15年ぶりくらいだ。全然期待していなかったのだが、まあなんでも読んでみなければわからないものだ。
 『カフカつながり』で、「流刑地にて」を再読し、池内紀「となりのカフカ」を読み始めた。
 そのうちTが、電池切れた、と青い顔をして言いだしたので、自転車に乗ってモスバーガーに行った。Tはお腹が空くとゾクゾク寒気がし、フラフラし、声が出なくなり、何をする気も起こらなくなるそうだ。私の頼んだチリドッグも半分あげる。食べた後、スーパーで晩ご飯の買物もしておく。

 夕方。
 宅配野菜の整理と夕食の準備をしながら、NHK-FMの萩原健太のラジオを聴く。長いこと続いていたこの番組が今日で最終回だと知って、愕然とする。ラジオ番組はいつも突然、そしてけっこうあっさり終わる。とても寂しい。毎週聞いていたわけでもないラジオの番組がひとつ終わるということが、なんでこんなに寂しいんだろうと思うくらいに寂しい。こういう時、自分の生きにくさを感じる。

 夜。
 本の整理の続き。ダブって買っているものやもう読まないと思われるものを紙袋につめていく。Tが職場に持っていって、欲しい人にあげるのだそうだ。どうか望まれてもらわれていってほしい。元気で暮らせよ。雑誌、マンガも含めて30〜40冊ほどまとめる。
 日曜日の日記を書く。友人Kより電話があり、15分ほど話す。明日会う約束をする。

 夜中。
 柴崎友香「ショートカット」を読んでしまう。短編集。『やさしさ』という話が好き。遠く離れたところにいて、誰かをおもったり、おもわれたりすることの「やさしさ」。
 午前1時ころ就寝。

・購入物:なし

・朝食:じゃがいも餅、ほうじ茶
 昼食:モスバーガーにて。チリドッグ、サラダ、珈琲
 夕食:豚キムチ、ゴボウと人参のゴマサラダ、レタスとトマトのサラダ、ほうれん草のからし和え、ごはん、麦酒


2005年03月20日(日) 気がつけば遙か彼方

 早起きして、混み混みの電車で京都へ。実家へ帰り、弟に車を借りて、母と墓参りに行った。晴れると思いこんでいたがあいにくの曇り空。午前中にお参りをすませるつもりだったのに、途中で母がお線香を忘れたのに気づきまた取りに戻ったりして、お墓に着いたのは11時ころになった。
 行きの車の中で聞いていたラジオの臨時ニュースで、福岡の地震のことを知った。いざという時のためにダイエットしておかなくちゃ、と母は言う。身軽な方が逃げやすいし、万一誰かにおぶってもらうようなことになった場合、なるべくその人の負担にならないようにしたいから、とのこと。なるほど。

 お参りをすませて車で宇治まで戻って、宇治川の河原で母が作ってきてくれたお弁当を広げる。車ではラジオで「日曜喫茶室」聞く。ゲストはイルカとやなせたかし。イルカは徹底したベジタリアンらしく、野菜は皮から芯まですべて食べるので生ゴミは一切出さないのだとか。ふーん、エライね、私も見習いたいものだ。でも番組内でかかるイルカの曲は、どうも説教くさくてかったるく、とても聞いていられないのでスイッチを切った。
 宇治川の河川敷には、おとなしく写真をとりあっている観光客がちらほらと、釣り人がふたりほど、南方の山並みをスケッチしている人ひとりいるくらいで、いたって静かなものだった。久しぶりに食べる母の卵焼きは、小学校の頃遠足の時に作ってくれたものとおんなじ味がした。懐かしかった。するとなんの前触れもなく唐突に、いつかこの先もし、私より先に母が死んでしまったら私はどんな気持ちがするだろう、と考えて、ひどく心細くなった。母がいなくなってしまった後わたしはきっと間違いなく、こうして静かな日曜日の宇治川のほとりで一緒に弁当を食べたことを思い出すだろうな、と思った。そしてひとしきり泣くのかもしれないな、と思った。避けては通れない道というものがあり、悲しいことがあるとわかっていながらそこを進むのは辛いな。

 実家まで車で帰り、すこし休んでから夕方には大阪に戻った。夕食を食べた後、リビングでうたた寝をしてしまい、21時からの北中正和のラジオを聞き逃した。しまったー、あれを聞かないと日曜が終わった気がしないのに。
 お風呂に入ったあと、日記を二日分書いて、朝方に就寝。休みになるとどうも生活が乱れていかんな。 
 
・購入物:なし

・朝食:人参とゴボウのきんぴら、海苔佃煮、梅干し、ごはん
 昼食:母の手作り弁当(海苔巻き(新香、きゅうり、マグロ)、唐揚げ、れんこんのサラダ、卵焼き、ほうれん草の胡麻和え)、ほうじ茶
 夕食:麻婆豆腐、レタスと大葉のサラダ、トマトのスープ、麦酒、ごはん


2005年03月19日(土) すべり台をのぼり、階段をおりる

 午前7時起床。「ウィークエンドサンシャイン」を聴く。来週はフェラ・クティ特集だ、楽しみ楽しみ。朝ご飯、後かたづけ、洗濯、など終えてから、日記を一日分書いて、しぶしぶ出勤する。イヤだイヤだと思うと自転車のペダルもいつもに輪をかけて重いなあ。

 Nさん、Yさんと共に黙々と仕事。結構細かいチェックをこなしていかねばならず、目が疲れるところにもってきて、Yさんが横からごちゃごちゃと話しかけてくるので気が散る。昨日はちょっと呑みすぎた、だとか、東通を入ったところにあるあの店は味が落ちた、だとか、ネエー、フクダさんなんかはさあ、やっぱりホリエさんの味方〜?、とか何とか、とにかくうるさくて、ついにNさんに「黙れ!」と一喝されてショボくれていた。
 Yさんが黙ってくれたあとはスイスイと事が運び、午後2時半頃に解放される。外は陽光に満ちていてまあほんに良い天気。お布団干したかったなあ。そのまま帰るのももったいなくて自転車で南へ少しくだり、三越の前のサンマルクカフェで遅めのお昼ごはんを食べる。この店は天井が高く開放的で明るくて好きだ。ここで「海辺のカフカ」を読了した。なんだかんだ言ってもけっこう楽しんで読んだかも。ベートーベンを聴いてみようという気になった。

 それから天牛堺で古本を見る。吉田健一、長谷川四郎、池内紀訳のカフカなど、好きな作家の本を安くで買えてご満悦。5冊合計4500円也。
 次に四つ橋筋を北上し、ジュンクの本店で森達也の新刊を購入、「クウネル」を立ち読みして、天神橋商店街へ行く。毎土曜日にセールをしている八百屋さんで、小松菜(80円)、ネギ(100円)、立派な葉のついた人参(150円)を買う。
 寄り道のおかげで家に帰り着く頃にはすっかり日が暮れた。

 夜。珈琲をいれて、買ってきた本をひもとく。時折、フィギュアスケートも見る。司会のふたりと、番組のつくり自体がとても鬱陶しい。でもスルツカヤが優勝して満足。至極当然の結果だ。よかったよかった。
 夜中。Iさんに読んでおくようにいわれた講談社の復刻絵本「さるかに合戦」を読んでみて、前近代的な展開に辟易とする。これをそのまま紙芝居におこすのは、なにがなんでも断ろうと心に誓う。
 
・購入物:森達也「ドキュメンタリーは嘘をつく」(草思社)
     吉田健一「ひまつぶし」(講談社) ここから古書
     長谷川四郎「長谷川四郎全集 第8巻・第15巻」(晶文社)
     フランツ・カフカ「カフカ小説全集・万里の長城ほか」「掟の問題ほか」(白水社)

・朝食:ごはん、梅干し、海苔佃煮、豆腐とネギの味噌汁、水菜の漬物とじゃこの和え物
 昼食:サンマルクカフェで。ビーフシチューパン、珈琲
 夕食:豚とキャベツと小松菜の重ね蒸し、人参とごぼうのきんぴら(じゃこ、胡麻入り)、エノキポン酢、麦酒、ごはん


2005年03月18日(金) 耳がいたい

 突然ふってわいたように仕事が増えたうえ、果てしなく長い会議があったため、何やら忙しい金曜日であった。おまけに明日少しだけ休日出勤せねばならぬはめとなり、三連休にケチがついたようで気分は甚だよろしくない。

 残業して帰宅。精神的にヘトヘト。ポストにスムースより郵便物あり。フリーペーパー「クチン・第24号」が届く。嬉しい。このフリーペーパーは初めて見た。林哲夫さんの『本造り略伝』という文章が読める。
 ひと休みしてから晩ご飯の支度。じっくりと鶏を焼く。あらかた終えてから、Iさんに電話をかけ、30分ほど話す。というか、Iさんが熱弁をふるうのをフンフンと聞く。聞くだけ。30分間のあいだ私が発した言葉は、「どうも、昨日お電話いただいててー」と「へえ」と「いやあ」と「あーなるほどネー」と「それじゃまた」の5つだけだと思う。まず間違いない。
 電話を切ったと同時くらいにTが帰ってきたので、鶏の仕上げをしてごはんを食べる。美味しい。こんな旨いものを帰ってきてすぐに食べることの出来る幸せを偉大なものと思え、というようなことをTに言い聞かせる。フンフンと聞いておった。

 夜。お風呂に入ってからテレビで「世界フィギュア」を見る。スルツカヤとクワン、村主章枝のファンなので楽しみにしていた。でもテレビをつけるのが遅かったせいかクワンと村主の出番は終わってしまっていた。残念、クワンのスパイラル見たかったな。スルツカヤの演技は最初から最後までキチンと見た。この人の滑りは知的でありながら艶っぽくて素晴らしい。
 寝つくまで多和田葉子の「きつね月」を読む。  

・購入物:なし

・朝食:軽く焼いたバターロールにマーガリンをぬって、レタスとハムをはさんで食べる。それと珈琲
 昼食:インスタントのきつねうどん、カツオおにぎり(寝坊したため弁当をつめる時間なし)
 夕食:鶏肉の照り焼き、マイタケのバター炒め、豆腐とネギの味噌汁、レタスとトマトのサラダ、水菜の漬物とじゃこの和え物、ごはん、麦酒


2005年03月17日(木) アビイロード風に歩こう

 午前7時起床。レイトショウを観て帰り、遅くまでパンフレットを読んだりグレイトフルデッドを聴いたりして、夜更かししたので少々眠く、まぶたが重い。
 外を見ると雨だ。今日はけっこう強く降るらしいとラジオで言ってる。地下鉄で出勤。卒業式なのか、袴をはいた女の人を何人か見かける。歩きにくそうだが、皆どこか嬉しそうだ。車内では「海辺のカフカ」の続き。荒唐無稽。

 少々残業ののち、会社を出る。いろんなことがうまく運ばず、落ち込み気味で気分がのらない。まっすぐ帰るつもりでバス停へ。ザアザア降りの雨が降っていて、傘をさしていても足下やカバンがひどくぬれた。
 図書館の前でバスを降りて、予約していた本を借りに行く。柴崎友香「ショートカット」。それからスーパーと肉屋で買い物。豚バラ、エビ、イカ、焼きそば、もやし、などを買う。
 帰って早速お好み焼きをつくる。朝から夜にお好み焼きを焼こうと決めていた。だしをとって山芋をすって粉と混ぜる。キャベツとネギを切って混ぜる。焼きそばにはキムチも入れる。ビール大瓶1本と焼酎お湯割をコップ3杯飲む。いい気分になる。食べている途中に家の電話が鳴ったけれど、誰とも話したくないので出ない。留守電にIさんのメッセージ。「帰られたらお電話ください。」愛想よくするのが面倒くさいから電話はしない。何もかもどうでもいいような気分になる。でも食べた後の後かたづけはちゃんとやる。食器洗いの洗剤がなくなった。明日買ってこなくては。

 夜中。急に気が向いて久しぶりに、かせきさいだぁのファーストアルバムを聴く。「苦悩の人」を2回聴く。これが今日の私の気分だ、と思う。酔っぱらったのと寝不足がひびいて、0時すぎには夢の中の人になる。

・購入物:なし

・朝食:ごはん、梅干し、海苔佃煮、とろろ昆布のおすまし
 昼食:お弁当(塩鮭、小松菜のおひたし、ニラ卵焼き、ミニトマト、ごはん)
 夕食:お好み焼き、焼きそば、麦酒、焼酎お湯割


2005年03月16日(水) 旅は道連れ

 テアトルのレイトショウで「フェスティバル・エクスプレス」を観た。Tが昨夜観て帰ってきて、グレイトフルデッドがカッコよかった、と言って、夜中だというのに「New Speedway Boogie」を声高らかに歌っているのを横目で見て、何かうらやましかったので観に行くことにした。
 1970年に行われたロックフェスのドキュメンタリー。「カナダ版ウッドストック」と呼ばれているらしい。
 貸切列車の中で行われる数々のセッションの様子がいい。思い思いに唄ったり、ギターを弾いたり、飲んだり食べたり、ボウと車窓をながめたり、ジェリー・ガルシアがジャニス・ジョプリンに急に「愛してるよ」と告白してみたり、実際のライブシーンよりも車内風景を見ることの方が楽しい。
 映画全体としてのつくりは、ライブ映像を淡々と流しつづけてみたり、関係者の証言を画面分割でみせてみたり、少々退屈でありふれていて、70年代の音楽周辺が好きでない人にはちょっとつらいかも。わたしもフライング・ブリトー・ブラザーズと、ジャニスのライブシーンでちとウトウトしてしまった。ジャニスはオーラがあるし、魂が入ってて圧倒されるし確かにすごいと思うんだけれども、なんて言うか、どこか親密な気持ちになれないところがある。何故かはわからん、趣味の問題か。それからデラニー&ボニーのライブがカットされてたのが残念。列車の中にはいたのにな。
 でも総体的には満足した。ジェリー・ガルシアは森の熊さんみたいでカワイく、やっぱり「イイ奴」だったし、ザ・バンドも良かったし、右ナナメ前方に引きつられるように熱唱するバディ・ガイにも惚れた。Tに頼まれていたパンフを買う。

 レイトショウまでに行ったこと。
 三番街でうどんを食べた。大きいちくわ天ののったうどん。一緒についてくる半熟卵をうどんにつけて食べる。ダシが少々薄めだが、まずまず旨し。
 旭屋で「草思」の4月号をもらった。特集は「八〇年代の意味」。それから未知谷から出た小沼丹の新刊をみつけてビックリした。4200円という値段にもビックリ。紹介文を読むと、『青春ユウモア小説』だそうで、今日のところはとりあえず見送り。わたし、『青春ユウモア小説』って苦手なの。なんか馬鹿馬鹿しいから。でも古本屋さんで見かけたら買うかも。
 ドトールで「海辺のカフカ」の上巻をほぼ読了した。物語の行く末にはあまり興味がないのだが、やっぱり村上春樹は細部が巧いわ。食べ物と読み物と音楽、持ち物と服装のそれぞれの選択、タバコの吸い方、コーヒの淹れ方と飲み方、体の洗い方、車の走り方、運動の仕方、話しかたと聞きかた…。そのあちこちに現れる規則正しさと清潔さが、悔しいけれども好きだ。すごく好き、と言ってもいいかもしれん。悔しいけどね。

・購入物:「Festival Express」パンフレット

・朝食:キノコのクリームシチュウ(昨夜の残り)、トースト、ヨーグルト、珈琲
 昼食:コロッケサンド、はっさく、ヨーグルトドリンク
 夕食:三番街で。ちくわ天玉ぶっかけうどん


2005年03月15日(火) まあ、そういうこと

 火曜日。くもり。午後からすこし湿る程度の雨。でもすぐに止む。夜にまた雨。夜中には止む。
 仕事はヒマ。Nさんと雑談。Mさんから一日遅れのホワイトデーのお返しをもらう、中味は柚子胡椒。Mさんってシブイですね、とお菓子を期待していたIちゃんは残念そう。わたしは甘いものよりずっと嬉しい。空き時間に日記も書く。プレヴェールの詩集が読みたくなる。

 終業後、美容室で髪を切ってもらう。三ヶ月ぶり。ほったらかしにしてたから伸び放題になっている。『トニー滝谷』のポスターの宮沢りえみたいな前髪にしてくれ、と頼むと、あーそれはできません、と即答されてがっかり。宮沢りえにしてくれと言っているわけではないので、少しは努力というものをしてもらいたいものだ。ベリーショートにしようと主張する美容師をなんとか説得して、普通のショートに『宮沢りえ風前髪』をつけた髪形にしてもらう。うまくいったかどうかは知らないが、少なくともすっきりとはした。

 美容室に行く前、予約の時間まで少し間があったので近くの図書館に入ってみる。大阪市内の図書館であれば、一枚のカードで区内のどの館でも借りられ、どこででも返却できるから便利。多和田葉子の「きつね月」を借りる。児童コーナーのおもちゃみたいな小さな椅子にすわって、絵本を見る。クーニー、プロベンセンなど。絵本を読むたび、子どもの頃に戻りたいと思う。

 店を出るとシトシト雨が降っている。傘をさして自転車にまたがり、スーパーで買物をして帰る。美容室でけっこう時間をとったため、家に帰り着いたのは9時前であった。バタバタと晩ご飯の支度。簡単にシチュウを作って食べた。

 夜、ドノヴァンを聴く。

・購入物:なし

・朝食:ごはん、レンコンとゴボウの炒め煮(昨夜の残り物)、海苔佃煮、じゃこおろし、梅干
 昼食:お弁当(ほうれん草の辛子ゴマ和え、ウィンナーのケチャップ炒め、ピーマンのキンピラ、ごはん)
 夕食:キノコのクリームシチュウ、トマトサラダ、ガーリックトースト、麦酒


2005年03月14日(月) わたしはわたしよ

 そして、今日も朝が来た。ズルズルと午前6時半起床。ここんとこ寒さがぶり返したから、また起きにくくなった。ごはんを炊いて、弁当作りとゴミだしと、今日は晴れるらしいので洗濯。朝は冷たい風がまだ吹いていたけれど、日なたにいれば暖かい一日だった。

 昼から日暮れまで、ひとりでルンルン気楽な外回り。あっちへ寄りこっちへ寄りして届け物をしたり、預かったものを渡したり、どうでもいい雑談したりしつつ、大阪市内を縦横無尽にひたすら歩き、時折、見つけた本屋さんに入ってサボる。ああ楽チン。毎日こうだといいのに。わたしの予見では今週はヒマなはずなのだ、あくまで予見だけれど。
 
 旭屋で多和田葉子の文庫本を買った。「犬婿入り」。これは図書館で借りて、ずいぶん昔に読んでいるんだけれど、こないだテレビで多和田葉子の話を聞いてすっかりファンになったので、本を買って手元に置いておこうと思った。もちろん読むつもりだけど。それから「遊歩人」の最新号をもらう。角田光代が短い小説を書いている。
 
 心斎橋で解放されたので、帰りに何の気なしに心斎橋筋商店街にあるブックオフに行ってみる。いろいろと面白い本があった。嬉しいのは文芸文庫の金子光晴の短編小説集。見かけたら少々高くても買おうと思っていた。500円。
 後藤明生によるゴーゴリ論も嬉しい。後藤明生は本当にゴーゴリが好きなのだなあ。一緒にソビエトに渡った時、後藤明生がゴーゴリの墓にどうしても行きたがって困った、僕は誰のものであろうと墓など見に行きたくなかった、と古山高麗雄が書いていたのを思い出す。ゴーゴリの墓の前に立った途端、後藤明生は感激のあまりオイオイ泣いたそうだ。ゴーゴリの文学に触れて感動することはあっても、その墓の前に立って泣く、という気持ちは僕にはわからない、と古山高麗雄はどこまでもクールで、このくだりを思い出すといつも可笑しい。
 吉行淳之介が編んでいる「酔っぱらい読本」2冊をそれぞれ100円で。酒に酔う、をテーマに東西の作家の文章を選んである。チェーホフや吉田健一もある。
 それからTのために松村雄策を。この人の本を集めているそうなので。

 収穫を抱えて帰宅。宅配野菜の整理を行う。ゴボウがダブついてきたので、これを使って適当に料理を作る。今日はNさんにお手製のいかなごの釘煮をもらっていて、これでチビチビ焼酎を飲んだ。いかなごが出てきたってことはいよいよもう春なんだ。

 夜。文机の上に、村上春樹の「海辺のカフカ」の文庫本を発見。Tが買ってきたものらしい。先に読んでもよい、という許しが出たので、こんなものを読んでいる場合かしら、と思いつつ、読み始める。うーん、どうなんだろ。導入部分は常套手段だな、という気もするが。
 寝る前にはっさくを食べる。掌に蜜柑の匂いがはりついた。

・購入物:多和田葉子「犬婿入り」(講談社文庫)
     松村雄策「リザード・キングの墓」(角川文庫)ここから古書
     後藤明生「笑いの方法 あるいはニコライ・ゴーゴリ」(福武文庫)
     金子光晴「風流尸解記」(講談社文芸文庫)
     吉行淳之介「自家謹製小説読本」(集英社文庫)
     吉行淳之介・編「酔っぱらい読本 壱」「酔っぱらい読本 弐」(講談社)

・朝食:ごはん、梅干、海苔佃煮、卵焼き(お弁当のために焼いた残り)、おからの煮物、水菜の漬物
 昼食:お弁当(ハンバーグ(湯につけるやつ)、卵焼き、ミニトマト、蒸しジャガイモ、ごはん) 
 夕食:豚肉とレンコンとゴボウの炒め煮、ほうれん草の辛子ゴマ和え、湯豆腐、いかなごの釘煮、焼酎お湯割、ごはん


2005年03月13日(日) お代は見てのお帰り

 風の冷たい日曜日。太陽は雲間を出たり入ったり。日が照っても少しの間だけで、すぐ翳ってしまう。昼間、映画館のロビーの窓からポタポタと落ちていく雪を見た。三月の雪。このまま春にならなれけばいいのに、と思う。

 朝ご飯を食べて家でノンビリした後、中之島公会堂に高橋悠治のバッハを聴きに行くか、映画にするか迷って、結局映画を観に行くことにした。地下鉄を乗りついで梅田まで行く。車内では山田稔「酒はいかに飲まれたか」と北沢恒彦「酒はなめるように飲め」を再読する。黒川創が北沢恒彦の長男だと知って、また読んでみたくなった。

 午後1時から、シネ・リーブルで「天井桟敷の人々」を観る。1945年に撮られたマルセル・カルネによるフランス映画の名作。何の根拠もなく、どことなく鬱陶しい映画のような気がしてて、今まで観たことがなかった。こんなにいいもんだと思わなかった。スクリーンで観られる機会を逃さず、本当によかった。
 天才パントマイム役者、女とシェイクスピアが大好きな俳優、犯罪を繰り返す紳士、上流階級の伯爵、この4人がひとりの美女ガランスをめぐって交錯する。みなそれぞれ真摯にガランスを愛そうとするが、勇気が足りず、タイミングを逃し、プライドに邪魔され、やり方を間違え、結局誰も彼女の愛を得られない。本当に欲しいものだけが、いつも手に入らない。ラストは哀しいが、人生とはまあそうしたもんかもしれない。どこにも行けず、戻るところもない。ままならないことを実感していく作業のくり返し。
 
 プレヴェールの書くセリフが良い。どれひとつとっても外してない。
『フレデリック「…、何を考えているんだい?」
 ガランス「とりとめもなく、いろいろと…。世の中には、黙って愛しあう恋人同士や、普通の言葉で恋を語りあえる人々は多いわ。そんな人たちって、素敵!」
 フレデリック「僕と一緒でしあわせじゃないんだな、ガランス?」
 ガランス「あんただって、わたしと一緒でしあわせじゃないんでしょ、フレデリック?」
 フレデリック「僕は…」
 ガランス「あんたがもし本当にしあわせだったら、そんなにのべつ冗談ばかり言う必要があって?わたしがもし本当にしあわせだと思ってるんだったら、そんなふうにわたしを笑わせようとしたり、慰めようとしたりする必要があって?幸福でも不幸でもない、わたしたちはどっちつかずなのよ。それだけのこと……」』

 脇役の描き方も素晴らしい。大衆演劇を愛する無言劇のフュナンビュル座の座長、盲目のふりをした乞食、狡猾な古着屋、気の弱い悪党…、主役達とがっちりかみ合って映画にふくらみがでている。それからパントマイム役者バチストを演じるジャン=ルイ・バローの、演技と眼光のキレの鋭さ。完璧でした。名作は古びないんだなあ。

 晩ご飯を食べて、バスで帰宅。バスは混んでいて席を確保できず、足が疲れた。夜は日曜日恒例の北中正和の「ワールドミュージックタイム」を聴いて、くつろぐ。今週はろくに掃除が出来なかった。心のどこかで罪の意識あり。
 
・購入物:なし

・朝食:おからの煮物、梅干、玉ねぎの味噌汁、海苔佃煮、ごはん
 昼食:映画の合間に。くるみパン、珈琲
 夕食:梅田食堂街にて。店名忘れた。コロッケカレーライス、サラダ


2005年03月12日(土) 思い浮かべることはできるのに

 午前6時起床。休みなのではりきっている、ようだ。夜明けも早くなっていよいよ春、という感じだが、どういうわけか今朝はえらく寒い。三日ぶりくらいにストーブを点けた。
 台所で、切干大根の煮物とおからの煮物、それから粕汁を作る。やっぱりはりきっているな。7時15分に「ウィークエンドサンシャイン」が始まるまで、クララ・ハスキルによる、モーツアルトピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466と第24番ハ短調K.491を聴く。はりきっている上に、浮かれているな。

 ごはんの後は洗濯をし、日記を二日分書く。だんだん曇ってきて、昼前にヒョウみたいなのがバラバラと降った。何かけったいなもんが降ってきたでー!、と向かいのオバちゃんが教えてくれたので慌てて洗濯物を取り込む。取り込み終わったら、止んだ。おまけに晴れてきた。今日は絶対また降ってくるって、というオバちゃんの言うことを聞いて部屋の中に干し直し、台所でリンゴをかじってからでかけた。

 図書館で絵本の会。寒いせいか、子どもの数少なし。黒と黄色の横じまマフラーを巻いて、髪の毛を少し前に垂らした男の子がいたので、鬼太郎みたいだね、と声をかけてみるが、キタロウって誰?、と言われてビックリする。ゲゲゲの鬼太郎知らんのか!近頃の子どもは、絵本もいいけど、マンガも読んだほうがいいんでない?、と思ったり。
 Iさんと雑談してから、帰路につく。あまりの寒さにくじけて、今日は地下鉄で帰る。近所のスーパーで買物。豚ヒレ肉と大豆、ニンニク、醤油。それからブックオフに行って、芝木好子の文庫を2冊は100円、1冊は200円でそれぞれ購入。芝木好子の本はけっこうたくさん並んでいたが何故かイタミが激しいものが多い。比較的キレイなものと短編集を選んで購入。3冊400円はまあ想定内、かな。それから各地の民話をあつめた佐々木喜善「聴耳草紙」を300円で、池田晶子を200円で(Yondaシールつきなので)買って帰る。

 夜。桂文枝が亡くなったことを知る。病気だったことを全然知らなかった。昔々うんと幼い頃、おばあちゃんに連れられて観に行った、あれはどこだったか、花月だったかもしれない、思い出せないしもう誰に聞くこともできないけれど、小文枝時代の高座を観たことがあって、その時のおぼろげな記憶をたどり、文珍のラジオ番組に時折出ておられた時の優しい声のことを思い、審査員をしておられた「素人名人会」のことを思い出し、「素人名人会」をテレビで観ていた日曜の夕方の風景を思い出し、それを一緒に見ていたおばあちゃんのことを思い出し、とにかく懐かしいいろんなことを思い出して、けっこう心にキツイ、ニュースであった。

・購入物:芝木好子「青磁砧」「別れの曲」(集英社文庫)「湯葉・隅田川・丸の内八号館」(講談社文庫)
     佐々木喜善「聴耳草紙」(ちくま文庫)
     池田晶子「帰ってきたソクラテス」(新潮文庫) 全て古書

・朝食:粕汁、切干大根の煮物、卵焼き、味付け海苔、梅干、ごはん
 昼食:りんご半分、珈琲
 夕食:豚ヒレ肉の香味焼、粕汁、キャベツとしそのサラダ、大豆の煮物、麦酒、ごはん


2005年03月11日(金) 山は紫にして水明るし

 金曜日までこぎつけましたよ、おめでとう!、と自分に言いたい。しかし本日は朝から夕方近くまでバタバタであった。ああくたびれた。

 弁当作りをさぼったので(寝坊した)、Iちゃんと会社近所の蕎麦屋に行く。相席になり向かい合わせに座ることになった若い女が、終始テーブルに肘をついたまま定食を食べているのを見てムカムカくる。おまけにその女は、ダイエット中やねん、とか何とか言って、ごはんとおかずを三分の一ほど残しやがったので、腹立ちに輪がかかる。ダイエットのために残飯をつくるなど、言語道断だ!アホか。あー腹立つ。肘をついて食べること、寄せ箸をすること、なんの躊躇もなく食べ物を残すこと、食事をとることにおいてこの3つを行う奴に会うと許せない気持ちになる。

 終業後、ビル地下で空腹を満たしてから、ディアモールで春のお洋服を見物して(みるだけ)、タワーでCDを物色して(これもみるだけ)、ブックファーストに行って本を見て遊んだ。料理本を何冊か立ち読みして、本の造りに惹かれて「写真との対話」を買った。畠山直哉、スーザン・ソンタグ、堀江敏幸などによる、写真についての文章が収録されている。どれも書き下ろしなのも良い。
 ブックファーストの喫茶室で本を読みつつ、珈琲。今、4月号の「文学界」に収録されている黒川創の「明るい夜」というのを、なかなか良いなあ、と思いながら読んでいる。何となく読み始めたが、はまった。黒川創の小説を読むのはこれが初めて。午後の鴨川の風景、築70年近くの下宿の廊下と階段の軋み、銭湯で会うおばあさんの体のかたち、早朝のパン屋で次々にパンが焼き上がって行く様子、など目に映るもの、耳に入るものをスケッチしていく文章が特に良い。新しい書き手に出会えるので、たまには文芸誌を読んでみるのもいいのかもしれない。

 帰り際に旭屋で「UP」をもらって、バスにて帰宅。昼間は雨がジャジャ降りであったが、夜になってすこしづつ晴れてきたようだ。夜の気温は14℃。でも風はけっこう冷たい。
 帰宅後、少しニュースを見てからお風呂に入り、あちこちにクリームをぬりつつCDでウェスモンゴメリを聴く。明日はお休みだ、嬉しい。
 
 ・購入物:近藤耕人・管啓次郎編「写真との対話」(国書刊行会)
     
・朝食:バターロール、ソーセージとジャガイモのスープ、珈琲、ヨーグルト
 昼食:会社近所の蕎麦屋で。とろろそば、梅おにぎり
 夕食:北斗星にて。Bセット(煮込みハンバーグ、コロッケ、白魚のフライ、サラダ、コーンスープ、ごはん)


2005年03月10日(木) 時間ばかりがすぎる

 午前6時半起床。暖かくなってきたからか布団からでるのは苦でなくなった。会社に行くのは苦なんだけれど、まあそれは言っても仕方がないな。昨夜、鶏を甘辛く煮て、いっしょに煮卵も作っておいたので、それを弁当につめていく。
 
 給料日なので、お弁当を食べたあと銀行その他へ行って各種振込み。それから打ち合わせのため歩いて本町へ行った。日差しがきつくて暑いほど。額に汗、はまだちょっと早いように思うのだが。
 午後、Kさんと膝突き合わせて細かい打ち合わせ。Kさんは何事が起こったらわからんのだがすこぶるご機嫌であり、いいかげんな私の仕事ぶりにも今日はわりと寛容で、サクサクと話が進んで誠にありがたい。打ち合わせが終わってから、アタシ今これに凝ってるのよね、と、メープルシロップとマーガリンが挟まれた森永のホットケーキをくれた。二つ入り。レンジでチンするとさらに美味しいとか。
 Kさんの事務所を出ると、雲がモクモクとはりだしており、雨がポツポツ落ちてきたので地下鉄で会社までもどる。ホットケーキは給湯室にこもり、隠れるようにしてIちゃんとわけて食べた。

 残業して帰宅。多少手抜きの感もあるが、今日はちゃんとごはんを作り、テレビ大阪でやってたジャッキー・チェンの映画「ドランク・モンキー」を何となく観ながら食べる。ジャッキー・チェンが若くて活き活きしている、が、それだけの映画。たぶんそれだけでいいのだろう。酔拳をえんえんと見せられて、退屈極まる。

 夜中。読書いろいろ。雨がしとしと降る。 

・購入物:なし

・朝食:ごはん、大根おろしとじゃこ、トマトと大葉のサラダ、梅干、ヨーグルト
 昼食:お弁当(鶏肉のしょうゆ煮、煮卵、ジャガイモサラダ、ミニトマト、ごはん)
 夕食:焼鯖、豆腐と揚げの味噌汁、山芋の短冊に山葵と海苔と醤油をかけてネリネリネリと混ぜたもの、サニーレタスの韓国風サラダ、ごはん、麦酒


2005年03月09日(水) 脳みそからウニ

 快晴。洗濯物をズラズラズラと干していく。うちのベランダは南西向きだから、今日の天候ならすぐさま乾いてしまうだろう。
 昼日中に道を歩いていると、そろそろ紫外線というものに気を配るべきなのではなかろうか、と思う。思うけれども、特になにもしない。思うだけ。これやっといたほうがいいな、しといたほうがいいな、すましといたほうがいいな、と考えはするけれども、考えるだけでなかなか実行できないのはなんでだ。怠慢か。

 終業後、ジュンク堂に行って「文学界」を買った。毎月「文学界」を買ってしまう、という、恐れていた事が現実になりつつある。買ってパラパラ読んでから、別に買うほどのことはなかったような気がしてくる。物事に気づくのはいつも後から。
 収録されている石田千のエッセイと、キレイにつるんとまとまったような印象の山田詠美の小説を読んだ。面白くないわけではないけれど、面白いと感じることと好きだと思うことは、似ているようでやっぱり違う。
 『車谷長吉氏への25の質問』より。
 『いまこの世から消えてなくなって欲しいものを三つあげてください。』
 車谷長吉氏の答え。『長嶋茂雄、読売巨人軍、あとはなし』
 だってさ。馬鹿だねえ。

 書いてもしょうがないからもう黙って辛抱しておくのだが、今日は仕事でなにやらかにやらまあ次々といろいろあって、頭が誠にくたびれた。自転車こぎつつ、本日の晩ご飯の献立を考えるも、なーんにも思いつかない。脳みそが頭の内側に張り付いて動かない。献立のビジョンがわいてこないのは疲れている証拠なので、作るのを諦めて近所の中華料理屋へ。八宝菜が妙に味が濃くて、後から喉が渇いてしょうがなかった。

 夜。本棚から林哲夫「古本スケッチ帳」と「カモイクッキング」を出してきて読む。

・購入物:「文学界」4月号(文藝春秋)

・朝食:バタートースト、トマト、珈琲
 昼食:お弁当(鶏ムネ肉のみそ焼き、蒸しジャガイモ、卵焼き、ごはん)
 夕食:近所の中華料理屋さんで。八宝菜定食(シュウマイ、スープ、ごはんつき)、麦酒


2005年03月08日(火) 壁にあたって砕けたい

 朝、電車にゆられて神戸まで。窓越しの日差しが、暖かいを通り越して暑いと感じられるような午前10時、本を読みつつ揺れにまかせてウトウトと。ああ、寝ても寝ても寝足りない。
 
 昼前、大阪に戻ってくる。早く会社に帰らなきゃなあ、と思いつつ、やっぱり帰りたくなくて、ぐるっと回り道してジュンク堂に寄り道し文芸誌をしばし立ち読み、車谷長吉のあれこれを読みたいので「文学界」を買おうかどうしようかとしばし迷っていたら後ろから、何読んでるんです?、と声をかけられ振り向いたら、顔中を覆い尽くすようなマスクをかけたWさんだった。マスクの上に眼鏡がのっている、という感じ。変質者かと思ってビックリした。Wさんによると、今日は花粉がよく飛んでいるのだそうだ。ほら花粉のせいで視界がぼんやり霞んでいるような感じがするでしょう、と言う。そうかなあ、ワカンナイ、いつもと同じ風景のように思うけど。
 本屋を出て、今朝2月20日あたりで賞味期限が切れている牛乳を飲んだら下痢をした、というかわいそうだけど自業自得なWさんの話を聞きながら桜橋の交差点まで一緒に歩いて、それぞれの会社に戻るため西と東に別れた。結局、今日は本を買いそびれてしまった。

 残業してクタクタ。関係する全ての人に平等に喜んでもらうよう努力するのは本当に大変で、もう何だかくじけそう。
 スーパーで食料を調達して帰る。こみいったものを作る気になれず、今日は手抜きのキムチ鍋。焼酎を飲んだせいか食後急激に眠くなり、我慢できずリビングでうたた寝。起きたら0時を回ってて愕然とした。働いて食べて寝ただけの一日だったような気がする。
 お風呂に入って布団で寝なおす。私にとって有意義な一日とはどんな一日だろう、と考えてみるが、やっぱりよくワカンナイ。

・購入物:なし

・朝食:ごはん、梅干かつお、味付け海苔、りんご、はっさく
 昼食:お弁当(焼鮭、ほうれん草のゴマ和え、人参とゴボウのキンピラ、ごはん)
 夕食:キムチみそ鍋(うどん入り)、焼酎お湯割り


2005年03月07日(月) 雨後のタケノコのごとく

 晴れ。ポカポカと暖かい一日。このところ数日は、冬と春がかわりばんこにやってきているみたいだ。朝、自宅のトイレの窓からひょいとのぞいたら、隣家の庭にある梅が見事キレイに咲きそろっていた。ウチのシクラメンはいよいよ終りの時が近づいた様子、でも葉っぱは元気なのでどうも捨て難く、水をやって二階の窓辺に置いておく。

 新たなる一週間のはじまり。コキコキ自転車こいで仕事場へ。午前中は社内でモンモンと働き、午後は昨日も行った茶屋町方面へ、一旦会社に戻って夕方は本町近辺まで出かけた。彼方此方うろついたかいあって、少々光明がみえてきたようなそうでもないような。
 打ち合わせの後、本町界隈をぶらぶらし、例によって例のごとく天牛堺に寄り、その後ふと思い立って平野珈琲店でドーナツを2個買った。手作りのドーナツはアルミホイルにくるんでトースターで温めると出来たての味になる。珈琲も飲みたかったけれど時間がなくて諦めた。
 古本は100円均一台から、持っていたかもしれないけど…、と思いつつ中公文庫の福田章二(庄司薫)を。それから山渓文庫の「京都の散歩みち」を。6人での共著なんだけれど、著者名の中に杉本秀太郎の名があったので嬉しくて購入。でも署名がないのでどの章を杉本秀太郎が書いたもんだかわからない。なんだかな。京都の名所案内のような本なんだけれど、御所を中心とした洛中についてばかりで、私が生まれて育ったような洛外は当然のごとく無視、文章の端っこにもでてこない。まあいいけどね。

 帰って、宅配野菜の整理。4週連続で土生姜が入ってきた。冷蔵庫に生姜ばっかりたまっていく。困った。まだ生姜屋をやる予定もないしなあ。とにかく今日のところは豚の生姜焼をこさえる。
 夜。ドーナツを食べながらビデオに撮っておいた土曜日の「ETV特集」を見る。『あなたの日本語磨いていますか』、というやつ。外国で楽しむ日本語、というテーマで多和田葉子と伊藤比呂美が対談していたのが興味深かった。多和田葉子が自分で書いて朗読してた「かける」という短い小説もすこぶる面白かったし、ふたりの言葉への接し方と話し方にに好感がもてた。
 寝る前に「彷書月刊」を読む。午前1時就寝。

・購入物:福田章二(庄司薫)「喪失」(中公文庫)
     上野瞭・杉本秀太郎・西尾雅之・光明正信・塚本珪一・山本俊一郎共著「京都の散歩みち」(山渓文庫) いずれも古書

・朝食:うぐいす豆のパン、カフェオレ、ヨーグルト、はっさく、リンゴ
 昼食:お弁当(人参とゴボウのキンピラ、卵焼き、ウィンナー、ごはん)
 夕食:豚の生姜焼、大根おろしとジャコ、ほうれん草のゴマ和え、キンピラ、湯豆腐、焼酎お湯割、ごはん
 
 


2005年03月06日(日) 一回、やすみ

 目覚めは午前7時。布団の中で朝刊熟読、それから「ちくま」3月号を隅から隅まで目を通し、青山光二の連載を読んで芝木好子が俄然気になりだす。芝木好子の小説は、まだ「洲崎パラダイス」しか読んだことがないのだった。また古本屋で文庫本を探すべく、忘れないようにメモ。
 
 午前9時頃起きて、「新・日曜美術館」を見る。それから昨夜入りそびれた風呂に入って朝ご飯の支度。ごはんを食べた後、近所にゴミ回収日変更のお知らせ(月2回だった資源ごみの回収が、来月から週1回になるらしい)を配って歩き、回覧版もまわす。これらは数日前から町内会長より配布するようにと渡されていたのだが、なんだかんだと忙しく、というか面倒で、今日までウチで持ったままになっていた。そろそろ配らないと、隣の班ではもうみんな見ているのにウチの班はまだだ、とか何とか言って、皆さんに怒られてしまう。町内の班長というものをやって初めて、世の中には回覧版を読むのを心待ちにしている人がいる、ということを知った。全く私はまだまだ全然、知らないことだらけだ。

 掃除など家事全般を終え、どうしようもなく伸びてきた髪を切ろう、と思い、寒空の下自転車をこぎ出し店に行ってみたのだが、今日はあいにく予約がいっぱいだ、とのこと、商売繁盛で誠にけっこうだ。髪を切るのは来週に延ばすことにして、そのまま梅田へ出た。
 旭屋で「彷書月刊」と「スタジオボイス」を買い、「波」と「未来」をもらう。「スタジオボイス」は読みにくくてあまり好きではないのだが、写真集の特集の時は一応買っておこうと思っている。近所の珈琲館に入って「未来」を熟読。「未来」は読むところ満載でワクワクする。
 それから阪急方面へ向かって、かっぱ横丁でついこないだ出たばかりの「シチリアでの会話」を半額近くで入手。続いてテアトルで映画のチラシをもらう。アルモドバルの新作「Bad Education」は4月公開だとか。今月半ばから観たい映画が次々と公開されるので、体調を整えておかねばと思う。
 少し早いけれど、三番街で晩ごはんを食べて、明朝のパンを買って帰宅。夕方6時前でもまだ空が明るくて、休日はまだまだ残っているのだ、という気になって嬉しい。でもすぐ暮れてしまうのだけど。帰ってひと休みしてから、弁当のためにゴボウと人参のキンピラを作る。このところ日曜になったらゴボウをいじくりまわしているような気がするな。
 夜、9時すぎからNHKラジオ、北中正和の「ワールドミュージックタイム」を聴く。この番組聴くの久しぶり。北中正和の揺るがないマイペースさが良い。
 米を研いで、「波」を読んで、土曜日の日記を書いて、就寝。風邪は完治一歩手前といったところ、薬を飲まずにここまでこぎつけたので、衰えたとはいってもまだ体力はあるかな、と思う。
 
・購入物:「彷書月刊」3月号 特集:マキノ撮影所
     「Studio Voice」4月号 特集:写真集中毒のススメ
      ヴィットリーニ「シチリアでの会話」(岩波文庫)これは古書

・朝、昼兼用食:バタートースト、ゆで卵、珈琲、それから昨夜のひよこ豆のカレーの残りを茹でたペンネにかけて食べる
 夕食:阪急三番街にて。牛鍋(ミニすきやきみたいなやつ)、ごはん、漬物


2005年03月05日(土) 全ては、極限において最も美しい

 午前7時起床。朝ご飯を食べながら「ウィークエンドサンシャイン」を聴く。冒頭で流れたCCRが久しぶりでカッコ良く、9時に番組が終わった後、持っているCCRのCD、3枚を出してきて順番にかける。その間、洗濯や台所の後かたづけを行い、日記をしたためる。午前中はキリッと晴れた良い天気で寒さもさほど感じないが、夕方から寒気が流れ込み雨や雪が降るかもしれないとかなんとか、ニュウスで言っていた。

 お昼にうどんを作る。うどん大好き。何か映画でも観ようと、だしをとっている間ビデオ棚を探索し、何を考えていたのか自分でももう思い出せないのだが何となくというかたぶん魔が差して、パゾリーニの「ソドムの市」をうどんをすすりながら観た。何年か前、TSUTAYAが「旧作100円レンタルセール」をした時、山のようにビデオを借りてきて片っ端からダビングしたことがあって、その時パソリーニも数本か撮っておいたのだった。そのうちの一本。撮るだけは撮ったが、今の今まで観ようと思ってみたこともなかった。
 
 というわけで「ソドムの市」。とにかくボカシだらけで興醒めだ。例えば少年少女が裸で犬の格好をやらされる時、全員が折り重なるようにして餌をねだるから、前列にいる人のボカシが後列の人の顔に重なって、何が何だかわからんような状態になってしまっている。それから、権力者達の情欲をかき立てるため、金々満々のおばちゃん連中が自分の性体験を、どこまでも優美なピアノの調べにのせて語るシーンが退屈。もったいつけるわりに話の内容がしょうもないし、頼りない。
 しかし、この映画で流れる音楽はどのシーンにおいても素晴らしく美しかった。目に映るものがどれほどの凄惨を極めても、美しい音楽だけは鳴りやむことがなかった。このことにはいろいろと考えさせられた。
 それから、どこから集めてきたのか知らないが、出てくる少年たちが揃いも揃って美形であるのに対し、少女たちが玉石混淆なのはなんでだ。役者で最も光っていたのは『大統領』役をしてた寄り目の人。笑い顔が実に変態じみててよかった。
 うどん食べながら観るには、考えることが多くて心に重すぎる映画であった。パゾリーニはやっぱり変な人だよ。すごく偉大な変人だ。

 夜。「ETVスペシャル」をビデオ撮りし、西東三鬼をとうとう読了した。崖っぷちのギリギリで出会う、人と人との気持ちの交歓を描く時の、乾いた筆致が良い。全面的に降参。

・購入物:なし

・朝食:トースト、プレーンオムレツ、ヨーグルト、珈琲
 昼食:ネギとトロロ昆布と天かす入りのうどん、はっさく
 夕食:ひよこ豆のカレー(ほうれん草とポテトフライをトッピング)、レタスとトマトのサラダ、麦酒


2005年03月04日(金) I'm so glad that you are here

 朝、日が射しているのにしとしと小粒の雨が降るので傘をさして出かける。昼からだんだんほんものの晴れ間が出てきて、夜には強い風が吹き、ずいぶん寒くなる。
 金持ちって何考えてんだかわけがわからんなあ、と、鼻水をすすりつつ考える今日この頃。

 朝ごはんを食べているときTに、お金オクレ、と言ってみたら千円札を二枚くれた。二千円ぽっきりか、と思わないでもないがまあいいか。
 夕方、仕事でちょっとしたトラブルというかなんというか、とにかく面倒なことがあって、Kさんに「ちょっとどーいうことなの、説明しに来て!」とキーキー声で呼ばれたので、ハイハイただいま参ります、という感じで低姿勢で本町まで行った。
 トラブルも無事おさまるところへおさまり(多分)、本町まで来たからにはやっぱし寄ってみよう、今朝は臨時収入も入ったし、と天牛堺書店へ。パタパタと探索していたら木山捷平の「酔いざめ日記」を見つける。以前ここで見かけた時はもっと高い値がついていた記憶があるのだが、今日は780円均一台から発掘できた。西東三鬼を読みながら、大好きな小説である「長春五馬路」のことを思い出していたこともあって、タイミングも良くうれしさ倍増。
 その後、「彷書月刊」を買おうとジュンク堂天満橋店に行ってみるも、ここには置いていなかった。昼間本店に行った時はあったんだけどなあ、あの時買っておけばよかった。本は見かけたその時に買わねばならぬ。ここで岩波の「図書」をもらう。本店でしっかり「ちくま」と「本の旅人」、「あとん」も入手しておいたので、これで一安心。PR誌をぬかりなくもらうのは疲れる。

 帰宅して、ごはんの支度。何気なくつけたラジオで桂南光の番組をやっていたので聴く。私はラジオっ子。この番組は初めて聞いたけれど、さだまさしの曲がかかるのがイマイチというか、「最悪」な感じではあるが、南光さんの声が聞こえてくると何となく気持ちが落ち着いて良い。こういうラジオを聞くと、やっぱり私は関西を離れられないわ、と強く思う。この先どんなところで暮らすことになっても、京都と大阪で過ごしたこの30数年のことは絶対忘れられないし、また忘れられるわけがないし、たまらない懐かしさでいつもいつも常に思い出すだろうと思う。

 風邪はずいぶん良くなったけれど、それとは関係なしに今夜は妙に眠くて眠くて仕方なく、10時すぎたらフラフラしてきて、化粧もおとさず布団に入って寝てしまった。
   
・購入物:木山捷平「酔いざめ日記」(講談社) 古書

・朝食:ロールパン、ハムエッグ、珈琲、ヨーグルト
 昼食:お弁当(ちらし寿司、ほうれん草のピーナツ和え、ピーマンのキンピラ)
 夕食:ポテトコロッケ(近所のお肉屋さんで買った)、豚汁(大根、人参、ゴボウ、コンニャク、揚げ、豚肉入り)、山芋の短冊サラダ、焼酎お湯割、ごはん


2005年03月03日(木) 追いつめられた白昼夢

 風邪、依然続行中。身体はいたって元気だが、喉とか鼻とか、咳のし過ぎで頭がボウとするとか、首から上とその周辺がダメ。Nさんに、うつるとイヤだから近寄らんといてくれ、と言われて、一人机を離され、部屋の隅っこか、または誰もいない会議室で仕事をする。隔離政策だ、と騒いではみたものの、まあ気楽でよかった。のど飴を始終なめて、昼休みには心優しいIちゃんがくれた生姜湯を飲んだ。
 
 雛祭なのでちらし寿司を作るべく、朝から高野豆腐や椎茸をたいたり、さやいんげんを茹でたりと、下ごしらえに勤しむ。食べる事にはマメだなあー、自分でも感心しちゃう。帰りに八百屋で、ほうれん草とマイタケ、カボチャを買う。昨日テレビで枝元なほみが作っていた、「マイタケとカボチャの天ぷら」をこしらえてみるつもり。
 残業したため疲れて、今日も本屋その他には寄らずにまっすぐ帰宅。夕方からしょぼついた雨。夜中から本格的に降りはじめる。

 夜。ごはんを食べた後、Tの仕事を少々手伝う。PCに向かって延々入力。肩が凝ってパンパン。お駄賃をもらえるものと思っていたのに、私がお風呂に入っている間に寝てしまわれて叩いても蹴ってももう起きなかった。くれないのだろうか、お駄賃。Tは自分に都合の悪い事はすぐ忘却してしまう習性があるので、明日の朝になると、へえ何のこと?、とか言われるのではないかと思い、ショックだ。

 「月刊百科」の3月号を読了。尾崎喜八という人が気になる。それから西東三鬼「神戸・続神戸・俳愚伝」の続きを読む。
 
・購入物:なし

・朝食:アフタヌーンティで買った玄米パン、ヨーグルト、珈琲、はっさく
 昼食:お弁当(小松菜とじゃこのおひたし、ウィンナー、人参サラダ、ごはん)
 夕食:ちらし寿司、マイタケとカボチャの天ぷら、ほうれん草とピーナツ和え、焼酎お湯割り


2005年03月02日(水) フィルム越しの空

 喉が痛くて苦しい。鼻水もズルズル出る。鼻水っていったいどこからわいてくるんだろう、というのは風邪をひいた時の疑問その一。その二はちょっと今思いつかない。普段きわめて健康なぶん、少しでも身体に異常をきたしたら色々と大袈裟なんだけど、それにしてもしんどいわ。

 朝、台所で洗い物をしていたら玄関の戸をバシバシと叩く音がする。ウチはボロ家のため、ドアチャイムがついてないので訪ねてきた人は戸を叩くしかないのだ。ガラガラとサッシ戸を開けたらおばあちゃんが立っていて、ウワ!、とビックリされた。若い人が住んでいると思わなかった、と言う。私が若い人かそうでないかはまあちょっとおいておくとして、おばあちゃんは、向かいの家に引っ越してきた○○です、家の中をリフォーム中で工事の音がうるさくて申し訳ない、ウチはおじいさんとふたり暮らしで周りの家も高齢の人が多いためアンタのような若い人が近くにいると何かと安心だ、みたいなことを言って、「何かあったら助けてくださいねえ、地震とか火事とかあったらねえ」と、小さな包をくれた。もちろん助けますよ、その時私が人を助けられるような状態にあればね、と思う。包の中味は洗濯石鹸だった。洗濯物の匂いがしたから、包装紙を開けなくてもわかった。

 終業後はフラフラ出歩かず、まっすぐ帰る。レディースデイだから映画でも観に行きませんか、とIちゃんに誘われたんだけど、咳がゴホゴホ出るし周りの迷惑になるから止めとくよ、と断った。寂しい。私も「ビヨンド・ザ・シー」観たかった。かっこいいケビン・スペイシーを拝みたかった。ケビン・スペイシーさえ見られれば、どんなにつまらない作品でも我慢するのだが。
 悄然として自転車で帰る。途中、商店街の八百屋で小松菜、水菜、えのきだけを買い、天牛で古本を見る。ケビン・スペイシーが古本に化けた。ああ寂しい。本日の古本収穫はなし。これまた寂しい。

 夜。Tが買ってきた「Meets」の最新号を読む。特集は「ザ・純喫茶」。これを読んで、ゆっくり本の読める新しい喫茶店を開拓しよう、と意欲を燃やす。枝元なほみの「きょうの料理」を見て、西東三鬼の続きを読み進める。

・購入物:なし

・朝食:クロワッサン、カフェオレ、はっさく、ヨーグルト
 昼食:お弁当(ネギと卵のガーリックチャーハン、鶏ささみの磯部揚げ、人参サラダ)
 夕食:豚肉と水菜のはりはり鍋(豆腐、えのき、油揚げ、春菊入り。大根おろしとぽん酢につけて食べる。最後にうどん。)、焼酎お湯割


2005年03月01日(火) 咳をしてもひとり?

 ボヤボヤしているうちに3月となってしまった。3月最初の日は、陽がゆるやかにさしこむ上天気であった。しかし夜になるとまだまだ寒い。私は完璧に風邪をひき、喉がイガイガして終日苦しんだ。
 午前7時に起きて、朝ご飯の支度と弁当のために鮭と卵を焼く。Tは弁当にクリームシチュウを持っていくのを諦めたようだ。会社でシチュウをわざわざ皿に移しかえてレンジで温めている人なんて、絶対出世できないよ。まあ、出世なんかしなくていいけどさ。

 本日の収穫。
 昼間、出かけた折に旭屋に寄り、「一冊の本」の3月号をもらう。
 これまた出かけた折に、まあ要するにさぼっているということなのだが、天牛堺書店で、文芸文庫を250円均一台から2冊買う。いつ読むとも知れないが、文芸文庫が300円以下だとついつい手がでてしまう。
 帰りに、今日が天満橋ジュンク堂のリニューアルオープンの日だと思い出し、喜んで行ってみる。本屋が再開店したことが、なぜこんなに嬉しいのかわからないが、すごく嬉しい。新しいジュンク堂は広くなっていたけれど、壁に囲まれすぎててちと閉鎖的な感じがするのが残念だ。でもまあそのうち慣れるだろう。ここで買うものは特になく、「月刊百科」をもらう。ゴダールへ書いたトリュフォーの、憎たらしい手紙の続きを読むのが楽しみだ。
 デリスタで鶏ささみの磯部揚げというのを買う。明日の弁当につめるつもり。
 地下で長崎ちゃんぽんを食べて、自転車で帰る。夜風が風邪ひきの身にしみる。

 しんどいので、早めにお風呂に入って早々に布団に入る。今日から文芸文庫の西東三鬼「神戸・続神戸・俳愚伝」を読んでいる。昔、どこかで森山大道が勧めてて、古本屋さんで見かけた時買っておいた本。良いわ。全体から色気が漂ってきて、ぴったり好みの文体だ。この人は絶対モテるはず、と解説を読んでみると、案の定女をとっかえひっかえしていた模様、ほうらやっぱりね、と得意顔。
 午前0時消灯。

・購入物:宇野千代「女の日記」(講談社文芸文庫)
     遠藤周作「異邦人の立場から」(講談社文芸文庫) 古書

・朝食:トースト、シチュウの残り、珈琲
 昼食:お弁当(焼鮭、卵焼き、蒸しジャガイモ、ごはん)
 夕食:中央軒にて。長崎ちゃんぽん、麦酒


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