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- 2001年02月27日(火)
レイヴン
J:今日は大事件だったのよ、ベック!
B:どうしたんだい、ジョセフィーン。あのガイコツがなにをしたんだい?
J:標本骨格はどうもしていないわ、ベック。
B:おや?それじゃあジョセフィーン……
J:そうなの、ベック。カラスが……
B:ハムにしてしまったんだね、ジョセフィーン!
J:違うわ、盗まれてしまったのよ!
B:ジョセフィーン、なんてひどいことに!
J:そうなの、私のおやつにとっておいたのに!
B:元気をおだし、ジョセフィーン……
J:ありがとう、ベック。大丈夫よ……
B:しかし、そんなひどいことをしたのはだれだい、ジョセフィーン?
J:葛村遼太郎とかいうひどいヒトよ、ベック……
B:僕がついているよ、ジョセフィーン、今夜はしゃぶしゃぶだ……
J:愛してるわ、ベック……
侍従長代理ウマル・ベン・アード
…………(しくしくしくしく)
…………(しくしくしくしくしくしくしくしく)
殿下……出てきてくださいよぉ……
怒りませんからぁ………………
(ある日の大使館の風景)
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- 2001年02月24日(土)
渡会宗一郎
今朝は土曜日だというのに、人は仕事で朝から出かけていた。
仕方がないので、朝食を食べに、町に出る。
喫茶店でモーニングをやってたっけ……と思ったが、
酒場のマスターの料理がおいしいのは知っているので、
無理を言って作ってもらおうと、そっちへ行く。
酒場では、昨夜からの居残り組が三人。
一人は居眠りしていた。さすがに疲れていたのだろう。
残りの二人のうち、一人は――で、
もう―――は―――だった。
僕―――――――――ジュース――で
――――――――――――――――――――ニ――――
ど――――――――ロ――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――タス―――――――テ―
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- 2001年02月23日(金)
渡会 宗一郎
夜、散歩をしていたら、うっかり墓場に出る。
どこをどう歩いたのかおぼえていない。
―――おじいさまのことを考えていたから。
おじいさまは間違ったことを言ってはおられない。
僕は医学を一生の道に選んだのだし、
――人を好きだというのは、一緒にいたいというのは、
多分、世間の常識とは、離れている。
おじいさまがわかっておられないのは、一つだけだ。
人をなくせば僕もない、ということ――それだけだ。
それでも、僕はおじいさまを傷つけない方法があればと、
そう、願うのだけれど――傷つけたくないと思いはするのだけれど。
墓場には、鴻巣くんがいた。久しぶりだった。
前に会ったのは――僕が酒場で犬の話をして怖がらせてしまった時だったから。
元気そうだった――と言っていいのだろうか。
外科医の目からすると、病院の外で会ってはいけない人のような
気もするのだが……。
彼は、ここにいることを、存在することを、生まれてきたことを、
誰かに許してほしいと思っているようだ。
誰かに――。この『誰か』というのが、けっして一人でなく、
けっして形のある、一人の人ではないということが、
彼の苦痛の原因ではないだろうか、と、思う。
彼はここにはいないのではないだろうか、と。
思う―――――――。
(メモに、ゆっくりと、ゆっくりと書き付けた文章)
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- 2001年02月21日(水)
レイヴン
ねえ、ベック、ギャグキャラの日記って、ナニを書けばいいのかしら?
B:知らないよ、ジョセフィーン。それより、君の瞳に乾杯しよう。
J:あら、だめよ、お会いした人の名前くらい、書かせてもらいましょ。
B:仕方ないね、ジョセフィーン。好きにしたまえ。
J:ベック、優しいのね、うふん。
B:君の美しさは罪さ……。
J:まあお上手ね、じゃあいくわよ!
藤牧新く〜ん、ごめんなさいねぇ〜!
B:さ、気が済んだかい、ジョセフィーン。
J:ええ、ベック。
B:今夜はきみを寝かせないよ……。
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- 2001年02月19日(月)
侍従長代理ウマル・ベン・アード
(めそめそめそめそ)
打てる手は全て打ったのに……。
………どっか、亡命先を探すか……。
(めそめそめそめそ)
(大使館、哀愁の背中)
渡会宗一郎
起きたら汗をかいていて、ひどく気持ち悪かった。
あまり気持ち悪いので、フロに入った。
……のたのたしていたら、人が帰ってきた。
風邪をひいているときは、風呂に入ってはいけないらしい。
すぐに、寝た。
もう少し、一緒にいたかった。
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- 2001年02月16日(金)
渡会宗一郎
気が付いたら、渡会の家で……。
おじいさまといろいろお話をしたような気がする。
で、家政婦さんのいなくなった隙に家を出て、
僕のマンションに戻ろうとタクシーに乗って。
でも。
部屋に帰るのが……怖くて。
途中で、降りて。
気が付いたら、森、だった。
熱は40度くらい、あったかもしれない。
このまま座っていたら、朝までには凍死するかと、思って。
そう、しようかと、思って。
気が付いたら、人がいた。
……僕のままで、いい、と、言ってくれた。
手放さない、と。
僕は、うれしかった。
どうしようもなく、うれしかった。
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- 2001年02月15日(木)
渡会宗一郎
仕事の帰りが、少し遅くなった。
風邪はまだ治っていなかったが、今年はずいぶんもう休んでいるから。
帰り道、暖かい飲み物が欲しかったので、植物園に寄った。
……
どうして、こんなことになってしまったのだろう?
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- 2001年02月14日(水)
渡会宗一郎
風邪をひいた……。
起きたら、人にしがみついて寝てた。
うつしてしまったかもしれない。
……僕は医者のくせに医者に行くのが嫌いなのだが、
そうも言っていられないので、医者にかかった。
「食間に服用のこと」とある薬をもらってきた。
食間って………食事中?
神父さんにお会いしようと思って、教会に寄った。
が、神父さんはいなくて、
SEIJIさんと、アシュレイさんという人がいた。
SEIJIさんは、まだ記憶が戻らないようだ。
もう少し話をしたかったのだけれど……
アシュレイさんに、「帰って寝ろ」と言われた。
仕方がないので、帰った。
風邪薬は、苦い……。
(ベッドで寝ながら書いたので、字、汚し)
侍従長代理ウマル・ベン・アード
なぁ……………。(へろへろ)
殿下、知らんか……………………。(へろへろへろ)
もう、どうでもいいから、
帰ってきてくださらんかなぁ………………………。
(めそめそ泣いている)
(ある日の大使館の情景)
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- 2001年02月12日(月)
渡会 宗一郎
暗くなってから、植物園に行った。
500円玉を落として、追いかけたら……
池にはまった。
といって、特に深い池でもなかったので、
そうそうに上がろうとしているところに
渋沢さんという方が来られて、
僕の着替えを買ってきてやろうと言ってくれた。
そのとき、ちょうど人がやってきた。
花が好きになってくれたんだろうか。
うれしいことだと思う……ああ、いや、
そうではなくて。
えーと、
なんというか、まあ、そう、いろいろ……。
僕はあまり、混乱しておぼえていないのだが、
凄まじく、照れた。
脳溢血になるかと思った。
…………なんとかならないものだろうか。
(めも。かりこり)
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- 2001年02月09日(金)
侍従長代理ウマル・ベン・アード
………おい、殿下知らんか………?(かなりよれよれ)
そーだ、まだ見つからんのだ。
陛下に知れたら、俺は鞭打ちのうえ縛り首だな……
まあまあだと!?落ち着けだと!?
いったい幾つ会談に穴をあけたと思ってる!
本国への報告書の期限も近いのだぞ!?
…………まあ、いい。
殿下のことだ、またきっと、我らが恐慌に陥った頃に、
きっと「おお、すまん! ちょっとな!」とか言って、
どこぞから戻ってくるのだ……。
前は……そーだ、
焼き物の修行をしてた、とか言っていたな。
伊万里とかいう場所で………。
今回も言っていないかどうか、電話をするか……
(ある日の大使館の会話。と、ぼやき)
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- 2001年02月08日(木)
侍従長代理ウマル・ベン・アード
おい、殿下、知らんか?
……そうだ、まだ見つからんのだ。
……軍事局から連絡は?
そうか、ないのか……。
公安当局は?
ああいや、いい。
あんな目立つモンが歩いていたら、
すぐ連絡が来るはずだ。
とりあえず……うん?
誘拐だろうかだと?
誰が誘拐できるんだ、あんなの……。
(ある日の大使館での会話)
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- 2001年02月07日(水)
侍従長代理ウマル・ベン・アード
おい、殿下知らんか?
発信機に応答は?
……電波の届かないところか?
軍事局に連絡しろ。
衛星を使って捜索する。
見つけたら?
……………………狙撃班を呼んでおけ。
(大使館内での会話)
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- 2001年02月06日(火)
渡会宗一郎
久しぶりに、教会に行った。
神父さんがいるかと思って訪れたが、
ちょうど留守のようだった。
代わりに……というかなんと言うか、
とても無口で、無表情のまま冗談を言う人だった。
……もしかしたら、狐かもしれない。
しばらくマリア像を見上げていたら、
渡瀬くんが来た。
子犬のユウタくんがようやく戻ってきて、
とても嬉しそうだった。
ユウタくんは一回り大きくなって、元気そうだった。
渡瀬くんも大きくならなきゃと言ったら、
2mくらいになるのだと言った。
それくらい大きくなったら気持ちいいだろうと
言うので、肩車をした。
それはよかったのだが……
渡瀬くんを心配してかユウタくんが足元を
ちょろちょろするので、うっかり尻尾を踏んでしまった。
気の毒に……びっくりしただろうし痛かったのだろう、
僕の足にがっぷり噛み付いた。
思わずこけてしまった。
もちろん、渡瀬くんごと……。
まあ、僕も渡瀬くんもユウタくんも怪我が
なかったから、よしとしよう……。
人を噛んだら叱らなければいけないのはわかるけど
飼い主をさしおいてついつい「おいで」と言ってしまう
僕はやっぱり、動物を飼うのにはむいてないに違いない……。
渡瀬君は、とても、いい子なのに。とても、強い子なのに。
……自分はそうじゃないと、思ってるようだ。
ほんの子供なのに、一人で生きながら、他人の心配もできる渡瀬くんが
どうして人の目に迷惑だと映ることがあるだろう。
そう言って、あげたかった。
(手帳。走り書き)
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- 2001年02月05日(月)
渡会宗一郎
夕方、海で散歩をしていた。
妙に楽しくて、貝を投げて遊んでいたら、
人がきた。一人は花ちゃんと呼ばれていた。
治療はしてあったが喉にひどい怪我をしていた。
「なぜ生きるのか」と、聞かれた。
多分、僕の答えは伝わらなかっただろう。
もう一人は、名前はちょっとおぼえていない。
でも、きれいな声をした少年だった。
オンチは治るといわれたが、本当だろうか?
そうこうしているうちに、人が車に乗って来た。
が、すぐ帰ると言う。風邪らしいと言うので、
いいと言うのを振り切って一緒に家帰った。
……えらく乗り心地の悪い車だった。
(手帳。走り書き)
ジブリール
しばらくぶりに、特殊部隊の演習に参加してみた。
昔の訓練通り、体はきっちり動いた。
だが銃はやはり嫌いだ。
帰り、大使館にまっすぐ帰るのも馬鹿げていると思い、
ヘリから廃ビルに下ろさせた。
と、かおるに会った。
なににヘソを曲げたのかフェンスを飛び越えようとするから
思わず抱き寄せたら、ずいぶんと細いように思えた。
そのまま抱いていたら、ひどく怒り出した。
その場に二人ほどいたような気もするが、よく覚えていない。
かおるは剣を振るった。踊る月のような剣だ。
よい腕だったが、感情が高ぶっていたせいか、
俺が防御に専念すれば、かわしきれないほどでもなかった。
足払いをかけて、抱きとめた。
……俺は、俺の中に獣を飼っている。
獣に惹かれ、獣を見れば、目覚める。
美しく慣れない獣であれば、なおのこと。
愛されることなど望みはしない。
このようなものは愛などとは呼ばれえまい。
さあれ、神のみ唯一にして絶対、偉大なり……。
(黄ばんだ古いノート。その空隙の一葉。典麗なアラビア文字)
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- 2001年02月04日(日)
佐谷充彦
目が覚めた……ら、紗羅ん家だった。
手足、縛られてた。
そこらへんに落ちてた工具で足だけ縄切って、逃げた。
どこをどう、歩いたのか。
気が付いたら病院で、サカエがいた。
海で、階段から転げ落ちた、らしい。
サカエは、優しい。いつもだ。どう、して?
俺は、好きになってもらえるような、いい子じゃない。
俺は、サカエを困らせる。俺は、サカエを傷つける。
俺は、そうしたく、ない。
ふいに、ひどい痛みが、頭にきた。
……すぐに、意識がなくなった。
俺は、死ぬ、のか?
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- 2001年02月03日(土)
ジブリール
ヘイカゴリンセキノエンユウカイ、とやらをすっぽかした。
すっぽかして、植物園に行った。
しばらく、狭い場所で、しかも座りっぱなしだったものだから、
尻から腐ったような気になっていた。
奥の広い場所に行こうと歩いていたら
かねこまさみち、という男が茂みから出てきた。
ぼんやりしていたものだからうっかり剣を向けてしまった。
それは後で詫びたのだが、どうもかねこまさみちは
俺の邪魔をしたくなったようで、一本背負いをかけてきた。
大して苦労もせずいないしたのだが、そこに二人、
男が騒ぎを聞きつけて駆けてきた。
一人はひどく無礼な男で、一人はそうでもなかった。
が、すぐに立ち去った。
植物園の奥、空の開けた場所で、
しばし、思う存分に剣を振るう。
剣と語らうのは、よい、ものだ。
ふと気づくと、以前にも会った男がいた。
かおる、であると今回名乗った。
語らぬことで語り、嘘によって真実を告げ、
否定によって肯定する、そのような男だと、思う。
――どうも、男か女か、いまだに俺には自信がないのだが。
かねこまさみちは、俺と会えて悔しくて嬉しいと言った。
砂漠に行きたいのだとも。砂漠のことを聞きたいのだとも。
俺と砂漠が好きなのだとも。俺と手合わせがしたいのだとも。
子供のようだと思った。憧れを知るものの言葉だとも。
――だが憧れは諸刃の刃。
さあれ、欠けることなき真実は、神のみぞ知りたもう。
話していたら、ふいにヘリが飛んで出た。
ご丁寧に機関銃付の、戦闘用だ。
侍従長代理のウマルは、なかなか大胆だ。
さっさと配置転換になるように、叔父上に褒めちぎっておこう。
…………今夜は詫び状書きで徹夜だな。
(日本語ノート。コメント、内容は愉快です。文字も丁寧に)
ジブリール
起き抜け、ウマルが部屋に入ってきて言うには、
今日一日は休み、どこへ行ってもいいが、24時間監視する、とのこと。
別に構わんと言って外に出る。
近海通るとたまたま従兄弟から連絡があり、
ついでだからと遊びに行った。潜水艦だった。
しばらくしてから席を辞し、新しく購入したボートで出る。
見かけは白鳥に似せて造ってあるのだが、いささかみすぼらしい。
が、かもふらーじゅなのでいいのだそうだ。
ともかくそれで、街の海辺へ行く。
なつみとこしょうとひろせと、もう一人子供がいた。
こしょうは変わっていない。なつみは犬を、ひろせは猫を連れていた。
なつみとひろせはひどく、スワンボートに乗りたがった。
こしょうがひろせを殴ったので、ひろせが泣き出した。
で、鼻をかめと言ったら、俺の服で拭いた。
どうしようかと思ったが、ウマルがミサイルで着替えを打ってよこした。
なかなか役に立つところもあるようだ。
……が、やはり目立つな。
(日本語ノート。コメント、街中でミサイルはやめましょう)
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- 2001年02月01日(木)
渡会 宗一郎
昨日の怪我で右腕がろくに動かなかったので、
診察と緊急の用事だけ片付けて、早退した。
帰ってくると……いや、これは書くまい。
ともかく人が先に帰っていた。
で、僕が剥いた蜜柑を横から掻っ攫ったので、
……柔道の締め技をかけてみた。
油断していたらしく、見事に入った。
見事に入りすぎて、怒られてしまった。
で、まあ、いろいろあって。
僕は、人を傷つけることが、なくすことが、ひどく怖かった。
自分がそうしかねないということがわかってから、なおのこと怖かった。
でも。
そうなる前に止めてくれると、言ってくれたので。
僕はもう、怖がらなくて、いいの、だろう。
……一緒にいたいと、思う。
じゃんけん、負けた………………。
(左手で書くため、かなりユガミの字。最後の一行、えらく力なく)
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