心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2011年07月11日(月) 幼稚園で学ぶこと

テンプル・グランディンの本に、人が幼い頃に(たとえば幼稚園とか保育園で)同じ世代の子供たちと接しながら身につける社会的スキルが大切なのだと書かれていました。

例を一つあげれば「限られたものを皆で分かち合う」こと。一つしかないおもちゃは、それがどんなに魅力的であっても独り占めしてはダメで、皆で順番に遊ばなくてはなりません。

もう一つ、「自分の遊びに付き合って欲しかったら、相手の遊びにも付き合わなくてはならない」というのもありました。一人で遊ぶのはつまらない。一緒に遊んでくれたらうれしい。でも、自分の遊び方を相手に押しつけてばかりでは、誰も遊んでくれなくなってしまいます。相手の遊びがつまらなく思えても、それに付き合ってこそ、相手も自分の遊びに付き合ってくれるわけです。

これらは子供の頃だけに通用することではなく、大人の人間関係にも適用されることです。どんなに自分の意見が正しいと思っていても、その意見を押しつけすぎて相手の気分を害したり、相手を怒らせてしまったら、自分の正しさは相手に認めてもらえません。(自分にとっては間違った意見にしか思えなくても)相手の意見をある程度尊重しなければ、自分の意見は通らないのです。

普通の人が幼い頃に学んだスキルをほとんど無意識に使っているのに対し、自閉圏の人はそうしたスキルを幼い頃に学び損ねてしまっているケースが多く、社会適応の障害(=生きづらさ)につながっている、というのがグランディンの本の頭のほうに書かれていたことでした。

AAの12&12に

「おとなの人間のなかに加わっても安定した感情をもち続けたいと思うのなら、生きかたの基本を「ギブ・アンド・テイク」に置くべきだ」(12&12 p.153)

とステップ12のところに書かれています。自分の正しさばかり主張していたら、ギブ・アンド・テイクにはなりません。

幼い頃に社会的スキルを身につけ損ねたのか、それともいったんは身につけたものをアディクションのせいで失ってしまったのか・・・どちらかはともかく、回復成長のためには社会の要求する暗黙のルールを身につける必要があるわけです。

なんでそんなことを考えたかというと、「一人でAAグループを立ち上げたい」という相談を受けたからです。僕はいままで3回AAグループを立ち上げていて、そのうち2回は一人でグループを始めているので、そんな人間が言うのはおこがましいのですが、でもそんな経験から学んだことは、

「一人でAAグループを始めたいと思うのは、相当に病んだ考えだ」

ということです。その病み方が自閉的なのか、アル中的なのかはわかりませんが(似たようなものかも)。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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