心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2011年10月25日(火) 自立支援というニーズ

少し前のの雑記で、

「どこから手を付けるべきか(その3)」
http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=19200&pg=20111013

金銭管理がうまくできないために、所持金をあっという間に酒やギャンブルに費やしてしまう人の話をしました。(いやいや、酒やギャンブルに限らないよ、買い物への浪費もあるよ、というご指摘もいただきました)。その原因として知的障害が考えられるわけです。

家族がお金を管理してくれればいいのですが、一人暮らしだとそれもできません。その場合には、他者がお金の管理をする必要が生じます。

認知症のお年寄りにも金銭管理の問題が発生しがちです。以前は民生委員やホームヘルパーが善意で対応していたことも多かったのですが、法的な裏付けや契約を欠いていたために、法的なトラブル起きてニュースになったこともありました。

各地の社会福祉協議会(社協)では金銭管理を行うサービスも提供していますが、(成年後見制度でなければ)任意であり、本人が自分でお金を管理したいと言えば、そうせざるをえません。また、療育手帳や障害者手帳を持っていなければ利用できないのも難点です。

グレーゾーンの人には使えるサービスがないのが現状です。お金を稼ぐ能力と、そのお金を管理する能力(使う能力)にはバラツキがあるのでしょう。お金の管理を誰かにしてもらえれば、就業可能な人も少なくないのです。一方で、成年後見人による着服のニュースも流れています。金銭管理を代行してくれる何らかの公的機関が必要なのでしょう。

そういう意味で「継続的な自立支援」が必要な人は少なくありません。

自立支援といえば、障害者自立支援法というものがあります。日本にはアディクションの民間施設が100以上あります。その多くが自立支援法の指定施設となっています。この給付費の仕組みを利用すると、施設利用料の9割が公費で負担されるので、利用者の自己負担を軽くすることができます。(ナイトケアは共同生活援助事業・介護事業、デイケアは生活訓練など)。もちろん施設の経営が安定するメリットもあります。この障害者自立支援法は、あくまで「福祉」の枠組みのなかのものであり、行政からは福祉施設としての機能を期待されます。

日本のアディクションの民間施設が「治療施設」ではなく「福祉施設」になっている、という指摘は以前からありましたが、2006年の障害者自立支援法の施行以降、その傾向がさらに強まっています。

数年前、依存症が対象のある民間施設で、利用者に支給されている生活保護費を施設が管理していることが取り上げられ、貧困ビジネスとしてやり玉に挙げられていました。そのケースでは施設側の金銭管理がずさんで、出納帳すら存在しないなど、責任を追及されても仕方ない面はあったものの、金銭管理の必要性について掘り下げた議論が行われることはありませんでした。だからニュースとして騒がれただけに終わりました。「なぜそうしなければならないのか」に関心が向くチャンスだったのに残念なことです。

アディクションの民間施設が、福祉施設として、利用者の社会的自立に向けた訓練プログラムを組めていればいいのですが、それができているところは少数です。施設スタッフの多くはアディクションの当事者で、特に福祉の教育を受けているわけではありません。多くの施設では、福祉の枠組みの中で、なんとかアディクションとしての「治療」を実現しようと苦闘しているのが現状でしょう。行政の枠組み・利用者のニーズ・施設の方向性にずれが生じています。

しかしながら、あえて自立支援という分野に焦点を当てて活動している人たちも少ないながらも存在します。また、最近ではいただいた名刺に社会福祉士や精神保健福祉士という「福祉」の公的資格が書かれていることもあります。また、自立支援の指定を避けることで自主性を保とうとする施設もあります。それぞれに頭の下がる思いです。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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